プレスリリース
一般社団法人地方創生パートナーズネットワークは、観光関連団体と民間のスペシャリストとをつないで、観光振興や地方創生に資する人材育成を目指して創設した一般社団法人です。「地域は人なり」をテーマに政府、地方公共団体、観光地域づくり法人(DMO)、観光協会などが地方創生へ取り組む活動に対し、現場密着の支援を続けています。観光再開期の現在も積極的に観光DXなど旬のテーマのセミナーを地域の観光関係者と共同で開催し、より多くの地域住民や関係者が観光に対する理解や参加が進むように活動しています。本ストーリーでは、観光ワークショップ立ち上げの経緯や取り組み、今後の展望等についてお伝えいたします。(事例:北秋田市)
地域の関係者が主体的に考える、観光ワークショップを開催
新型コロナウイルス流行から力強い回復を見せる観光業界。2023年の訪日外国人数は年間2500万人を越え、24年2月は同月として過去最高の279万人で、今年は通年でも過去最多となることも期待されています。その一方で、一部の観光地が旅行者で大混雑するオーバーツーリズムや、ホテルなどのサービス業では深刻な人手不足といった問題も顕在化しています。
観光DX
観光庁は観光分野におけるDX(デジタル・トランスメーション)の推進により、「旅行者の生産性向上と周遊促進」「観光産業の生産性向上」「観光地経営の高度化」「観光デジタル人材の育成・活用」を通じた、地域活性化と持続可能な経済社会の実現を目指しており、観光庁の観光DX日本観光振興デジタルプラットホームに(一社)埼玉県物産観光協会、(一社)秩父地域おもてなし観光公社、地方創生パートナーズネットワークのコンソーシアムが採択されています。(事例:公益社団法人日本観光振興協会)
これらの背景により、地域事業者が自らのデジタル活用による生産性向上が必要とされる中、地方創生パートナーズネットワークは、地方公共団体や観光地域づくり法人(DMO)と連携した支援を行っています。2023年度は埼玉県の10市町で観光関連事業者の新たなチャンスを生み出すネットワーク強化をテーマに、観光ワークショップを受託したのもその一例です。(事例:埼玉県)
DMO(Destination Management/Marketing Organization)とは地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに、地域への誇りと愛着を醸成する地域経営の視点に立った観光地域づくりの司令塔となる組織で、観光庁により282の団体が認定されています。多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えることが求められている法人です。
1月には地域連携DMOである秩父地域おもてなし観光公社の主催で、インバウンドセミナーを開催しました。平日の午後に60名を超える事業者が集まり、会社や業種の垣根を越えて地域一体で観光を考えていく、熱気あふれるワークショップが行われました。
観光庁観光地域振興課から課長補佐を迎え、観光庁が推進するインバウンド戦略について講演の後は、地方創生パートナーズネットワーク代表理事の村松知木によるGoogleマップやOTA(オンライン旅行サイト)の活用セミナーを実施しました。地域における国内外からの旅行者集客に、これらは欠かせないツールとなっています。
【秩父地域のワークショップ参加者】
Googleビジネスプロフィール活用で地域全体の発信力向上へ
スマートフォンでGoogleマップを見て、お店をクリックして営業時間やメニュー、写真やユーザーの口コミといった詳細情報を確認する方も多いと思います。これは世界各国から日本にやって来る観光客も同様です。これらの情報をお店のオーナーが編集できる「Googleビジネスプロフィール」は、無料で集客対策ができる有力なツールです。
マップだけでなくGoogleのウェブ検索結果にも表示される「ナレッジパネル」と呼ばれる情報ボックスに表示される項目は、Googleが収集したお店の情報やユーザーの投稿だけでなく、お店がオーナー登録することで公式情報や写真の投稿、クチコミへの返信もできるようになります。
これらの対策は、個別の事業者ごとに登録して行うものですが、地元の事業者が一体となって推進することで、地域全体の誘客促進につながります。行政に任せきりでも自社の集客だけでもなく、観光地全体での取り組みが地域の魅力を発信するチカラを高め、それが地域の各ビジネスにとってもより大きな利益になっていきます。
観光庁の「世界に誇る観光地を形成するためのDMO体制整備事業」専門人材として、3年間にわたり秩父地域で観光地域づくりのお手伝いをしてきた、地方創生パートナーズネットワーク代表理事の村松知木は、取り組みの成果をこのように振り返ります。
村松:『初年度に創立した「ちちぶ次世代観光研究会」のワークショプ(年間10回開催)では、宿泊施設、鉄道、農家、酒蔵など秩父地域の皆さまから大変勉強させていただき感謝しております。次世代の皆さまが発案された「NAKED夜さんぽ」や「ちちぶ乾杯共和国」等の企画は、優れた事例として宿泊施設や地域を称賛する「じゃらんアワード2022」の元気な地域大賞に選ばれました。この受賞により地域の特色を生かした取組(1億4600万円の消費効果)が高く評価され、皆様のご尽力が報いられたことを心より嬉しく思います。このワークショップは、極めて効果的のため他地域(事例:北秋田市)でも応用しています。また、観光庁が推進する観光地域づくり法人(DMO)である秩父地域おもてなし観光公社の皆さまと推進してきた、「マーケティング」「受入環境整備」「コンテンツ造成」「インバウンド誘客やSNSプロモーション」の多様性に富んだ有機的なワンストップソリューションは、他の地域でも示唆に富んだ事例になると確信しております。』
【ちちぶ次世代観光研究会の発表風景】
【授賞式】
観光事業者の専門性を集めて、全国の観光地域づくりを支援
地方創生パートナーズネットワークは、観光の各領域のスペシャリストを組織化して、観光DXの導入などの取り組みが遅れがちな地方の自治体や観光地のDMOに対して、課題解決をワンストップで支援しています。具体的には、各団体の支援事業に採択された地域団体に対し、課題の掘り起こしや最適な解決アプローチの検討、専門家やソリューション事業者の起用から実装まで、地域関係者の合意形成を図りながら、年間を通じ伴走しています。
デジタル化が進んでいるとは言い難い観光業界に対し、地方創生パートナーズネットワークは、感染症流行前からオンラインによるセミナーやフォーラムを推進、地域の課題に応じたICT導入を支援してきました。これらの取り組みを各地域で展開できるよう、観光セミナーを定期的に実施。旅館ホテルの経営改善DXやふるさと納税による電子旅行券の返礼品導入など、多彩なテーマで観光庁や日本観光振興協会からの後援や登壇といった協力の元、各地で開催してきました。
観光庁「ポストコロナ時代を支える観光人材育成事業」
このような活動が評価され、昨年度は観光庁の「ポストコロナ時代を支える観光人材育成事業」に採択されました。これは観光地の再生・高付加価値化を進め、持続可能な観光地域づくりの実現に向けて、地域を牽引し、観光を通じて地域の課題解決ができる観光人材を育成するため、観光庁が昨年度策定した「ポストコロナ時代における観光人材育成ガイドライン」に準拠した教育プログラムの開発を目指す事業です。
今後もふるさと納税の観光活用や宿泊、地域商社、指定管理の再生による財源確保、観光DX、マーケティング、データ分析、SNS活用、人材育成といった課題に対して、各分野の専門家を起用したチームを集めたワンストップ型の支援体制を組んで、地方創生パートナーズネットワークは観光地域づくりの支援を行っていく予定になっています。