プレスリリース
自分の価値を高める、入門機械式ビジネス腕時計「I.TARU(イタル)」。こだわりを元に、ユーザーの声と共にアップデートを重ねた挑戦秘話。
I.TARU(イタル)は2022年に創業した日本製機械式腕時計の新鋭ブランドです。ビジネスでお相手に良い印象を与えることに特化した、入門機械式の腕時計ブランドです。日本では稀な腕時計のマイクロブランドとして、国内の腕時計OEM製造会社様と共に個性とニーズのバランスが取れた腕時計をご提案します。
機械式腕時計は今や趣味嗜好です。よって、ビジネス向けと銘打つ自動巻き時計ブランドは世界でもほとんど存在しません。ビジネス向け自動巻き腕時計ブランドという、カテゴリーとしての認知すら無いブランドの立ち上げから商品の発表、その後のブランディング構築までには大きな苦労がありました。
今後とも、国内OEMメーカー様のご尽力と腕時計コミュニティーの皆様の温かい目、並びに、よりニーズに寄せた改善への期待に真摯に応えます。このストーリーでは、創業のストーリーに触れつつ、製品開発に込めたこだわりをお伝えします。
「I.TARUブランド」成立の背景 - 身近でなくなりつつある自動巻き腕時計
私はISHIDA C&T OFFICEの石田航と申します。「I.TARU(イタル)」は2022年に東京で我々が立ち上げたビジネス向け日本製入門機械式腕時計ブランドです。
2023年7月現在、製品は計2コレクション。1作目は「高級腕時計にも携わる腕時計職人による研磨を活かしたチビ厚の青色サンレイ文字盤3針腕時計青文字盤」のI.TARU watch Classic。2作目は男女兼用の「ポップ調ビジカジスタイルの入門機械式腕時計白文字盤」で入門機械式としては異例の青焼き針を採用したI.TARU Classic gaugeを展開しております。
販売方法は主に自社webサイトで申し込むインターネット販売と、毎月1回都内で開く1 dayショールームでの販売です。何れも常設の店頭販売を避けることで販管費を抑えて原価率を高めた製品を提供できることが特長です。ショールームでの販売を通じてお客様の声を直接伺い、ニーズを今後の製品に反映しやすいという特徴があります。
自分自身のこれまでの常識に囚われないことを
私が海運関連企業でシンガポールに駐在していた際、日本の金融機関の関係者から日本の今後の経済について聞き、将来的には自分でやっていかないと生き残っていけないという考えがありました。よって、身近なもので何かできないかという想いはずっと頭の片隅にあったのです。
コロナ禍の2019年、吉田晴乃様という女性初の経団連役員となられた方が亡くなりになったことが大きなきっかけとなりました。若い時に体調不良で新卒就業が叶わずとも、通信業界で長年キャリアを積んでこられたという大変な苦労をされた方が、その2-3年前にビジネス番組でご自身を振り返られたのです。「自分の心の声に従うことが、キャリアを築く一つの方法である」。遺された言葉に強い印象を受け、今までの様々な経験が結びついて、自分には身近であった時計のアイディアが生まれたのです。
身近でなくなりつつある自動巻き腕時計
日本の人口動態はアメリカを除く先進国と同様に少子化が進んでいます。世界の腕時計市場はスマートウォッチの急速な普及に加えてコロナによる続く外出自粛が重なり、2020年度では腕時計全体の販売数量・金額が世界中で急減しました。その影響で多くの海外の高級腕時計メーカー各社はそれまで店頭販売が中心だった腕時計販売をメーカーによるEC(電子商取引)直販で一部販売するようになっています。
腕時計を含むウェアラブル機器市場全体では、アメリカで始まりつつある”luxury x ESG”ビジネスに流れる莫大な投資がテクノロジーを駆使したウェアラブルwellbeing市場として形作られようとしています。我々は、この流れが早かれ遅かれ従来の腕時計市場を更に侵食する可能性があると考えています。世界の大手アパレル会社では続々とESG+を掲げており、腕時計・ウェアラブル機器市場への進出も懸念する点です。既に世界のクォーツ腕時計の販売量・販売額共に年々急減している状況です。また、日本の20歳台は他国と比べて明らかに腕時計離れが進んでいるというデータが見て取れます。従来の自動巻き腕時計メーカー様・ブランドにとってはいかに潜在需要家に訴求するかが喫緊の課題の筈ですが、取り組んでいる企業は国内外共に多くはありません。
ESGsを追求すると製品が割高になるため、今後の腕時計は安値競争で戦える市場ではなくなると我々は考えます。また、技術・素材調達・芸術との関わりが強い高級腕時計では、スイスの人件費の上昇や金を始めとした希少金属の価格が今後も上昇が続くことで、既存の需要家にとって手に入りにくくなります。
自動巻き腕時計の価値はスマートウォッチやウェアラブルwellbeing機器では表現できないエレガンスそのものであると我々は考えます。あなたを彩り、時に勇気づけ、周りの方々と共に幸せに導くものであるべきです。我々は国内協力会社様によるOEM生産の下、上記を踏まえた独自性と今後のニーズに合う自動巻き腕時計をご提供すべく立ち上げたものです。
製品とブランドコンセプトの改善
我々は2022年にクラウドファンディングで「I.TARU watch Classic」を発表しました。高級腕時計の制作で有名な協和精工株式会社殿にOEMでの制作を依頼。テーマは「高級腕時計にも携わる腕時計職人による研磨を活かしたチビ厚の青色サンレイ文字盤3針腕時計」です。
残念ながらクラウドファンディングは振るいませんでした。皆様から得たな反響から「ステンレスブレスの角の腕への当たりを研磨の変化で低減」「価格の大幅な低減」「風防に反射低減コーティングを採用」を協和精工殿のご協力で何とか実現。その上で、2023年1月一杯の期間で麻布十番にてpop-upストアを開催。
腕時計webニュースサイト「WatchLIFENEWS」殿(https://www.powerwatch.jp/2023/01/08/01-0650-230108/)に取り上げて頂いたこともあり、日本の腕時計のコミュニティーの方々にはコスパが高い自動巻き腕時計として総じて良い評価を頂きました。
ブランドコンセプトは「ビジネスで良い印象を与えること」に特化していることをホームページ分かりやすく伝え、値段を市況価格以下に下げることで潜在ニーズの発掘を目指しました。2023年1月のPop-up期間中Twitterでは閲覧数の総計が9万viewまで広まったのは、腕時計コミュニティーの皆様の温かい目、並びに、よりニーズに寄せた改善への期待があることと真摯に受け止めています。
自動巻き腕時計市場に新しい風を吹きこむ
機械式腕時計はムーブメントの厚さや防水性などの兼ね合いを考慮したケース厚(*ケースの厚さ)となります。ケース厚は昔から「薄いほど良い」「機械が中に詰まっているほど良い」と広く認知されています。分かりやすく例えると、パーティーで付けるドレスウォッチはケースを薄くすることで袖口に引っかからないことが良しされています。
ただし、潜在需要家へどのように訴求するかという課題に取り組むためには、今まで腕時計に縁も興味が無かった方々に対し、遠目で見ても良い腕時計という認知を得る必要があると考えました。そして、我々のようなマイクロブランドだからこそ挑戦できる課題だと考えた訳です。
必要なことは何か? 腕時計のジュエリーとしての役割を強調すること。つまり、外装品質にこだわることでした。コストが許す限り、高級腕時計に使われる素材と外装品質を取り入れることにしました。1作目のI.TARU watch Classicでは厚めのケースに非常に丁寧な鏡面研磨を施しました。高級腕時計にも携わる職人達による非常に丁寧な研磨で、入門機械式としてビジネスの場で相手に良い印象を与えることが可能なのではと考えました。
中にはケースと同様に研磨されたステンレスブレスレットと相まって華美と捉える方や、無垢ブレスレットでは重いと捉える方もいらしゃることは容易に想像できましたが、お好みでお手元や市販の時計ベルトを着けるとご自身のイメージに近づけることができます。
昔はコインエッジなどで厚みを装飾でケースの厚みを良く見せたり、暑さを目立たなくする等の工夫が高級腕時計で採られてきました。I.TARU watch Classicはサンプル品が出来上がるまで眠れぬ日もありましたが、完成品を都内高級ホテル勤務をご経験された複数のオーセンティックバーに持ち込み印象を伺ったところ、総じて好印象ということもあり製品化に踏み切ったものです。目立つ厚みが既存の腕時計好きの方々の嗜好と合わないこともある点は、ブランドとして取るべきリスクとして致し方ないと割り切りました。
ケースに一定の厚さを与えることで、耐久性・防水性を高め、磁気帯びのリスクも減らします。スペックには載りませんが、自動巻き腕時計を初めて使う方にとって、これらは腕時計に慣れない方々にとって大切な要素です。
コミュニティーの声とブランドの独自性を両立した製品展開を
2023年3月、1回目の1 day pop-upストアを開いた際、関係者様のご尽力で関東圏の高級腕時計コミュニティーの方々10数名にお集まり頂きました。率直なご意見や今後展開が望ましいベルト、今後の文字盤の色に関するご意見など、とても貴重なご意見を頂戴しました。
その際、嬉しかったのは、1作目I.TARU watch Classicのユーザー様からこのような言葉を頂いたことです。「持っている時計の中で、学生達から一番受けが良いのがこの時計でした。」その時、視野狭窄に挑戦する試みは我々のようなアウトサイダーが担うべきと心を固めた次第です。
その後、フィリピンから購入された方もSNSで「写真だけでこの時計の良さは伝わらない。」と度々SNSに投稿されたり、先日はイギリスの腕時計Youtuber様からも「無料で腕時計Youtubeチャンネルに載せたい」との連絡を受けました。
我々はマイクロブランドでも特に個人事業であり、文字盤の同時多色展開や新製品を年数回発表できるブランドではございません。事業展開としての歩みは決して早くはありませんが、少しずつ着実に我々の取り組みを広げていきたい。そう考えております。