プレスリリース
紙の未来を創造する。老舗の印刷会社が新ブランド「archshop」を通じて、”かく”ことの楽しさと印刷市場復活へ願いを込める
本ストーリーでは、100年以上の歴史を持つ当社の創業時から分社を経て、現在に至るまでのあゆみを振り返るとともに、新たに立ち上げた紙製品ブランド「archshop(あーちしょっぷ)」についてご紹介いたします。
大阪書籍印刷株式会社(所在地:大阪市西淀川区、代表取締役:成田節夫)は、1909年創業の教科書発行会社である大阪書籍株式会社からの会社分割により、2008年に設立されました。
創業当時から携わる教科書製造に加え、一般商業印刷においても丁寧なものづくりに取り組んできました。技術力の確かな協力企業とも連携しながら、お客様の想いを、印刷を通して形にしています。
創業から100年以上にわたる歩み。廃業を乗り越え、大阪書籍印刷株式会社を設立
大阪書籍株式会社初代社長三木佐助 明治4年当時の定款
1909年、国定教科書翻刻印発行規定の改正が発表され、三木佐助を中心に大阪に在住する有力書肆の社長数名が集まり、9月27日、大阪書籍株式会社を創業しました。
当時の文部省(現・文部科学省)から国定教科書の翻刻・発行の許可をされています。
1955年には、教科書発行に加え、一般商業印刷も開始しました。1996年には年売上高が約64億6400万円と順調に業績を伸ばしましたが、10年後の2006年には約34億3300万円と売上が低迷しました。
2007年には事業の縮小を余儀なくされ、教科書部門以外の廃業を内示しました。
しかし、当時の東京支社長であった成田節夫が、翌年2月1日一般商業印刷部門を事業継承し、大阪書籍印刷株式会社が設立されました。
同年4月10日に大阪書籍株式会社は、大阪地方裁判所に民事再生法の適用を申請しました。
印刷業界の苦境に立ち向かう。社長自ら新部署を立ち上げ、人材採用と育成へ
昭和7年に建設された津守工場
経済構造実態調査(製造業事業所調査)で公表されたデータによると、印刷産業は、1990年代前半に出荷高のピークを迎え、以降は下降し続けています。2008年にはリーマンショック、2020年の新型コロナウイルス感染症など、景気の低迷も相まって、衰退が急加速しています。
コロナ禍以降は、当社の協力工場の廃業が相次いでいます。
紙の印刷物の需要減少、原価の高騰など、廃業の原因はさまざまですが、衰退している印刷業界における若手人材の雇用に難航し、職人の高齢化により廃業を余儀なくされている企業もたくさんあります。
印刷産業の現状を踏まえて、次の世代に会社を繋ぐためには、売上と独自の製造ラインを確保する必要があります。
現在当社では、上記の問題を解決するために、廃業する企業から紙加工の機械を購入し、社長の成田自らが紙工部署を新たに立ち上げ、未経験者の採用、育成を積極的に行っています。
紙工部署で指導をする成田社長
お客様から選ばれ、さらなる提案へ繋げるために。技術とノウハウを生かした新たな挑戦
2020年、多くの印刷会社の中から選ばれるためには「製造以外でも価値を上げる必要がある」と、自社製品を企画販売するために企画開発事業を開始しました。
自社製品を販売するチャンネルを持つことで、お客さまにより深い提案ができると考えたためです。
全社員で集まり「今欲しいもの」などのお題を掲げて会議を行い、異業種企業とのコラボレーションも模索しましたが、未経験分野での商品開発は困難であると判断し、今までの印刷で培った技術とノウハウを生かすことのできる商品づくりに踏み切りました。
2021年に新ブランド「archshop(あーちしょっぷ)」を立ち上げ。開発商品は売れず、厳しい現実を知る
archshop旧ロゴ
hagamiメモ 人にやさしく缶バッジ
SDGsという言葉が世間に広がりはじめた頃、それに寄与できるものづくりを目指し2021年にarchshop(あーちしょっぷ)を立ち上げました。
印刷工場には、製造工程で出てしまう廃紙や、今は廃盤となっている長年保存された紙が存在します。
廃紙の中には、書き心地のいい綺麗な紙がたくさんあり、倉庫で眠っていた紙の中にも、商品としてまだ使える高品質な紙が数多くありました。それらをアップサイクルし、hagamiメモを開発しました。
しかしhagamiメモはOEMでの採用はしていただけるものの、一般消費者の購入はなく、本来の趣旨である「紙と印刷の潜在市場を探る商品づくり」という目標の達成には至りませんでした。
hagamiメモのほかには、「闘病しながら働いている友達に、やさしい気持ちが届く商品をつくりたい」というスタッフの想いから、助けて欲しい人が助けてと言うのではなく、助けたい人が自分の想いを発信する「人にやさしく缶バッジ」などを開発し、新聞記事にも取り上げていただきましたが、どれも全く売れませんでした。
「今までCSR活動を積極的に行ってきたわけではない、思いつきで作った商品を消費者は選ばない」という厳しい現実を突きつけられる結果になりました。
デザインの見直しと学生との協業で実現した大成功、Makuakeで1588%達成を果たした驚きの秘話
ブランディング後のロゴ
hagamiメモからEpokkeへ Shiori Note
Jishoru Tabi Comi
なぜ売れないのか?市場ではどんな商品が売れているのか?商品分析と市場調査を繰り返した結果、根本的な問題として、お客さまが選びたくなるデザインや商品コンセプトでなかったことに気づきました。
受注産業であり企画されたものを作る印刷会社にとっては、メーカーが当たり前に日々行っている「売るための商品づくり」についての知識やノウハウがまったくありませんでした。
そこで、デザインの問題を解決するために、2022年、地元西淀川区で活動するデザイナーの廣畑潤也氏をプロダクトデザイナーに迎えました。
廣畑氏とどんなブランドを目指すかについて何度も話し合い、製品を見直しました。
そしてhagamiメモは「Epokke(えぽっけ)」という商品に生まれ変わります。
また、紙の潜在市場を探るには、ユニークで新しい価値を消費者に提案しなければならないと考え、学生の企画力に着目して、2022年度から「Sカレ」という産学連携プロジェクトにも参加しています。
Sカレ2022年度 冬カンの様子
そのSカレを通じて、2023年9月に近畿大学廣田ゼミと、しおりにノートの機能が付随した「Shiori Note(しおりのーと)」を、2024年3月に駒澤大学菅野ゼミと、好きな言葉を書きためていく辞書式ノートの「Jishoru(じしょる)」を、2024年8月に、和歌山大学佐野ゼミと郵便局の消印の一種である風景印を集めながら旅を漫画風に記録する「Tabi Comi(たびこみ)」の3商品をリリースしました。
2024年9月現在では、高崎経済大学佐藤ゼミと、若い女性の悩みを解決する紙製品を共同開発しています。
中でも「Jishoru」はMakuakeでの先行販売にて目標金額の1588%を達成、先行販売後もECサイトには連日注文が入り、小売店からのお問い合わせもいただき卸売も開始することができました。
ついに当社にとって初めて「売れた」商品になりました。
総合印刷企業を目指す、大阪書籍印刷の次の100年への展望
archshopは、ユニークな商品づくりに向き合うことで、「かく」ことの重要性と楽しさを広げ、紙と印刷の潜在市場を探ります。
これらの経験とノウハウを生かして、お客さまにより深い提案ができる「総合印刷企業」を目指し、大阪書籍印刷株式会社は次の100年へ印刷製造というバトンを繋いでいきたいと考えています。
公式HP https://os-in.com/
公式EC https://archshop.jp/
大阪書籍印刷株式会社
所在地:大阪府西淀川区百島1-3-78
TEL :06-6476-3324
代表者:成田節夫
【お問合わせ先】
大阪書籍印刷株式会社 広報:西村
〒555-0044 大阪府大阪市西淀川区百島1-3-78
TEL:06-6476-3324
メールアドレス:nishimura-k@os-in.com