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グンゼのクオリティオブライフ(QOL)向上への取り組みとは

(PR TIMES STORY) 2023年03月28日(火)15時31分配信 PR TIMES

グンゼは、患者さまのQOL向上に貢献する健康・医療関連分野の成長をビジョンに掲げ、2014年QOL研究所を設立しました。高齢化が進み、健康寿命と平均寿命の差を小さくすることが我が国の課題となっています。いかに人間らしく、いかに自分らしく、いかに満足して生きていくか、QOL向上への関心は高まっており、世界規模で大きなテーマとなっています。

グンゼは、生体内吸収性材料製造の保有技術を生かし、再生医療、低侵襲治療、個別化治療(カスタムメイド治療)など、QOL向上に資する医療機器を製造のみならず、国内外の臨床現場との強いパイプを生かし、国内の医療現場のニーズに合った医療機器をスピーディに市場に普及できる体制を整えています。

今回は、新たに医療機器を調達し、薬事承認、保険適用および販売を開始する体制について、事例を通しご紹介します。


■世界中から国内ニーズにあった医療機器を調達するために

患者さまにあった医療機器を提供するために、まずは国内ニーズを把握することが重要です。医療関係者と打ち合わせを行い、臨床現場と密接な関係を構築し、そこから得られる多くの情報を分析し、それをしっかりと開発部門に共有することが肝となります。

また、医療機器の開発が先行している海外の動向を把握することも重要です。海外の医学学会への参加やサプライヤーとの密なコミュニケーションを通じて、海外の新しい技術やトレンドについて情報収集を行います。

国内ニーズと海外の情報を組み合わせて、国内の医療現場の課題解決のためにどのような医療機器が求められるかを特定し、調達に向け検討・交渉を行います。日本の薬事承認のプロセスは特に厳しく、調査・検討後、実際に販売につながるケースはあまり多くありません。

国内ニーズに合った医療機器を調達するために、国内ニーズを把握する体制、新しい医療技術や海外のトレンドを把握するネットワークの活用、多くの医療機器を調査することが重要となります。

海外医療機器の国内導入を担当するグンゼメディカル企画開発部 松本 奈々


■スピーディな薬事承認取得のための取り組み

~患者さまの乳房再建の選択肢を増やし、乳房再建率を高める~

これまで日本では、米国製ブレスト・インプラントを使った乳房再建術が行われていました。2019年、米国においてブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫の発症が報告され、製品の自主回収が行われました。それに伴い日本国内において保険を適用したアナトミカル型テクスチャードタイプのインプラントが使用できない状況になりました。しかし、このタイプのインプラントは日本人にとって有用な選択肢であり、医師または患者さまから販売再開が切望されていました。

グンゼメディカルは、関連医学会からの要望を受け、日本の患者さまの乳房再建の選択肢を増やし乳房再建率を高めるため、薬事承認取得および保険適用手続きを進め、要望を受けてから1年で販売を開始することができました。人工乳房は体内に長く留めておくものなので、クラスW(侵襲性が高く、不具合が生じた場合生命の危険に直結する恐れがある高度管理医療機器)に分類されます。通常、クラスWは承認取得に1年以上かかりますが、それをいかに早められるか、一日一日が勝負でした。

医薬品医療機器総合機構(PMDA)に向けては、頻繁に製品の情報共有を実施しました。自主回収された製品は米国で臨床試験を実施し、問題がないことを確認していました。しかし、自主回収された「ゲル状の人工乳房」と同じ部類の製品なので、臨床的な内容や製品の安全面は厳しい視点で見られることが予想されました。そこで、FDAが許可した臨床試験だけでなく、文献も一緒に提出し、本品の安全性の評価を補完する形で説明することにしました。ところが文献の作成は、今まで当社で扱ったことのない製品であることに加え、その人工乳房という製品自体が珍しく、参考にできる資料もほとんどなく、薬事承認取得はかなり難航しました。

慣れない作業も多かったのですが、社内チームみんなの団結により、要望を受けてから1年で販売までたどり着け、患者さまのQOL向上への貢献できたのではないかと思います。

薬事承認取得した製品を手にするグンゼメディカル企画開発部 長谷川 悦子


■国産初、コンパクトで持ち運び可能な超音波デブリードマン装置を開発

デブリードマンは、褥瘡や下肢潰瘍などの創傷治療において、壊死組織や感染組織の切除術をさす重要な手技です。従来は、海外製品を用いて施術が行われていましたが、大型で重量もあり、ベットサイドでの処置には向いていませんでした。グンゼメディカルは、臨床現場との強いパイプを生かし、要望された機器の小型化、軽量化および操作の簡易性実現に取り組み、社内で設計し、機器の薬事承認および保険適用を果たしました。 

将来的には、医療関係者が在宅でも治療可能な環境作りを進めてまいります。

開発した国産初超音波デブリードマン装置「ULTRA Curette」


■国内ニーズにきめ細かく対応するため、乳幼児向け頭の変形矯正ヘルメットを内製化し、高品質、短納期を実現

グンゼメディカルは、2015年、国内で初めて医療機器として承認を得た米国製頭蓋形状矯正ヘルメットを販売開始したこの分野のパイオニアです。これまで蓄積してきた豊富なデータとグンゼが保有するメディカル材料の加工技術を融合し、臨床現場のニーズに応えるかたちで、より日本人に適した純国産の製品を開発し販売を開始しました。

頭蓋変形矯正ヘルメット「ReMO baby」は、主に全国の形成外科、脳神経外科にて治療が必要と診断された場合に、医療機関での3Dスキャンによる頭部データをもとに赤ちゃん一人ひとりの頭の形に合わせて製作します。

高温多湿の日本の気候を考慮して通気孔を貫通させ、少しでも赤ちゃんが快適に装着できる工夫をしました。また、赤ちゃんもご家族も楽しい気持ちで治療を進められるようチョウチョ柄や星柄、人気のキャラクター柄など15種類のカラーバリエーションをラインアップしました。これにより、従来の海外製ヘルメットに比べて安定した納期と、赤ちゃんのことをとことん考えたこだわりで治療をサポートできる体制が整いました。

開発した頭蓋変形矯正ヘルメット「ReMO baby」


■特定生物由来製品をお客様に安全確実にお届けするために

〜創傷領域における日本初のヒト羊膜製品(エピフィックス)を販売開始〜

エピフィックスは、日本初のヒト羊膜使用組織治癒促進用材料です。これまでの療法では治癒しない難治性潰瘍に使用し、創傷治癒を促進します。製造者は、米国アトランタ州に本社を持つ胎盤生物製剤のパイオニアであるマイメディクス社です。グンゼメディカルが持つ国内外の臨床現場との強いパイプにより、日本市場に初めて導入することができました。この製品は、創傷領域における日本初のヒト羊膜製品であり特定生物由来製品に該当するため、発売開始までには思いのほか時間がかかりました。これを支えたのは、この製品によりこれまで治癒に至らなかった創傷へのアプローチで、患者さまのQOL向上に貢献したいという熱い思いからです。

エピフィックスは、ヒト胎盤の羊膜・絨毛膜を加工・乾燥していますので、ヒト胎盤由来の成分(細胞外マトリックスタンパク質、増殖因子、サイトカインなど300種以上の調整たんぱく質)を含有しているため、瘢痕組織形成の低減、炎症の抑制ならびに創傷治癒の促進に寄与します。対象疾患は、従来の治療法では治癒が困難であった難治性の糖尿病性足潰瘍および静脈性下肢潰瘍となります。米国では既に200万枚の製品が販売されており、米国市場においてはヒト胎盤由来組織製品に関してトップシェアを誇っています。

この製品は、ヒトに由来するものを原料としており、特定生物由来製品に該当します。特定生物由来製品は、感染症に対する安全対策が講じられてますが、そのリスクを完全に排除することはできない製品です。リスクはある一方、この製品でなければ該当疾病の治療ができないため、厳格な管理説明が義務付けられ販売を許可されています。

特定生物由来製品で代表的なものは輸血用の血液です。患者さまになくてはならないものです。現在の科学技術ではわからないウィルスなどの可能性が完全に排除できないため、万が一の状況に備えて出荷されてから患者さまへ使われるまでの流通の記録を企業で30年、病院で20年記録を保存する必要があります。そのため、この製品には一つ一つに個体識別番号を付け、全数量の流通の記録を保存しています。また、医療機関が記録の保存をする体制や方法に困っている場合は、適切な説明と協力をすることも義務付けられており、その仕組み作りも行いました。販売開始後も、継続してトレーニングを続け、医療機関から信頼される体制を維持していきます。

※エピフィックスは、米国MiMedx Groupの登録商標です。

羊膜使用組織治癒促進用材料「エピフィックス」

特定生物由来製品「エピフィックス」の販売体制を構築した

グンゼメディカル営業グループ 倉地 徹

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