プレスリリース
30年のサラリーマン生活と心理学から導き出したメタ認知力の大切さ。働き手が無理なく習得できる「じぶんコーチング」の開発秘話とは。
ピープルエナジーは「誰もが活き活き働く社会」を目指し、私伊集院が2022年に設立した人材育成の会社です。ここ数年で働き手を取り巻く環境は大きく変わりました。自らのキャリアに責任を持ち、環境変化に対応しながらキャリアを練り直し歩んでいくことが求められます。しかし上司は多忙で、丁寧な人材育成ができなくなっています。
こんな時代に必要とされるのは、個人のメタ認知力です。「真面目に努力しているのに評価されない」「高学歴で知識が豊富なのに自信がない」「良い成果を出しているのに周囲の目ばかり気になる」このような方が増えています。メタ認知力をつけることで自分の感情や思考を客観的に認知し、修正しながら合理的に判断、行動ができるようになります。
昨年、企業の従業員向けに「セルフコーチングプログラム」として提供し効果が実証できました。本年12月に個人のお客様向けに「じぶんコーチング」をリリースしました。このストーリーではピープルエナジーの創業から、「じぶんコーチング」の開発までを振り返ります。
メタ認知力をつけるコーチングを提供
メタ認知力とは、もう一人の自分をつくること。
ピープルエナジーはメタ認知力をつけるコーチングを提供しています。メタ認知力という言葉、聞いたことが無い方が多いかもしれません。自分の感情や思考を客観的に認知し、修正しながら合理的に判断、行動できる力です。次のようにも表せます。
「困った時に、もう一人の自分が、合理的なアドバイスをしてくれる力」
テレワーク、ジョブ型雇用、リスキリングと、ここ数年で働き手を取り巻く環境は大きく変わりました。会社に行けば自然と仕事を覚え、キャリアアップしていく時代は過去のものとなりました。自らのキャリアに責任を持ち、環境変化に対応しながらキャリアを練り直し歩んでいく、これが働き手に求められる姿となりました。
人材育成において、成長の土台となるメタ認知力の習得
私は30年のサラリーマン生活に終止符を打ち、人材育成の支援を始めました。ここ10年来、多くの企業とお付き合いする中で、部下の育成にかける上司の時間と熱意が減少しているように感じていました。会社はこれまでのような丁寧な人材育成ができなくなっています。十分に仕事を教えてもらえず、経験が増えずスキルがつかない、スキルがないから機会を与えられない、こうした悪循環に陥るケースが出てきています。
私の考える人材育成は、知識習得や資格取得ではありません。
心をコントロールする力「メタ認知力」の習得です。
メタ認知力をつけることで自分の感情や思考を客観的に認知し、修正しながら合理的に判断、行動できます。メタ認知力という土台を作ることで、行動が変わり、知識が増えスキルもついてきます。
メタ認知を意識することで、仕事が楽しくなる
- 真面目で努力しているのに評価されない
- 高学歴で知識が豊富なのに自信がない
- 良い成果を出しているのに周りの目ばかり気になる
昨今このような方が増えています。私も会社員時代、同じような状況に陥ることが多々ありました。考え過ぎ、不安や焦りばかりが募り、次第に仕事が辛くなっていく。とても苦しい時期でした。
心理学を学びメタ認知を意識することで、ネガティブ感情は自分の思い込みが生んでいることに気づかされました。仕事はもちろん楽ではありませんが、楽しくなりました。幸福感が高まったのを実感します。
昨年、企業の従業員向けに「セルフコーチングプログラム」の名称で提供し効果が実証できました。93%の受講者が仕事に有益だったと回答し、53%の方の評価が上がりました。本年12月からは、個人のお客様が無理なく受講できる「じぶんコーチング」をリリースしました。
以降、ピープルエナジー創業の経緯から紹介していきたいと思います。
理想的な日本のサラリーマン生活をはずれる
新卒1年目で転職。当時はほとんど転職者がいなかった。
私が新卒で就職したのは1990年ですが、新卒で入社した会社を1年で退職しました。今は若手の転職が当たり前となっていますが、当時はほとんどいませんでした。
転職の理由は会社の将来に不安を感じたためですが、自分のやりたい事は見えておらず、転職活動には苦労しました。幸い、絶頂期は過ぎたといえまだバブルの空気が残っていたため、何とか外資系の保険会社に転職できました。
自力でなんとかするしかない現場で考え抜いた、新たなる転職に向けた決意
外資系の保険会社では、たまたまITに関わる仕事に就きました。仕事は面白かったのですが、5年ほど経つと成長の実感が持てなくなってきました。社員の育成を考えた異動がある訳ではなく、現場の力が人事より強かったため、自力で何とかするしかない状態でした。最近よく言われるジョブ型雇用です。
会社の人間関係でも悩んでいました。今だから分かることですが、当時の私は完璧思考で、一生懸命やっているのに周りが分かってくれないと、仕事に強いストレスを感じていました。将来を悲観し、休日になると抑うつを感じていました。これではダメだとコンサルティング会社への転職を決意し、夜間や休日を使い、会計や英語の勉強を始めました。
人材育成は有言無実。管理職になって実感したこと。
32歳の時、伝手もあり運よくコンサルティング会社に転職できました。コンサルティング会社の仕事は面白く、クライアントと対峙する仕事は自分に合ってると感じました。順調にマネージャーになり、若手のコンサルタントを育成する立場になっていきました。
数年経ちチームをまとめる役割になると、多くのマネージャー以上の管理職は、できる部下ばかりアサインしたがり、できない部下のアサインを避けることに気づきました。管理職に求められる2本柱は売上と人材育成ですが、人材育成は評価も曖昧なこともあり有言無実の状態でした。
できないコンサルタントを育成するのに歓びを感じる
できない人の育成に感じ始めたやりがい
人材育成に関してクライアントの状況も観察しましたが、多くの管理職は案件遂行には熱心に取り組むものの、意識して丁寧に部下の育成をやっているようには見えませんでした。次第に「多くの人は、できない人を育成することを面倒と感じている」ということが分かってきました。
逆に私は、できない人を育成することが面倒ではなく、やりがいさえ感じました。売上だけを追い求めることに嫌気がさしていたこともあり、アサインが入りにくいコンサルタントを、あえて自分の案件にアサインし育成することにしました。正直、少し飽きがきていた仕事に対し、自分なりのモチベーション維持の意味あいもありました。
双方向のコミュニケーションを通じた育成によって与える、人生への良い影響
部下には仕事の大枠を伝え、小さな業務を切り出し、実際にやってもらいます。その結果を見ながら、なぜそのように考えたのかを聞きます。考え方がおかしい場合はその旨アドバイスし、再度やってもらいます。ある程度の成果物が出来上がるまで、これを繰り返します。できたら、次の業務に取り組みます。手間はかかりますが、ほとんどの方は時間はかかっても、できなかった仕事ができるようになります。
できることが続いていくと、人は表情が変わっていきます。最初は自身なさげで暗い表情だったのが、自信に満ちた明るい表情になります。別の案件でも評価されたり昇格したりした時は、こちらも本当に嬉しい気持ちになります。大げさかもしれませんが、一人の人間の人生に少なからず良い影響を与えられたと思い、強い充実感を感じていました。
この経験が、今でも生きています。
心理学の理論を活用した起業を決意
人材支援で起業を決意
50代に入り、起業を考え始めました。サラリーマンを30年やってきましたが、自分はサラリーマンに向かない性格だと思っており、いつかは起業したいと常々思っていました。いろいろ考えた末、社会ニーズがある上、自分ができそうな仕事と思い人材支援のビジネスを選びました。
心理学に目から鱗
人材支援とはいえ経験だけではビジネスにならないと考え、キャリアコンサルタントの資格を取得することにしました。恥ずかしながら、この時初めて傾聴を学びました。キャリアコンサルタントの資格取得をきっかけに心理学に関心を持ち、心理学を一から学び始めました。
軽い気持ちで始めましたが、心理学は目から鱗の話ばかりでした。サラリーマン生活で自分が悩んでいたことが理論としてまとめられています。「なるほどそうだったのか」「もっと早く知っていればあんなに苦しまなかったのに」と本当に感じました。
人材育成のビジネスとして、当初は読解力を磨く支援を考えていました。心理学を学ぶにつれて、次第にスキルを習得するためには健康な心があってこそと思いはじめ、スキルではなく心の持ち方を支援できないかと考えるようになりました。そこから心理学の理論を活用したコーチングアプローチの模索が始まりました。
認知行動療法は全ての働き手に必要な考え方と確信する
心理学を学ぶことで知り得た認知行動療法
私はこのタイミングで心理学を学ぶまで、認知行動療法という言葉を知りませんでした。しかし学べば学ぶほど虜になりました。
結果は、出来事をどのように解釈するかによって決まる。 (Ellis, 1977)
何となく分かっているつもりでしたが改めてこの言葉を読んで、雷に打たれたような衝撃を受けました。完璧思考は和らいできたとはいえ「自分は何で大変なことばかりなんだろう」という気持ちが心の奥底にありました。
結果は解釈しだい
出来事は全ての人に平等に起こっていて、どう解釈するかにより、その後の行動が変わり、結果が決まる。本当に目から鱗でした。解釈を変えれば辛いと思っていた出来事も、そこまで悪い出来事ではない。
「自分はなんという人生を過ごしてきたのか」「もっと早く知っていればもっと楽しい人生をおくれたのに」と思いました。でも「あの時の辛い経験があるから今こうして人材支援を志しているんだ」「この考えを用いて多くの働き手を支援できるのではないか」という考えも浮かびました。
コーチングに活かす
そこからビジネス化を進めました。数ヶ月考えた末、まずは次のような形で法人向けに提供することにしました。
- 受講者は6ヶ月間で認知行動モデルに基づくセルフコーチングを習得する
- 対象者は企業に勤める従業員とする
- ゴールを設定しゴール達成に向け、面談とホームワークを実施する
- セルフコーチング用のシートを用いて、思考と行動の変容を練習する
また受講者が帰宅時の電車の中でもセルフコーチングを練習できるように、小さなセルフコーチング専用ノートを作ることにしました。
「毎日の満足度や幸福度が上がった」
2022年に3社と契約し従業員にセルフコーチングプログラムを提供しました。93%の受講生が仕事に有益と回答、53%の方の評価が上がり、次のような声もいただきました。
感情に振り回されないように意識的に考えるようになった
ネガティブなマインドや不安がある時などに、気づいて持ち直そうとできるようになった。作業量が変わらずとも仕事
が楽になった
第三者の視点で自分のことを見ることができるようになった
自身の目標と目標に向けての道筋が明確となり、行動が積極的となった
ネガティブな感情に囚われて立ち止まる時間が格段に短くなった。その分人生を豊かにするための行動をすることができているので、毎日の幸福度や満足度が上がった
ショックを感じた時に一旦立ち止まって俯瞰的に考える行動が身についた
より積極的にコミュニケーションをとることができた
このように認知行動療法に基づくセルフコーチングは、普通の働き手が日常の仕事を進めていく上でも効果があることが分かりました。
- ストレスを受け落ち込んだ気持ちをセルフコーチングにより安定させ、さらに行動につなげることで、パフォーマンスを向上させる
- この取り組みを繰り返すことで、次第に幸福感が上がる
セルフコーチングプログラムの実施結果はこちらをご覧ください。
コーチングそのものがストレスとなることや、面談内容の報告を求められたこと。失敗も……
実はセルフコーチングプログラムを提供する中で、次のような失敗もありました。
- 悩んでいないにもかかわらず勉強目的で受講する方が現れる
- 上司が指名した受講者から「なぜ私ですか?」と聞かれる
- 受講者から「コーチングがストレスになっている」と言われる
- 上司から面談内容を教えるよう要請される
希望者を公募で募り、事務局が選抜する方式で実施しましたが、悩み解消ではなく勉強目的で応募する方が現れました。悩んでいる方を優先したいので、こういう方には、事務局経由で代わっていただきました。全額を会社負担としていたため、一定額の個人負担の必要性を感じました。
別の会社では上司指名の方式を採用しました。ここでは、自分が選ばれた理由が分からないという受講者が現れました。完全な解決は難しく、受講者は最後までモヤモヤした気持ちを抱えながら実施することになりました。
またある受講者からは、事務局経由で「コーチングがストレス」と連絡がありました。これはショックでしたね。提供期間や面談の回数を見直す機会となりました。
さらにある上司からは部下の面談内容を報告して欲しい旨言われました。これは守秘義務を理由にお断りしましたが、上司として知りたい気持ちはもっともと考え、受講者に合意をとった上で、A4 1ページ程度の面談経過の要約版を上司に報告させていただきました。
このように、やってみて見直しが必要な点が多々でてきました。ただセルフコーチングが、働き手の思考と行動を変え、仕事のパフォーマンスを上げることは確信できました。そこで今後は、次の点を改善し提供することにしました。
- 法人契約でも受講者からは一定の受講料をいただく
- 法人契約の場合は公募とする
- 面談の回数を減らす
- 面談の進捗を週次で報告する
- 最終報告書には全体概要、ゴール達成状況、アンケートを盛り込む
こうした経験から、もっとコンパクトでリーズナブルな価格のサービスの必要性を感じるようになりました。逆にそうしたサービスを作ることで、個人向けにも提供する余地があるとも思い始めました。
(HRX2022出展時の風景)
個人向けに「じぶんコーチング」の提供を開始
個人向けに提供できることを検証するため、ココナラで面談数を絞ったバージョンを実際に提供してみました。その結果、面談1回でも十分効果があることが確認できたため、個人向けプランを開発することにしました。
個人に提供するには、品質を保持したまま価格を下げる必要があります。そこで悩みの大きさや、症状により選べるプランを作ることにしました。解決のヒントが知りたいという方は2回の面談、仕事が辛く転職も考えているという人には半年かけ7回の面談を実施するという具合です。心理学の理論は事前ホームワークとして動画で学び、面談はクライアントの話に集中する時間としました。
2023年12月、個人向けとして「じぶんコーチング」の提供を開始しました。次のような悩みを持っている働き手が対象です。
- 真面目に仕事をしているが評価が低く、何を変えれば良いかわからない
- 否定されるのが怖く、新しいことや目立つことへのチャレンジを控えている
- 人に任せることが苦手で、つい一人で仕事を抱え込み、疲れ果てる
- この先自分が何をやりたいのか、どうすれば良いのかわからない
- 周りが優秀で、自分はこれ以上無理かなと思うことがある
(ISACAで講演した時の風景)
書いて・思考を整え・行動できる「じぶんコーチング」
ここからは「じぶんコーチング」の特徴をご紹介します。
@分かるからできるまでサポート
面談前の事前ホームワークにて、心理学の理論を動画で学んでいただきます。面談ではコーチの問いかけから、気づきを得ます。面談後に毎回ホームワークを設定し、実務で実践します。
A実証された信頼あるアプローチ
心理学の認知行動療法の7コラム法を基に作成した、じぶんコーチングを習得します。認知行動療法は、常のストレス対処に効果があることが実証されています。
Bニーズに応じたプラン
短時間、低コストでじぶんコーチングを学びたいという方から、確実にできるようになるまで学びたいという方まで、3つのプランをご用意しています。
C使い易いオリジナルノート
オリジナルノートに、感情が下がった出来事を体験した時の思考を自由に書き出します。反証の根拠もたくさん書き出せるので、思考のくせに気づきやすくなります。
これからも活き活きと働いていけるように、感情知能EQを高めませんか。じぶんコーチングを習得することで、メタ認知力がつき感情と思考をコントロールできるようになります。
書いて・思考を整え・行動できる
代表取締役 伊集院正
小売業、保険会社、コンサルティング会社にて約30年間サラリーマンとして働く。55歳の時に人材コンサルティング会社を設立し、法人向けに「セルフコーチングプログラム」の提供を始める。2023年12月に個人向けに「じぶんコーチング」をリリース。