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パナソニック株式会社 コミュニケーションデザインセンター

ファミリー層向けが当たり前の食洗機市場。「SOLOTA」の開発担当者たちは、なぜ、“料理をしない単身者”を、あえてターゲットに選んだのか?

(PR TIMES STORY) 2023年05月15日(月)16時27分配信 PR TIMES

パナソニック株式会社は2023年2月、業界最小設計(※1)の分岐水栓不要な着脱タンク式で、ひとり暮らしのキッチンにも置きやすいパーソナル食洗機「SOLOTA」(ソロタ) NP-TML1を発売しました。あまり料理をしない中食中心のひとり暮らしの方を、あえてターゲットに選んだ食洗機です。本製品は、プロジェクト体制で開発をすすめ、単身者のライフスタイルを徹底的に研究し誕生しました。プロジェクトメンバーが、商品化に至るまでに一体何を考え何に挑んでいたのか、開発の経緯から誕生に至るまでを、モノづくりにかける想いとともにご紹介します。

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パーソナル食洗機「SOLOTA」 NP-TML1 開発ストーリー【パナソニック公式】

https://youtu.be/Xkrl0-pLDFc


食洗機を当たり前に使う文化を普及させたい。その想いをのせたパーソナル食洗機

卓上型食器洗い乾燥機「パーソナル食洗機」(着脱タンク式)NP-TML1 オープン価格


毎日の食器洗いは面倒だけれど、かといってわざわざ食洗機を使うまでには至らない。食洗機に対するイメージは、およそこのようなものが一般的かもしれません。冷蔵庫や洗濯機に比べて、食洗機は生活必需品としての位置づけが低く、まだまだ使用価値の提案ができる家電ともいえます。

「食洗機を当たり前に使う文化をもっと普及させたい。」開発者たちのそんな想いから、パーソナル食洗機「SOLOTA」は誕生しました。ファミリー層が主要ターゲットである食洗機市場において、「SOLOTA」のターゲットはあえての単身世帯。A4ファイル程度のスペースがあればひとり暮らしのキッチンにも設置可能で、狭いキッチンにも馴染むよう、“コンパクト性”、“佇まい”、“使い勝手”を追求した製品です。

「SOLOTA」という名称には、ひとり暮らしを家電の技術でアシストしたい(Solo Technological Assistant)という思いを込めています。家事や仕事、プライベートタイムに忙しい、20〜30代のひとり暮らしの生活をサポートする食洗機です。


※1:国内卓上食器洗い乾燥機において。2023年2月中旬発売。



開発メンバー:左から、デザイン担当の松本、技術担当の楠、マーケティング担当の山本。


食洗機という家電を、生涯のパートナーに

当社がはじめて食洗機を発売したのは1960年。女性の社会進出が進み共働き世帯が増加するにつれ、家事の効率化の要望とともに食洗機に対するニーズも高まっています。また「一度使うと手放せない」と満足度の高い家電です。


しかし一方で、日本の食洗機普及率は現状約29%で決して高くありません。その状況を打開すべく、ファミリー世帯が主流の食洗機市場において、今回あえて20〜30代の単身世帯者にターゲットを定めました。それは食洗機を「冷蔵庫のようにライフステージの変化に合わせて買い替え、生涯のパートナーとして使ってもらえるような存在に押し上げたい」、そして「若い単身者向けの新筐体を開発し、まず“マイファースト食洗機”として使ってもらうことで、食洗機にもっと馴染みを持ってもらいたい」という、若手開発者たちの狙いと思いが背景にありました。


マーケティング担当の山本は「一家に一台、食洗機」という文化を作ることを見据えています。「欧米の食洗機普及率は約7割程度にまで上がっていて、すでに生活必需品になっています。一方日本では、食器くらいは自分で洗うものという考えがまだまだ根強く残っているのが実状。私は、そういった“たかがそれくらい”という意識を変えていきたいんです。昔は、洗濯物は洗濯板で洗うのが当たり前でした。でも今では洗濯機を使うことが当たり前ですし、その利便性を誰もが感じています。つまり、食器を手で洗う当たり前は、食洗機を使う当たり前に、今後十分変わり得ると思うのです。」(山本)

パナソニック(株)キッチン空間事業部 冷蔵庫・食洗機ビジネスユニット 国内マーケティング部 山本秀子


食洗機は、ライフステージの大きな変化のタイミングで購入されることが多い家電。そのため、ライフステージの早い段階でまず使ってもらいたいという思いが、『SOLOTA 』開発前からありました。早い段階で魅力を体感してもらえれば、生涯必要とされる家電になれるのではないかと。そこで、商品陣容の強化が必要であると考えました。具体的には、現在欠けている、結婚・子育て中で賃貸住宅にお住まいの方や20〜30代の一人暮らしの方に向けて、 最適な商品を新規開発する。そうすることで、各ライフステージに最適な商品を提供することができると考えたんです。」(山本)


「SOLOTA」を発売する前の2021年に第1ステップとして、賃貸住宅にお住まいのファミリー層 約820万世帯(※2)に向け、業界最薄(※3)の奥行約29pの「スリム食洗機」を市場に投入しました。この「スリム食洗機」は手狭な賃貸マンションにも設置しやすい仕様がニーズをとらえ好評を得ています。それに続く第2ステップとして開発されたのが、単身層 約1080万世帯(※2)に向けた「SOLOTA」です。これまで当社ラインアップに存在しなかった単身世帯向けに、新たな製品開発に挑戦することになりました。


※2:総務省 平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計

※3:NP-TSK1のみ。国内卓上型食器洗い乾燥機において。2021年11月15日発売。



若手開発者たちは自分たちを振り返り、“等身大”の視点を心がけた

開発チームには、「SOLOTA」のターゲット層と同じ20代後半〜30代前半の若手を中心に、普段は別々の部門で働く社員たちが招集されました。選ばれた若手社員たちは、まず自分たちの率直な等身大の感覚を大事にすることに注力したといいます。技術担当の楠は、プロジェクトの初期段階をこう振り返ります。

「開発においては現行製品の形態にとらわれず幅広く考えてほしいと、社内幹部から言われました。そこで、『せっかく同年代が集まったのだから、日頃の立場や役割はいったん横に置き、お互いが本当に思っていることを話し合おう』というルールをメンバーで最初に決めました。」(楠)

パナソニック(株)キッチン空間事業部 冷蔵庫・食洗機ビジネスユニット 食洗機技術部 楠健吾


またメンバーには、市場調査やアンケートで「需要なし」と判明した場合、無理にプロジェクトを続ける必要はないという意思もありました。その真意をデザイン担当の松本はこう話します。

会社に指示されたから作るのではなく、市場に必要だと思える商品を、きちんと提案したかったんです。それくらいの想いをもって向き合っていました。」(松本)


自身の経験と照らし合わせたとき、ひとり暮らしでも食洗機を必要としている人は少なからずいるという感覚がメンバーにはありました。

「私自身ズボラな性格で、使った食器をすぐに洗わずシンクに溜めてしまうタイプ。一人分の食器くらいさっと洗ってしまえばよいのに、と頭では理解しつつも面倒に思ってしまうことになんとなく罪悪感を抱いていました。そんな自分自身を振り返ったとき、『もしかしたら、楽をすることを無意識に責めてしまう人って、実は多いんじゃないか』と思ったんです。忙しい生活を送る一方で、家事もちゃんとこなさないと、と自分で自分にプレッシャーを与えてほしくない。『SOLOTA』が世に出ることで、ひとり暮らしでも食洗機を使っていいんだと、自分たちが心地よく生活をするための選択肢を増やせられたらよいなと思っています。」(松本)

パナソニック(株)くらしプロダクトイノベーション本部 デザインセンター 松本優子



徹底した“対話”から見えてきたターゲットの実像

開発にあたっては、ターゲット層のキッチンの広さや洗い物の頻度、食洗機に対する意識調査やヒアリングを重ねてきました。ターゲット層へのインタビューでは、一見食洗機とは関係のない、趣味や買い物の傾向といった日常生活に関する質問もして、見据えるべきターゲットのくらしと共に実像を掘り下げてゆきました。「調査というよりも対話に近かったかもしれません」と技術担当の楠は振り返ります。


開発当時、独身だった楠は、夜遅くまで働き家ではコンビニで買った惣菜を食べて寝るだけの生活。多忙な生活に彩りを添えていたものが食後のスイーツでした。コンビニスイーツをお気に入りの食器に移しかえてから楽しむ、それだけでも気持ちにゆとりが生まれたといいます。

食洗機は食器を洗うだけのものではなく、気持ちのゆとりを創出するものと考えています。ゆとりを感じる瞬間は人によって、食器から食事をとるときかもしれないし、好きなように時間を使えることかもしれない、シンクが綺麗に保てていることかもしれません。そんな一人一人の気持ちのゆとりを守れる存在に『SOLOTA』がなれればうれしいです。」(楠)


製品開発の現場では、架空のユーザー像であるペルソナを設定することを通じ、現実のニーズを探るケースが多くあります。しかしこのメソッドは、ときに熱が入るあまり、開発者にとって都合のいいペルソナ像を作りあげてしまうことも起こりえます。

「『SOLOTA』では、自分たちの実体験から出た仮説をそのままにせず、開発フェーズに応じてターゲット世代1000名以上への調査を繰り返し、検証していきました。その結果、リアリティのあるペルソナをもとに開発を進めることが出来たのではと思います。」(松本)


ターゲットは自炊をしない若い単身者。 "スタメン食器"を6点に絞り込んだ

こうしてターゲットのくらしを見つめその実像を掘り下げてゆき、20〜30代の単身者かつ自炊の習慣がさほどない人たちに狙いが定められました。コンビニやスーパーで惣菜を購入し家で食べる中食メインの食生活を送る単身世帯が使う、食器の種類や寸法等を紐解いていった結果、浮かび上がってきた食器点数は6点。この食器6点を最終的に“スタメン食器”と定義し、これらがしっかり洗える仕様を目指しました。





開発途中には、調理器具も入るもっと大きなサイズがよいという意見や、サイズをコンパクトにするために食器点数を5点に減らせないかという話もでました。しかし、ひとり暮らしのキッチンにも置けるコンパクトサイズと必要な容量の確保という、商品の“本丸”を崩すべきではない。中途半端な商品になることを懸念し、最後までこのサイズ感と食器点数を死守しました。



食洗機の価値をシンプルに伝えるために、「なくてもよい」機能は採用しない

目標とするコンパクトなサイズを実現し、なおかつ、食洗機をほぼ使用したことがない方にも使いやすいものにするために、搭載する機能も一から見直しました。幾度もの調査から得られた情報とその分析結果は、「その機能は果たして、本当に単身者にとって必要な機能なのか?」という価値判断基準の大きな指針となりました。


例えば、当社の食洗機の機能には、水温や室温に合わせて自動で節電するAIエコナビ機能や、庫内のニオイを抑制・除菌できるナノイーX機能などの付加価値があります。「SOLOTA」の開発においては、ほぼ 毎日同じ食器を繰り返し使う使用実態や食器量を踏まえ、AIエコナビ機能やナノイーX機能はあえて搭載していません。ターゲットの方へ食洗機の価値をシンプルに伝えるために、ひとり暮らしに必要充分な機能に絞り、「なくてもよい」と判断できる機能は搭載しないという決断をしてゆきました。


“洗える食器棚”を目指した、家電らしからぬ佇まい

「SOLOTA」の大きな特徴として、家電らしからぬデザインがあげられます。食洗機としては珍しく製品の前面と背面に大きなクリア窓を配し、周りをぐるりと囲むフレームデザインを採用しています。扉越しに向こう側まで見通せる仕様で圧迫感が軽減されます。

「見せる収納家具であるオープンシェルフからヒントを得て、“洗える食器棚”というコンセプトを立てました。いわゆる家電というよりも、キッチンに自然と溶け込むツールやインテリアのような存在にしたかったのです。」(松本)

そのこだわりを貫いた結果、食器を食器棚に並べるように洗い終わったあとの食器がそのままでも違和感がなく、次に食器が必要な時はそのまま出して使うといった、食器棚としての利便性も兼ね備えることにもなりました。


従来の食洗機では、汚れた水流を見せないために、窓部分のデザインは半透明にするのが通例でした。また、前面と背面にクリア窓を採用することには技術的な障害も多く、反対意見もありました。しかし、技術チームはこのデザインを信じ、粘り強く調整を重ねて実現させました。

「一見無理に見える理想でも、そこをなんとか実現していくのが技術者の仕事だろうと。また、技術部門は数値が絶対ですが、デザイナーと仕事を続けるうち、デザインには数値では物語れない大切な部分があることも理解できました。開発初期から一緒に商品を磨き上げてきたからこそ、最後はこの “松本デザイン”を信じるのみでした。」(楠)

「私から何を言ったわけでもなく、楠は黙々と、外からビスを一本も見せない設計を実現させていました。ノイズレスな仕上がりのおかげでデザインもさらに洗練されたと思います。」(松本)




開閉音の対策や送風乾燥機能など、使い勝手にもこだわったつくり

デザインのみならず、本製品には技術の粋を注ぎ込んだポイントがさまざまあります。

ドア開閉をスムーズにするダンパー機構については、厚さ約25ミリの薄い壁面に組み込むには高いハードルがありましたが、「開け閉めによって大きな音が出てしまうと、この商品の品位が保たれない」との思いから、幾度も調整を重ねて搭載することができました。そして操作部は、電源ON/OFFとスタートの2つのボタンだけのシンプルな設計で、直感的に操作ができます。ドアを閉めると自動で電源ONとなる新スタンバイ方式なので、ワンボタンで洗浄が始まります。

また、“洗える食器棚”を謳うに相応しい乾燥性能も追求しました。小容量タイプの機種にあるような自然乾燥方式では不十分と判断。より高い乾燥性能を提供するため、厚さ約25ミリという薄い壁面に組み込むことが可能な薄型の送風ファンを新採用し、送風乾燥機能の搭載を実現しました。

食洗機という家電に馴染みの薄い方をターゲットにしたからこそ、またストレスなく毎日使っていただけるように、細部にまでこだわりぬき心地よい使い勝手を目指しました。


積み重ねられた知見があったから、これまでの型を破ることができた

ターゲット層のライフスタイルに合ったものを届ける。この目標に開発者達が徹底して向き合った結果、商品の方向性は明確になり、結果的にメンバー同士の連帯は強くなりました。

「製品開発においては、さまざまな意見や課題によって部門間で衝突がおきたり、理想から離れざるを得ないことがしばしばあります。しかし『SOLOTA』の開発プロジェクトにおいては、開発初期からメンバー全員で商品を磨き上げてきたおかげで、強い連帯感が生まれていました。難しい条件の中、デザイナーである私がデザインを妥協しそうになったときに、技術者である楠に発破をかけてもらうこともありました。メンバー全員が『この商品が響く人が必ずいる』という実感を共有していたからこそ、描く理想に対して「なぜ出来ないか」ではなく「どうすれば出来るか」と前向きに開発を進めることができたのだと思います。」(松本)

また一方で、プロジェクトメンバーだけでは成し遂げられなかったという実感もあります。

「今回『SOLOTA』を製品化できたのは、これまでの食洗機開発の現場で、多くの試行錯誤とその知見が積み重ねられてきたからこそだと感じています。『SOLOTA』開発の起点は若手メンバーですし、発売にいたるまで中心となって取り組んできました。ですがここまで来られたのは、設計・デザイン・マーケティングの他にも、企画、品質、製造、審査など部門を超えて、若手からベテランまで多くの関係者の、それぞれの知見をもとにしたさまざまなレビューやサポートがあったからだと思います。パナソニックの食洗機事業は約60年の歴史があります。その開発の現場での試行錯誤と知見が積み重ねられてきたからこそだと感じています。これまでの型を知るからこそ、型を破ることができたのかなと。」(楠)


製品発表リリースと同時にスタートした物販・サブスクリプションサービスともに初動は順調で、単身者向けの新食洗機は幸先のよいスタートを切ることができています。


開発者たちは口をそろえてこう答えます。

「食洗機が今よりもずっと、当たり前の存在になってほしい。」


その未来実現のため、マーケティングを通して食洗機の在り方を問い続け、生活に寄り添った役立つ商品を送り出していくことが必要──よりよい暮らしの形とはなにか、開発者たちはこれからも問い続けていきます。



【パーソナル食洗機「SOLOTA」NP-TML1について】


▼商品リリース

https://news.panasonic.com/jp/press/jn230117-1

▼商品サイト

https://panasonic.jp/dish/products/NP-TML1.html

▼仕様(スペック)

https://panasonic.jp/dish/p-db/NP-TML1_spec.html


▼スマホで設置シミュレーション

https://panasonic.jp/dish/contents/ar.html

ご自宅で設置イメージを確認できます。


▼サブスクリプションサービスのお申込み

https://ec-plus.panasonic.jp/store/page/sbsc/dish_NPTML1/

「自分のライフスタイルに合うのか、まずは気楽に試してみたい。」といったお客様の声に対応するため、月額1,290円(税込)で試すことができるサブスクリプションサービスを提供しています。



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