• トップ
  • リリース
  • 育った誰もが恩返しをしたいと思える地域づくりを目指して。多摩大学と小田急不動産が協働する新たな教育プラットフォーム開設の裏側

プレスリリース

  • 記事画像1
  • 記事画像2
  • 記事画像3
  • 記事画像4
  • 記事画像5

小田急不動産株式会社

育った誰もが恩返しをしたいと思える地域づくりを目指して。多摩大学と小田急不動産が協働する新たな教育プラットフォーム開設の裏側

(PR TIMES STORY) 2023年03月02日(木)10時08分配信 PR TIMES

epi2.マチカドこども大学

私たち小田急不動産は、1964年創業の小田急グループの不動産領域を担う総合不動産会社です。小田急沿線だけでなく、一都三県を中心としたエリアで不動産分譲業、賃貸業、仲介業、投資開発業、買取再販業を展開しています。

今回のSTORYの舞台となる、小田急多摩線の五月台〜黒川エリア(川崎市北部エリア)では1974年の多摩線開業以降、約45年間に亘り、地権者さまのご協力を得ながら断続的に住宅開発などを推進し、これまでに約2,300戸を分譲してきました。

現在ではデベロッパーとして、開発して終わりではなく、永年開発してきた大切なエリアの街の魅力を創出するため、様々な取り組みを継続して行っています。

×

企業目線だけでなく、地域・住民目線を取り入れた共通価値の創造(CSV)を模索する中で、小田急グループは2022年4月に多摩エリアにキャンパスのある多摩大学と連携協定を締結しました。そしてこれを機に、小田急不動産と多摩大学では、地域コミュニティ施設「CAF&SPACE L.D.K.」にて、地域の子どもを対象とした知的好奇心や思考力を育むスクール「マチカドこども大学」を連携して運営することとなり、2023年度の本格開校に向けて、2022年度にはプレ開校として10講座を開催しました。

今回は、「マチカドこども大学」開設・運営の裏側を、講義を実際に行う多摩大学の先生や学生、小田急不動産担当者が多摩エリアへかける想いとともにお伝えします。


地域価値創造を目指すプレーヤーの同志として生まれた結びつき

小田急グループでは、経営ビジョン「UPDATE小田急」で地域価値創造型企業を目指し、沿線エリアの多様なプレーヤーとの共創を進めています。その一環で実施した小田急電鉄主催のモビリティピッチ「Odakyu Innovation Week 2021」を、多摩大学講師の樋笠先生が視聴し、その目指す姿に参画したいと小田急電鉄へコンタクトを取ったことがきっかけとなり、連携協議が進められました。

小田急電鉄では、同大学が小田急多摩線に最寄り駅がある(「小田急永山」駅)こと、小田急不動産が小田急多摩線「栗平」駅に構えるコミュニティ施設で地域との共創活動に取り組んでいることから、当社も含めた三者での連携スキームを模索し、2022年4月14日に「連携協力に関する基本協定」を締結することとなりました。

×

小田急グループと多摩大学では、相互が持つ人的資源と知的資産を活用した教育・研究および社会貢献活動や社会課題解決に向けて、それぞれ以下の連携を進めることにしました。


<小田急電鉄×多摩大学>

@ 「多摩学U」講義の実施

・多摩大学にて地元地域に関する講座を開設

過去には、次世代モビリティに関する講座を行い、小田急電鉄が登壇しました。互いのノウハウを活かせる講座を予定しています。

A 小田急グループや他大学との連携

・小田急沿線の大学によるリレー式オンラインシンポジウムの開催

多摩大学だけでなく、小田急沿線の他大学を巻き込み、地域課題解決に向けた連携・発信を行います。


<小田急不動産×多摩大学>

@   共同研究

・多摩エリアのコミュニティ形成・活性化におけるKPI設定・検証

地域づくりにより、将来街がどのように変化するのかを予測するオペレーションモデルの研究を予定しています。

A「マチカドこども大学」の共同運営

・小学生を対象に様々な学びに繋がるプログラムを継続的に提供

・多摩エリアの地元企業と連携した講座の開設

B地域コミュニティとの連携

・多摩エリアを中心に活動する任意団体「小田急のくらし部」との連携


「教育」を通して地元への愛着を育むこと。小学生を対象としたスクール「マチカドこども大学」が誕生


「当社と多摩大学で連携できることを模索する中で、多摩大学の皆さまが『CAF&SPACE L.D.K.』における『小田急のくらし部』をはじめとする当社と地域との共創活動(CSV)に興味を示してくださいました。」(菊地)


初回の両者のミーティングで、地域に溶け込む「場」を起点に、ひとがつながる機会を創出する中で、多摩大学が加わり「教育(学び)」という要素を入れることができれば、より深いつながりが生まれるのではないか?という発想が生まれました。そこで、多摩大学が学びの場である「大学」のプラットフォームを用意し、様々な科目の講座・実習を実施することで、地域企業・保護者・高齢者など全世代を巻き込んだ仕組みとして、地域活性化および地元への愛着心の醸成を図ることとしました。それと同時に、高等教育機関の早期教育により小学生の学力・思考力を向上させ、この街にしかない学びを得た子どもたちが成長し、大人になって多摩エリアに貢献していくという未来に向けた発展・循環を生み出すことも目標としました。


マチカドこども大学のネーミングは多摩大学のゼミ生も含めた投票で決定しました。「街の片隅にある身近な学びの場」として、地域の子どもたちに気軽に楽しく学んでほしいとの想いを込めています。また、ロゴには「なぜ」を探求する意味合いの「?」を入れ込み、探求型の学びの提供を表現しました。

マチカドこども大学の持続的な運営を実現するため、経営企画部門・教務部門・産官学民連携部門・学生部門・広報部門・入試部門の6つからなる「運営委員会」を設け、定期ミーティングで進捗報告や企画協議などを進めています。各課の主な業務は下表のとおりで、小田急不動産が広報課・入試課を担当し、その他の課は多摩大学の2つのゼミ(教授や講師と学生)が担当しています。



「学校でも塾でもない、研究機関としての大学が提供する学びをどのようなものにするか考える中で、ドイツの小学生が大学の講義室で教授から講義を受ける『Kinder-Uni(こども大学)』という取り組みに注目しました。そこでは『Warum?(なぜ)』を聞くことが重要視されており、受講した子どもの中には、その面白さから小学4年生の時点で将来どこの大学で何を専攻するか決めている子もいるそうです。」(樋笠)


樋笠先生のこのアイデアから、ドイツ流のこども大学の方向性を維持しつつ、近年日本で重要視されている、自らが課題を設定し、解決に向けて情報収集・分析したり、周囲の人と意見交換したりしながら学習する「探求型授業」をコンセプトにすることが決定しました。


このコンセプトを踏まえ、講義内容は樋笠先生のゼミ生が主体となって構想し、高等教育機関である大学の講義感を残しつつ、小学生にも飽きずに楽しんでもらえる講義を1つ1つオリジナルで考えていきました。


英語学の講義の様子


2022年度は、これまでに計10講座を実施。延べ参加者数は72名、見学された保護者61名、アンケートによる授業評価平均は子ども・保護者ともに4.60(5点満点)を超えており、非常に高い評価を得ることができました。また、講座への申込は小学2年生が全体の38.5%、次いで小学4年生が25.3%の順となりました。

講座への評価・感想としては、子どもたちからは「ふだん、目を向けない、考えないことについて考えられておもしろかった」「大学生の人たちがとても優しくて楽しかった」といった内容、保護者からは「答えを教えるのではなくて、答えに導くという授業の形が楽しい」「大学生が生活に身近なことを研究し調べたことを子ども向けに組み立て、ワークショップ形式の授業にしてくれているのが良い」などの感想をいただきました。


講義中は複数人の学生が小学生をサポートします。

困難にぶつかりながらも新しい気付きを得て成長し、広がる「学びの輪」

アンケート結果では高評価をいただきましたが、もちろん、最初からすべてが順調に進んだわけではありません。


マチカドこども大学では、講師として登壇するのは学生が中心です。小学生の後ろに保護者がいる状態で『人に教える』という緊張感やハードルの高さをいかに大学生に事前に想像し、準備してもらうかが大変でした。」(樋笠)


樋笠先生は1回目の講義を録画したものを手本として学生に見せて、良い部分や事前準備が必要な部分について考えてもらった上で、講義の準備をしましたが、本番になると、学生は練習通りのパフォーマンスを発揮するのが難しく、あたふたとしてしまうシーンもありました。

また、1つ1つの講座の良かった点や反省点が共有されず、同じ失敗を繰り返すこともあったため、6講座終えた時に講師担当者全員で「成功したこと」と「失敗したこと」を共有しました。そこでは43もの振り返りの意見や助言が出て、それらを分析して改善につなげ、PDCAサイクルを効率的に回すことができた結果、10講座のうち最後の4講座は評価平均4.90(5点満点)を得ることができました。


運営委員会の中で講義を考える間も、一筋縄ではいかないシーンがありましたが、そこからも学生たちは学びを得ていました。


「小学生にとって座って聞くだけの講義は退屈ではないか?と考え、ワークショップのような参加型の授業を検討しましたが、大学のカリキュラムに寄せた本格的な学びを意識する講義内容にしよう、という考えのメンバーもいて、方向性を決める段階で意見が対立しました。自分は、プロジェクトマネージャーという与えられた役職を、責任をもって全うしようと思い、全体を把握し、異なる意見のメンバーとも粘り強く対話しながら判断していきました。小学生の成長に携わりながら自分自身も成長することができたと思います。」(伊藤)


運営委員会という組織で1つの仕事を進めることの難しさを痛感しながらも、学生たちは、講義を受けた子ども達が真剣なまなざしで講義を受ける様子や、単位認定証をもらった時の笑顔を見て、改めてより良い学びを提供するために頑張ろうと前向きに考えるとともに、卒業後、社会人として仕事をする上でも役立つ様々な経験を積んでいました。


単位認定証を受け取り、子どもたちは達成感で嬉しそうな様子でした。


講師である樋笠先生も、学生同様、子どもたちから学びを得ています。交通学の講座は、小学4年生向けに設計した科目でしたが、2年生がいちばん発言し、新たな気づきを得ており、学年に関係なく、知的好奇心を刺激することにより、我々の想像をはるかに超えて成長するシーンを目撃しました。


「子どもたちが深い学びに出会い、目を輝かせて講義終了後も質問しに来たり、講義中に、疑問を掘り下げて『なぜ』を問いかけるリサーチクエッションを生み出したりと、普段の生活・学校・塾では生まれない『学問の奥深さ』を実感させられます。」(樋笠)


自動運転学の講義の様子


このように、マチカドこども大学の講義は、講師・学生・子どもたち、それぞれが影響し合い、学びながら作っていることに特徴があります。


「大学の講義といわれると、一般的には先生からの一方通行な講義を想像しますが、マチカドこども大学では学生と子どもたちの両者が主体となり、お互いを見て、聞いて、時には体を動かしながら楽しく学んでいることが特に印象的です。」(青木)


普段学ぶことのできない内容、いつもと異なる環境、世代を超えた交流など、学校生活では経験できない要素が多く含まれており、地域密着で信頼関係を築きやすい活動だからこそ実現できる、双方に学びのある講義の形が生まれています。


年齢の近い青木さんが学生の身近な相談役となっています。

いよいよ2023年4月に本格開校。地域のシンボルを目指して

現在は本格開校に向けて、プレ開講で得られた知見をもとに、年間の講義数、内容等を決めて各方面へ打診するとともに、継続的に運営するための仕組みづくりや、地域や企業などの協力を仰ぐための検討をしています。3月には周辺の小学校等に本開校および入学者募集の告知を開始するため、運営委員会で検討・調整を重ねており、講義については、地域の方々の期待を超えるために、質を一段階上げ、飽きずに深く学べる仕組みをつくることを意識して準備を進めています。

目標はマチカドこども大学を常にアップデートし、来年再来年と継続的に開校して地域に求められる存在になること。小田急不動産と多摩大学は、それぞれが地域への熱い想いを胸に、二人三脚で走り続けています。


「小田急不動産と協働することにより、『新しい教育の場』をつくり、他の地域ではできない『学問』を起点にした地域活性化を行いたいと考えています。多摩沿線地域は、ファミリー世帯や教育熱心な方も多いうえに、地域コミュニティ活動も活発です。この地域に、マチカドこども大学という教育のスパイスを入れることで、新たな取り組みや活動の輪を広げたいです。また、マチカドこども大学で講義を受けた子どもたちが、大学生になり、この地域で講師として立つというような教育を中心にした循環が生まれることも期待しています。今後も、多摩大学の教員・研究者としての立場からも、同エリアを地元とし子育てをする父親としての立場からも、小田急多摩線エリアに貢献できる仕事をし、地域コミュニティに対して寄与していきたいと考えています。」(樋笠)


「当社が長年分譲してきた思い入れの強いエリアにおいて、私たちは栗平の拠点をベースに地域との共創活動をスタートさせました。マチカドこども大学という小さな一歩が新たな世界を見せてくれることを確信して、地域の方や企業・その他関係者に応援される、地域のシンボルとなるような取り組みに育てていきたいと思っています。これらの活動に触れて育ったこのエリアの子どもたちが、将来自分の育った街や環境を自慢気に語る、子育てをしに戻ってくるといった『地域愛』が育まれることを期待しています。いろいろな世代や関係者がさまざまな糸で紡ぎ合う、そんな街づくりをするデベロッパーがあってもよいと感じています。私たちは単にハードの提供者ではなく、地域や住まいのパートナーでありたいと考えています。」(菊地)




このページの先頭へ戻る