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武田薬品工業株式会社

製薬会社が脱炭素に取り組む理由 〜武田薬品の製造現場、渉外活動、環境担当者の挑戦とは〜

(PR TIMES STORY) 2022年09月30日(金)18時26分配信 PR TIMES


今や多くの企業が取り組みを発表するようになったESG(環境・社会・ガバナンス)。

その一翼を成す環境分野(E)において、重点的に取り組む事業戦略として、また、ステークホルダーに向けた約束のひとつとして、タケダも「地球環境の保全」を掲げています。


タケダが実践する環境分野の取り組みは、設計段階・プロセスでの環境配慮(サステナビリティ・バイ・デザイン)から、気候変動対応、廃棄物管理、水資源保全、生物多様性保全活動まで、多岐に渡ります。



その中でも、気候変動対応の軸となる脱炭素化への道は、日本国内に留まらず、グローバル規模で部門横断的に多くの従業員が連携して取り組んでいます。この脱炭素化への道の最前線で活躍する3名、川口さん、中野さん、今井さんに話を聞きます。

(このストーリーは動画でもご覧いただけます


コーポレートEHS(環境Environment・健康・衛生Health・安全Safety)

川口 洋平


―― 川口さん、なぜ製薬会社であるタケダが気候変動対策に取り組むのでしょうか


川口:それは、シンプルに、患者さんのためになるからです。気候変動は、人類が直面している最大の健康上の脅威とも言われます。気候変動によって気温が上がると、デング熱、チクングニア熱、ジカ熱、マラリアなどの蚊が媒介する感染症のリスクが拡大する可能性があります。また、汚染された食物や水が引き起こす病気の蔓延も考えられます。そして、小麦や米の生産に影響を与えて、食糧危機を引き起こす可能性もあります。このようなことから、世界保健機関(WHO)は、気候変動が21世紀における公衆衛生の最大の脅威であると発表しています。まさに、気候変動への対応は患者さんのためになることであり、そのためにタケダとして最優先で取り組まなければならない課題だと考えています。


当社は2020年にカーボンニュートラルを達成し、2021年には引き続き、廃棄物管理、水資源保全、温室効果ガス(GHG)排出量の削減、プロダクト・スチュワードシップなど、当社の多岐にわたる事業活動の環境目標に対して進展がありました。タケダの環境目標は、サステナビリティに関する重要課題の評価(マテリアリティ・アセスメント)に沿ったものであり、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を支持しています。


―― 皆さんは、何がきっかけで脱炭素への取り組みに関わるようになったのでしょうか?

川口:私は高校時代にさかのぼります。将来の進路を考えるとき、最初は獣医さんになりたいと思っていました。しかし、私はペットとして飼われている犬や猫よりも、アフリカのサバンナで環境汚染や気候変動に苦しむ野生動物を救いたい、より多くの動物を救いたいと考え、そのためにはより広く、地球を救うべきだと考えるようになり、環境工学専攻の道に進みました。その後社会に出てからもずっと脱炭素を中心とした環境の道を歩んでいます。


中野:前職での省エネによるエネルギーコスト削減活動の経験から大阪工場でも担当することになりました。前職場はISO14001認証を取得した工場で、当時地元では数社しか認証を取得していなく、注目された会社であったので、前職の時から環境保全に関しては積極的に活動していました。その時培った「エネルギーコスト削減」は今、「脱炭素への取り組み」へとステップアップしてそのチャレンジングな課題に対し解決策を日々模索しています。

あと、プライベートでも交流のある川口さんの影響が大きいですね。巻き込まれました(笑)。


今井:会社が企業理念の「私たちの約束」の一つとしてPlanet(いのちを育む地球のために)を掲げ、政策渉外の面から気候変動対策を担当することになったのがきっかけです。正直に言うと、それまでは今ほどこの問題に強い関心や危機感はありませんでしたが、気候危機の深刻さと克服のために残された時間が限られていることを痛感し、今では本気で取り組むべき最優先課題の一つだと認識しています。気候危機は今この時代にいる私たちにしか阻止する機会のない、先送りしてはいけない問題だと考えています。


―― 川口さんは具体的にどのような取り組みを行っていますか?


川口:私はグローバルチームの一員として、日本の脱炭素に向けたロードマップを策定し、再生可能エネルギーの導入を支援しています。CO2を削減するためには、省エネであるとか、再生可能エネルギーの導入といったことが一般的な施策なのですが、私たちだけでは(当社の事業活動における温室効果ガス排出量を)2035年ネットゼロにするという当社の目標を達成することはできません。これは非常に高い目標でして、既存の取り組みの延長では限界があると感じています。そのために、新しい技術の導入であるとか、新しい分野での挑戦が必要だと思います。


カーボンニュートラルへの流れについては、明確に優先順位をつけて取り組んでいます。まずは温室効果ガス(GHG)をなるべく出さない手段を考えます。これが「回避」です。そして回避できなかったものに関しては「削減」、つまり省エネルギーを考えます。回避も削減もできなかった場合、これは「代替」ということで、再生可能エネルギーであるとか、あるいは低炭素のエネルギーの導入を考えます。そして、回避も削減も代替もできなかった、どうしても排出してしまった温室効果ガスについては、カーボンオフセットへの投資を通じて、「相殺」する、つまり実質ゼロにする、これがタケダのカーボンニュートラルの優先順位になっています。



タケダの気候関連の目標は、地球温暖化による気温上昇を1.5℃未満に抑えるというパリ協定に基づくもので、2020年にSBTi(科学的根拠に基づいた削減目標イニシアティブ)から承認を受けています。


―― 脱炭素は自社だけで達成できないというのは、なぜですか?


川口:温室効果ガス(GHG)には、スコープ1、2、3というものがあります。自社の事業活動による排出がスコープ1と2、バリューチェーン全体の排出がスコープ3です。このうち、スコープ2というのが電気を使用することによって発生する温室効果ガスを指します。スコープ2に関しては再生可能エネルギー、グリーン電力を活用することで温室効果ガスの排出量を大幅に削減することができると見込まれていますが、スコープ1は直接排出といって、工場でボイラーをガスや石油などで動かしたときに発生する温室効果ガスです。スコープ3ではサプライヤーの皆さまとの連携と協力が必須です。スコープ2とは違い、スコープ1やスコープ3の削減は本当に難しい課題で、世界中でも重要課題としてとらえられています。


※  スコープ1および2は2035年までに、スコープ3は2040年までにネットゼロを達成しますが、その達成までの間においてもカーボンニュートラルを継続して達成していきます。


大阪工場 エンジニアリング室

中野 寛信


―― 中野さんが大阪工場で取り組む脱炭素について教えてください


中野:私は大阪工場のエンジニアリング部門で、実際にエネルギー供給設備を管理し、省エネルギーを推進しています。2035年までに(スコープ 1と2の)ネットゼロを達成するというコミットメントがある中で、製造現場でエネルギーを消費している私達は、そのエネルギーの消費量を把握し、従業員ひとり一人が改善していくような意識改革が、チャレンジングな課題だと考えています。


タケダの国内の工場で消費する電力は、全て再生可能エネルギーに由来した電力を使っています。2021年に工場に新しい建屋を作りましたが、そこには太陽光発電も導入しました。また、変電設備に用いる変圧器や、空調システムに搭載する冷凍機などは、高効率の機器を積極的に採用しました。さらに、電力の見える化のためにシステムを作り、データを分析して省エネに繋がる取り組みをしています。このように会社全体のレベルに加えて、私たちのような各工場のレベルでも最大限の取り組みを進めているところです。


―― 電力の見える化のためのシステムとは、どのようなものですか?


中野:工場内の建屋毎に、いまどれくらいの電力を使っているかをダッシュボードで把握できるようにした、Denske(デンスケ)というシステムです。シンプルなものですが、たとえば使用量の昨日との比較などが一目でわかると、数値の上昇などがあった場合に、その理由を考えたりすることで、従業員ひとり一人の節電の自覚が強くなるといった効果もあります。


Denske(デンスケ)


―― 今井さん、渉外活動においてはどのような取り組みを行っているのですか?


今井:私たちの渉外活動においては、製薬業界だけに留まらず、広く産業界の様々な企業とともに、国会議員や行政機関との対話を通じて、脱炭素社会を目指す活動をしています。気候危機を克服するためには、政治・行政・産業界が一体となって、脱炭素を推進する必要があると思います。一方で、例えば再生可能エネルギー一つをとっても、必ずしも前向きな人ばかりではないという現実もあります。様々な事情を持っている異なる立場の人々に働きかけ、いかにして前向きに連携できるようにするか、それが私の挑戦です。


医療政策・ペイシェントアクセス統括部

今井 亮翔


―― 実際、脱炭素に向けた機運は高まっているのでしょうか?


今井:一昔前は気候変動対策の取り組みというのは、企業の慈善活動やCSRという受け止められ方が少なからずあったと思います。それが今やビジネスを行う上での必要最低条件であることが求められていますし、重要な経営戦略になってきています。日々、さまざまな業界の皆さまとやりとりをする中で、実感するようになりました。


人々から企業を見る視点にも変化がみられると思います。温室効果ガスを多く排出する企業や製品、サービスが、今後ステークホルダーから選ばれなくなるリスクがあるということです。消費者はすでに、地球環境に配慮した製品を選び始めていますし、投資家や金融機関は投融資先を選定する際に ESG(環境・社会・ガバナンス) にどれだけ企業が真剣に取り組んでいるかを見極め始めています。


―― 脱炭素の実現に向けて重要なことは何だと思いますか?


今井:脱炭素を進めるためには、政府や産業界のリーダーシップが不可欠だと感じます。ただ、製薬会社であるタケダが単独で国のエネルギー政策に働きかけていくのは限界があります。そこで、私たちは「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」という企業グループに入っていまして、そこで脱炭素に関して同じ志をもつ企業と協力し、活動しています。例えば、環境・エネルギー政策に影響を与えるためのアドボカシー活動の一環で、国会議員の方々や行政、特に環境省や経済産業省の方々と、継続的な対話を通して政策制度の面から脱炭素を促進するための働きかけをしています。


一例として、企業や個人が温室効果ガスを削減しやすい環境を整えるために、再生可能エネルギーを迅速に拡大して、今までよりも手頃な価格で再生可能エネルギーを使えるようにすることですとか、排出削減がインセンティブとなるカーボンプライシングの制度設計、電気自動車を普及するための充電スタンド等のインフラの整備などを提言として発信しています。


―― では最後に、脱炭素化を進めていくために、今後の抱負をお聞かせください


中野:生産現場でできることを実直に進めていきます。世界の潮流としては、工場の全ての設備を電化することで、そこに再生可能エネルギーを活用するネットゼロの達成というトレンドがあります。医薬品の製造現場においては温度管理が厳しく設定されており、ボイラーの電化は大変チャレンジングではありますが、これからまだまだ技術開発とコストの低減が進んでいくものと思います。ネットゼロ達成を目指すことで、従業員一人一人が環境や患者さんのためになるという意識が芽生えるような見える化システム、および社内環境を構築し、エネルギー消費を最小限に抑えながら、安定した医薬品の製造を進めていきます。


今井:最近では気候変動ではなく、気候危機という言葉が使われ始めています。ミレニアルや Z 世代など比較的若い世代の方々は特に強い危機感を持っていると思いますが、特定の世代だけではなく、全ての人たちが力を合わせて取り組まないといけない課題だと思います。私自身は担当している渉外活動を通じて、少しでも早く脱炭素社会を実現するために努力していきたいと思います。


川口:全社的な脱炭素のロードマップの作成にはいろいろな課題があります。しかし、一つ一つ、これを明確にしてクリアしていきたいと思っています。また、環境問題というのは非常に複雑な要素が絡み合っていますので、社外のステークホルダーの方々とのコミュニケーションを丁寧に行いながら、タケダに求められていることは何かもきちんと理解しながら、次の活動に繋げていきたいと考えています。


タケダでは、川口さん、今井さん、中野さんの対談動画を含め、環境やESG全般の取り組みを、動画や記事で紹介しています。「世界に尽くせ、タケダ。」で、ぜひご覧ください。


製薬会社が脱炭素に取り組む、その挑戦とは?(動画)

https://www.240.takeda.com/presentation/03/


用語:


カーボンニュートラルとは

事業活動に起因するすべての温室効果ガス(GHG)の排出量と吸収量・除去量を均衡させること。タケダでは、GHG排出量のうち、削減しきれなかったスコープ1,2,3のGHG排出量を、検証済みのカーボンオフセットで相殺し実質ゼロとすることで、2020年からカーボンニュートラルを達成しています(2019年度排出量に対して)。



ネットゼロとは

温室効果ガス(GHG)排出量を可能な限り削減し(90%以上)、その後、残存排出量(10%未満)を植林やCO2回収・貯留などにより大気中から除去し、ゼロとすること。タケダでは、スコープ1および2は、2035年度までに、スコープ3は2040年度までにネットゼロ達成を目指しています。


カーボンオフセットとは

COを削減する活動への投資や寄付、他の場所で実現した排出削減量や吸収量の購入などにより、事業活動において削減できなかったCOについて埋め合わせ(相殺し実質ゼロに)をすること。


プロダクト・スチュワードシップとは

製品を中心とした環境保護への取り組み。拡大生産者責任(Extended Product Responsibility:EPR)とも呼ばれ、製品のライフサイクルの全体に関わる関係者、つまりメーカー、小売業者、消費者、廃棄業者に、製品が環境に与える影響を軽減する責任を共有するという考え方。製品メーカーは、自社製品の環境フットプリントを削減するための責務を担うとされる。


略歴:


コーポレートEHS(環境Environment・健康・衛生Health・安全Safety)

川口 洋平

大学院にて地球温暖化の将来予測に関する研究に従事したのち、電機メーカーの環境技術部門にて家電リサイクル技術開発を、環境企画部門にて製品環境対応推進や全社環境戦略の立案などを担当。現職ではグローバルチームの一員として、カーボンニュートラルに向けたロードマップの策定や、再生可能エネルギーの導入支援など、日本の脱炭素に向けた取り組みをリード。










大阪工場 エンジニアリング室

中野 寛信

2011年12月より電気技術者として入社。前職のエンジニアリング部門では受変電設備の運用・維持・施工管理および省エネ施策の立案・施工管理を担当。現在は大阪工場でエネルギー供給設備の運用・維持管理を刷新するとともに、エネルギーの安定供給に取り組み、脱炭素・省エネ・節水施策の計画・施工管理を行っている。










医療政策・ペイシェントアクセス統括部

今井 亮翔

2005年、医薬情報担当者(MR)として入社。その後、事業企画にて中期事業計画の策定・遂行、組織戦略などビジネス遂行業務とエグゼクティブのスタッフ業務を担当。2019年より国内および国際渉外活動に従事。産業界の様々な企業とともに、国会議員や行政機関との対話を通じて、脱炭素社会を目指し活動。










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