プレスリリース
JIDAIOコンサルティング株式会社は「まちをつくる、時代をつくる」を企業理念に掲げ、税理士事務所を母体として、山口県を中心に事業承継支援を行っています。
2023年4月、中小企業の税務上の株価を無料、匿名で試算できる日本初のウェブサービス「かんたん株価試算」の提供を開始しました。おかげさまでリリースから約半年で、すでに4,000件以上の株価を試算いただいています。
今回は、「かんたん株価試算」開発に至った経緯と、このサービスにかける私たちの想いについてご紹介します。
後継者不足に悩む町が考えた「事業承継」成功への糸口
このままでは地元の仕事がなくなってしまうのではないだろうか。自分が生まれ育った町を「守りたい」という想いがきっかけでスタートしたプロダクト開発。
「74.7%」 これは、私自身が生まれ育った山口県の後継者不在率です。全国ワースト3位(※1)という現状でした。
昨今、少子高齢化や人口減少という社会問題に起因したさまざまな地域課題が発生していますが、「後継者不足」もまたその深刻な地域課題のひとつです。
代表取締役の出身地:山口市秋穂
経済産業省の発表によると、2025年までに、70歳以上の中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万が後継者未定になると言われています。これは、日本企業全体のなんと三分の一に相当する数です。現状を放置すると、中小企業・小規模事業者廃業の急増により、約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性があります。
一方で、事業承継には非常に多くの課題が伴います。いずれ事業承継を考えている経営者は多くいらっしゃいますが、「何から手を付けたらよいかわからない」というお声が非常に多く、こと事業承継に関してはついつい後回しにされてしまうのが事実です。
私たちは、「自分の会社の株価を試算すること」がそんな事業承継成功の糸口になると考えています。
自社の経営体力を知るための「株価試算」
事業承継は「親から子」などへの親族内での承継が最も多く、中小企業が事業を承継する際は、経営者や親族などが持つ株式の価値を算定し、その金額に基づいた税金を納めなければなりません。
税金の代表例として、経営者側には「譲渡所得税」が、後継者側には「贈与税」や「相続税」などがあります。支払わなければならない税金の金額は、譲渡や売買金額など、その時の状況により大きく変動します。
では、事業承継のタイミングで株価が高かった場合、何が起こるのでしょうか?
相続税は原則現金一括払い。実際に事業承継支援をするなかで、いざ事業を承継する必要に迫られて慌てて株価を算定したら、想像していたよりもはるかに高額になり相続税を払うお金がない、株価が高額で相続人間の遺産分割が公平にならず争いになった、というケースを見てきました。
直近の会社の業績が悪かったり、そもそもの純資産が少なかったりすると、「どうせ自社の株価はたいしたことはないだろう」と楽観視される経営者も多いです。ですが、持っている不動産や有価証券が値上がりしていると、株価が想定の何倍にも膨れ上がっている場合も少なくないのです。
来る事業承継の時に備えて自社株の評価を下げる対策をしておくことで、このような事態を回避できるかもしれません。
しかしながら、実際に株価を試算している経営者はわずか2割(正しく試算しているかどうかも考慮すれば1割強)という現状です。
株価の把握がスムーズな事業承継に貢献することは明らかであるにも関わらず(*2)、株価試算が一行に進まないのはなぜでしょうか?
「まだ先のことだから」と、ついつい問題を先送りにしてしまうー
私たちはその原因が、事業承継に関わる税金の計算式が複雑であるという税制上の問題と、相続が起きない限り日常において問題が顕在化しない、という大きく2つの理由がついつい問題を先送りにしてしまうという事情が複雑に絡み合っていると考えています。
また、いざ経営者が重い腰をあげて自社株を試算しようと思っても、顧問税理士が決算や確定申告しか対応しておらず、事業承継に不慣れというのは決して珍しくありません。そのため、会社の価値である株価を把握する機会が確保されていないのが実情です。
無料でできる『かんたん株価試算』サービス
経営者自身が無料で株価を試算できる「かんたん株価試算」
自社の株価を早い段階から把握すること。そしてそれは、忙しい毎日を送る経営者がなるべく気軽に、手軽に利用できるサービスであること。
これこそが円満でスムーズな事業承継の入り口になり、後継者不足解消のカギになると確信した私たちは、経営者自身が無料で試算できる「かんたん株価試算」の開発に着手しました。
一般的に、親族内承継においては相続税法などの規定にもとづく「相続税評価額」を計算する必要があります。
「かんたん株価試算」の特徴は、そんな「相続税評価額」を、「経営者が」「匿名かつ無料で」試算できるという点です。
決算書と申告書の金額を参照しながら入力するだけで良いので、決算書の読めない経営者の方でも5分もあれば簡単に自社の株価を知ることができます。
また、「簡単」とは共存しにくい「正確性」も徹底的に追及しました。「かんたん株価試算」で試算される株価は、税理や融機関が顧客に初回提案する際に使するレベルの正確性を担保しています。
そして一番のポイントは、試算結果に応じて課題を明確にし、今からすべき対策をAIが自動で提案してくれる点です。
試算結果と対策提案は、ご自身はもちろん、メールアドレスさえあれば顧問税理や融機関にそのまま共有することができるため、客観的な試算結果をもとに、その先の相談もスムーズに行えるはずです。
まずは「課題に気づく」ことから。
事業承継は、課題を把握することからはじまります。そして課題を見つけるためには、今の会社の価値がどれくらいなのかを把握することが必要です。来る事業承継の時に向けて、自身の会社の価値を把握し、しっかりと時間をかけて準備することこそが、円満な事業承継への近道になると考えています。
「かんたん株価試算」はまさしく、経営者の「何から手を付けたら良いか分からない」という悩みに寄り添い、事業継続のための課題を一緒に発見する画期的なサービスだと自負しています。
「対話」を通じて進化し続けるサービス
代表取締役 清水敦也
事業承継成功のカギは、関係者間の「対話」。
事業承継は、経営者と後継者のみで完結するものでは決してありません。後継者教育や借入金の引継ぎ、相続など、検討しなければならない課題が多岐にわたり、金融機関や税理士をはじめとした多くの関係者の支援が必要になります。
事業承継問題は、関係者が増えれば増えるほど話の整理が難しくなりがち。そんな時でも、株価は会社の価値を定量的に把握できます。株価が、利害関係に左右されがちな関係者間の「共通言語」としての役割を果たしてくれるはずです。
一般的に、事業承継の検討開始から承継完了までにかかる期間は510年。社長交代をして終わりではなく、会長職として残って数年間は後継社長を支えるのが理想だと思いますし、残される後継者や従業員をはじめ、他の関係者の理解が十分でなかったために、その後の経営がうまくいかなくなり事業承継をゼロからやり直しというケースもあります。体調不良など事業承継の局面に直面したときに初めて考えはじめる、では遅すぎるのです。
事業承継を成功させるためには、期限を定めて、計画を立てて準備をする必要があります。その計画を作成する過程で、後継者や親族と会社の今後についてじっくり話し合いを行い、関係者間の認識を合わせていく作業が非常に重要です。
実際、関係者間でしっかり対話ができている会社ほど、事業承継がスムーズに進む傾向があります。
しかし残念なことに、自分の会社の未来を後継者と話し合うことができていない会社が5割を超えています。
「かんたん株価試算」が対話の架け橋になる―
経営者の方が大切に紡いできた事業の引継ぎは非常に重い決断です。そして、どれだけ時間をかけたとしても、関係者全員が100%納得のいく事業承継の形はほぼありません。
だからこそ、長い時間をかけて対話を重ねることが、関係者間での信頼関係を作り出し、結果的に事業承継成功への一番の近道になるのです。
そして、「かんたん株価試算」は、自然な形でその「対話」へと導いてくれるツールであると確信しています。
私たちは、「かんたん株価試算」が事業承継問題を直接解決するとは考えていません。ですが、事業承継に向けて検討しなければならないことのヒント(=「課題」の発見から「対話」のきっかけづくり)は提供してくれます。対話の積み重ねこそが、事業を次の世代へ繋ぐと信じています。
事業を継続させ、従業員や家族、取引先、地元地域などの関係者との繋がりを守っていくことは、経営者の最大で最後の大仕事。「かんたん株価試算」は、"対話する場をつくる"ことを通じて、円満な事業承継を後押しします。
もちろん私たちは、今の「かんたん株価試算」が完成形だとは思っていません。これまでも、利用者の皆様の声に日々耳を傾け、改善を繰り返すことで、サービスレベルを上げてきました。これからも進化し続ける「かんたん株価試算」にぜひご期待ください。
「まちをつくる、時代をつくる」−
当社の経営理念は「まちをつくる、時代をつくる」です。地方の課題解決(まちをつくる)を目的にしたサービスが日本全国の課題を解決し、ひいては事業承継のゲームチェンジャー(時代をつくる)になる可能性を秘めています。「かんたん株価試算」は、まさに私たちが大切にしている経営理念を体現したサービスです。
事業承継を実施した企業は利益成長率が2割高いと言われています(※3)。事業承継が地域の事業・雇用を守るだけではなく、日本経済全体の成長を牽引することを願って。「かんたん株価試算」はこれからも進化し続けます。
※1 2019年 株式会社帝国データバンク調べ
※2 東京商工会議所が公開している「中小企業の円滑な事業承継の実現に向けた意見」より
※3 中小企業白書(2021)より(株)東京商工リサーチ「企業情報ファイル」再編加工
(サービスURL)
かんたん株価試算:https://kantankabuka.com/