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“産業用CTスキャンを当たり前のものにしたい”測定業界にサブスクで斬り込むJMCの新サービス「slash.」とは

(PR TIMES STORY) 2023年12月25日(月)15時17分配信 PR TIMES


株式会社JMCは、年間1万回以上のCTスキャン実績を誇るCT事業において、新たなサービス形態として、産業用CTスキャンのサブスクリプションサービス「slash.(スラッシュ)」を提供開始しました。このストーリーでは、CT事業立ち上げの経緯から、新サービス「slash.」誕生の秘話について紹介します。


株式会社JMCのCT事業とは

物を壊さずに、物体内部を3次元で観察できるという特徴を活かし、主に工業製品の検査に使われる「産業用CTスキャン」を用いた、受託サービス事業です。お客様よりサンプルをお預かりし、数営業日以内に検査結果や製品内部までが見える3Dデータをお届けします。弊社はまだWindowsの最新OSが「98」であった1999年から「3Dプリンター事業」を開始し、お客様の試作品を短納期で製作するサービスを行ってまいりました。一方で、「砂型鋳造」という、古代から行われている製造方法に、3Dプリンター事業で培ったデジタル技術を持ち込み、先進的なものづくりを行うために、2006年に鋳造事業を開始しております。



徐々に規模の大きいお取引先も増えていく中で、2013年頃からは「産業用CTスキャンによる品質保証」が必要な案件が生じてきました。産業用CTスキャンは、あまりに高価な装置のため、当時は公設研究機関に撮影を依頼するしかなかったのですが、そこは2ヶ月先まで予約が埋まっていることもあり、創業当初から弊社の強みとしていた、「超短納期でのものづくり」が揺らいでしまっておりました。そこで、この課題解決を図るために、2015年、思い切って自社に約1億5,000万円もする産業用CTスキャン装置を導入しました。

もともとは自社の品質保証の強化が目的でしたが、お客様より、自社の製品を撮影してほしいというご依頼をいただくことが増え、2017年には「産業用CTスキャンの受託」を行う当サービスが事業化しました。現在は、5台の産業用CTスキャンを保有して、サービスを拡大し続けています。




産業用CTスキャンの難しさ

産業用CTスキャンには、試料のサイズや目的に最適化された、複数のクラス(フォーカス)が存在しています。産業用CTスキャンは約1億円〜約1億5,000万円以上もするような装置ですが、最も高価な一台を購入してしまえば、全ての部署で有効に使えるといったものでないのが、難しい点です。たとえば、EVに用いる電池の開発で他社製品を解析するケースです。

初めに製品状態で構造解析をするために「電池パック」を撮影する場合、ハイパワーな「ミリフォーカスCT」が必要になります。次に、これを分解した「モジュール」、「セル」を、「マイクロフォーカスCT」で撮影し、箔の厚みを測定したり、内部の溶接の状態を観察したりします。最終的には、電池シートを取り出し、「ナノフォーカスCT」で撮影を行うと、電池の材料を数マイクロ以下の単位で、三次元で観察することができます。ここで3台の装置が登場しましたが、他社製品のハード解析から、材料分析までを一つの部署が行っていることはまずなく、「どこの部署がどの予算で購入して、どのように管理して、どの程度、誰が使う?」と、検討・承認プロセスも複雑になります。弊社は装置販売を行っているものの、なかなかYESをもらえないご担当者様もいらっしゃいます。大きな装置ですと15トン以上あるものもあり、置き場にも困ってしまいます。そこで、自社には装置を置かず、スポットで多様な装置をお使いいただける我々のサービスがご好評をいただいております。



「測定サービス」をサブスクで提供し始めた理由

サービス開始より、製品1点あたりでお見積りする「スポット受託サービス」を提供してきたのですが、2020年のコロナ禍をきっかけに、定期的にご依頼をいただくお客様から、「サブスクのようなサービスはありますか」とご質問をいただくことが増えてきました。出社制限もあり、もともと装置を保有したいお客様からも「自社に装置を置かない」選択が好まれるようになってきたようです。

当時弊社の鋳造・3Dプリンターの事業は、メーカー様の試作自体が減少したことに伴い、売上も減少したのですが、CT事業はむしろ「増」となったのは、面白い反応でした。そのままニーズが増えて、「スポット受託」が潤い続けるのもよいのですが、装置や人を増やし、さらに事業拡大をしたいとなると、稼働率を高くキープして、売上の見通しを立てなければ経営の判断が仰げません。実はこのあたりが非常に苦手な事業で、会社の業績に大きく影響するような大規模な検査依頼が年間を通して複数来たり、一度も来なかったりするのです。当然ながら、お客様のものづくりはどんどん改善されていきますので、「緊急案件」を待っているだけでは、事業を大きくしようがないという壁に当たりました。

そこで経営からいただいたアドバイスが、「サブスクのようなサービスを検討できないか」でした。お客様のニーズと、我々のニーズが合致したのです。さっそく営業から数社のお客様に、実際のニーズを確認したところ、開発部門では他社品や試作品の評価で、品質保証部門では保険のような感覚で、装置を購入するでもなく、スポットで依頼するでもなく、一定の予算を確保してサブスクで依頼したいとの回答が得られました。そこからは1ヶ月ほどで検討を進め、産業用CTスキャンのサブスクリプションサービス「slash.」の提供を始めました。



産業用CTスキャンのサブスク「slash.」とは?

「slash.」では、導入に約1億円以上のコストがかかる産業用CTスキャンを、最低30万円〜という低コストで、定額で利用することができるサブスクリプションサービスです。

「スポット受託サービス」では、都度見積書、注文書、受領書など、様々な書面の取り交わしが必要であったところ、「slash.」では、初めに契約の締結を行っていただくのみで、以降は個別の事務手続きが不要になりますので、お客様の負担を大幅に削減することができます。プランは一定金額で撮り放題といったものではないのですが、事前にトライアルを行い、お客様の目的が果たされることを双方で確認してから、個別プランのお打合せ・契約となりますので、失敗の起きづらいサービスになっています。

特に装置をお持ちの方でしたり、導入を検討されたことのある方でしたら、このコストシミュレーションにとんでもないメリットを感じていただけるかと思います。サブスクリプション特典で回数無制限のWeb相談会が付属しますので、弊社エンジニアが毎回データの解説をさせていただいたり、時にはお取引先様へのご説明に同席させていただいたりと、同時に強力なプロジェクトメンバーも手に入るようなサービスになっています。



「slash.」のリリース時のお客様の反応

リリースの瞬間に、大手メーカー様より数件のお問い合わせをいただきました。面白いことに、このときお問い合わせいただいたすべてのお客様がCTをお持ちのようでした。社内CTが混雑してしまっていたり、自社で持っていないタイプのCTを使いたいというニーズがあるそうです。

「スポット受託」ですと品質保証のご担当者様のお問い合わせが多かったのですが、サブスクリプション「slash.」だと、研究・開発のご担当者様のお問い合わせがほとんどとなりました。期の初めなどで、予算を取りやすいのかもしれません。具体的なトラブルをお抱えのお客様ではなく、前向きな取り組みとしてCTスキャンに予算をかけてくださる方が増えたのは、嬉しい誤算でした。

各ご担当者様・部門のみでは、サブスクリプションのメリットを活かせるほどの個数が出てこない場合もあるそうで、色々な部門を巻き込んだWeb・訪問によるセミナーなどをご希望されており、現在はそちらで弊社営業やエンジニアが走り回っています。とても嬉しいことですが、ここでまた複雑な検討・承認プロセスの壁に当たってしまうお客様もおりまして、最初から全社としての最終的な月間依頼数を検討されるのではなく、まずはミニマムで開始いただき、実績を重ねたあとに、増枠を行っていただくことをオススメしております。

サービス開始前後や、契約の自動更新の直前に、産業用CTスキャンの基礎的な内容や事例をご紹介する「お客様向けセミナー」というものを行わせていただきますので、そこで上長様や、色々な部署の方をお呼びいただけると、ご展開いただきやすいかと思います。


「slash.」に込めた想い

“slash”という英単語のサービス名にはCTスキャンの(データ上で)「断面をスパッと切る」という特徴や、お客様の「手間やコストをカットする」、我々自身やお客様の「現状を切り拓く」という意味を込めております。

私達自身もあらゆるシステムやサービスで、サブスクリプションを利用しています。そのサービスを受けてみると、満足度を高めるきめ細やかなフォローを体感することができます。新規顧客獲得にあらゆる手段や工夫がなされるのは他のサービスと同様ですが、「リピート」が前提である以上、「契約継続」が最重要とされているためです。きれいな右肩上がりの業績を描くためには、新規・リピートどちらも満足してもらえる良いサービスを提供し続けなければならないというのは、とても健康的なビジネスだと感じます。

弊社は価値基準の一つとして、「サービス業のサービスレベル」を掲げています。先進的で難解に見えがちなサービスだからこそ、一歩踏み出してお問い合わせいただいたお客様を、気難しい職人が腕を組んでお迎えするのではなく、「ようこそお越しくださいました!」とお迎えできないと、技術もビジネスも、広がっていかないという考えを持っています。その後も高いサービスレベルで接点を持ち続けることにこだわり、リピーターを増やすことに重きをおいています。

「サブスクリプション」が目指す方向と、私達が目指す方向は、一致しているのかもしれません。同様のサービスが世の中になければ、自らやる、無いからこそやる、そんなベンチャーらしい発想を大切にしていきたいと考えています。



今後の展望について

産業用CTスキャンを、当たり前のものにしていきたいと思っています。まだまだ展示会などでは、「こんなものがあるんですか」と驚かれることが多く、嬉しい面もあるのですが、ここ何年も「まだ周知・啓蒙フェーズである」と言い訳できる状態が続いてしまっています。積極的にメディア出演をし、他業界へのPRも続けてきたのですが、まだまだといったところです。結局は、よりリアルな研究・開発・製造の現場で当たり前のように使われなければ、定着しないのかもしれません。ほかのX線検査(工業用レントゲン)や、電子顕微鏡、三次元測定機などと比較すると、装置が高価かつ複数台必要で、技術もオープンでないから、一台も買わないといった選択が繰り返されて生まれた結果かもしれません。

私達は、近似した新しい技術で、思ったよりも拡大せず、落ち着いてしまったものとして、「3Dプリンター」の現実を見ています。この状況を変えるためには、私達のような企業が、産業用CTスキャンに対して、オープンソース化を図っていかなければならないと考えています。

これまで私達を競合として少し警戒されていた同業他社様へも、協業の打診を開始しています。ご共感いただけるサービスビューロー様や装置メーカー様がいらっしゃいましたら、ぜひご一緒に大きなビジネスができましたら幸いです。



【サブスクリプションサービス slash. WEBページ】

https://www.jmc-ct.jp/service/slash/


【本サービスに関するお問い合わせ先】

株式会社JMC CT事業グループ

電話:045-477-5757

メールアドレス:ct@jmc-rp.co.jp

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