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株式会社田中屋せんべい総本家

伝統の味を守り、進化を続ける。経営危機に瀕した株式会社田中屋せんべい総本家が立ち直り、ヒット商品を生み出すまで

(PR TIMES STORY) 2023年05月18日(木)08時48分配信 PR TIMES

株式会社田中屋せんべい総本家は、1859年から続く老舗の煎餅屋です。看板商品である「みそ入大垣せんべい」をはじめ、そのみそ入大垣せんべいをオーブンでキャラメリゼした「まつほ」や、ふんわりさくさくでしっとりとした味わいの「玉穂堂」などを中心に、15種類ほどのお煎餅を作っています。伝統的な味を守りながらも、新製品を開発し、進化を続けています。


現在六代目になる老舗店の経営は、簡単なことではありませんでした。本ストーリーでは、六代目である田中裕介が田中屋せんべい総本家を継ぎ経営を立て直した軌跡と、発売10年を迎えるヒット商品「キャラメル煎餅まつほ」の誕生秘話をお伝えします。



田中裕介(タナカユウスケ)

1974年生まれ 大学在学中からフリースタイルスキーエアリアル競技に熱中。2001年に実家である田中屋せんべい総本家に入社。2014年に六代目社長就任。フリースタイルなせんべい作りを続ける自称「せんべい王子」@princeofsenbei

株式会社田中屋せんべい総本家とは

世は幕末の安政六年(1859)、初代田中増吉は大阪で煎餅づくりの修行をし、みそ入大垣せんべいを考案、そして戸田公十万石の城下町大垣に店を開きました。


創業当時から初代増吉がこだわり続けたのが、駄菓子としての煎餅でない「みそ入りせんべい」です。玉子を使用しないので、堅く「つや」のあるお煎餅ができあがります。また、甘みのあるまろやかな特性の糀味噌を使用しておりますので口どけが良く独特の香りを醸し出します。田中屋は初代からの伝統の技法を守ることで、つやのある、素朴な風味のみそ入大垣せんべいを受け継いでいます。


160余年の時をへだてた今も、手焼きの心と技を守り続けます。



六代目を継いだ時、経営は危機状態に


私が、実家である田中屋せんべい総本家に入社したのが2001年の春です。入社時27歳、社長は私の父で、5店舗直営店がありました。


現在ファクトリーショップになっている場所は、「ボンジュールタナカ」というファミリーレストランと洋菓子のお店を営業していました。昭和51年、当時珍しかった国道沿いのロードサイド店舗としてオープンされ、大変流行したそうです。地元ではいまだに「ボンジュールタナカ」のイメージを持たれている方がそれなりにいると思います。


その他、葬儀場の近くにお供えや伽見舞い需要を狙ったお店、神社の参道に参拝客に甘味を提供するお店、地元百貨店のテナント、そして本店など、幅広く展開していました。しかしバブル崩壊以降、売り上げは下がる一方でした。再起をかけて2店舗増やすも失敗に終わり、そんな状況での跡継ぎだったのです。


両親が洋菓子レストラン経営に精を出してる間、煎餅はなおざりにされていました。その頃、田中屋のお煎餅は、祖父が育て独立した職人さん7社から買っており、自社製造は1割程度。電話すれば、必要な枚数を焼いて持ってきてくれましたが、その職人さんたちは全員60歳を超えていました。「売り物が作れなくなる」、というのが、入社当時一番初めに私が思ったことです。売上は下がる一方で、ごく近い将来、一番の売り物である煎餅が作れなくなる。それは田中屋にとって重大な危機でした。



立て直しのための根本的な改革


新規採用はもってのほかでした。洋菓子をやってた職人さんたちを説得し、少しずつ煎餅職人に引き込み、祖父が育てた職人さんたちに技術を習い、なんとか4人は確保することができました。高齢の職人さんたちが続々と引退していくスピードには追いつけませんでしたが、なんとか続けていけるだけの人員を確保できました。また、スタッフ全員にアンケートをお願いしたところ、不平不満を含め、120件もの意見が届きました。そのうち、すぐに改善できるものが半分ほどだったので、やり方を変えていきました。


さらにいくつかの改善を行いました。まず、売上と費用の中身の質を変えていくこと。具体的には、役員報酬を下げて、給与や賞与に回し、従業員の待遇改善をはかりました。さらに、営業部を廃止し、その分のコストを製造部に回しました。直営店を減らし、全国の百貨店さんとの取引を増やし、経営の負担を減らしていくこと。「作る」ことに重点をおく仕組みに少しずつ変えていくことができたのです。


そして、2008年には念願だった煎餅一本化への復帰を果たします。


田中屋せんべい総本家にとって売り物は、手焼き煎餅、その技術、その職人、その味、それを理解して売ってくれる人です。お店の利益の源泉はそこです。売上を拡大するよりも人を大切にすること、つまり労働環境の改善にお金をかけていくことが潰れないための条件でした。



発売から10年を迎えるヒット商品「キャラメル煎餅まつほ」開発


10年ほど前から東京の百貨店で和菓子屋の跡取りが集まって新しい和菓子を提案するイベントを仕掛け始めました。そこで知り合った島屋の畑主税和菓子バイヤーの声掛けで東京の洋菓子屋さんとキャラメルコラボの企画が立ち上がり、半年以上をかけて開発したのが「キャラメル煎餅まつほ」です。



「まつほ」は、160余年の伝統を持つ「みそ入大垣せんべい」にキャラメルペーストを塗って、ゲラントの粗塩をひとふり、その上から粉糖をふってオーブンでキャラメリゼしました。藻塩のアクセントに身を焦がすキャラメルの甘さとほろ苦さが、みそせんべいと絶妙に調和します。夕凪のように艶やかでなめらかな水面の深い色合いもお楽しみいただけます。深みとコクを出す自家製のキャラメルは、砂糖、バター、生クリームに蜂蜜を加え、深い味わいを生み出すものになりました。ペーストを塗った後の焼き時間と温度によって上手く水分が抜け、まつほの特長であるパリッとした歯ごたえが生まれます。


発売当初はせんべいとは思えない価格と品質に驚きを持って迎えられました。発売10年となる「キャラメル煎餅まつほ」はどこにもなかったスタイルと味わいが評価され、じわじわと成長しここ20年で一番のヒット商品となりました。160年の伝統が革新され、現代の暮らしになじむ新しい味わいで、お茶というよりも深煎りのコーヒーや赤ワイン、ウイスキーと相性抜群です。一枚あたり250円を超える、プレミアムな価格ではありますが、ぜひ味わっていただきたいです。


今後の展望

創業から160年、その間どれくらい時代は移り変わったのでしょうか? 江戸から明治、そして戦争、コロナ禍。大きな大きな波を乗り越え、つないできた技と味。その伝統を大切に守っていくとともに、大きな変革の時代を見据え、自ら煎餅の未来を発明していくお店でありたいと考えています。変わりゆく日々の暮らし。田中屋のおせんべいたちがお客様の暮らしに馴染み、大切なものとなれるよう一枚一枚心を込めて煎餅作りに精進してまいります。


そして、もっと自由なせんべいの魅力を伝えるべく、この夏岐阜県大垣市上石津町という市街地から車で40分ほど離れた里山田園にせんべいカフェ「田の中屋」をオープンする予定です。


【会社概要】

社名:株式会社田中屋せんべい総本家

本社所在地:〒503-0885 岐阜県大垣市本町2-16

代表取締役:田中裕介

HP:http://tanakaya-senbei.jp/


【商品情報】

みそ入大垣せんべい 4枚 648円

キャラメル煎餅まつほ 2枚 648円

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