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株式会社Mizkan Holdings

リサイクルペットボトルの安全性評価への挑戦。調味料・食用油業界における環境に配慮した容器の使用推進を目指して。

(PR TIMES STORY) 2023年06月28日(水)10時43分配信 PR TIMES



ミツカンの品質環境部で働く近藤康一を責任著者とする、リサイクルペットボトルに関する論文(※1)(以下、本論文)が「日本食品化学学会第18回論文賞」を受賞し、2023年6月8日、富山県で表彰式が執り行われました。

本論文は、物理的再生法(メカニカルリサイクル)でリサイクルしたペットボトル(以下、メカニカルリサイクルペットボトル)が液状調味料および食用油の容器として安全に使用できることを評価する研究を、地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所の尾崎麻子主幹研究員の監修のもと、4社(※2)合同で実施し、その結果を公表したものです。

ミツカンにおいては、安全性評価および論文作成を近藤が、全体管理と各社との調整を仕入統括部の小塚莉加が中心になって行いました。食品4社合同で行った、調味料・食用油用リサイクルペットボトルに関する安全性評価や論文作成(以下、本取り組み)の背景や目指したこと、今後に向けた想いなどをお二人に取材しました。


※1・・・日本食品化学学会誌 29巻 1号掲載「物理的再生法により製造されたPETボトルを液状調味料および食用油の容器に適用した場合の安全性評価(英文)」

※2・・・株式会社Mizkan、キッコーマン株式会社、キユーピー株式会社、日清オイリオグループ株式会社

「どっしり構えて安心感抜群!研究・開発・品質のスペシャリスト!」近藤康一

近藤は1989年入社。現在は、品質環境部で、香気成分の分析や容器・器具の安全性確認などに従事しています。過去には、酢酸菌の研究や特許出願等の知的財産業務、合わせ酢の商品開発などに携わった経験もあり、研究・開発・品質のいずれの知識・経験も豊富なベテラン社員。大学時代は有機化学を専攻し、入社4年目に大学に派遣され、農学博士を取得。論文執筆経験も豊富で、今回受賞した論文の作成において、中心的な役割を果たしました。

「常に前向き!相手との信頼関係を築くのが得意!」小塚莉加

小塚は2014年入社。ひきわり納豆などの商品開発を経て、2019年から仕入統括部の原料容器開発課(現:調達3課)へ。現在はリサイクルペットボトルの導入検討を担当しています。本取り組みには育休明けの2019年9月から参加し、全体管理と各社との調整を行い、本取り組みを主導しました。

背景

―本取り組みは、2019年3月、小塚の所属する仕入統括部にて、今後の環境対応容器戦略について検討するところから始まりました。当時、小塚は育休中。小塚の上司が戦略をまとめていました。

ミツカンでは2001 年に「容器包装設計環境ガイドライン」を制定し、これに基づき、商品開発や既存品の改良時に環境面の評価を行っていましたが、2018年頃から世の中ではプラスチック問題が大きくなったことをきかっけに、ミツカンとしても今まで以上に環境に配慮していくべき状況となっていました。2018年は、ミツカンが「未来ビジョン宣言」を策定し、その中の1つのビジョンとして「人と社会と地球の健康」を掲げた年。商品に使うパッケージも環境に良いものを使わなければ、と考えました。プラスチックは環境に良くないと言われていますが、日本ではペットボトルをリサイクルする仕組みが整っており、ボトルtoボトルという技術も実用化されているため、ミツカンとしても、ペットボトルのリサイクルを推進することを考えたのです。


小塚:

飲料業界では、飲料を想定したメカニカルリサイクルペットボトルの安全性評価がすでに論文化されており、商品への使用が拡大していた一方、調味料業界では、軽くて扱いやすいペットボトルは普及しているものの、中身の性質や製造工程、賞味期間等の条件が飲料のそれらとは異なるため、メカニカルリサイクルペットボトルは広く普及していない状況でした。調味料においてリサイクルペットボトルを使うためには、まず安全性評価が必要でした。


飲料での安全性評価結果をそのまま調味料に適用できない理由がありました。それは、飲料と調味料で異なる2つの点。


小塚:

1つめは、液体をペットボトルに充填する温度が異なること。論文化されている飲料は、水やお茶を想定して試験されており、充填温度の設定は常温ですが、ミツカンが製造している調味料は充填温度がそれよりも高いため、リサイクルしたペットボトルに不純物が練り込まれていた場合、熱で中身液に溶け出す懸念がありました。

2つめは、中身品質の違い。水やお茶は中性ですが、ミツカンでは食酢やぽん酢など、酸性の商品が多いため、不純物の溶け出しやすさが変わってきます。

そのため、高い充填温度や酸性の液性でも、ペットボトルから不純物が出てこないか安全性評価をする必要があったのです。


―調味料でもリサイクルペットボトルの安全性を確立できれば、調味料業界としてもリサイクルペットボトルの使用が推進されます。社会的に信頼あるものにするため、評価した結果を論文にすることになりました。


小塚:

安全性評価については、仕入統括部から品質環境部に依頼し、品質環境部主導で実施していただきました。また、結果を論文化するにあたっては、論文作成経験があると好ましいのですが、仕入統括部にはそのような人材がおらず・・・。そこで、品質環境部で分析を担当しており、且つ、博士号を取得している近藤さんに白羽の矢が立ったのです。


近藤:

品質環境部で、製品に使う容器の安全性確認を元々私が担当しており、今回の安全性を評価する条件設定を私が考えていました。そのようなこともあり、論文を書くなら自分しかいないかな、と思っていました。これまでの経験や自分の強みを活かせること、また、入社4年目に大学に派遣してくれた会社に恩返しできる機会でもあるかなと思い、引き受けることにしました。

食品3社へお声がけ。ミツカン含めた食品4社合同での取り組み開始

―2019年5月〜9月にかけて、分析機関や厚生労働省、飲料メーカー等と面談をし、情報収集をしました。一言に「調味料」と言っても、多種多様。食酢やぽん酢など酸度が高いものや、ドレッシングのように油の入っているものもあります。そこでミツカンは、2019年10月、ペットボトルを使用している他の調味料メーカーへ声をかけました。


小塚:

リサイクルは社会の仕組みなので、ミツカン1社で取り組んでも、仕組みができていきません。いろいろな会社で取り組み、リサイクルが当たり前になっていくと、使用したペットボトルをきれいにして分別して捨てよう、という流れができ、社会的な意義もあると考えたのです。

また、仕入視点で言うと、飲料メーカーは自社でペットボトルを製造していますが、調味料メーカーはペットボトルメーカーで製造したボトルを仕入れて製品に使っています。これは、飲料と調味料におけるペットボトルの圧倒的な使用量の違いによるものです。そのため、ペットボトルメーカーはミツカンが使う以外のペットボトルも製造しており、安全でないものをラインで流すと他のメーカーにも影響があるため、誰が見ても安全と言えるように証明する必要がありました。他の調味料メーカーも同様の悩みを持っているのでは?と思い、合同で取り組むことができれば、ミツカンだけではなく、他社にもプラスになると考えました。

いくつかの難所を乗り越え、ついに論文掲載。取り組み開始から約3年間の想い

―環境への配慮という面から、プラスチック容器の資源循環という社会課題への対応を積極的に推進していきたいという想いに互いに共感したため、各社、快く引き受けてくださいました。ミツカンとしては、容器の安全性評価において、他の調味料メーカーと取り組むことは初めてのことでした。ミツカンが試験系の全体設計を考え、各社と相談・了解を取りながら進めていきました。、結果として、メカニカルリサイクルペットボトルは、ほぼすべての液状調味料および食用油の容器として安全に使用できるとの評価にいたりました。試験結果については、近藤が中心となり、論文にまとめていきました。


そして、ミツカンにおける取り組み開始から約3年経った2022年4月、ついに論文として掲載。本取り組みにおいては、企業風土の異なる食品4社の意見をまとめる難しさや、中間報告で想定外の分析結果が飛び出すなど、難所も多くありましたが、モチベーションを保ちながら何とかやり遂げました。


近藤:

本取り組みのスタート前に、不純物の溶出に関するシミュレーションを分析機関にて実施していました。その結果は、本番の評価が問題ない結果に終わることを暗示していたので、分析機関から想定外の結果が提示されたときも、小塚さんが珍しく慌てているようでしたが、私は全く動じませんでした。


小塚:

逆に私は想定外の結果に驚いてしまって。でも、近藤さんが常にどっしり構えてくれていたので、安心感につながりました。ちょうどそのとき、監修いただいた尾崎先生がくださったメールの中に「研究自体には社会的意義がある」というお言葉がありました。元々、私自身の価値観としても、社会貢献が大事だと思っていたので、尾崎先生からのメールを読んで、「そうだよね、社会的意義あるよね、がんばろう!」と改めて強く思いました。難しいことがあっても、それは成長の機会ととらえていました。あとは、単純に人と関わるのが好きなので、他社の方と関わるのがとても楽しかったのもモチベーションを維持できた理由の一つ。信頼関係を築きながら進めることができたと思っています。


―貫いた信念もありました。


近藤:

本取り組みは、新しいものを発見したり、作りだしたりということとは違い、世の中に安心・納得してもらえることが必要だと思っていました。専門家だけではなく、一般の人にも、わかりやすいことが大事だと思っていたので、評価系も常にそこを意識して考えました。


小塚:

社会貢献は常に大事にしていました。環境配慮のテーマは未来につながること。ちょうど私が1人目の育休明けと2人目の産休に入るタイミングでこの仕事をしていたので、自分が取り組んでいる仕事は子どもたちが生きる未来を良くするものだ!と思っていました。

もう一つは、本取り組みに限ったことではありませんが、「一緒に仕事をしたいと思ってもらうこと」を大事にしていました。積極的に信頼関係を築いたり、前向きな姿勢で取り組むことができたのは、この信念があったからです。

ちなみに「一緒に仕事をしたいと思ってもらうこと」は、私が新入社員のときに社内報向けに書いた「10年後のありたい姿」でも宣言しています!


※入社当時、社内報「WIZ」向けに小塚(旧姓:渕上)が実際に書いた「10年後の私」(下図)

今後に向けた想い。

―最後に、今後に向けたお二人の想いを聞きました。


近藤:

自分が使ったペットボトルをゴミ箱に捨てたら、そのあとのことは知らぬ存ぜぬ、という意識の方がまだまだ多いなぁと思っています。でも、そういう方々の意識が少しでも変わり、行動を変えてもらえたら未来は変わっていくと思っています。本取り組みが、そのきっかけにつながればいいなと思っています。


小塚:

どの商品からリサイクルペットボトルを使っていくか、まさに今戦略を検討しています。コストアップなどの課題もありますが、環境に良いことをして会社の利益にもつながるように、しっかりと考えていきたいと思っています。

2児の母としては、子どもたちが生きていく未来は、今あるきれいなものはきれいなままであってほしい。水、海、川、山、自然。そのままであってほしいなと思っています。ミツカンは「人と社会と地球の健康」も大事にしているので、私自身もミツカンで働くことを通じて、貢献していきたいと思っています。


調味料業界におけるペットボトルのリサイクルがあたりまえになること、そして、「ミツカン未来ビジョン宣言」で掲げた「人と社会と地球の健康」の実現に向け、ミツカンは今度も挑戦を続けてまいります。


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「食品4社で調味料・食用油用リサイクルペットボトルの安全性評価」リリースはこちら

https://www.mizkan.co.jp/company/news/detail/220510-90.html


「調味料・食用油用リサイクルペットボトルの安全性評価に関する研究で論文賞受賞」リリースはこちら

https://www.mizkan.co.jp/company/news/detail/230628-90.html


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