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小田急不動産株式会社

デベロッパーの仕事は「開発」で終わりじゃない。小田急多摩線を舞台とした「愛着が育まれる街づくり」の裏側 

(PR TIMES STORY) 2022年12月13日(火)10時32分配信 PR TIMES

epi.1 育ててもらった地元への恩返し

■地域活性化のための拠点を整備

昨今、少子高齢化や沿線人口の減少、コロナ禍における生活様式の変化などを背景に、「次世代につながる街づくり」は年々重要視されています。そのような背景の中で当社は、小田急グループが永年住宅開発を行ってきた小田急多摩線栗平駅前に多世代の交流を生み出す地域コミュニティ施設「CAF&SPACE L.D.K.」を2019年3月に開業しました。

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本施設のコンセプトは「みんなのたまり場」。食事やスイーツが楽しめるカフェを中心に、習い事教室や会議など多目的に利用できるレンタルスペースを併設しています。また、仕事や作業ができるワークスペースも併設されており、地域のLDK(リビング・ダイニング・キッチン)として近隣の人々が気軽に集い、くつろげる憩いのスペースとして、地域の皆さまの街への愛着を育む場所を目指しています。

今回は、「CAF&SPACE L.D.K.」が誕生するまでのストーリー、そして栗平エリアを舞台に広がる小田急多摩線の地域コミュニティについて、担当者の想いとともにお伝えします。

<担当者>

菊地 友佳(きくち ゆか)

2002年、このエリアの小田急の物件に住んでいたことがきっかけで小田急不動産に興味を持ち、入社。総務部門を経て、成約者さまの会員組織やWEBサイト運営などを経験。2011年より顧客との関係構築を目指す店舗の企画・運営に従事。趣味はサッカー観戦と書道。自らも長くこの街に住み、子育てする立場として地域とともに歩んでいる。


石川 敦己(いしかわ あつき)

2004年、小田急電鉄に入社。駅構内の店舗や商業施設の運営などを手掛け、栗平の物件も担当した他、同エリアで新婚生活を謳歌していたことで第2の故郷に。2018年に当社へ出向し、経営管理を行う中、小田急多摩線エリアの地域課題について自分ゴトとして携わりたいという強い想いのもと、解決に向けて陣頭指揮をとる。趣味は家事とサッカー観戦。オンオフ限らず、本施設にいることもしばしば。


45年間にわたり約2,300戸の街づくりを行った思い入れの強いエリア

―小田急多摩線エリアの開発の歴史について教えてください。


小田急多摩線の五月台〜黒川エリアでは1974年の多摩線開業以降、約45年間に亘り、地権者さまのご協力を得ながら断続的に住宅開発などを推進し、本エリアでは約2,300戸を供給してきました。このエリアの分譲に関わった社員も多く、思い入れの強いエリアです。一方、多摩線における大規模な開発がひと段落したことに伴い、本施設の前身である1992年に開所した当社の販売拠点(営業所)が2018年に閉所するに至りました。

小田急グループの小田急多摩線エリアの開発分譲地


栗平駅北口ロータリー


高齢化の進行が予測され、若い世代に向けて、エリアの魅力を発信する必要性の高まりが顕在化

―多摩線沿線の分譲当時から現在にかけての地域の変化や、生じてきた課題について教えてください。


開発当時の多摩線沿線およびこのエリアの状況として、川崎市年齢別人口(2018統計情報第10号)の年齢区別人口構成で見ると生産年齢人口割合が高い川崎市の中では、多摩線の位置する麻生区は高齢者や子供の割合が高く、比較的バランスがよいことがわかりました。また、平成27年の国勢調査をまとめた小田急総合研究所の社内資料によれば、小田急沿線全体と栗平駅勢圏の世帯構成を比較すると、単身世帯は13pt低く、夫婦+子供世帯が12.3pt高い特徴が見られ、この特徴は同じ小田急多摩線の五月台からはるひ野エリアまでが該当しました。


これらの状況から、このエリアについては、開発検討時点(2018年)では年齢バランスがよい状態であるものの、若い世代の流入が進まなければさらに高齢化が進むことが予測されます。年齢バランスが取れているまさに今現在が、若い世代の流入施策について対処すべきタイミングと認識しました。

地域課題としては、他の地域同様、空き家の増加、住宅団地の老朽化などのハード面の課題から、老老介護問題、共働き世帯の増加など生活や取り巻く状況に応じた課題まで、諸課題が健在化してきていることに加え、当社分譲地の居住者アンケートでは、おいしい飲食店やおしゃれなカフェがほしいという声が上位に並ぶなど、生活を豊かにするような施設への期待値が高いことが分かりました。


デベロッパーとして、開発して終わりにはしない、「住みたい街」に選ばれ続けるための挑戦がスタート

―栗平駅にコミュニティ施設を開業することとなった経緯を教えてください。


2018年に当社の住宅開発拠点となっていた営業所を閉所するにあたり、ある若手社員が「このまま撤退(≒開発して終わり)してよいのか?」と問題提起したことから、社内有志メンバー10名でプロジェクトはスタートしました。

メンバーの想いの根底には、永年「住まいの開発・供給」を手がけてきた大切なエリアだからこそ、住民にはいつまでも安心して住み続けてほしい、“住みたい街“として選ばれる魅力的な街であり続けてほしいという願いがありました。ただ、現状は将来的な高齢化の進行や、飲食店が少なく気軽に集いくつろげる憩いの場の不足などのギャップがありました。

当社は住まいと暮らしのパートナーとして、これまでの「住宅資産価値の維持・向上」の役割に加えて、「生活環境の維持・向上」に取り組むことで、街が持続的に発展する好循環に貢献したい、との想いに至り、この場所でコミュニティ施設を運営することを決定しました。

CAF&SPACE L.D.K. 入口


「多世代がつながる、みんなのたまり場」を目指したコミュニティ施設の開発

―施設のコンセプトはどのように決めたのですか?


この場所にどんな機能・役割のコミュニティ施設が求められるのか、部門横断で集まったプロジェクトメンバーによりブレインストーミングを重ねました。

そこで、私たちが想い描いたコミュニティ施設とは、

・自分の街という愛着を育むこと

・本質的な豊かさを感じられる暮らしの提案や発信をすること

・安心・便利に暮らすサービスを提供すること

と捉え、住民同士だけはなく、住民と小田急・そのほか地域の企業・団体の方々が継続的に関われる場を目指し、「気軽に集い、くつろげる、憩いの場所」というキーワードをベースに、幅広い世代が「つながる」ことのできる多目的な場所に、という想いを乗せて、コンセプトを「みんなのたまり場」としました。

また、デベロッパーの遊び心で、店名は、家のみんなが集う場所・くつろぐ場所という意味合いを含めた「リビング(L)・ダイニング(D)・キッチン(K)」と「ライフ(L)・デザイン(D)・くりひら(K)」を重ねた「CAF&SPACE L.D.K.」としました。


―栗平LDKの施設概要について教えてください。


カフェ、レンタルスペース、ワークスペースの3つの機能を備え、施設の中心にカフェ、カフェの奥にレンタルスペース、そしてワークスペースはカフェとは異なる入口からも自由に出入りできるように配置しました。

カフェは地域の農家さんの野菜や果実を使ったランチやスイーツを提供するなど地産地消を特徴としたほか、内装は天井に国産木材を使用し、リラックスできるソファを設置するなど、温かみを演出しています。レンタルスペースはキッチン付きの部屋を含む3室を用意し、最大76uの大空間で利用できるなど、多様な使い方を可能としており、習い事教室や会議、パーティ・イベントなどさまざまな用途で利用されています。ワークスペースは7ブースを用意し、近隣の方を中心に仕事や勉強などでご利用いただいています。



丁寧なコミュニケーションを大切に、地域の皆さまにとってのサードプレイスへ

―開業・運営にあたり、大切にしてきたことは何ですか?どのように進めてきましたか?


私たちがとても大切にしていたことは、地域の方々に想いを丁寧にお伝えすること、そして地域の方の声を聴くことです。そのために、開業案内チラシを手に社員総勢60名で周辺約6000戸を訪問し、直接私たちの想いやこの施設の目指す姿を伝える活動を行なったほか、オープニングイベント時には、開業前の店内を地域の方に内覧いただける機会を設けました。また、周辺の自治会・町内会へのお披露目機会としてのレセプションや、周辺企業・活動団体向けの内覧会も設定するなど、この街にすでに存在する組織や活動などを尊重し、カフェメニューや提供方法などもお客さまのニーズに合わせて変容させるなど、地域の方々に求められ、愛される施設となるよう丁寧な対話を行い、関係を築きました。

開業後から現在に至るまで、さまざまな利用シーンをイメージしていただけるよう、当社によるイベント企画やプラン提案なども積極的に行なっています。

オープニングイベントの様子


―開業から3年が経ちましたが、地域にとってLDKはどのような存在に成長したと思いますか?また、今後に期待することは何ですか?


老若男女問わず店内では思い思いの過ごし方で楽しんでいただいていて、まるで家のリビングのよう。カフェスタッフとの会話を楽しむ方や、この場所で新たに習い事教室を始める先生やそこに定期的に通うお子さまの姿、ワークスペースでは受験生が必死に勉強する様子など、地域の方の“居場所”になっていると感じる光景をよく目にします。また、この場所を拠点とする地域活動にも多くの方にご賛同・ご参加いただき、今年も新たに産学連携の活動が始まるなど、地域とつながり輪が広がるきっかけが生まれています。

これからもこの場所を起点にさまざまなつながり、広がりが生まれ、街が生き生きと活性化し、街への愛着が育まれる、そんな場所・関係でありたいと願っています。


地域の方々との共通価値創造への挑戦

―「小田急のくらし部」という活動があると聞きました。これはどういったものですか?


私たちは本施設が箱としてこの場所に存在するだけでなく、地域にとって欠かせない存在になれるよう、企業目線でなく、地域・住民目線を取り入れた地域との共通価値の創造(CSV)を目指しました。

そんな中、施設内覧にお越しいただいた地域活動を進めるキーマンと出会い、当社と地域に対する想いが重なっていたことから、まずは3つの活動を選び、部活動としてスタートすることにしました。それが地域活動団体・個人、地元農家、周辺企業、周辺自治会・町内会、行政、グループ企業などさまざまな人が関わる任意団体『小田急のくらし部』です。

立ち上げ時の会合には、想いに賛同いただいた地域の方々約40人が本施設に集まりました。地域の方々が主体となり進めたこの活動は、現在も定期的に3つの部活動や地域イベントを中心に行なわれ、延べ3,700人以上の方に参加いただくなど、街の魅力づくり・つながりづくりに寄与しています。

小田急のくらしマーケット(栗平駅前でのイベント)の様子


―住民・地域の方と、どのように3つの部活を創り上げていったのですか?


「小田急のくらし部」には、@ふらっとくり〜ん部(定期的な地域美化活動により、住民や地域のことを知る・つながる機会を創出)、Aこどもしんぶん部(こどもたちの目線で地域・沿線の施設・スポットを取材し、地域の魅力を発掘・発信)、Bベジ活部(地元野菜を活用し、メニュー化・イベント企画を行ない、地産地消や援農活動を促進)の3つの部活があります。それぞれの活動は、「小田急のくらし部」の代表がすでに地域で活動されているプレーヤーに直接声をかけたことがきっかけです。そのプレーヤーの方々は部活動の部長となり、その方々を中心に活動を進行・普及しています。

とはいえ、「小田急のくらし部」はこの3つの活動に固執しているのではなく、今後は地域の方の希望や活動されている方のライフステージの変化などにより、変容・発展していくものだと認識しています。

現在では、各部の定期活動のほか、地域イベントの開催や外部連携などの活動を通して地域がつながる機会が生まれ、コミュニティの強化につながっています。



―くらし部に関わる中で大変だったこと、今も試行錯誤をしていることがあれば教えてください。


小田急のくらし部の運営において気をつけていることは4つあります。

1つ目は、「立ち位置」です。“企業主体ではなく、地域(の方々)主体”の活動であり、我々はあくまでもハブやプラットフォームを担い、調整やネットワークづくりを行います。

2つ目は、「コスト負担」です。活動を継続させるためには、ある程度の資金や労力が必要になりますが、これを誰かが負うのではなく、関係者のそれぞれが過度な負担を負わないように、分散させるという点です。

3つ目は、「相互理解」です。この取り組みは、コアなメンバー以外は緩くつながる関係とし、個々人のライフステージや活動内容による関わり方の変容は許容されています。当社と地域の方々が同じ思想・立場のもと、共創しているという深層理解が必要です。


最後は、「継続性・新規性」です。これは2面あり、一つは取り組む内容に関すること、もう一つは活動に関わるメンバーに関することです。それぞれ、マンネリ化や排他的な取り組みとならないためにも創意工夫が必要だと感じます。

これらも踏まえて、2022年には多摩大学との産学連携の取り組み「マチカドこども大学」に着手しました。


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ゴールは、自発的なコミュニティの熟成

―地域コミュニティを醸成していく中での、今後の目標や理想を教えてください。


当社の目指す姿は、私たちは今後も協力、共創の姿勢を持って地域との関りを続けていくものの、当社の関与度に寄らず、地域の中で自発的にコミュニティが熟成され続けていくことです。

今後は、多摩大学との共同研究などにより、どのような取り組みや関与が地域課題の解消に効果的であるのか、見える化(効果検証)を行いたいと考えています。

そして、他の地域においてもニーズがあり、かつその地域に適した条件・関わり方を見い出せた際は、他の小田急線エリアへの展開も進むかもしれないですね。地域それぞれに合った活動により、人がつながり、街が生き生きとしていく、これが私たちの理想と考えています。




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