プレスリリース
チームの再建請負人! アドビ歴10年のコンサルチーム ディレクターの「聞く力」とは? - 心、おどる、この人に会いたい!(5)
アドビには個性豊かでユニークな人材がそろっています。そんな才能あふれる社員を紹介しているのがオンラインインタビュー「Adobe Japan Talent Discovery Talk Show 心、おどる、この人に会いたい!」です。今回のゲストはプロフェッショナルサービスと呼ばれるコンサルティングチームのディレクターを務める小栗 順平さん。振り返ればいつも時代の最先端をいく現場で仕事をしていたという小栗さん。いまはチーム力再建に定評のある人気の上司としてリスペクトされています。そんな小栗さんのキャリアやマネジメントスタイルについて伺いました。
(聞き手:教育・DX人材開発事業本部 小池 晴子)
強みは「テクノロジーとビジネスの橋渡し」
小池:今回のゲストは社内リクエストが大変多かった小栗 順平さんです。現在はプロフェッショナルサービス デリバリーチームのディレクターを務めていらっしゃるんですよね。
小栗:はい、今日はよろしくお願いいたします。
小池:アドビに入社されて10年目になるとのことですが、それまでの経歴も常に時代の最先端を歩まれていたと伺っています。新卒で、キャリアのスタートはSEさんだったそうですね
小栗:社会人歴18年目になりますが、最初の2年半はSI企業で事業会社のWebサイトなどを制作していました。
小池:新卒でSEを経験された後、多角的な事業展開をしている大手グループの企業に5年、そして情報サービス事業会社に1年在籍されたそうですね。どのようにキャリアを形成していったのでしょうか?
プロフェッショナルサービス事業部ディレクターの小栗 順平さん(アドビオフィスにて撮影)
小栗:SI企業にいると事業会社への憧れや転職を考える人も多いのですが、私もやはり若い時にはそんな感じでした。先ほども話したように、当時は事業会社のWeb制作の仕事をしていたこともあって、面白いWebサイトを作れるようになりたいと思って、プロバイダの運営事業者に転職したんです。入社後は基幹系エンジニアのチームに入り、23年ほど基盤システム開発に従事しました。
ただビジネスサイドへの憧れは残っていたので、社内面談を通じて同じグループ内の他企業に異動したんです。「技術を活かしてビジネスをやりたい」と希望したのですが、やはり「バリバリのビジネスマンの間で、ついていくのは大変なのではないか」という思いも頭をもたげました。
そこで自分が何に貢献できるか考えた時、技術的な部分のフォローであったり、彼らの考えや戦略をデータで証明したりということができるのではないかと思ったんです。それが対等にコミュニケーションできる分野だと。当時はちょうどアドテクが出始めた時で、Web分析やSEOなどWebまわりが盛り上がっていた時期でした。その当時にオムニチュアのSiteCatalyst(現Adobe Analytics)に出会いました。
小池:アドビへの道が見え始めましたね。それにしてもビジネスサイドに異動というのは大変なチャレンジだったと思いますが、勝算はあったのですか?
小栗:挑戦する気持ちのほうが強かったです。エンジニア時代も、技術が大好きというより技術と関わる業務の方々とコミュニケーションし、プロジェクトを推進する立場だったので、橋渡し役になれるのではないかと思っていました。
小池:その後、情報サービス事業会社に転職したんですよね。
小栗:転職前に一度グループ本社へ転籍して、さまざまな事業体のWebに関するデータの見方についてコンサルティングする機会が多くありました。楽しい仕事でしたが、今後は具体的にビジネスの数値を背負って深く関わりたいという気持ちが強くなり、情報サービス事業会社に転職したんです。そこではネット推進部に所属しました。集客やSEOに特化し、ひたすら数値を見て、アドテクを活用してどうやって費用対効果を上げていくかということを考えていたんです。
テクノロジー分野への回帰でアドビにコンサルタントとして入社
小池:その後1年してアドビに入社することになるのですが、アドビに転職された理由は何だったのでしょうか?
小栗:やりがいもあったのですが、ビジネスに関わるようになって、改めてテックカンパニーの面白さや可能性を感じたことが大きいです。この領域を突き詰めていくことで、日本のビジネス市場にもっと付加価値を提供できるのではないかと。当時付き合いがあったアドビからの誘いもあり、それで転職を決めました。
小池:2013年のことですね。そこでコンサルタントとしてアドビでキャリアをスタートさせたそうですが、当時で何か印象に残っていることはありますか?
小栗:当時はまだコンサルタントが10人くらいで、プロダクトアドバイザリーとしてのコンサルティングが強かった時期でした。「もっとお客様のビジネスに踏み込めばいいのに」と感じていたほどです。そこで製品アドバイスだけではなく、ビジネスのアドバイスもするし、データも見るし、何ならクリエイティブも制作するといったように、顧客企業と伴走できるパートナーになるためにいろんなことをしました。そうやって拡大していくことが非常に面白かったです。
チームメンバーは全員年上! 最年少マネージャーが大事にした「聞く力」
小池:型にはまったサービスではなく、お客様の状態に合わせてサービスの幅自体をどんどん広げて、アドビのプロフェッショナルサービスの領域自体を新しく定義された期間だったわけですね。4年目でコンサルチームのマネージャーになり、初めてマネジメント業務に従事することになったそうですが、メンバー全員が年上だったと伺っています。
小栗:そうです。プロジェクトの規模感も大きくなっているなかで、プロジェクトマネジメント部門を立ち上げることになり、社内から猛者を募ったところ全員年上でした。経験も自分のやり方も持っているメンバーが多かったので、むしろその方々の知識を尊重してプロジェクトを進めていただくように気を配りました。
ただしそれだと何のためのマネージャーなのかということになります。そこでチームがどういう方向性に進みたいのか、どういう意義を持っているのかなどに関してはしっかりと伝え、その方向性に合っているかどうかはマネージさせてもらって、あとはその方のプロフェッショナル性にお任せしました。
小池:尊重するマネジメントスタイル、最近はサーヴァントリーダーシップとも言われますけど、チーム全体の方向付けはしっかりドライブしつつ、個々の方のやりたいことややり方は関しては尊重してチームを作っていったわけですね。コミュニケーションのコツはどんなところにあるのでしょう?
小栗:基本はその方のやりたい方向性を重点的に聞きます。その人のキャリアとして進みたい方向や、アドビでどうありたいのかというところを私の中でもイメージし、我々のチームとその人の方向性の2つのブレが少ないように考えてコミュニケーションを取っていきました。
そのままシニアマネージャー進むはずが……突如CSにキャリア変更した理由
小池:この後シニアマネージャーになられるにあたって、いったんプロフェッショナルサービスから離れてカスタマーサクセスチームのシニアマネージャーにシフトされたんですよね。アドビのコンサルティングサービスのなかで、コンサルティングを担当するプロフェッショナルサービスとカスタマーサクセスの組織、2つがあるわけですが、そのもう片方のシニアマネージャーに就任された理由は何だったのでしょう?
小栗:当時、マネージャーの方々が大変そうにされていた時期がありました。私はそのタイミングでチームのこと、そして自分のキャリアのことを考えアプライをさせていただいたんです。
もともとデジタルマーケティングやDX領域のビジネスに携わりたいと思いアドビに入社したのですが、ソフトウェアベンダーである以上、ライセンスビジネスは切っても切り離せません。アドビにいる以上、カスタマーサクセスをやる理由は絶対あるはずなので、そこを改めてチャレンジしていく必要性を感じましたし、チームメンバーが良いことをやっているのであれば、それをどう見せていくか助けられる余地があるのではないかと思い、自分から異動を願い出たんです。
小池:チーム運営上、どのようなチャレンジがあったのでしょうか?
小栗:メンバーのみなさん、やっていることがバラバラだったというのが大きな課題でした。コンサルティングは対価が発生しますが、カスタマーサクセスは基本的に無償なんです。カスタマーサクセスのように無償サービスの場合、組織力を発揮しないと期待されるパフォーマンスが生まれません。
個別にそれぞれやっていることは大切だと思うのですが、最もフォーカスを決めるべき部署でフォーカスを決めておらず、しかもどういうプロセスでどういうKPIで動くべきか、そのために無駄なのは何なのか、全体として機能していませんでした。同じ有限のリソースでも、コンサルタントは売上と人数が紐付いているのでいいのですけどカスタマーサクセスはそうではないので、限られたなかでどうやって持てる力を最大化するかがポイントになります。私は基本的な物事を形づけてプロセスを作ることは割と好きなので、そういった意味でコンサルティングの経験はここで役立ったと思います。
そして今度、当時のコンサルティングマネージャーがいなくなったこともあり、私の目から見て今度はコンサルティングビジネスが組織力として分散していたので、古巣に戻ることになりました。
小池:組織力が弱くなると小栗さんの出番というのがすっかり定着しましたね。
ディレクターに昇格、今後やっていきたいこと
小池:小栗さんのなかでは「組織力を発揮できる状態を作る」という目指すべき姿があり、現在直面しているさまざまな危機を見きわめて立て直しをしてこられたわけですね。
小栗:そうですね。マネージメントは一貫性とHOWの提示が大事で、実行可能なレベルまで落とすこと重要だと思っています。レポートラインがダイレクトの場合はアクションの伝達は容易ですが、横のマネージャー同士は期待するだけではなかなか自発的には動かないことが多いと痛感します。そこで価値観や目指すべき方向を作るためにコミュニケーションを取ることはとても大切にしていますし、同時に軌道にのるまでは進め方の提示や一緒にアクションを考えるところまで細かくフォローすることを意識しています。
小池:そして2022年からディレクターに就任されましたが、今後はどのようなチャレンジをしていくご予定ですか。
小栗:実はその手の質問に答えるのが苦手なんです。でも困っている部門があればその部門をサポートしたい気持ちはありますね。あとは「お客様のビジネスをいかに良くしていくのか」というテーマを追求したい思いがあるので、お客様にとって素晴らしい価値を提供できるようにサポートしていきたいですし、そこで大成功できる実績をもっと作りたいですね。
小池:キラキラ輝くオーラが見えるような気がします。今後のご活躍を期待しています!
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聞き手:小池 晴子
アドビ 教育・DX人材開発事業本部 執行役員 本部長 兼 ダイバーシティ&インクルージョン推進担当。教育関連企業にて通信教育事業、教室事業などの商品開発責任者を務めた後、米国のEdTechベンチャーの日本オフィス立ち上げに参画。2017年にアドビに入社した後はマーケティング部にて教育市場への働きかけをリード。2022年12月よりマーケティング本部 執行役員。2023年4月より現職。