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東洋アルミニウム株式会社

東洋アルミ92年の伝統と技術を結集。水素を発生させるパッケージ「ハイドロフレッシュ」開発の舞台裏と挑戦

(PR TIMES STORY) 2023年10月23日(月)11時22分配信 PR TIMES

東洋アルミニウム株式会社(以下、東洋アルミと記載します)は、会社創立以来、92年に亘りアルミニウム(以下、アルミと記載します)の機能性・意匠性用途の可能性を追求してまいりました。一方「未来を創る、私が創る、みんなで創る」というスローガンのもと、東洋アルミのノウハウや技術を活かした新たなビジネスの創出に向けてアルミメーカーの枠を超えた製品開発を試みております。

このストーリーでは、その一つである水素を生成する食品・飲料向けパッケージの開発を始めたきっかけや、もがきながら進める開発の苦労、偶然見つけた新しい発見等、ハイドロフレッシュ誕生の裏側についてご紹介いたします。

フィルムから水素ガスが出てくる事で酸化を防止。新しいコンセプトの食品・飲料向けパッケージ用フィルム「ハイドロフレッシュ」

もし食品・飲料向けパッケージから水素ガス(以下、水素と記載します)が放出されると聞いたら信じられるでしょうか?

一般的に食品・飲料向けパッケージと言えば、食品の品質を保持・保護するために酸素や湿気、光等をシャットアウトする防護壁のようなものをイメージされるのではないでしょうか?

しかし私たちはあえて積極的に水素を放出して中身の食品に水素を作用させる食品・飲料向けパッケージを開発しています。理由は、医学の分野で水素の抗酸化作用が研究されており、この水素の効果を食品の酸化防止にも利用できないかと考えているためです。そして食品・飲料向けパッケージに水素生成機能を付与するために使用される材料、それが今回ご紹介するハイドロフレッシュです。ハイドロフレッシュとは、水分と反応して水素を生成するフィルムです。

        ハイドロフレッシュで牛肉を包んだ場合の模式図

水素水から漏れ出る水素を容器から補給しようというアイデア

ところで水素水をご存知でしょうか?水素が含まれている水のことです。

水素は地球上で最も小さい分子であり、水素水の容器から漏れてしまうことがありました。そこで私たちは、容器から水素が漏れてしまうのであれば、その漏れた分の水素を容器から補給するようにできないかと考えました。

アルミパウチの内面に水素を生成するフィルムを貼り付けたのです。

これが水素を生成する食品・飲料向けパッケージ用フィルム「ハイドロフレッシュ」誕生のきっかけです。

     ハイドロフレッシュを用いた水素水のアルミパウチの模式図


    ハイドロフレッシュを用いた水素水のアルミパウチ試作品 第一号

「水素を生成しないのでは」という社内の声を押し切って試作を重ねた結果、フィルムからの水素の発生に成功

上記のアルミパウチが出来るまでには数多くの苦労があります。

実はハイドロフレッシュは、水分と反応して水素を生成する水素発生剤が樹脂製フィルムの内部に練り込まれています。「水素発生剤を樹脂製フィルムの内部に練り込んでしまったら水素発生剤は水と直接接触できないため、水素を生成しないのではないか」と当時は社内の方々から言われていました。しかし実際に試作品を作っては測定するといった試行錯誤を重ねた結果、水素発生剤を樹脂製フィルムの内部に練り込んでいても、水分と反応して水素を発生させられることが分かりました。

     ハイドロフレッシュ表面から水素が生成している様子。

     フィルム表面にぽつぽつと付いている気泡が水素。

水素が生成し過ぎるという課題にも直面

一安心と思った矢先、今度は水素を生成しすぎてしまう問題が発生しました。加熱殺菌時に水素が大量発生してアルミパウチが膨れてしまったのです。フィルムに水素発生剤を練り込む量を調整したり、フィルム中の水素発生剤が練り込まれている位置をフィルムの表面からより奥の方に配置したりすることでフィルムから生成する水素の速度や量をコントロールしました。その結果、中身が漏れる問題を解決することができました。

飲料メーカーの協力を得て、水素生成期間を測定する実験も実施

しかしまた新たな問題が発生しました。作った水素生成アルミパウチからどのくらいの期間水素が生成し続けるか評価する実験を行いたかったのですが、実験を行うための場所や設備が会社になかったのです。長期間水素を生成する機能は、容器から水素を補給するという水素生成アルミパウチのコンセプト上、重要な評価項目です。あきらめる訳にはいきません。会社になければ社外を探そうと考え、最終的には水素生成アルミパウチのコンセプトに共感して下さった某飲料メーカーに高さ2m位の実験設備4台を設置させて頂き、水素生成の分析評価もその会社の事務所の一部に分析装置を持ち込んで測定させて頂きました。その結果、水素生成アルミパウチから水素が1年間ゆっくりと生成することを確認することができました。実験設備を設置させて頂き、実験の度に快く事務所の一部を開放して下さった某飲料メーカーには感謝の気持ちでいっぱいです。

水素を牛肉に作用させると酸化せず綺麗な赤色が保たれる事を確認

医学では研究が進んでいる水素の抗酸化効果。この効果を酸化で困っている食品に利用できないかと考え、まずはハイドロフレッシュで牛肉を包装してみました。実験の仮説はこうです。

@ ハイドロフレッシュで牛肉を包むと牛肉から発生した肉汁とハイドロフレッシュが反応し、水素が生成する。

A 生成した水素が牛肉の隅々まで行き渡り、水素の抗酸化作用により牛肉の酸化を防ぐ

B 牛肉の酸化を防ぐと、牛肉の赤色が茶色に変色することを防ぐことができる

そして何度か実験を繰り返した結果・・・予想通り牛肉の変色が抑制されることが分かりました。下の写真は牛もも肉を包装材で真空包装した後、冷蔵庫で3週間保管した後の写真です。写真(左)が市販の包装材で包装した牛もも肉、写真(右)がハイドロフレッシュで包装した牛もも肉です。市販の包装材で包装した牛もも肉は茶色く変色しましたが、ハイドロフレッシュで包装した牛もも肉は綺麗な赤色を保っていました。

左:市販の包装材で包装した牛もも肉、右:ハイドロフレッシュで包装した牛もも肉

偶然見つけた発見!水素で牛肉の熟成が促進され、うま味成分が増加

ハイドロフレッシュで包装した牛肉、変色の抑制以外にも効果がないか牛肉の成分を分析してみました。その結果、予想していなかった驚きの効果が見られました。

牛肉のうま味成分としてよく知られているグルタミン酸の含有量を測定したところ、数値がぐ〜んと伸びていました。牛肉の熟成が促進されていたのです。

その後、大学に依頼して分析して頂いたところ、市販の包装材で包装した場合と比較してハイドロフレッシュで包装した場合、冷蔵で3週間保管した後のグルタミン酸含有量が1.3倍、アミノ酸15種類の含有量が1.3倍に増えていることが分かりました。その他のうま味成分であるイノシン酸は4.4倍、牛肉のコクに影響するペプチドは1.2倍に含有量が増加することが分かりました。

また牛肉以外にもまぐろにも効果がないか、大学で分析して頂いたところ、まぐろでは変色抑制効果の他に、魚特有の嫌な臭いの発生を抑制する効果が見られました。

       冷蔵で3週間保管した後のアミノ酸15種類の含有量


       冷蔵で3週間保管した後のイノシン酸の含有量


       冷蔵で3週間保管した後のペプチドの含有量

ワインの鮮度も保持できる

牛肉に合わせるとしたら・・・赤ワイン、という訳ではないですが赤ワインの鮮度にも水素の効果がないか官能試験で検証してみました。

ハイドロフレッシュを入れた赤ワインと入れていない赤ワインを用意し、10日間室温で保管して赤ワインを酸化劣化させました。10日間酸化劣化させた両ワインを開封直後のフレッシュな赤ワインと飲み比べて、どちらがフレッシュな赤ワインに近いかをブラインドテイスティングで社員20名に評価してもらいました。その結果、80%の方がハイドロフレッシュ入り赤ワインの方がフレッシュな赤ワインに近いという回答が得られました。この検証はまだ社内評価ですが、今後はワイン業界のプロの方にも効果の有無を検証して頂きたいと考えています。

        赤ワインの官能試験の様子


        赤ワインの官能試験の結果

今後の抱負

ハイドロフレッシュはまだ製品化されておらず、開発途上にあります。私たちは水素の無限の可能性、あらゆる分野でのブレークスルーに期待しています。今後はフィルム以外の製品形態や、食品や飲料に限らず、化粧品や医療機器への用途展開も検討していきます。



学生のみなさまへメッセージ

こんにちは!東洋アルミニウム人事チーム採用担当です。

当社では、アルミはもちろん、アルミ以外の素材も含め、様々なフィールドで素材の可能性を追求してきました。

新しいことに積極的にチャレンジしたい方!柔軟なアイデアを活かして不可能を可能にしたい方!当社で一緒に働いてみませんか?

ご興味を持っていただいた方は、ぜひ一度当社採用HPをご覧いただけますと幸いです。

https://www.toyal.co.jp/recruiting/information/index.html


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