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一般社団法人Creative Response

「世界に日本があってよかった」という道筋を仲間と一緒につけていきたい──。ソーシャル・イノベーションが現代に求められる理由

(PR TIMES STORY) 2024年07月02日(火)15時45分配信 PR TIMES

画像の説明:米倉学長が笑顔で講義をしている様子


一般社団法人 Creative Response(東京都千代田区、代表理事:米倉誠一郎)は、2020年にクリエイティブ・レスポンス ソーシャル・イノベーション・スクール(CR-SIS)を開校し、これまでに700名以上の卒業生を輩出。

『多様性を認めて、社会を1ミリでもよくしよう』という志をもった仲間が全国6箇所に集い、約半年にわたる講義とディスカッションを行うプログラムを提供している。

今回は、学長を務める米倉 誠一郎(一橋大学名誉教授/デジタルハリウッド大学大学院 特命教授)にインタビュー。


自ら学校を設立し、社会課題をイノベーションとビジネスの力で解決する人材を育成するに至った経緯。そして、現代においてソーシャル・イノベーションが求められるその理由について詳しく聞いた。


シリコンバレーのダイナミズムを経て日本が目指す道

画像の説明:身振り手振りを交えて真剣な眼差しで講義をしている


不思議な糸は、意図せずにどんどんつながっていく。それは米倉学長のキャリア変遷を見てもそう思うだろう。

一橋大学にて30年間、「経営史を通じたイノベーション論」の研究者として数多くの業界トップ経営者や若手起業家から熱い支持を受けている彼がなぜソーシャルの世界へ足を踏み入れたのか──。米倉氏の遍歴とともに学校の設立経緯をたどる。


以下、米倉)学生時代やアメリカへの留学期から遡り、これまで社会史から経営史、そして鉄鋼業の経営史的研究からベンチャー支援へと研究観点を移してきました。

そんななか、2つの大きな衝撃が今の私を作っています。

それが『シリコンバレーのダイナミズム』と『ソーシャル・ビジネスとの遭遇』でした。


画像の説明:シリコンバレーを象徴するスタンフォード大学校内のイメージ画像


1996年に訪れたシリコンバレーでは、『アメリカで新しいゲーム(ビジネス)』が始まっていました。シリコンバレーのダイナミズムを生み出す主役である、ベンチャーへの可能性です。

それを日本でも早く花開かせなければならない。そうした焦燥感とともにベンチャー支援へと研究観点を移してきました。


当時、日本でも国を挙げてのベンチャー支援が盛んになってきていたが「わけの分からない分野に自由な発想の若者たちを挑戦させ、次々と新しい産業をつくり出していくゲーム」の前提となるような社会も経営革命も日本では進みませんでした。


そういったなかで私は、日本においては単なるシリコンバレー型のモデル追求よりも、「日本の特性を活かした何か違う道」があるのではないかと考えはじめました。

特に、シリコンバレー・モデルが生み出した少数の資本家たちへの巨万の富の偏在、社会の格差・分断が気になり出しました。シリコンバレーのダイナミズムは否定できないが、日本にはそれ以外で貢献できる道があるのではないかと思ったのです。

利益の最大化だけを目的にしない"ユヌス博士との出会いがもたらしたソーシャル・ビジネスの衝撃

画像の説明:ユヌス博士と対談した際の様子


そんななか2009年に、グラミン銀行の創設者であるムハマド・ユヌス博士と出会います。これがソーシャル・ビジネスとの遭遇です。バットで殴られるような衝撃がシリコンバレーであったら、これは椅子から転げ落ちるような「ええっ!」という衝撃でした。


ユヌス博士は、バングラデシュでマイクロクレジットと呼ばれる貧困層を対象にした無担保融資を提供するグラミン銀行を創設しました。


グラミン銀行とユヌス博士は、農村部の貧しい人々の自立を支援することで同国の貧困軽減に大きく貢献したことを評価され、2006年にはノーベル平和賞を受賞しています。

グラミン銀行の成長の軌跡は、20年にも及ぶ幾多の困難を経て経済的・文化的障壁を越えました。ユヌス博士は対談のなかで「資本主義体制下でのビジネスという概念の定義を広げるべきだ」と言いました。

「人間とは本来多面的な存在であり、極めて自己中心的な側面もあるが、一方で無私で利他的な面も携えている。しかし、これまでのビジネスは、人間の自己中心的な側面の上にだけ構築されている。利益の最大化だけを目的としないビジネスがあるはずだ」と。

この時、大袈裟ではなく身体中が熱くなり、血湧き肉躍るのを感じました。

現地で感じた「魚の釣り方を教えてくれ」という支援の本質

画像の説明:バングラデシュ訪問時、ユヌス博士と記念撮影


対談が終わった時、とにかく何かを始めなければと思い、ユヌス博士に「これから日本の学生100人をグラミン銀行に連れて行きます。」そう約束をしていたのです。

そこから約4年間、4回にわたって学生や社会人を総勢100名程度募り、グラミン銀行を訪れるバングラデシュ視察旅行を決行しました。

それぞれの回や訪れた人にドラマはありましたが、現地で言われた「日本から魚は持ってこなくていい、魚の釣り方を教えてくれ」という国際支援に対するあり方は、大きく心に残りました。これは、ソーシャル・イノベーション・スクールで教える上でも大切にしている考えです。


画像の説明:学生たちを連れバングラデシュを訪れた際に撮った現地の子供たちとの記念撮影


そのほかユヌス博士との対談を経て、「NPO (NonProfit Organization)というのは、利益を上げてはいけないのではなく、利益を目的にしない組織形態」ということを理解できました。


当たりまえの話ですが、利益を上げなければ組織の永続性を保てないだけでなく、本来の目的である社会課題の解決すらできない。したがって、利益はあげなければならない。ただし、利益のために事業をやるのではなく、社会課題を解決するために、社会を少しでもよくするためにやるのです。

利益は事業目的遂行に必要なものだが、さらなる事業投資はもちろん、組織維持管理費や優秀な社員を獲得できる給与に回さなければならないというのが、その核心でした。


この時から、日本にも「ソーシャル・ビジネス」とか「ソーシャル・イベーション」という視点転換を持ち込まないと、日本の社会課題は大きくなるばかりだと思うに至りました。


だから、僕らはプロフェッショナルを目指す。66歳にしてベンチャー起業家へ


画像の説明:NPOリーダーシップ・アカデミーでの講義の様子


そこから大学での研究のほかに、アメリカン・エクスプレス社主催のNPOリーダーシップ・アカデミー(American Express Leadership Academy)で日本各地のNPOリーダーたちと出会い「稼ぐ力」と「ソーシャル・ビジネスの概念」を教えることができたことも、のちの学校設立に繋がっていきます。


この当時(2010年)、竹井善昭氏(ソーシャルプランニング代表)とともに出版した『社会貢献でメシを食う。』(ダイヤモンド社)という本には、社会貢献やNPOはもはやプロの人材が担うべきという主張を込めた「だから、僕らはプロフェッショナルを目指す」という副題を付けました。メシも食えないような給与体系で理想を語っても、本来の目的である社会貢献もままならない。だから稼ぐ力が必要なんだと。

そして、2020年にはこの本で書いた主張とともに、社会起業家だけでなく私たち一人ひとりが「多様性を認めて、社会を1ミリでもよくしよう」というメッセージを掲げたソーシャル・イノベーション・スクールを開校するに至りました。

66歳にしてベンチャー起業家になったのです。(紆余曲折を経て...)




画像の説明:コロナ禍にてオンライン配信となった際の第1期入学式の様子


緒方貞子さんの言葉「世界に日本があってよかった」と思われる国づくり・人づくりを目指して

画像の説明:40名以上が集まった笑顔の集合写真


開校にあたり、凋落する日本経済と影の薄くなる日本企業にとって大きな指針(ビジョン)となるものは何か考えました。そんななか、日本人初の国連難民高等弁務官として世界の紛争地に赴き、難民の支援に取り組み続けた緒方貞子さんの、内向きな日本に対して憂いを抱いたときに発した「世界に日本があってよかったと思われたい」という言葉が浮かびました。


日本には、試練・逆境を血の滲むような努力で競争力に変換した日本企業の強靭さや、これまで蓄積した「よいものをより安く、より小さくつくる力」があり、これはSDGs下のものづくりの基礎になると考えます。また、戦後日本はODAやJICAを通じて、派手さはないが、地道な途上国支援・国際協力を続け、途上国支援や国際交流に特化したNPOもたくさんある。こうした事実をもとに、この学校を通じて「世界に日本があってよかった」と思われる国づくりや人づくりを目指そうと思いました。

感動や感情をみんなと一緒に分かち合いたい、未来を創る実践者の方々によるプログラム

画像の説明:ディスカッション時の様子


開校にあたって、錚々たる方々に特別顧問やプログラムアドバイザーになっていただきました。本当にいろんな方のおかげで今の学校があると痛感しています。


プログラムは「座学」によるインプットだけでなく「グループワークを中心としたディスカッション形式」によるアウトプットも採用し効果的に学べる構成にしました。序盤には、ソーシャル・イノベーションやSDGs、ESG投資についてしっかり学ぶ時間をとっています。これらの基礎固めをしながら、毎期異なるゲスト講師をお呼びし、実例を踏まえた講義を実施しています。


ゲスト講師は、この未来を創る実践者をお呼びしています。現場にいる人間だからこそ伝えられる感動や感情をみんなと一緒に分かち合いたいと思っています。


画像の説明:毎期ご登壇いただいているシブサワ・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役の渋澤健さまと米倉学長のツーショット

新たな発見がうまれるチーム作りの重要性

画像の説明:受講生の前で卒業課題を発表している様子


グループワークや卒業課題を通じたアウトプットは、所属校に関わらず、地域横断的にチームを組むこともあります。

卒業課題では、お互いの興味関心や課題の共通点をもった仲間と組むことで新たな発見がうまれ、ものすごく面白い発表になります。

また講評・アドバイスは、経営史、経営戦略、イノベーション研究等に精通した一流の大学講師陣が行います。これによって、内容がより一層磨き上げられ行動の精度が高まるのも本学の特徴です。


会場とオンライン配信を組み合わせた柔軟な受講スタイル

画像の説明:大阪校にて全日本空輸株式会社 井上社長にご登壇いただいた時の様子


卒業生700名ほどのまだまだ小さい社会人学校ですが、全国に6箇所(2024年現在)に受講会場があります。

ゲスト講師の先生方に負担はかかりますが、全国どこかの会場に登壇していただきます。たとえば、名古屋校に登壇していただき、それを各会場とオンラインで繋いで講演するスタイルです。

受講生は最寄りの会場に集まるか、オンタイムでZoom視聴をして受講します。そのほか、YouTubeでのアーカイブ視聴で復習もできる。複数の選択肢があることが魅力となっているようです。


東京一極集中ではなく各地に会場をもつことで、この学校を通じてその土地にしかない魅力や商機を大事にし、この場所から元気にしていく。1ミリでも踏み出してチャレンジしていく、そういう気概がある企業との出会いや成長に期待しています。

校によっては、独自の同窓会が立ち上がり活動しているという嬉しい報告も聞きます。これからの広がりが楽しみです。


画像の説明:Zoomにて広島カープを想起させる背景を用いプレゼンテーションを行う広島校受講生


多様な人材が共に学ぶ環境

画像の説明:オリジナルTシャツをつくりプレゼンテーションを行う受講生


受講生は10代から70代まで、多様な背景や経験を持つ方々が参加しています。奨学金制度を利用し、未来を担う高校生、大学生、大学院生、40歳以下の教員に対して学びの機会を提供することも、この学校の特徴です。

10代の学生たちが大人と議論することは、社会人にとっても非常に刺激的であることが明らかになりました。


また、私も含めて教員というのは意外に狭い世界に生きてるので、学生だけでなく、若手の教員に対しても交流の機会を設けられることは良いことだと感じています。


画像の説明:広島校卒業式にてオンラインと会場と繋ぎ集合写真を撮った時の様子


開校当初は会場開催のみを予定していましたが、コロナ禍を契機にオンライン受講を充実させました。結果として、マレーシアや沖縄、秋田など遠方に住んでいて会場に行けない方や、自分の時間を縫って学びの機会を得たい方の需要に応えることができ、この点でも多様な方々が学べる環境を提供できているかと思います。

一人ひとりが1ミリでも周りから良くしていく

画像の説明:名古屋校にて米倉学長講義中の様子


世の中の流れからいうと、まさに社会課題をイノベーションとかビジネスで解決するっていう大きな流れは来ているし、地球自身も本当に益々悲鳴をあげています。

みんなが心の底で「こんな暮らしがいつまで続くのかな」と思っていて、その不安に対する答えになんとなく触れたいと思っている。

そんななか、本当に一人ひとりが1ミリでも周りから良くしていく思いを胸に、行動に移してくことが大事だと感じています。


時代が一本の大きな川の流れのようにあって、川の上流から泳ぐのと、下流から泳ぐのとでは全然違いますよね。

今ここで、大量生産やファストビジネスをやるっていうのは時代と逆境する。でも、スローファッションとかサステナビリティっていうのは今大きな流れで、知識の流用が早い今だからこそ、他者と関わり多様な知識を取り入れられる。そういった意味で、私たちの学校を通じて、上流の流れを得るきっかけになると思っています。

多様な人が集まる場所で、学びのルーティンを得て、今大きなトレンドであるSDGsやソーシャル・イノベーション、ソーシャル・ビジネスを集中して学ぶということが大事だと思っています。


画像の説明:ペットボトルリサイクル工場に行った際の見学の様子


昨今「リスキリング」が盛んに取り上げられ、それ自体はとても大事ですが、いずれ知識は陳腐化していきます。でも、陳腐化しないものは「あんなに努力したんだから自分にできないことはない」と思える自信とそこで知り合った仲間との出会いです。


これまでの卒業生をみていても、ここで学んだことで社会課題に対するアンテナが立ち、日々の暮らしの中で「あ、これはこういうことに繋がるよね!こういう風にいくはずだよね!」とそれぞれが抱えた課題を自分の会社やフィールドに取り組むことで解決してきています。そういう人が増えれば、同じ仕事をしていても本当に社会は良くなる。


実際に、そんな卒業生たちが全国各地で活躍していることを知り、本当に嬉しく思います。

これからSISが目指すもの

画像の説明:思い思いのポーズをとり笑顔で写真にうつる各校受講生たち


まずはソーシャル・イノベーションやソーシャル・ビジネスについて、社会人が考え行動する、同じ志をもった私塾や学校が増えることです。大学のカリキュラムとしてもさらに増えていくといいと思います。その中で、誰が聞いても「なんかSIS(シス)って聞いたことあるね」(本校の略称)と言われるぐらいにはなりたいですね。まだまだ努力が必要です。


繰り返しになりますが、会社が持ってるリソースと困っている現場や身近な社会課題を掛け合わせると、すごい解決策が出てきます。 グループワークでもそうでしたが、会社員として参加した人と教員として参加した人が持っているノウハウと課題、これがぶつかることによって新しい視点が生まれるのです。


画像の説明:福岡校にて講義終了後、集合写真


オープンイノベーションに大事なのは、スピードを上げることと他者の知識を利用することですが、その裏にある1番大事なことは自分自身の棚卸しをすることです。

自分自身の棚卸しをすることで、何を外にお願いして、これだけは自分の中で守りきらないといけないのか見えてきます。

だから、多様な地域、世代、所属が混ざるここで自分のコア・コンピタンス(他社・他者に真似できない核となる能力)が見つかるのです。


◯◯所属の米倉です。ではなく、私個人に何ができるのか。

個人のコア・コンピタンスが問われる現代だからこそ自分の価値とか、「だからどうしたいんだ」っていうもやもやした思いを持っている人にぜひ参加して欲しいです。


自分だけでなくチャレンジする人を応援しあえる環境で、「世界に日本があってよかった」という道筋をともにつけていきましょう。


【ソーシャル・イノベーション・スクール】

「社会課題をイノベーションとビジネスの力で解決する!」をテーマに、社会的課題の知見に優れた各分野の最高峰の講師陣から最前線の学びを会得し、自らアクションプランを策定、実行するスクール。2020年に開校し、これまでに700名以上の卒業生を輩出している。

キャンパスは東京、名古屋、大阪、広島、福岡、オンラインの6拠点。(2024年現在)グループワークによってうまれる地域を超えた受講生同士の交流にも注目。

【8月1日より第10期生募集開始予定】

公式サイト:https://web.cr-sis.com/



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