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プレスリリース
【スタートアップインタビュー】プロのリサーチャーやコンサルタントへいつでも 相談可能 に 。 ビジ ネス調査に迷う人が頼れるナレッジシェアプラットフォーム「 ProSession 」。
新規事業開発、マーケティングなど企業活動のさまざまな場面で必要になるのが市場調査をはじめとするビジネス調査。未経験者が取り組もうとすると、情報収集やその取捨選択に多くの時間を費やしてしまいがち。外部に委託するにしても、調査背景やゴール、仮説などから逆算する要件定義が難しく、呆然と立ち尽くしてしまうことも少なくない。
フリーランスのリサーチャーやコンサルタントが集まり市場調査をはじめとするリサーチ業務を受託するグローバル・カルテットは2022年8月、ビジネス調査で迷ったり悩んだりしたときに、プロのリサーチャーやコンサルタントにいつでも気軽に質問できるナレッジシェアプラットフォーム「ProSession(プロセッション)」のサービスを開始した。
その開発は、リコーのアクセラレータープログラム「TRIBUS」なしには語れない。「プログラムに参加したときはまだアイデアベースだった」と振り返るグローバル・カルテット代表の城みのり氏に、TRIBUSでの経験、そこで学んだこと、TRIBUSの魅力などについて、カタリストを務めた二人を交えて伺った。
インタビュイー
城みのり氏 株式会社グローバル・カルテット|代表
小松秀樹 株式会社リコー オフィスプリンティング開発本部 開発統括センター AVA推進室 推進一グループ|Senior Specialist
寺本孝宏 株式会社リコー
プロフェッショナルサービス部 ワークフロー革新センター プロセスDX推進室 プロセス改革グループ
アイデア段階で応募、「TRIBUS2020」のピッチで熱く訴える――
最初に「ProSession」の開発に至った背景を教えてください。
城 もともと私はリサーチャーで、調査会社を経営しています。事業会社、広告代理店、プロフェッショナルファームからビジネス調査を受託するというスタイルです。ところが事業会社の中にはビジネス調査が未経験の担当者もいらして、そもそも誰に何を相談したらいいかわからないなど、わからないことだらけで、ただ時間ばかりが過ぎてしまうといった悩みがあります。
そうしたお客様から「早い段階から相談にのってほしい」というご要望がありました。ビジネス調査をするには調査の課題設定や要件定義などをまとめる必要がありますが、経験のない人はどうしたらいいかわかりません。誰かに相談したいけれど、発注が前提でないと相談にのってもらえないのではないかという心理も働くようです。そこで気軽に相談にのれるようなサービスをつくりたいと思うようになりました。
グローバル・カルテット代表取締役 城みのり氏
――「TRIBUS2020」に応募したときは「ProSession」の内容がだいぶ固まっていたのですか。
城 いえ、まだアイデア段階で、ビジネスモデルもありませんでした。私は書類提出の締め切り数日前にSNSでTRIBUSのことを知り、2日前から書類を書き始め、滑り込むようにして書類を提出しました。9月上旬から1次選考(書類選考)が始まり、その後2次選考の面談を経て、10月下旬にピッチを行うまでに至りました。
――どんなことをプレゼンしたのですか。
城 初めてのピッチでしたので無我夢中でしたね。「ビジネス調査で相談する先がなく、調査なんて役に立たないという思考になってしまう人が多い。そんな人たちを救いたい!」と訴えました。世の中でスタートアップを支援する機運が高まっているのに、最も初期段階の相談に気軽にのれるサービスがないのはおかしいと思っていましたから、その熱い思いをぶつけました。
ピッチのあとに質疑応答がありましたが、もう頭の中は真っ白。アイデア段階の私の提案なんかダメだろうなと思っていました。
――しかし、TRIBUS2020に採択されました。どんなことから始めましたか。
城 最初にカタリストのみなさんから「どんなことをやりたいですか」と聞かれて、少しびっくりしました。「やりたいことを言っていいんだ」とそこで初めて知ったからです。
小松 城さんの頭の中にあることを引き出さないとカタリストとして伴走することができませんからね。
城 とりあえず、やりたいことを列挙しました。例えば、そもそもニーズがあるのかをヒアリングしたい、ニーズがあるのならターゲットはどこか、それは大企業か、などです。私たちには大企業の方々にインタビューする機会なんてほとんどありません。ですので、リコー内部の方につないでいただき、どういう建て付けだったら利用していただけるかを聞きたいと思いました。
それをカタリストの方にお伝えすると、すぐにサービス導入の権限を持っている管理職の方につないでくれ、一週間後にインタビューができました。価格設定については皆目見当がつかなかったのですが、「法人契約で第四階層決裁の範囲ですね」と聞かされ、大変驚きました。
――もともとリサーチの仕事をされていますよね。自分で事業を立ち上げるとなると、勝手が違うものですか?
城 全然違います。お客様から課題を伺い、お客様のために相談にのるのは、かなり引いたところから客観的に見られます。でも自分の事業となると、入り込み過ぎて周りが見えなくなってしまいます。
翌年の「TRIBUS2021」で実証実験、高評価を得る
――11月からカタリストの伴走が始まり、活動期間は翌年2月までの4カ月ほど。システム開発はいつごろ始めたのですか。
城 1月に始めました。システム開発は最初に要件定義をしなければいけません。でも私にはわからなくて、「どなたかにご相談できないでしょうか」とカタリストのみなさんに会議でお願いしました。カタリストは全員、「えっ?」と思われたのではないでしょうか。
小松 その時にいたカタリストには、実はシステム開発の要件定義などに長けた者はいませんでした。他チームに伴走していたカタリストに話をしたところ、そうしたスキルを持つカタリストに城さんの伴走も引き受けてもらえることになりました。
TRIBUS2020カタリストでリコーの小松秀樹
城 そのカタリストの方は最初、エンジニアが使う言葉で話し始めたものですから、私はまったく理解できませんでした。ところが次の会議から、かみくだいて話してくださるようになり、スキルもとても高いので助かりました。正直なところ、その方にプロジェクトマネージャーをお願いしたいと思ったくらいです。
――成果発表会は2021年3月に行われましたそうですね。
城 実はProSessionのβ版を開発ゴールにしていましたが、それは間に合いませんでした。最終ピッチで何を話したらいいのか思うと前日の夜は眠れなく、しかも当日の他チームの発表を聞いていると「やり切った」という思いにあふれていて、自分の順番がくるのが憂鬱でした。私はβ版をいつまでに出しますとプレゼンするしかなく、不完全燃焼でした。
TRIBUSの終了後に、自分たちでプロジェクトマネージャーを正式に雇って開発を続け、外注のシステムエンジニアにお願いしてProSessionのβ版を2021年10月末に提供開始しました。
小松 TRIBUSでは、ちゃんと自分たちでゴールを決めて、そこに限りなく近づくことが大切です。新規事業なので必ずゴールに到達できるというわけでもありません。そんな話をよくしていましたね。
β版の提供開始を聞き、私の方から「『TRIBUS』に採択された企業に期間中に使っていただいて実証実験をしたらどうか」と提案しました。というのも、α版をリコー社内で使ってもらったときに「ぜひ使えるようにしてほしい」という声があり、確かなニーズを感じていたからです。本当は法人契約のテストのようなことをすればよかったのですが、無償で行うことになりました。
――TRIBUS2021の採択企業を対象にした実証実験はどんな評価だったのですか。
城 回答(解決)の「スピード感」「ハードルの低さ」が業務効率化に大きく寄与することが確かめられました。回答が最も早かった事例は43分、平均時間は12.5時間(就寝時間含む)。満足度は94%、リピートの意向は94%という評価が得られました。
細かく設定されたアジェンダ、精緻な資料に驚く
城 びっくりしたことはたくさんあります。カタリストのみなさんとは週1回、会議をしていましたが、その会議のアジェンダがとても細かく設定されていて、しかもそれに沿ってきちんと会議が進行していく。そんな経験をしたのは初めてでした。
TRIBUSに採択されたリコー社内の起業家の方がつくった資料を見ても、とても精緻で驚きました。そこまでやらないと、大企業では事業が回っていかないということを知る貴重な経験になりましたね。
小松 リコーで30年間働いてきましたので、会社のくくりを外したときに自分の仕事はどう活かせるのかと思い、カタリストに手を上げてみたのですが、今日の城さんのお話を聞いて、会議を進めていくプロセスを評価してもらっていたことを知り、すごく自分の仕事の励みになります。
寺本 プリンティング事業を主軸として展開するリコーという会社にいると、危機感はそれなりにあります。「何か新しいことをやらないといけない」と多くの社員が考えていると思いますが、現業をやるしかないし、それは限られた分野のものになります。
ところがカタリストとして外部の方とTRIBUSに取り組むと、枠を広げて考えなければいけません。しかも早いプロセスで回していく必要があります。私自身、それがとても勉強になりました。
TRIBUS2020カタリストでリコーの寺本孝宏
城 TRIBUSのあとも別のアクセラレータープログラムに採択され、合計6つのプログラムに参加しました。TRIBUSでは最低3人のカタリストが伴走してくれるのですが、そんな多くの人数のところはほとんどありません。そして大企業の現役社員の方がこんなに細かく伴走してくれるのはTRIBUSならではです。あらためて振り返ると、身が引き締まる思いがします。
「質の高いリサーチャーやコンサルタントを探すならProSession」目指す
−2022年8月に正式にサービス提供が開始されたProSessionの現状を教えてください。
城 相談サービスではひとつの相談あたり、1週間何度でも繰り返し質問し続けることを可能としています。その期間中にもっと深掘りしたい、プロに本格的に分析してもらいたいと思えたら相談に乗ってくれたフリーランスのリサーチコンサルタントに調査の依頼ができます。
相談されるのは圧倒的にスタートアップの方が多いですね。その一歩目の背中を押すという気軽なサービスを目指しています。リサーチャー、コンサルタントは現在200人以上が登録しています。
――ProSessionはお客様とプロのリサーチャー、コンサルタントとのマッチングサービスでもありますね。
城 そうです。お客様の相談に対して回答を書き込んで公開しておく、つまりプロのリサーチャーやコンサルタントが知見を公開すると、それが蓄積して営業ツールとなり、長期で契約する人も出てきます。
私はもともとフリーランスなので、想定した通り、フリーランスの営業ツールとして機能することが確認できました。フリーランスのみなさんに適正な報酬をお支払いできるようにしていきたいと思っています。そして、「質の高いリサーチャーやコンサルタントを探すならProSession」となることを目指していきたいです。