プレスリリース
ものづくりDXプラットフォームで変わる製造業の新しいスタイルとは? 〜「プラッとものづくり」案件分科会 座談会レポート〜
図面のない構想段階から気軽な製作相談ができる、ものづくりDXプラットフォーム「プラッとものづくり」。大田区発の「I-OTA・大田区グループ」には約100社の中小製造業が参画しています。
グループの運営の中で「案件分科会」では、問い合わせを整理し、顧客との1次対応を担当します。今回は案件分科会に所属する西村さん、阿部さん、関さん、佐山さん(以下、敬称略) のメンバーで座談会を開催。日々さまざまな問い合わせに触れている4人だからこそ感じるプラッとものづくりのメリットや、案件分科会が目指す今後の展望について聞きました。
「夢物語」も現実にする、プロフェッショナルたちの旗振り役
――まずは、案件分科会の役割や仕事内容について教えてください。
阿部:案件分科会は「I-OTA・大田区グループ」において、最初にお客さまに対応する問い合わせ窓口の役割を担っています。まずは、お客さまとやりとりして必要な情報をヒアリングし、内容を整理していきます。その後、内容が見えてきたらそれを得意分野とする企業へ依頼するという流れですね。
西村:図面があって作るものが明確な場合もあれば、そうでない問い合わせもあります。お客さまの頭のなかにある「夢物語」のような構想に対しても、内容を確認したうえでフラットに「できる・できない」の判断をしていくのが案件分科会です。1人では分からない分野の問い合わせもあるので、相談したりしながら進めています。
――4人とも得意分野は違うのでしょうか?「I-OTA・大田区グループ」とは別に、それぞれの会社に所属されていると思いますが、どんな分野が得意な会社なのか教えてください。
西村:私の会社(株式会社エース)は全国の協力企業と連携しながらお客さまへ最適な提案をする「ものづくり営業」を得意としています。自社製造もしていますが、「商社」のような役回りもやっています。多くの企業を束ねてお客さまの要望を叶えるという部分は、プラッとものづくりに通ずるところがありますね。
阿部:うち(株式会社キョウエイ)は切削加工から組み立てまで幅広くやっていますが、なかでも得意なのが印刷加工やゴム、フイルムの加工です。特殊加工をやっている会社は少ないので、そのような案件があれば専門的にアドバイスできるかなと思っています。ピンポイントの分野の相談でなくても近しい分野で「なんとなく分かる」領域はあり、「これができるならこれも知ってるんじゃない?」と相談をもらうことも多いですね。
関:私のところ(有限会社関鉄工所)は切削加工のなかでも大きなサイズのものを得意としています。たとえば機械のフレームなら、2の立方体を削りだすような作業もやります。大田区で切削加工をしている会社は多いですが、ここまで大きなものに対応している会社はなかなかありません。大きなものの加工や組み立てといった分野では、役立てるかなと思っています。
佐山:うち(栄商金属株式会社)は電気関係が特に得意ですね。製造業って「ハード」や「メカ」の部分と、「電気」の部分で得意とする会社が分かれているんですが、うちは両方やっている珍しい会社です。また、設計も自社で対応でき、美容機器のOEM開発もやっています。このメンバーのなかでは、一番BtoC向けの領域に近いかもしれませんね。
――なるほど、それぞれ違う際立った得意分野があるのですね!
西村:そう、だからこそこのメンバーで案件分科会をやろうということになったんです!
個社ではできない、「早く」「正確な」提案はプラッとものづくりならでは
――個社で案件相談を受けるのと、プラッとものづくりで受けるのとでは違いはありますか?
関:個社で案件を受けるときは基本的に図面があり、「こういう機械を作ってほしい」という要望に基づいて作っています。一方で、プラッとものづくり経由の相談は「こんなことをやりたい」という要望から作っていくものが多い気がします。まだ実体のない状態からいろんな人に情報を聞いていく必要がありますね。
――ざっくりした問い合わせだからこそ大変な部分はありますよね……。個社ではなく、プラッとものづくりだからこそ叶えられることもあるのでしょうか?
関:大いにあります。会社を跨いで打ち合わせをして、聞いてきたことをまとめてお客さまにお伝えするというのは、自社だけでは絶対にできないと思います。仮にやろうとしても、1社1社に聞いてまわって、何ヶ月かかっても答えが出せないという事態になってしまうかもしれません。
また、プラッとものづくりでは各分野のプロフェッショナルに聞いているので、回答が正確ですよね。1社ではあいまいな答えになって、「持ち帰って調べます」と言ってしまうところも、複数社で提案すればどこかが「うちが対応できるので大丈夫です」と答えてくれるので、あっという間に解決できます。僕ができないと思っても、他社ならできることはあるし、その逆もまた然りでしょう。提案の可能性をつぶさずに解決に向けてみんなで模索できることもメリットですね。
――図面のないところからの相談で、うまくいった事例はありますか?
佐山:大手企業との取引も多く、なかなか事例で名前を出せるところが少ないんですよね。言える範囲だと、西村さんのロボットの案件なんかどうですか?
西村:ああ、そうだね。研究者がDIY的に作ったロボットを市販化できるものにしたいという要望に対して、私の専門分野ではないものの、詳しそうな何社かに声をかければできそうな見込みがあったので受注し、うまくいった例はありましたね。
注文を取ってきた以上、「やるしかない」と思っています。やりきればできることも多いし、怖がらずに挑戦することが大事ですね。スピード感が早かったものでいうと、最近ではゼロからアイデア出しをして、2〜3日で試作品を作った例もありましたね。
関:あれはかなりスムーズなほうでしたね。設計ができるメンバーをアサインして数人でアイデアを出し合いました。実際に作るのはまた別のメンバーです。適材適所でメンバーを集めることで、スピーディーな対応を実現しています。
チームだからこそできること、できないこと
――プラッとものづくりならではの案件の進めやすさはありますか?
佐山:はい。プラッとものづくりによってチームが「見える化」されているので、「大田区の町工場に頼みたいけどどこに問い合わせればいいの? 」という点が明確になるぶん、お客さまへの説明のしやすさ、伝わりやすさはありますね。
――逆に、苦労する点はありますか?
佐山:お客さまに価値を提供していくために、案件毎に最適なチームを組んでいかなければなりません。そのためにはこれからも「I-OTA・大田区グループ」を拡充して多彩なメンバーを集めていきたいですし、メンバーが増えたら案件も今以上に増やして、全体に行きわたるようにしなければと思っています。両立はこれからの課題ですね。
関:どの会社の誰がなにをやっているか、いまは100社程度だから把握できているけれど、今後メンバーが増えたら、さらに密な連携が必要です。いままさにグループ内の共有を活発化させているところです。
佐山:あとは契約周りのネックですかね。日本にこのような団体はまだまだ少ないため、チームで仕事を受注するスタイルに難色を示されるケースもあります。
西村:それはたしかにそうだね。すべての企業が「I-OTA・大田区グループ」加入時にNDA(秘密保持契約)を結んでいることをお客さまに伝えても、「情報を連携できるのは1社まで」と言われてしまうパターンはありますね。
佐山:チームだからできる案件もあれば、チームだからこそネックになってしまう案件もあるのが現実です。今後このような団体が日本で増えていけば状況も変わってくるかもしれないので、もっと認知されていってほしいなと思います。
製造業の当たり前を変えていき、お客さまとWin-Winの関係に
――せっかく案件分科会のみなさまが集まっているので、最後に今後受けていきたい案件について教えてください。
西村:日々の案件相談を通じて、私たちが普段仕事で蓄えている技術や知識は「宝物」だと気づかされています。また、それはきちんとお金に変えていくべきだなと。何もない状態からのものづくりって、相談にも見積にも時間がかかるんです。しかし、これまでの製造業は見積段階でお金をもらっていませんでした。アイデアや見積を出したうえで、「高いから別のところに頼もう」とお客さまが離れていってしまうこともしばしばあります。一方で、我々の使命は世の中を変えていくことだと思っていますので、見積・検討だけでもできるだけ費用をいただくようにしています。同業の人たちに「技術や知識はお金になるものなんだ」ということを知ってもらいたいので、これからも要件定義やアドバイス段階からの案件を増やしていきたいですね。
佐山:お客さま目線に立っても、製造現場側の意見を取り入れた設計をすればより良いものができるはずなんですけど……、やっぱり製造業って「モノを納めて初めて費用が発生する」という文化があるんですよね。それだと、初回納品が終わってからでないと関係が作れず、アイデアが出し切れません。私たちは「もっと安くするには」「もっと丈夫にするには」といった提案ができるので、設計段階から活用してもらうことで、お客さまのメリットになると思いますね。
西村:私たち、「原価低減コンサルタント」みたいな切り口でアピールしていってもいいかもしれませんね。
佐山:そうですね。これまでは「試作品を作ってみましょう」と提案して、納品時に都度都度で費用が発生していましたが、一定期間のアドバイザリー契約によって費用を抑えながら開発を加速できるなら、お客さまにとってもプラスになるのではないでしょうか。新規のものづくりはもちろん、既存装置のコストダウンについても、私たちは「安く、長持ちさせる」提案が得意です。最初の相談自体は無料でできるので、お気軽にお問い合わせください!
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