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エヌエヌ生命保険株式会社

自分らしく家業とつながる世界を目指す。“継ぐ継がない”以外の選択肢を提案するコミュニティのあり方 | 家業エイド エヴァンジェリスト 梅田裕介

(PR TIMES STORY) 2022年10月03日(月)22時33分配信 PR TIMES

日本全体の企業数がおよそ360万社あるなかで、中小企業の割合は全体の99%以上を占めると言われている。


いわば、日本のものづくりを支えてきた中小企業だが、今もっと大きな課題となっているのが「事業継承問題」だ。


中小企業庁の調査によれば、70歳を超える中小企業およびスモールビジネスを行う事業者の経営者は約245万人に上ると推定され、そのうち127万人が後継者が未定という状況だという。超高齢社会を迎える「2025年問題」では、それがより一層深刻化すると言われている。


こうしたなか、事業承継の手段として親族内の承継やM&Aなどの方策以外にも、新たな家業との向き合い方について考えているのが「家業エイド」だ。


家業でつながる人たちの共創プラットフォームとして、2021年4月に発足。

家業に関わる人ならではの悩みごとや不安を相談できる場として、日本全国47都道府県から7500人を超えるコミュニティに成長している。


「家業を継ぐ・継がないという二択だけでなく、自分らしい家業との関わり方のヒントを見つける」


今回、家業エイドのエバンジェリストとして活動する 梅田裕介(以下、ヤス)に、家業エイドの取り組みや今後の展望について話を聞いた。

家業に関わりのある人が集うイベントを2018年から開催


家業エイドは、約30年間にわたって中小企業向けの生命保険(事業保険)を提供しているエヌエヌ生命保険が母体になっている。


長年、中小企業と関わってきた同社にとっても、後継者問題の解決に繋がるソリューションを考える必要が生じていた。


ヤスは、デジタルサイネージのスタートアップやデザイン事務所、メーカーのインダストリアルデザイナーなどの仕事に従事し、全く何もないところからの価値づくりを経験してきた。


そして、2018年にエヌエヌ生命保険のイノベーションを創出する「SparkLab(スパークラボ)」に参画。


さまざまな事業のシーズを考え、ユーザーペインを解決するアイデアを出しては試すのを繰り返していくうちに、家業を持つ人特有の悩みを相談できるコミュニティ「家業エイド」にたどり着いたという。


こうしたなかで、2018年9月には家業エイドの前身となるグラフトプレナーを立ち上げることに。


家業に関わりのある人が集まるイベントを展開し、実際の“生の声”を聞くことで「課題の解像度を上げることを意識した」とヤスは話す。2019年末までに30回のイベントを開催し延べ500人の家業持ちの声を聞いた。


「M&Aや財務、キャリアやクラウドファンディングなどさまざまなテーマをもとにしたイベントを開き、参加してくれた家業持ちの方々に『どんな悩みを抱えているか?』を聞いていきました。何回もイベントを開催しているうちに、『家業を継いだ人、これから家業を継ぐ人だけにフォーカスするのではなく、もっと広く、家業に対しての関係人口を増やすことがソリューションになるのでは』と考えるようになったんです」


コミュニティ形成で鍵になる「サードウェイ」と「集合知」


中小企業の親族内事業承継は年々数を減らしており、家業を継ぐ人は約100万人ほどとなっている。これに対し、親が中小企業の経営者という人は500万人以上、配偶者、兄弟、祖父母などの親族が経営者という人まで含めるとその数は1000万人を超えるそうだ。(家業エイドによる試算)。


この1000万人に対し、何かソリューションを提供することで、自身の家業に10%でも20%でも関わるきっかけを作ることができないかと考えた。



「イベント参加者に詳しくヒアリングしていくと、『家業があるという同じ境遇を抱えている人がいること自体が価値』だということでした。


具体的な解決策を求めてイベントに来るのではなく、同じ立場同士で話し合えるつながりを作れる場が重要だということがわかったんです」


さらに、同じ境遇を持つ人が集まるコミュニティを形成する上で、ヤスは2つのキーワードを掲げ、言語化していったという。


まず1つ目は、家業を継ぐ・継がない以外の関わり方「サードウェイ」を作ること。


大きな決断を迫られる事業継承の前に、いくつかステップを設け、家業を抱える人の多様性を認めること。そして、継がなくてもできる家業との関わり方など、家業の関係人口を増やすことが問題解決につながると考えたという。


2つ目は、家業を持つ人に特化した「集合知」の必要性だ。


親や地元の家業関係者には悩みを打ち明けることは困難だ。SNSであっても本人として使っていれば家業へのインパクトが懸念され本音や悩みを吐露できない。匿名アカウントをつかって発信したとしても、不特定多数の人が見る場であれば、心無い言葉が飛んで来る場合もあるだろう。


結果として、家業に紐づいたさまざまな悩みや困りごとは、個人個人で解決されており、解決に繋がる経験や知識は俗人化されている。だからこそ、家業に関わる人が安心して本音や悩みを吐露できる場所を作り、家業に特化した集合知が必要なのではとヤスは思ったという。

家業に関わる人たちが集まるコミュニティ内での相談スレッド数は200件にも上る


こうしたキーワードを形にするために、リアルからオンラインへ活動の軸を移すことを決意。


コロナ初年度の2020年7月に「家業エイド」として再出発したのだった。当初はSlack

を使い、リアルの活動を通して起こっていた助け合いやコラボレーションがオンラインでも実現できるのかを800人程度のユーザーと共に確かめた。オンラインでも十分に価値の提供ができることを確信し、2021年4月に現在のプラットフォームに移り本格的に運用を開始した。


グラフトプレナーのときから含めると、家業に関わる人のコミュニティづくりに約4年間努めてきたヤス。


活動を通じて顕在化した課題については、このように説明する。


「今までは家業を継ぐか継がないかの二択しかなかったんです。継ぐと決めたら事業継承のコミュニティがあるのに対し、家業を継ぐか迷っている人や継がない人の行き場所がないのが、非常に大きな課題だと感じていました。そういう人にとっては情報も集まってこないですし、どうしたらいいか悩みを打ち明ける場所もなかった。そこで、家業エイドのコミュニティを通じて、継ぐ、継がない以外の3つ目の選択肢として『サードウェイ』のあり方を提案していくことが、重要なことだと気づき始めたんです。


家業は継がないけど、自分のやりたいことを掛け合わせて新たなビジネスを営んだり、家業を継ぐとともに今の時代に合わせたアップデートをかけたり、家業を継ぐ立場として同じ境遇を持った人のアドバイスをしたり……。家業との関わり方は人によって多種多様で、もっといろんな選択肢があっていいと思うんです」


家業エイドは「つながる、たすけあう、うごきだす」をテーマに活動しているという。


オンラインやオフラインのイベントで同じ境遇の人同士がつながり、オンラインコミュニティでお互いが助け合い、シンパシーの合う人が集って新たなプロジェクトが動き出す。


特にオンラインコミュニティでは、なかなか表に出せない不安や悩みを吐露できる最適な場となっており、2021年4月から2022年4月の相談スレッド数は200件を超えたそうだ。


「始めの頃はSlackで運営していましたが『仕事で普段使っているので、頭を切り替えるために他のツールで家業エイドをやってほしい』と要望がありまして。そこで、現在はコミュニティ形成に親和性のある専用のプラットフォームを採用して運用しています。イベント開催や意見交換のほか、経営のこと、事業承継のこと、キャリアのこと、家族との関係のことなど、ざっくばらんに相談できる環境は、家業を軸につながる人たちにとって心の拠り所になっていると考えています」


SNSでは本当の悩みは打ち明けられないが、家業エイドではそれができる。


しかも、家業に関わる人が集まるコミュニティというクローズドな環境であるからこそ、気軽に困りごとや悩みごとを相談でき、解決策となる手がかりを見つけるのにも寄与するのだ。


これこそが、家業エイドというプロダクトの大きな特性になっている。

家業エイドのコミュニティから生まれた「共創」の事例


さらに、単にオンライン上で意見やアドバイスのやりとりをするだけでなく、ユーザー同士が「共創」を生み出す事例も出てきているそうだ。


広島県で明治創業の老舗鞄メーカー「片岡商店」の片岡勧さんは、当初事業継承について頭を悩ませていた。


継ぐ・継がないをめぐる親との会話が建設的にできないことから、一時は廃業も考えていた頃にファミリービジネスアドバイザーの資格を持つ家業エイドメンバーと知り合うことに。


そのメンバーが片岡さんの家族会議にオンラインで参加し、ファシリテーション役として対話する機会があったという。


これが片岡さんにとって、家業を継ぐ思いを固めたきっかけになった。


さらに注目すべきなのは、片岡さんが趣味でやっていたマイクロドローンが思わぬ形で世に知れ渡ったことだ。


家業エイドのメンバーである、愛知県の創業116年を迎える老舗缶メーカー「側島製罐」の石川貴也さんは、片岡さんの手がけたマイクロドローンの撮影に感銘を受け、バーチャル工場見学の映像作品に取り組むことになったのである。


「家業エイドを通じて生まれた出会いが、事業継承問題の解消や“共創”につながった事例でした。ちなみに、バーチャル工場見学の映像作品はデジタルハリウッド社主催の『Drone Movie Contest 2022』にて審査員特別賞を受賞したんです。コミュニティを通じて新たな共創が生まれたのは非常に感慨深かったですね」(ヤス)


また、家業エイドメンバーとの出会いがきっかけとなり、砂町銀座で43年間続く青果店「森田青果店」を第三者事業承継する事例も。


大田市場でフルーツのバイヤーや企画に関わっていた原詩織さんは、果物農家さんとの繋がりを求め家業エイドのイベントに参加した。経営者、後継者、継がない立場の家業持ちなど、様々な立場の人たちと交流を深めた。


森田青果店との出会いは、知人の不動産屋経由で、青果店付き物件を紹介してもらったことだった。


そこで森田夫妻と初めて会ったものの、父の足の具合が芳しくなく、事業継承を早くしないと廃業の危機に晒されることを原さんは悟ったそうだ。


そのため、家業エイドのメンバーに相談し、さまざまなアドバイスをもらった結果、原さん自身が事業承継する決断を下す。「森田セイカ店」としての再スタートのために実施したクラウドファンディングでは、目標金額50万円に対し400万円があつまり、達成率800%という大成功を納めた。


「たくさんの家業エイドメンバーからクラウドファンディングの支援が集まっただけではなく、家業エイドがきっかけとなり出会った人たちが森田青果店の経営、wifi環境の整備、店舗の運営にいたるまで、多方面でサポートをしてくれたんです。家業持ち同士の悩みや不安は身に沁みてわかるので、ここぞというときはお互い助け合いながら支えていくのが、家業エイドのコミュニティで醸成されているマインドだと思っています」(ヤス)


自分らしく家業とつながる世の中を切り開く


ヤスは、これからも「自分らしく家業とつながることのできる世の中にしていきたい」という思いを持ちながら、家業エイドのプラットフォームを成長させていく。


最後に今後の展望について話を聞いた。


「家業に関わる1000万人が、何か困ったことがあったら家業エイドにアクセスできるような世界観が作れたらと思っています。大きな未来を描きつつ、まずは10,000人が参加するプラットフォームにしていきたいですね。それに、家業を持つ人の問題や悩みは、家業のビジネスに直結していることが多く、解決のためにはプロの力が必要なこともあります。年内には新しい機能もリリース予定で、今以上に多くの家業に関わる人に、家業エイドならではの価値を提供できるようになるはずです。


家業を持つ人たちの問題解決や家業を持つ人たち同士の共創を生み出しながら、1人でも多くの人が継ぐ・継がないだけじゃない、自分らしい家業との繋がり方を実現できる世界を創っていきたいと考えています。」


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