プレスリリース
グンゼは、中期経営計画「VISION 2030 stage1」の基本戦略の一つとして「環境に配慮した経営を掲げています。地球温暖化の一因であるCO2を削減するためには排出量を減らすとともに、植物によるCO2の吸収量と固定量を増やすことが重要となります。そこで、第5回目は、グンゼの緑豊かな環境づくりの取り組みについてご紹介します。
■大阪御堂筋イチョウ並木保存のための支援
グンゼは、大阪のシンボルである御堂筋のイチョウ並木を守り、後世に伝えていくために、2019年12月に大阪市と「御堂筋におけるイチョウの供給等に関する協定」を締結しました。この協定に基づき、グンゼはイチョウの植樹、育成を行い、大阪市の要請に基づき保全育成上必要なときに無償にてイチョウを供給しています。
これまで提供したイチョウは、2021年度に14本、2022年度に4本で、いずれもイチョウは順調に育っています。引き続き、2037年の御堂筋完成100周年フルモール化に向けて協力していきたいと考えております。
必要なイチョウを迅速に供給するためには、計画的な育成が必要となります。そこで、連結子会社であるグンゼグリーン株式会社の調達能力を活かすとともにグンゼ創業の地である京都府綾部市にある研究所敷地内にイチョウの圃場を設け、育成を行っております。
グンゼは、祖業である製糸業で培った桑の育成技術をベースとしたグリーンビジネスを通じ、御堂筋のイチョウ並木の保全に協力し、街の魅力の維持・向上に貢献したいと考えております。
2023年2月に提供したイチョウは順調に育っています
イチョウ提供に対し、大阪市長から感謝状をいただきました
■生物多様性を保全するため「モデルフォレスト運動」を推進
グンゼは、生物多様性を保全するめ、創業の地である京都府綾部市で京都モデルフォレスト運動に参加し、森林の保全活動に努めています。2010年4月からこの活動を始め、これまでに44回を重ねるに至りました。
今年5月に、小畑城跡再生プロジェクトとして景観伐採と雑木の手入れを中心に、2019年植樹のヤマザクラの養生メンテナンス、そしてミツバツツジ群生化に向けての「取り木」作業を行いました。「取り木」は枝を親木につけたまま、樹皮の皮層を環状にはぎ取って水苔で巻き、発根させたのち、切り離して繁殖させる方法で11カ所にセットしました。
グンゼは、桑や綿や水など自然の恵みを受けて事業を営んできました。従業員や地域の皆さまと里山保全活動を行うことで、環境や自然の大切さを実感するとともに、豊かな自然を未来に残すため、これからも貢献してまいります。
ミツバツツジ群生化に向けて取り木を実施
2023年5月 第44回モデルフォレスト運動を実施
【 コラム 】 モデルフォレスト運動に参加して
モデルフォレスト運動への参加は、今回で2回目となります。小畑城跡の神社で今日の作業の無事をお祈りした後、「今日はミツバツツジのトリキの班と景観伐採の班に別れて作業します」というアナウンスでモデルフォレスト活動が始まりました。まず、「トリキって何だ?知りたい!」と思い、迷わず「取り木」班に入りました。ミツバツツジは、挿し木による繁殖成功率が低く、取り木であれば成功率が高まると最初に説明がありました。次に使う材料の説明があり、ナイフ、絵筆、発根促進剤、半分まで切れ込みを入れた苗ポット、ホチキス、湿らせた水苔、ナイロン袋、ヒモが用意されました。説明を聞いただけでは作業内容のイメージが湧かず、「これはやってみて理解するしかない!」とやる気になりましたが、肝心のミツバツツジがどれだか分からなく困りました。花が咲いている姿しか知らないので、葉だけのミツバツツジが見分けられなかったからです。
作業は、3人一組のグループでワイワイ確認し合いながら進めました。ナイフで樹皮を削り取り⇒発根促進剤を塗り⇒苗ポットをホッチキス留め⇒湿らせた水苔を苗ポット一杯に詰める⇒苗ポットをナイロン袋で包み込んで、上下をヒモで縛って苗ポットを固定。取り木の作業を一通り終えると、樹皮をはがされた部分が乾燥して、水を求めて必死になるため、そこから根が出る、という説明が腑に落ちました。何本かやって、だんだん作業効率が良くなってきた頃に、材料が無くなり作業終了。取り木を終えた後の景色は、モリアオガエルの卵がたくさん木にぶら下がっているように見え、何とも可愛らしく見えました。
うまくいけば3か月程で根が生えるそうで、8月に見にいく楽しみができました。取り木の材料は、安価で入手しやすいものばかり。作業も、ちょっとした工作みたいで、子どもでも楽しめます。取り木を楽しむ人が増えれば、将来、小畑城にミツバツツジの花のトンネルが出来るのも夢ではないとホクホクしながら帰路につきました。
NPO法人 里山ねっと・あやべ 大力聡美 事務局長
NPO法人 里山ねっと・あやべについて
1999年に閉校となった京都府綾部市豊里西小学校は、2000年に「綾部市里山交流研修センター」として生まれ変わりました。その施設管理を担う団体として「里山ねっと・あやべ」が設立されました。当初は任意団体として活動してきましたが、宿泊施設の整備を期にNPO法人化し指定管理者となって現在に至ります。
ホームページ:https://ayabesatoyama.net/wp/
■サプライチェーン全体で持続可能な街づくりを目指して、植栽講習会を実施
グンゼグリーン株式会社では、持続可能な街づくりを目指して、サプライチェーンを巻き込んだ植栽講習会を開催しています。植栽講習会は、グンゼグリーンで培った樹木や草花についてのノウハウを緑地の設計・施工担当者にどの種類の植物をどのような方法で植栽すればよいかを学んでいただくためのものです。座学ではなく、実際の植栽体験を通じ学んでいただくプログラムとなっています。
植物は生き物なので、植栽時に適切な処置を施すことで施工後の品質およびその後の生育が左右されます。グンゼは、緑地の設計・施工担当者様にこの植栽の技術を実際に体験してもらうことにより、技術の円滑な伝承を進め、植物を枯らすことなく持続可能な街づくりを目指していきます。
サルスベリの掘り取り実習
松のミドリ摘み(注)実習
(注)ミドリ摘み…まだ葉の開いていない新芽をの長さを調節する作業で、将来の樹形をきれいに整えるために行う作業。
【 コラム 】 植栽講習会を企画・実施して
環境緑化業界は、樹木・花卉の栽培、その調達納品、企画、施工、維持管理、施設の運営管理と役割分担がはっきり分かれており、ともすると前工程、後工程の理解不足のため、植物の品質を保てない事象が起こることもあります。
この講習会を開催した目的は、サプライチェーン全体で、樹木・花卉の植栽プロセスを体験し理解を深め、限りある資源である植物を大事に扱うことを学んでもらうことです。
また、ベテランから若手へ技術を伝承することも大きな目的の一つとなっています。
この活動を継続することにより、生物多様性保全の一助になればと思っています。
植栽講習会を企画・実施したグンゼグリーン株式会社関西営業所 油家充良