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公益財団法人日本ユニセフ協会

子ども対象の気候変動に関する資金〜ユニセフ新報告書、不足を指摘「気候危機は、子どもの権利の危機」【プレスリリース】

(PR TIMES) 2023年06月22日(木)16時45分配信 PR TIMES


[画像1: https://prtimes.jp/i/5176/2160/resize/d5176-2160-f009e78edd0e10b79d6c-0.jpg ]

【2023年6月22日 ジュネーブ発】

「環境に関する子どもの権利イニシアティブ(CERI)」のメンバーであるユニセフ(国連児童基金)などの新しい報告書によると、子どもたちは気候危機の矢面に立たされているにもかかわらず、彼らを対象とした、気候変動に関する資金(気候資金)の拠出はまだ不十分です。

世界の主要な気候資金のうち、子どもに対応した活動を支援していると分類できるのは、わずか2.4%であることがこの報告書で明らかになりました。ユニセフの「子どもの気候危機指数(CCRI)」によると、10億人以上の子どもが気候危機の影響による極めて高いリスクにさらされています。

[画像2: https://prtimes.jp/i/5176/2160/resize/d5176-2160-54224dd179d898adf79c-0.jpg ]

ユニセフと共に子どもの権利を守るために活動をしており、気候活動家でもある、バルバドス出身の13歳のマリア・マーシャルさんは、このように述べました。「子どもは、世界の未来を担います。しかし、私たちの未来は、現在意思決定をしている人々の行動によって形作られており、私たちの声は届いていません。この報告書が示すように、気候変動対策に資金を提供することはやらなければならないことですが、その資金がどのように使われるかも重要なのです。子どもたちのニーズと視点が含まれていなければなりません」。

この調査報告書「不足への取り組み:子どものための気候ファイナンス(原題:Falling short: Address the climate finance gap for children)」は、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)とパリ協定に貢献する主要な多国間気候基金(MCFs)からの気候資金について、次の3つの基準を用いて評価しました。
気候危機によって子どもが経験する明らかで増大したリスクに対応しているか

子どもにとって非常に重要な社会サービスのレジリエンス(回復力)を強化しているか

変革の担い手として子どもをエンパワーして(力を与えて)いるか



報告書によると、2023年3月までの17年間にMCFsが気候変動関連プロジェクトに提供した資金のうち、3つの要件をすべて満たしたものはごく一部(2.4%)で、その額はわずか12億ドルにすぎないことが明らかになりました。報告書はまた、この数字は過大評価である可能性が高く、すべての要件を満たしている資金はもっと少ないようだとも指摘しています。

[画像3: https://prtimes.jp/i/5176/2160/resize/d5176-2160-c6710ca0aaff0c6cb32b-0.jpg ]

MCFsが気候ファイナンス全体に占める割合は比較的小さいですが、これらの資金がどの程度子どもたちに配慮しているかは非常に重要です。MCFsは、政策決定において、また、より広範な変化を推進するために必要な、国レベルを含む他の公的・民間金融機関による投資の促進と調整において、重要な役割を担っています。

子どもたちは、水や食料の不足、水系感染症、身体的・心理的トラウマに対して大人と比較にならないほど脆弱であり、これらはすべて、異常気象や緩やかに進行する気候変動の影響と関連しています。また、気象パターンの変化が、教育、医療、清潔な飲料水などの基本的なサービスへの子どもたちのアクセスを妨げているという証拠もあります。

ユニセフの気候アドボカシー特別顧問であるパロマ・エスクデロは、「すべての子どもは、気候変動による少なくとも1つの、そして多くの場合、複数の危険にさらされています。保健や水のような重要な社会サービスを気候変動に適応させるためにどうしても必要な資金や投資は不十分で、子どもたちの緊急かつ特有のニーズがほとんど把握されていません。これは変わらなければなりません。気候危機は子どもの権利の危機であり、気候ファイナンスはこれを反映しなければなりません」と述べています。

本報告書は、子どもとなれば、能動的な利害関係者や変革の担い手として認識するのではなく、たいていは脆弱なグループと見なすことが多いことを指摘しています。MCFsの投資額(25.8億ドル)の7%に相当するプロジェクトのうち、女の子のニーズや関与について明確で有意義な配慮がなされているのは4%未満にすぎません。

[画像4: https://prtimes.jp/i/5176/2160/resize/d5176-2160-0ad9db84791bc4bdfbca-0.jpg ]

本報告書は、世界中から子どもたちの声を集めており、彼らは気候変動によってリスクが高まっていると話しています。ジンバブエの10代の女の子は、「チレズィでは男の子は氾濫した川を泳いで渡り通学していますが、女の子の中にはその距離を泳ぐことができない子がいることを知りました。女の子は学校へ行くのに10〜15kmも歩かなければならず、授業が始まる前に疲れてしまっているのです」と語りました。バングラデシュの13歳の男の子は、「私たちの地区は大規模な災害が多く、そのために人々は困窮し、私たちのような子どもは児童労働に従事しています」と話しました。

CERIは多国間気候基金や、国際・国内レベルで気候資金を提供するその他の気候ファイナンス関係者に対し、迅速に行動し、適応格差に対処するよう求めています。特に、気候変動による損失と損害を補償するための資金を要請しています。この資金は、子どもたちのウェルビーイングと、彼らを支える重要な社会サービスを最優先課題とするべきです。また、気候変動の影響により最も脆弱で高いリスクにさらされている子どもたちに手を差し伸べ、支援することに重点を置くべきです。

■ 注記
環境に関する子どもの権利イニシアティブ(CERI)は、世界中の子どもや若者、活動家、子どもの権利擁護団体、専門家、政府関係者、政策立案者の連合体で、安全で汚染されてない、かつ健康で持続可能な環境に対する子どもの基本的権利が認められ実現されるように協働しています。本報告書はシンクタンクのCapitaから一部の資金提供を受けています。

CERIは、メンバーが協力して、環境破壊や気候変動の影響を最も受ける子どもや若者の声を反映させることを目指しています。また、子どもに焦点を当てた環境政策を実施し、多国間プロセスにおける新しい基準や慣行を知らせることができるよう、国の意思決定者の能力構築にも努めます。CERIの業務は専任の事務局が行っています。

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/



プレスリリース提供:PR TIMES

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