プレスリリース
国立研究開発法人国立がん研究センター/愛知県がんセンター/国立研究開発法人理化学研究所/国立大学法人東京大学医科学研究所/国立大学法人滋賀医科大学/国立大学法人東京医科歯科大学/日本赤十字社医療センター/地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター/国立大学法人秋田大学/国立大学法人佐賀大学/国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学/国立大学法人信州大学/公立大学法人福島県立医科大学/国立大学法人群馬大学/国立大学法人京都大学/国立大学法人東北大学/国立大学法人岡山大学/株式会社スタージェンの共同研究プレスリリースです
2023(令和5)年 11月 10日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/72793/1801/72793-1801-5c5c111f128b0fae221c5e1afc6c46a7-2534x1414.jpg ]
<発表のポイント>
日本人の肺腺がん患者さん1万7千例の遺伝子を調べ、肺腺がんへのかかりやすさを決める遺伝子の個人差を明らかにしました。
これらの遺伝子の個人差は、非喫煙者に発生しやすく、がん細胞の増殖に必要な信号を細胞内に伝える役割を担っているEGFR遺伝子に変異のある肺腺がんのかかりやすさに強くかかわっていました。
遺伝子の個人差の一部は、染色体DNAの末端に存在するテロメア配列を長くすることで、肺腺がんへのかかりやすさを高めることが示唆されました。
これらの発見は、非喫煙者に対する肺腺がんの予防、早期発見に役立つと期待されます。
◆概 要
国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉、東京都中央区)研究所ゲノム生物学研究分野 白石航也ユニット長、河野隆志分野長、愛知県がんセンター(総長:丹羽康正、愛知県名古屋市)がん予防研究分野 松尾恵太郎分野長など、全国19施設からなる共同研究グループは、日本人の肺腺がんの患者さん約1万7千例と肺がんに罹患していない人約15万例の遺伝子の個人差を調べました。
その結果、日本人における肺腺がんへのかかりやすさを決める遺伝子の個人差が19個同定され、その一部は、非喫煙者に多く発生するEGFR遺伝子に変異を持つ肺腺がんのかかりやすさと強く関わることが分かりました。一部の遺伝子の個人差は、染色体DNAの末端に存在しゲノムの安定化に関わるテロメア配列を長くすることで、肺腺がんへのかかりやすさを高めることが示されました。これらの結果は、非喫煙者の肺腺がんの予防、早期発見に役立つと期待されます。
本研究成果は、2023年10月26日(米国東部時間)付で、国際学術誌「Cancer Communications」に掲載されました。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/72793/1801/72793-1801-2ea975b7fa43fbc25d5104288d0224f9-826x353.jpg ]
図1. TERTやHLAクラスII遺伝子の多型はEGFR遺伝子に変異を持つ肺腺がんのかかりやすさと強く関係する
肺腺がんへのかかりやすさを決める遺伝子の個人差をひとつ持つときの相対危険度をオッズ比で示す。EGFR遺伝子に変異を持つ肺腺がんと持たない肺腺がんのオッズ比の差を検定したP値を合わせて示す。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/72793/1801/72793-1801-8fa17f192fd58ed5f30b4149076ce1fd-808x224.jpg ]
表1. 日本人の肺腺がんへのかかりやすさに関わる遺伝子の個人差
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/72793/1801/72793-1801-cf269c918e254bc37e7ca83f8b33fa39-828x398.jpg ]
図2. 遺伝子の個人差とテロメア長との関連
テロメアの長さを制御するTERC, TERT, POT1遺伝子の肺腺がんへのかかりやすさを決める個人差の保有数とテロメアの長さとの関係を示す。保有数の増加に伴うテロメア長の伸長の検定のP値を合わせて示す。
◆研究支援
本研究は、文部科学省科学研究費助成事業 学術変革領域研究「学術研究支援基盤形成」コホート・生体試料支援プラットフォーム(16H06277, 22H04923)、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)革新的がん医療実用化研究事業(JP15ck0106096)・オーダーメイド医療実現化プロジェクト(バイオバンク・ジャパン)、国立がん研究センターバイオバンク、多目的コホート研究(JPHC研究:国立がん研究センター研究開発費23-A-31[特], 26-A-2, 29-A-4, and 2020-J-4)などの支援を受け行われました。また内閣府主導官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM) 「創薬ターゲット探索プラットフォームの構築」において、AI研究開発を志向した世界最大規模の肺がん統合データベースの構築や、創薬標的探索用のAI解析プラットフォームの開発の一環として研究支援を受け行われました。
◆論文情報
雑誌名:Cancer Communications (オンライン版)
タイトル:Identification of telomere maintenance gene variations related to lung adenocarcinoma risk by genome-wide association and whole genome sequencing analyses
著 者:Kouya Shiraishi*, Atsushi Takahashi, Yukihide Momozawa, Yataro Daigo, Syuzo Kaneko, Takahisa Kawaguchi, Hideo Kunitoh, Shingo Matsumoto, Hidehito Horinouchi, Akiteru Goto, Takayuki Honda, Kimihiro Shimizu, Masahiro Torasawa, Daisuke Takayanagi, Motonobu Saito, Akira Saito, Yuichiro Ohe, Shun-ichi Watanabe, Koichi Goto, Masahiro Tsuboi, Katsuya Tsuchihara, Sadaaki Takata, Tomomi Aoi, Atsushi Takano, Masashi Kobayashi, Yohei Miyagi, Kazumi Tanaka, Hiroyuki Suzuki, Daichi Maeda, Takumi Yamaura, Maiko Matsuda, Yoko Shimada, Takaaki Mizuno, Hiromi Sakamoto, Teruhiko Yoshida, Yasushi Goto, Tatsuya Yoshida, Taiki Yamaji, Makoto Sonobe, Shinichi Toyooka, Kazue Yoneda, Katsuhiro Masago, Fumihiro Tanaka, Megumi Hara, Nobuo Fuse, Satoshi S. Nishizuka, Noriko Motoi, Norie Sawada, Yuichiro Nishida, Kazuki Kumada, Kenji Takeuchi, Kozo Tanno, Yasushi Yatabe, Kuniko Sunami, Tomoyuki Hishida, Yasunari Miyazaki, Hidemi Ito, Mitsuhiro Amemiya, Hirohiko Totsuka, Haruhiko Nakayama, Tomoyuki Yokose, Kazuyoshi Ishigaki, Toshiteru Nagashima, Yoichi Ohtaki, Kazuhiro Imai, Ken Takasawa, Yoshihiro Minamiya, Kazuma Kobayashi, Kenichi Okubo, Kenji Wakai, Atsushi Shimizu, Masayuki Yamamoto, Motoki Iwasaki, Koichi Matsuda, Johji Inazawa, Yuichi Shiraishi, Hiroyoshi Nishikawa, Yoshinori Murakami, Michiaki Kubo, Fumihiko Matsuda*, Yoichiro Kamatani*, Ryuji Hamamoto*, Keitaro Matsuo*, Takashi Kohno*
(*co-corresponding authors)
掲載日:2023年10月26日(米国東部時間)
DOI:10.1002/cac2.12498.
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cac2.12498
◆発表者
・国立研究開発法人国立がん研究センター
白石 航也(筆頭著者)、金子 修三、高柳 大輔、虎澤 匡洋、松田 麻衣子、島田 陽子、水野 孝昭、坂本 裕美、吉田 輝彦、後藤 悌、吉田 達哉、元井 紀子(研究当時)、角南 久仁子、菱田 智之(研究当時)、山地 太樹、澤田 典絵、岩崎 基、小林 和馬、高澤 建、渡辺 俊一、松本 慎吾、谷田部 恭、堀之内 秀仁、坪井 正博、土原 一哉、西川 博嘉、浜本 隆二(責任著者)、後藤 功一、大江 裕一郎、河野 隆志(責任著者)
・愛知県がんセンター
松尾 恵太郎(責任著者)、真砂 勝泰、伊藤 秀美
・国立研究開発法人理化学研究所 生命医科学研究センター
久保 充明(研究当時)、桃沢 幸秀、高田 定暁(研究当時)、碧井 智美、石垣 和慶、鎌谷 洋一郎(責任著者)、高橋 篤
・国立大学法人東京大学 医科学研究所
醍醐 弥太郎、高野 淳、松田 浩一、村上 善則
・国立大学法人滋賀医科大学
醍醐 弥太郎
・国立大学法人京都大学
川口 喬久、園部 誠、松田 文彦(責任著者)
・国立大学法人東京医科歯科大学
小林 正嗣(研究当時)、大久保 憲一、宮崎 泰成、本多 隆行、稲澤 譲治
・日本赤十字社医療センター
國頭 英夫
・地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター
宮城 洋平、横瀬 智之、中山 治彦
・国立大学法人秋田大学
後藤 明輝、前田 大地(研究当時)、今井 一博、南谷 佳弘
・国立大学法人佐賀大学
原 めぐみ、西田 裕一郎
・国立大学法人東北大学
布施 昇男、熊田 和貴、山本 雅之
・岩手医科大学
西塚 哲、丹野 高三、清水 厚志
・国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学
竹内 研時(研究当時)、若井 建志
・国立大学法人信州大学
清水 公裕
・公立大学法人福島県立医科大学
鈴木 弘行、山浦 匠、齋藤 元伸
・国立大学法人群馬大学
大瀧 容一、永島 宗晃、田中 和美
・国立大学法人岡山大学
豊岡 伸一
・株式会社スタージェン
斎藤 聡、雨宮 光宏、戸塚 裕彦
◆詳しい研究内容について
非喫煙者に多いEGFR変異肺腺がんへのかかりやすさを解明 肺腺がんの予防・早期発見にむけた手がかりとして期待
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20231108-1.pdf
◆本件お問い合わせ先
報道関係者からのお問い合わせ先
<研究について>
国立研究開発法人国立がん研究センター
研究所ゲノム生物学研究分野 分野長 河野 隆志(こうの たかし)
TEL:03-3542-2511(内線3879)
<機関窓口>
国立研究開発法人国立がん研究センター 企画戦略局 広報企画室
TEL:03-3547-5201(内線 2632)
愛知県がんセンター 運用部 経営戦略課 企画・経営グループ
TEL:052-762-6111(内線2521)
国立研究開発法人 理化学研究所 広報室 報道担当
TEL:050-3495-0247
国立大学法人 東京大学 医科学研究所 プロジェクトコーディネーター室(広報)
TEL:090-9832-9760
国立大学法人 滋賀医科大学 総務企画課広報係
TEL:077-548-2012
国立大学法人東京医科歯科大学 総務部総務秘書課広報係
TEL:03-5803-5833
日本赤十字社医療センター 総務部 総務課 広報係
TEL:03-3400-1311
神奈川県立病院機構 神奈川県立がんセンター 総務企画課
TEL:045-520-2222(内線2114)
国立大学法人秋田大学 広報課
TEL:018-889-3018
国立大学法人 佐賀大学 広報室
TEL:0952-28-8153
国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学 医学部・医学系研究科 総務課総務係
TEL:052-744-2804
信州大学総務部総務課広報室
TEL:0263-37-3056
公立大学法人福島県立医科大学 広報コミュニケーション室
TEL:024-547-1016
群馬大学昭和地区事務部総務課法規・広報係
TEL:027-220-7895
京都大学 総務部広報課国際広報室
TEL:075-753-5729
東北大学東北メディカル・メガバンク機構 広報戦略室
TEL:022-717-7908
国立大学法人岡山大学総務・企画部広報課
TEL:086-251-7292
株式会社スタージェン
TEL:03-5835-2137
<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
岡山大学病院 新医療研究開発センター
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/
<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
TEL:086-235-7983
E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
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岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw
「岡大TV」(YouTube):https://www.youtube.com/channel/UCi4hPHf_jZ1FXqJfsacUqaw
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岡山大学『大学ブランド・イメージ調査2021〜2022』「SDGsに積極的な大学」中国・四国1位!!
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[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/72793/1801/72793-1801-db6e8bfe514f21d7fdbd720b902cbdc5-1866x230.png ]
[画像6: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/72793/1801/72793-1801-17bef431fe4bf4a40710f5410ced9d4f-1558x226.jpg ]
[画像7: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/72793/1801/72793-1801-d35cb2310d93e836fabddef601bc9a59-1713x697.jpg ]
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
プレスリリース提供:PR TIMES