プレスリリース
株式会社共同通信社、Tカードみんなのエシカルフードラボ共同開催
CCCMKホールディングス株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長兼CEO:高橋誉則、以下「CCCMKHD」)が取り組む共創型プラットフォーム「Tカードみんなのエシカルフードラボ」は、株式会社共同通信社と共同で「シンポジウム 持続可能な食〜食からエシカル消費を考える〜」を11月24日(金)に開催いたしました。
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基調講演:農畜産物流通コンサルタント・新渡戸文化短期大学客員教授 山本謙治さま
イベント冒頭の基調講演では、農畜産物流通コンサルタント・新渡戸文化短期大学客員教授の山本謙治さまより、「日本のエシカルフードのこれから」と題し、エシカルという言葉の定義から、欧米をはじめ国内での先進事例の紹介、また日本でエシカルが周回遅れになっている理由や、今後の日本におけるエシカル消費の広がりを見据えた解説をしていただきました。
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山本さま コメント抜粋:
エシカル消費とは、倫理的、道徳的に配慮した消費スタイルを指す言葉ですが、個人や国ごとによってエシカルの考え方も大きく異なります。現在、欧米主導でエシカルのルール作りが進んでいますが、日本におけるエシカルを取り巻く環境は周回遅れというのが現状です。今後、インバウンドをはじめより海外の方に開かれた国として発展を目指す日本としても、まずは欧米のエシカルを踏まえて、日本、アジアにおけるエシカルのあり方を考える必要があると思います。
一方で、エシカル先進国のイギリスにおいても、エシカル市場に大きな経済効果を生み出しているのは、全体の60〜70%を占める「Sometimes Ethical」の人々です。今後の日本においても、SDGs教育を受けたZ世代がメインの消費者層になっていくことで、エシカル消費もより当たり前のものになっていくと思います。そのためには、若い人も十分に消費活動が行えるように、しっかりと社会的分配がなされていく仕組みも考えていかなければなりません。
また「エシカル行為が可視化されていない」という問題について、現在Tポイントでは、エシカルの一定基準を満たした商品にフラグ付けを進めており、定期的にどのくらいエシカル消費を行ったかのフィードバックをすることで、エシカル度を可視化する取り組みの準備を行っています。
特別公演1.:一般社団法人日本食農連携機構 常務理事 木村吉弥さま
特別講演として、一般社団法人日本食農連携機構 常務理事 木村吉弥さまより、「持続可能な食への取り組み」と題し、規格外となった夏イチゴのスーパーでの販路獲得の事例や、養豚業における先進的な持続可能な食糧システム構築に向けた取り組みをご紹介いただきました。
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木村さま コメント抜粋:
事業者は、消費の選択肢となるエシカルな商品を提供するという役割を果たしています。提供動機は様々ですが、事業を継続できる経済的価値がエシカルな社会的価値と一体となり提供されています。一方の消費者の消費行動そのものが、社会的価値と経済的価値の循環を駆動させるエンジン(主体者)の役割を担っており、消費者の意思と選択が両価値を循環させるカギになっています。その上で今後よりエシカルが広まっていくために、消費者は一人一人の消費行動が、商品に込められた事業者の「持続可能な社会を実現する意思」への支持になっていることを自覚していくことが重要です。また、社会に望む価値を事業者に求めつつ、社会的価値を実現するためのコストを、各人の可能な範囲で負担していくことが、取り組みの持続性を高めるために必要だと思います。
一方の事業者は、特に生鮮食品に関して、欧米ほど消費者から強いエシカルニーズを求められることが少ないのが現状です。その中でも、自社の成長戦略において、エシカル消費を先導していく役割をより打ち出し、自らが持続可能な社会を作るためにより一層の役割を発揮されることを期待しています。
特別公演2.:株式会社矢野経済研究所 フードサイエンスユニット アグリ・食糧グループ 上級研究員 廣瀬愛さま
同じく特別講演として、株式会社矢野経済研究所 フードサイエンスユニット アグリ・食糧グループ 上級研究員 廣瀬愛さまより「フードテックで実現する持続可能な食の未来」と題し、お話いただきました。人口増加や食料不足の面からも注目を集める代替タンパク質について、取り巻く市場の現状や、国内外のメーカー、小売店での具体事例などを交えてご紹介いただきました。
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廣瀬さま コメント抜粋:
今後人口が増えることで、世界全体の食料需要量も増加しています。また新興国中心に所得が増え、食生活が変化することで、タンパク質の需要が増加し、将来的に現在の食肉供給量では供給が困難になる“タンパク質危機”が懸念されており、2025年ごろから顕在化してくるとの見方もあります。
日本でも、農水省が発表した「みどりの食料システム戦略」において、脱炭素化、健康・観光に配慮した食品産業競争力強化を重視しており、政府としても代替タンパク質を注力する分野になるだろうと予測されます。また、2022年の時点で代替タンパク質の世界市場規模は約6,400億円規模ですが、2034年には4兆円台後半規模にまで増大すると推計しています。
パネルセッション
イベント後半は、日本ハム株式会社 マーケティング統括部 ブランド戦略室兼マーケティング部 部長 長田昌之さま、株式会社 明治 カカオマーケティング部 晴山健史さま、CCCMKホールディングス株式会社 CCCマーケティング総合研究所 プロデューサー 「Tカードみんなのエシカルフードラボ」リーダー 瀧田希、そしてモデレーターとして一般社団法人共同通信社 編集委員兼論説委員 環境・開発・エネルギー問題担当 井田徹治さまに登壇いただき、「今から始められるエシカルフードアクション」と題してパネルセッションを実施しました。
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(パネルセッションより一部抜粋)
――今、エシカルフードアクションを広げるために必要なことは?
日本ハム株式会社 長田さま:
我々の代替タンパク質商品において、流通さまもどのように販売するか悩まれており、価格競争の面でも手に取りにくい価格帯となってしまい商品を置いていただけないこともあります。我々も技術開発を継続していく必要はありますが、同時にお客さま、流通の皆さまにも社会課題への理解を深めていただけるような活動にも注力していくべきだと考えています。エシカルフードというカテゴリも、「サラダチキン」のように、何かをきっかけに爆発的にカテゴリとして認識されるタイミングが来るのではと考えており、今後の主要な消費者層であるZ世代をはじめ、顧客への情報発信の方法を検討していきたいです。
株式会社 明治 晴山さま:
「エシカルだから」だけではなく、「美味しいから」や「モノが良いから」という理由でお客さまに選んでいただけるように努力していく必要があると思います。そのような理由で手に取った商品の裏に、エシカルなストーリーがあることを知れるとより満足度が高まるのではないかと感じています。
また、今後の消費の担い手であるZ世代をはじめ、お客さまへの理解を進めていく必要もあると思っています。私たちも展示会や発表会など、お客さまと対面で対話する場を積極的に設けており、理解を深めていただく取り組みを行っています。チョコレートは、多くの人に身近に思ってもらいやすい食品なので、その強みを活かして、児童労働や森林減少といったカカオ産地の社会課題などを知っていただき、エシカル消費への興味や関心を持っていただくきっかけを作っていけたらと考えています。
CCCMKホールディングス株式会社 瀧田:
食品メーカー、流通、アカデミアの方などを交えた「エシカル消費研究会」で、消費者の方がエシカルフードを買う時に、自分の便益と他者の便益の両方を理解するということが不可欠であることが分かってきました。自己への便益には、社会貢献ができたとか、具体的に何かの役に立てたという、ある種自己満足的な喜びも多分に含まれており、デプスインタビューでも「エシカル消費って自己満足で、人に誇示しようとも思わない」という話がありました。だからこそ、各食品に携わる企業の皆さんが一つの商品を生み出すまでのいろいろな努力について、知られていないことが一番の問題だと思っています。まずは知ることから、共感して、買っていただけるように、企業ごとの発信だけではなく、メディアの皆さまのお力もお借りして、全てを束ねた発信をしていくことも重要だと思います。
――エシカルフードの信頼性を高めていくために必要なことは?
日本ハム株式会社 長田さま:
大豆ミートをはじめエビや魚でも取り組んでいるタンパク質の安定供給という側面において、まずはお客さまに対して、わかりやすい社会課題を提示することが一つの方法だと思います。例えば「フィッシュフライ」であれば、日常的にサバの漁獲量が減少しているなど、漁獲資源の枯渇という直感的にわかりやすい問題の解決として、根拠を立てて情報発信をすることが大切だと思います。
またお客さまがエシカルフードを購入する意味として、商品1パック単位でお客さまの社会貢献の度合いをしっかりと理解できるような情報開示の仕方も今後社内で探っていきたいと考えています。
株式会社 明治 晴山さま:
突き詰めると、“人として誠実であること”そのようなふるまいを会社としても行っていく、ということだと思っています。具体的には、児童労働のモニタリングの件数や、森林の農地マッピングの件数などデータとして可視化できる数値はホームページなどで公表しています。また、社会課題の解決は高い目標になることもありますが、目指す姿をしっかり掲げること。努力の結果、仮に実現が困難だったとしても、その理由を誠実にお伝えしていくことが重要だと考えています。そういった姿勢を続けることが、お客様の理解や信頼性の向上につながるのではないかと考えています。
CCCMKホールディングス株式会社 瀧田:
12名の有識者と、エシカルコンシューマーのエシックススコアをベースにして作成した「エシカルフード基準」でも、一番重視したことは根拠と透明性でした。ドラフトの段階から含めると300時間以上を費やしましたが、セッションでの対話の内容は、不都合な議論も含めてすべて対話録を公開しています。また、基準を用いて採点をいただく食品メーカーさまの採点結果はすべて公開をしています。エシカルフードについて、消費者がどの点においてエシカルであるかということが分かるように情報公開することが非常に重要だと考えています。
CCCMKホールディングスは、生活者、メーカー、流通など「食」に関わるあらゆるステークホルダーの皆さまと共に、エシカルフードが社会に少しでも浸透していくこと、そして「Tカードみんなのエシカルフードラボ」の活動ひとつひとつが、未来につながる食の循環を作ることに貢献してまいります。
プレスリリース提供:PR TIMES