プレスリリース
〜減災効果や環境効果を見える化し、気候変動の影響を低減〜
日本電気株式会社(取締役 代表執行役社長 兼 CEO : 森田 隆之、以下「NEC」)と三井住友海上火災保険株式会社(代表取締役社長 : 舩曵 真一郎、以下「三井住友海上」)は、「適応ファイナンスコンソーシアム」(英語名: Japan Consortium for Adaptation Finance、以下「本コンソーシアム」)を本日設立しました。
本コンソーシアムでは、デジタル技術を応用して適応価値(減災効果・環境効果)を予測分析し、定量的にわかりやすく投資家に提供することで、仕組みを構築し、様々な適応策、価値評価手法に基づく保険や債券、融資スキーム等の金融商品組成を会員の皆さまやグローバルパートナーと推進していきます。
[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/78149/551/78149-551-f713ba7c501b16212e529daa142be23d-1279x723.png ]
1.背景
近年、深刻化する気候変動への対策が喫緊の課題になっています。しかしながら、温室効果ガスの排出を抑制する緩和策の進展に対して、気候変動の影響を低減する適応策は十分ではなく、適応価値の透明化とそれによる資金導入が国内外で期待されています。自然災害の激甚化など、高まる気候変動リスクに対する課題を共有するNECと三井住友海上は、災害リスクを低減し、強靭で持続可能な社会の実現に向けて、適応ファイナンス(※)の市場拡大を牽引するために本コンソーシアムを設立しました。
※ 可視化された気候リスクに対応するための取組に資金を充当する、あるいはリスクをヘッジすることより、事業や地域・社会における不確実性を抑制しつつ、長期的かつ安定的なリターン獲得の確度を高めるもの。
2.本コンソーシアムについて
(1) 概要
デジタル技術の応用により適応価値となる減災効果や環境効果の見える化を行い、それらの適応価値を基にした新たな適応ファイナンスアプローチを提言し、社会実装を実現します。
1. 本コンソーシアムが求める共創メンバー
適応ファイナンスの市場拡大にご賛同いただいている団体をはじめとして、保険・金融事業者や投資機関、流通、IT・サービスなどの適応ソリューション事業者、交通や電力、通信、建設業などの社会インフラ事業者、研究機関や投融資団体、自治体や政府系機関などの産官学のグローバルなパートナーとの共創を目指します。
2. 主な取組
気候変動に伴う、人命や経済の損失、社会インフラの機能不全など、災害の物理リスクや財務影響を軽減して、安心・安全な社会の構築や経済の健全な発展、自然環境の保全に資するマネジメントプロセスの体系化と透明化を実現するために、以下の取組を行います。
・投融資や保険などの金融スキームの構築
・適応価値を最大化するための、デジタル技術を活用した適応策の検討と科学的かつ定量的な評価基準の策定
・効果測定および適応対策方法を活用した新たなビジネス機会の獲得と社会実装
(2) 組織構成
[表: https://prtimes.jp/data/corp/78149/table/551_1_e62bfb002eb7591ba1b0d006304b8982.jpg ]
3.会長および代表幹事のコメント
会長を拝命いたしました慶應義塾大学の岡田有策です。先日の北陸での地震も含めて、自然災害は日本という国土に様々な形で困難を突きつけてきます。これらの困難を克服することに様々な技術 革新が貢献していますが、事後的な復興支援が主であり、予防保全的な役割を担うには至っていません。新たなフィールドでのイノベーションを活性化させるためには新たなビジネス環境の設計・整備が重要です。そこで本コンソーシアムでの議論を基盤として、将来のさまざまな災害に的確に対峙できる分野横断型の統合システムを構築すると共に、市民生活におけるハード/ソフト両面の損傷を最小化する技術のプロデュースを促進させる社会デザインの提案を図っていきます。この提案をアイデアレベルで終わらせず、その実装を加速させるためには民間資金を呼び込まなくてはいけません。しかし、従来型のビジネスモデルでは資金循環はうまく機能しません。レピュテーションなど金銭ではない価値を基軸にした新たなビジネスモデルを構築し、防災のみならず社会インフラの維持管理、農業を含むグリーンインフラの整備など多様な社会課題に対応できるようにしていくことが必要です。加えて、このような新たなビジネスモデルを日本の各地域での技術実装の成果をショウケースとして、アジア各国の社会課題解決支援に繋がる展開も図っていきます。
現在の子供たちが2030年以降に「日本に生まれてよかった」と率直に感じられるようにすることは、日本という地域で様々な恩恵を得てきた世代の人間の大きな役割と考えます。“未来”という言葉を夢と希望をもって語れる社会にしていくことに本コンソーシアムの成果が貢献できるようにしたいと強く思っています。
慶應義塾大学 教授
適応ファイナンスコンソーシアム 会長
岡田 有策
この度、代表幹事を拝命いたしました、国際社会経済研究所 理事の野口聡一です。本コンソーシアムを通じ、気候変動適応策への投資が拡大し、レジリエンスな新たな社会像を実現すべく、その道筋を見出し、さらに社会実装に尽力したいと考えています。
株式会社国際社会経済研究所 理事
適応ファイナンスコンソーシアム 代表幹事
野口 聡一
4.今後の展望
グローバルサウスにおける気候変動への対策は、現状、先進国からの支援という形で資金枠組みが組まれていますが、ここに民間資金を誘導していく事も重要と考えています。そこで持続可能性におけるデジタルソリューションの付加価値創出を主導する世界的な企業団体であるGlobal Enabling Sustainability Initiative(GeSI)と連携し、今年中に国際的な気候適応への取組の枠組みを確立するための連合の立ち上げを目指していきます。デジタルテクノロジーを用いて、減災対策による様々な社会的価値を定量化し、投資家に分かりやすい情報を提供することにより、適応への資金流入の拡大を促進します。
<本件のお問い合わせ先>
NEC クロスインダストリー事業開発部門
E-Mail:jcaf-ml@cross.jp.nec.com
以上
プレスリリース提供:PR TIMES