プレスリリース
原材料不足や高騰にともなう価格転嫁の実態調査
新型コロナウイルスの感染拡大による供給制約や世界的な需要増加の影響から、木材や鋼材などの不足や価格の高騰がみられている。そこで、帝国データバンクは、新型コロナウイルスによる原材料などの不足や高騰の影響および価格転嫁の実態について企業の見解を調査した。本調査は、TDB景気動向調査2022年1月調査とともに行った。
<調査結果(要旨)>
企業の8割弱で原材料の不足や高騰の影響あり
卸売業を中心に業種によって価格転嫁ができている企業も
2022年1月の仕入単価DIは68.5、販売単価DIは55.6
■調査期間は2022年1月18日〜1月31日、調査対象は全国2万4,072社で、有効回答企業数は1万1,981社(回答率49.8%)
企業の8割弱で原材料の不足や高騰の影響あり
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自社の主な商品・サービスにおいて原材料の不足や高騰の影響について尋ねたところ、「影響がある」企業は77.3%にのぼりました。他方、「影響はない」とする企業は12.2%となっています。 さらに、「影響がある」企業を細かくみていくと、4割程度は多少なりとも価格転嫁ができている一方で、「価格転嫁は全くできていない」企業は36.3%と3社に1社以上となっています。 多少なりとも価格転嫁できている企業のうち、「価格転嫁は全てできている」は4.1%にとどまり、7割を超える企業で価格転嫁に課題を持っていることが分かりました。 一部の企業からは、「仕入れ先の一斉値上げに対して、自社の粗利益改善を含めた価格転嫁を全力で取り組んでいる」(包装用品卸売)といった価格転嫁に前向きな声も聞こえています。しかしながら、多くの企業からは「価格転嫁することは、下請けの立場からは不可能」(機械工具卸売)や「仕事量が少ないなかどこも売り上げ確保のため安価な見積りを提出するため、価格転嫁をしたら入札物件では落札できない」(内装工事)などいった厳しい声があがっていました。
卸売業を中心に業種によって価格転嫁ができている企業も
[画像2: https://prtimes.jp/i/43465/425/resize/d43465-425-8a91e777ad6f6e7e2323-1.png ]
業種によって価格転嫁の状況に違いが出てきており、「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(43.5%)や「再生資源卸売」(40.0%)では4割を超える企業で『8割以上価格転嫁できている』と回答しています。 取材を行っていくと、「原材料不足が顕著となっているため、価格の上昇について合意されやすい」(鉄鋼卸売)や「メーカー側で買い値が設定されるが、原材料確保に主眼が置かれるため比較的高値で推移している」(鉄スクラップ)といった理由から価格転嫁に対する土壌がある程度生まれていることが要因といえます。 しかしながら、「価格転嫁はあくまでも仕入れ価格の値上げのみで、人件費・運送コストなど自社の経費の上乗せができる環境とはなっていない」(鉄鋼卸売)といった声も聞こえてきました。 他方で、「運輸・倉庫」(64.8%)や「飲食店」(64.1%)では6割超の企業で全く価格転嫁できていない結果となっています。 ※『8割以上価格転嫁できている』は、「価格転嫁は全てできている」と「8割程度」の合計
2022年1月の仕入単価DIは68.5、販売単価DIは55.6
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帝国データバンクの「TDB景気動向調査」で算出している2022年1月の仕入単価DIは68.5、同じく販売単価DIは調査開始以来最高の55.6となっています。2021年12月と比較すると、仕入単価は0.4ポイント、販売単価は0.3ポイントそれぞれ上昇しています。とりわけ、仕入単価DIは2020年6月(51.1)以降、横ばいを挟み20カ月連続で上昇となっていました。
また、仕入単価DIと販売単価DIの差を業種別にみると、燃料費の高騰などの影響がある「運輸・倉庫」が18.8ポイントで最も大きく、以下「機械製造」(18.1ポイント)や「電気・ガス・水道・熱供給」「建設」(ともに18.0ポイント)などで価格転嫁が厳しい様子がうかがえています。
引き続き厳しい経営環境が予想される
本調査の結果、7割を超える企業で原材料などの不足や高騰に関して影響を受けていました。そのようななか、一部では需要側の原材料確保の観点から価格転嫁ができており、特に仕入単価が上昇した企業のうち半数程度で販売価格の上昇が表れていました。 ただし、多くの企業で仕入単価の上昇に対して十分に価格へ転嫁できている状況と言えず、引き続き企業にとって厳しい経営環境は続きそうです。
プレスリリース提供:PR TIMES