プレスリリース
設備稼働率の動向と設備投資の見通し
2022年1月の国内景気は、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染者数の急増や大雪の影響などから、5カ月ぶりに悪化しました。また、まん延防止等重点措置が35都道府県(2月7日時点)で対象地域となったほか、部材不足による工場等の減産や稼働停止なども起こっています。一方で、設備投資意欲は総じて堅調に推移しています 。
そこで帝国データバンクは、「TDB景気動向調査」をもとに、企業の設備稼働率の状況について分析しました。
1. 設備稼働率、新型コロナショックから戻りつつあった中でオミクロン株の感染拡大で急ブレーキ
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帝国データバンク「TDB景気動向調査」で算出している2022年1月の設備稼働率DI[1]は49.3となり、3カ月ぶりに50を下回りました。新型コロナショックにより企業の設備稼働が急激に停滞した状況から戻りつつあったなかで、オミクロン株の感染拡大が企業の生産活動にブレーキをかけた格好となっています。
2. 製造業や金融業の設備は稼働率が戻りつつある一方、小売業など7業界では1年前より低下
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設備稼働率DIを業界別にみると、『製造』と『金融』が前年同月より稼働状況が上回っています。一方、『小売』をはじめ7業界では、緊急事態宣言が発出されていた1年前よりも設備の稼働が下回る状況となっています。
沖縄でビルメンテナンスを行う企業からは「新型コロナの感染が急激に拡大し、ホテルの稼働率が大幅に減少している」といった声も聞かれ、観光産業が支える地域経済を下押しする要因となっています。
[1] 設備稼働率DIは0〜100の値をとり、50を上回ると前年同月より設備稼働率が上昇、50を下回ると低下していることを示す
3. 設備投資額は2022年7〜9月期に新型コロナの感染拡大前の水準を上回る見込み
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設備稼働率と設備投資意欲には密接な関連があり、さらに設備投資計画へとつながります。TDBマクロ経済予測モデルでシミュレーションを実施したところ、企業の設備投資意欲が1%高まると、1年後の設備投資額が全体で0.15%上乗せされると試算されています。同モデルのシミュレーション結果によると、設備投資額は2022年7〜9月期に年額換算で90.0兆円となり、新型コロナの感染拡大前(2020年1〜3月期※、89.8兆円)の水準を上回ると見込まれます。※2019年7〜9月期と10〜12月期は、消費税率引き上げによる駆け込みと反動減が表れています。
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生産設備の稼働状況は、新型コロナショックから元の水準に戻りつつあるなかで急ブレーキがかかりました。しかし、生産性向上やデジタル投資、人手不足に対応する自動化投資など、設備投資意欲は引き続き堅調な推移が続いており、2022年は前年比4.6%の増加が見込まれています
プレスリリース提供:PR TIMES