プレスリリース
2024年1月に開催するファイナリスト展にて作品を発表
寺田倉庫株式会社(東京都品川区 代表取締役社長:寺田航平)が開催する「TERRADA ART AWARD 2023」において、ファイナリスト5組が決定しましたのでお知らせいたします。
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「TERRADA ART AWARD 2023」は、新進アーティストの発掘を目的とした現代アートアウォードです。世界を舞台に活躍するアーティストの輩出を念頭に、国際的な視点と現代アートに関する深い見識を持つ審査員により、国内外1,025組の応募の中から5組のファイナリストを選出いたしました。ファイナリストの作品は、2024年1月10日(水)*〜1月28日(日)の期間、寺田倉庫イベントスペースにて「TERRADA ART AWARD 2023 ファイナリスト展」として発表され、本展初日には、最終審査員である金島隆弘氏、神谷幸江氏、寺瀬由紀氏、真鍋大度氏、鷲田めるろ氏より各審査員賞が授与されます。
当社はTERRADA ART AWARDを通して、アーティストが活躍できる社会を紡ぐとともに、これからのアート業界を牽引する可能性を秘めたファイナリストが、自身の、そして日本のアートシーンの前例を超え、世界に羽ばたき、その存在意義を確立できるまでのキャリアを全力で支援いたします。
*2024年1月10日(水)は招待者のみ入場可能
【ファイナリスト5組について】(敬称略・五十音順)
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金光男(きむ みつお)
1987年大阪府生まれ。 2012年京都市立芸術大学大学院美術科絵画領域版画科修了。2016年『京都市芸術新人賞』受賞。主な展覧会に、個展『Blue Summer』(Der-Horng Art Gallery、2022年)、個展『グッド・バイ・マイ・ラブ』(LEESAYA、2021年)、『Positionalities』(@KCUA、2022年)、『PATinKyoto2016』(京都市美術館、2016年)、個展『APERTO 01 White light White heat』(金沢21世紀美術館、2014年)など。
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冨安由真(とみやす ゆま)
1983年広島県生まれ。ロンドン芸術大学チェルシー・カレッジ・オブ・アーツにて学部、修士修了後、2017年東京藝術大学にて博士号(美術)取得。見えないものや不確かな存在への知覚を鑑賞者に想起させる没入型のインスタレーション作品や絵画作品を発表する。主な展覧会に、個展『影にのぞむ』(原爆の図丸木美術館、2023年)、『瀬戸内国際芸術祭2022』(豊島、2022年)、個展『アペルト15 冨安由真 The Pale Horse』(金沢21世紀美術館、2021-22年)、個展『漂泊する幻影』(KAAT神奈川芸術劇場、2021年)など。主な受賞歴に、『第21回岡本太郎現代芸術賞』特別賞受賞(2018年)、『第12回shiseido art egg』入選(2018年)など。
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原田裕規(はらだ ゆうき)
1989年山口県生まれ。とるにたらないにもかかわらず、社会のなかで広く認知されている視覚文化をモチーフに作品を制作している。2019年以降は断続的にハワイに滞在し、「ピジン英語」に代表されるトランスナショナルな文化的モチーフに着目。近年の個展に、『やっぱり世の中で一ばんえらいのが人間のようでごいす』(日本ハワイ移民資料館、2023年)、『Unreal Ecology』(京都芸術センター、2022年)、『Waiting for』(金沢21世紀美術館、2021年)。近刊予定の単著に、『とるにたらない美術』(ケンエレブックス)など。
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村上慧(むらかみ さとし)
1988年東京都生まれ。2011年武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業。自作した発泡スチロール製の家に住む《移住を生活する》、広告収入を使って看板の中で生活する《広告看板の家》などのプロジェクトを行っている。主な個展に、『村上慧 移住を生活する』(金沢21世紀美術館、2020年)、主なグループ展に、『高松コンテンポラリーアート・アニュアル vol.08』(高松市美術館、2019年)などがある。主な著書に、『家をせおって歩いた』(夕書房)など。
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やんツー(やんつー)
1984年神奈川県生まれ。2009年多摩美術大学大学院修了。菅野創との共同作品が『文化庁メディア芸術祭』アート部門にて新人賞(第15回)、優秀賞(第21回)を受賞。近年の主な展覧会に、『六本木クロッシング2022展:往来オーライ!』(森美術館、2022年)、『遠い誰か、ことのありか』(札幌文化芸術交流センター、2021年)、『DOMANI・明日展』(国立新美術館、2018年)、『あいちトリエンナーレ2016』(愛知県美術館、2016年)など。
【最終審査員による総評】
金島隆弘(金沢美術工芸大学 准教授)
秀作の揃った前回より続けて最終審査を担当させていただき、今回も実際の展示として作品を観てみたいと思う提案が多くあった中で臨んだ審査会でしたが、コンセプトの説明に重きが置かれ、具体的な作品の内容や展示プランをイメージしにくい発表や、目先の情報に作品が引っ張られ、自身と社会との接続性が希薄な作品の提案が多い印象でした。
アウォードを機に自分が制作したい、挑戦したい、実験したい、という作家としての強い意思が伝わってくる発表が思いの外少ない中、惜しくも受賞まであと一歩という作家もいましたが、ファイナリストに選ばれた5名は、今までの活動や制作を踏まえながら自分が新たに取り組んでみたいこと、そして社会の中で自分という存在が何者なのかを作品を通じて考え続けることを素直に伝えようとする姿勢を感じました。これから実際の展示に向け、その強い思いが具体的な作品として立ち上がり、展開していくことを期待したいと思います。
神谷幸江(美術評論家、キュレーター)
制作に駆り立てるモチベーションが、自分を見つめることに始まっていい。非常に多くのプロポーザルが「私」を語ることに始まり、自身の出自や体験に真摯に向き合っていた。けれどもその考求の多くが各々の個人空間に留まったままでいる。個人的なことは政治的なこと(The personal is political.)なのだ。ダイナミックな変化にうねる世界に向け、どう繋がり鍵手をかけるのか。社会政治的な構造に疑いを持ち、個と世界との関わりを分析・探求することは、作品の深度と強度を高めるのに必要なプラクティスでもある。TERRADA ART AWARD 2023に臨んだ応募者の中でファイナリストたちは、美術という表現を通じ、グローバルな世界への問いかけと発信の一石を投じる試みに、果敢な一歩を踏み出していた。
寺瀬由紀(アートインテリジェンスグローバル ファウンディング・パートナー)
再スタートして2回目となるTERRADA ART AWARD、今回も数多くの応募があったようで、早くも国内で有数の公募展とアーティストの皆さんに認識されていることを喜ばしく思います。
最終審査にあたっては、過去の作品制作ポートフォリオにおけるコンセプトやアウトプットは非常に興味深いのに、そこから最終展示案に舞台を移す際への表現展開が乏しいケースも多々見られました。また、パーソナルな関心やテーマを通じてユニバーサルに訴えかける作品への展開を目指すべきところ、極めて個人的な世界観の中で物語が終始完結してしまい、受け手のオーディエンスが作品からの最終メッセージを読み解き難いというケースも多かったように思います。
そんな中で今回最後まで残った5名のアーティストの皆さんは、与えられた表現舞台における言語化の手法と、なぜ今ここで自分がその作品を作りたいのかの理由づけが明確に確立されていたと思います。グローバルな舞台で活躍できるアーティストを支援するという本アウォードの設立趣旨に鑑みると、これらの能力を兼ね備えることはまさに必要不可欠であり、今回は残念ながら選考に残らなかったアーティストの皆さんも、今後もこのような公募展へのチャレンジを重ねて、少しでも表現者としての経験値を積んでいっていただければと思います。
真鍋大度(ライゾマティクス ファウンダー、アーティスト、インタラクションデザイナー、プログラマ、DJ)
エントリーされた多数の作品を拝見し、その制作の背景や研究テーマが、しばしば作家の個人的な体験に端を発しているのは非常に興味深く、その後の展開が社会や政治的なテーマへと洗練されていることに感銘を受けました。しかしながら、そのテーマの深さや複雑さを、視覚的・空間的な表現へと完全に昇華させている作品は少数に留まるように見受けられました。グローバルな視点を取り入れることに挑戦している作家が多い中、一部の作品では普遍的とされる視点の繰り返しや、社会事象に対する感受性の欠如が目立ちました。それでも、中には作者の熱意や探求心が鮮明に伝わる作品もあり、審査員たちの共感を引き出し、今回の評価で特に印象的であったのではないかと感じております。
鷲田めるろ(十和田市現代美術館 館長、東京藝術大学 准教授)
金は、パラフィンワックスという、つるつるとした、上にインクが定着しにくい素材をあえて用いることによって、シルクスクリーンによる重層的な平面作品を生み出してきた。今回は、パラフィンワックスでできたカヌーの形の立体と平面を組み合わせる。会期中、ゆっくりとそのワックスが溶けていく様子を見せることによって、ワックスの素材感が観客により伝わりやすくなると予想される。
日常の中にある不安感の表現を得意とする冨安は今回、「リミナル・スペース」に着目する。冨安の特徴である手触りのある中古家具を用いることを封印し、無機質なオフィス家具を使うことが新たな挑戦となるだろう。
原田は、「フェイストラッキング」というデジタル技術を用いて移民のテーマに取り組む。デジタルの「コピー」と、美術における「写し」という、それぞれ大きなテーマが架橋されることを期待したい。
村上は、「家を背負って移動し、住み込む」という代表作ではなく、さまざまなオブジェを演劇的に繋げてゆくというプラン。平面状の輪郭と、立体とを繋ぐ表現に新たな展開への期待が膨らむ。
やんツーは展示実績のある要素を組み合わせた計画で、実現可能性の点で最も信頼できる提案。アウォードの主体と会場である「倉庫」という文脈にも適合する。
審査の過程では、ジェンダー、移民といったテーマの作品も多くあったが、最終的に金と原田の作品しか残すことができなかったのは心残りである。それらの作品は映像を表現手段とするものも多く、作品の中心となる映像の内容が審査の段階で詰めきれていなかったことも、残しづらかった要因の一つであった。他方、村上、やんツーの演劇的な表現は、本アウォードに新たな展開をもたらすだろう。
一次審査員による総評:https://www.terradaartaward.com/ja/finalist/
審査員のプロフィール:https://www.terradaartaward.com/ja/member/
【TERRADA ART AWARD 2023開催概要】https://www.terradaartaward.com
名称:TERRADA ART AWARD 2023
対象活動:現代アート全般(絵画等の平面、写真、立体(オブジェクト)、テキスタイル、映像、デジタル・メディアアート、パフォーマンスなど身体表現、音または音楽など全ての媒体を含む)
支援内容:ファイナリスト5組に各300万円
※TERRADA ART AWARD 2023 ファイナリスト展のための新作制作・展示の費用を含む
副賞:「ルイナール ブラン・ド・ブラン」、「PIGMENT TOKYO」の商品10万円分、寺田倉庫の美術品保管サービスの2年間無料利用
主催:寺田倉庫株式会社
協賛:日本航空株式会社、MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社
運営協力:藤原羽田合同会社
【TERRADA ART AWARD 2023 審査員】(敬称略・五十音順)
最終審査員:金島隆弘(金沢美術工芸大学 准教授)、神谷幸江(美術評論家、キュレーター)、寺瀬由紀(アートインテリジェンスグローバル ファウンディング・パートナー)、真鍋大度(ライゾマティクス ファウンダー、アーティスト、インタラクションデザイナー、プログラマ、DJ)、鷲田めるろ(十和田市現代美術館 館長、東京藝術大学 准教授)
一次審査員:池城良(アーティスト、ミュージシャン、研究者、香港城市大学クリエイティブメディア学部 助教授)、大巻伸嗣(美術作家)、木村絵理子(キュレーター、弘前れんが倉庫美術館副館長兼学芸統括)、高橋龍太郎(精神科医、現代アートコレクター)、竹久侑(キュレーター、水戸芸術館現代美術センター 芸術監督)、椿玲子(森美術館キュレーター)
【TERRADA ART AWARD 2023 ファイナリスト展について】
ファイナリスト5組は、最終審査において提出した「展示プラン」に基づき、賞金の300万円を制作費として活用し、実際に作品を制作します。制作した作品はファイナリスト展の会場である、倉庫空間をリノベーションした当社イベントスペースにて展示いたします(入場料:無料)。
会期:2024年1月10日(水)〜2024年1月28日(日)※初日は招待者のみ入場可能
[画像7: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/14158/354/14158-354-1b5ddc9c2e4fed726b6dd0632afbd9c7-1200x750.jpg ]
前回TERRADA ART AWARD 2021 の詳細:https://www.terradaartaward.com/2021/finalist.html
【寺田倉庫について】
[画像8: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/14158/354/14158-354-c586fec43a1915ff23619b6ffe496a96-390x151.jpg ]
社 名:寺田倉庫株式会社(Warehouse TERRADA)
代表者:代表取締役社長 寺田航平
所在地:〒140-0002 東京都品川区東品川2-6-10
設 立:1950年10月
U R L:https://www.terrada.co.jp
【TERRADA ART AWARDに関するお問い合わせ先】
寺田倉庫 TERRADA ART AWARD事務局 E-MAIL: award@terrada.co.jp
プレスリリース提供:PR TIMES