プレスリリース
受賞日 2022年2月7日
つくば市は、令和2年から3年にかけて実施したナッジを活用した取り組みについて、環境省等が主催する「ベストナッジ賞コンテスト2021」で大賞(環境大臣賞)を受賞しました。この取り組みでは、市民に返送をお願いする通知の封筒に「返送期限」を入れたことにより、前年から返送率が26.5%向上しました。
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ナッジ(nudge)とは
直訳は「そっと後押しする」。行動科学の知見の活用により、人々が自分自身にとってより良い選択を自発的に取れるように手助けする政策手法のことです(出典:環境省HP http://www.env.go.jp/earth/ondanka/nudge/nudge_is.pdf)。つくば市では、2019年12月からつくばナッジ勉強会として、政策イノベーション部の職員を中心に政策へのナッジの活用を行っています。
■今回取り組んだ事業「避難行動要支援者名簿」の概要
・東日本大震災の教訓から、市町村には、災害時に自ら避難することが困難な方を「避難行動要支援者」とし、対象となる方の情報を集約した名簿を作成することが義務付けられました(平成26年4月施行)。
・名簿情報は、災害時には民生委員等の「避難支援者」に自動的に提供しますが、平常時には本人(避難行動要支援者)または保護者の同意がない限り提供できないため、災害時に備えて避難計画策定等の準備を行うことができません。
・つくば市では、毎年、新規登録者に対して平常時の情報提供の可否に関する通知を郵送で送り、同意書の返送をもって本人の意向を確認していますが、返送率は40%以下に留まっており、60%以上の方の意向を確認できていないことが課題でした。
■ナッジと効果検証
・各ナッジについての効果検証を行うため、令和2年11月と令和3年1月に対象者(851名)をランダムに4つのグループに分けて、それぞれの封筒に異なるメッセージを印字して郵送しました。
グループ1:メッセージなし
グループ2:〇年〇月〇日までにご返送ください
グループ3:〇〇さまに大切なお知らせです
グループ4:避難支援を受けられる可能性があります
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・動作指示(返送期限)を入れたグループの返送率(52.8%)は、メッセージを入れなかったグループ(統制群)と比べて13ポイント高くなりました。この13ポイントの向上が統計学的に意味のある差であるかどうか統計処理(検定)をしたところ、有意差が認められ、返送率の向上は「偶然ではない」ということが示されました。
•この結果を受け、令和3年5月に新規対象者全員の封筒に動作指示(返送期限)を印字して
郵送したところ※、返送率は64.2%となりました(前年から26.5ポイント増)。
※封筒に動作指示(返送期限)を印字したほか、チラシの改善と電子回答の導入の2点も追加しています。
・減少した未返送者に対する意向確認業務(職員2名による戸別訪問を想定)が不要となるため、これを行うための年間約39日分の業務量(人件費換算で約113万円)が削減できます。
・今回の結果は、他の通知への応用も期待できます。
ベストナッジ賞コンテストについて
環境省、日本版ナッジ・ユニットBEST、行動経済学会の三者が連携して平成30年度から実施しているもので、行政、民間、NPOなど対象を限定せず、幅広い分野の社会・行政課題の解決に向けてナッジ等の行動科学の理論・知見を活用して行動変容を促進するため、効果を測定した実績のある取組を募集し表彰しています。
プレスリリース提供:PR TIMES