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企業の人手不足感は、再び上昇傾向

(PR TIMES) 2021年08月24日(火)16時15分配信 PR TIMES

多くの業種で不足感が高まる一方、過剰感が続く業種も

厚生労働省によると、2021年8月13日時点で新型コロナウイルスの影響による解雇等見込み労働者数(累積値)は11万3,272人となった。月次ベースでは減少傾向にあるものの、2021年7月においても3,586人と多くの労働者が解雇・雇い止めされている。

一方、直近の雇用状況をみると、2021年6月の有効求人倍率(季節調整値)は1.13倍となり5月から0.04ポイント上昇。新規求人数(原数値)は製造業、サービス業、教育・学習支援業などで増加した。しかし、宿泊業や飲食サービス業では新規求人数が減少するなど、雇用情勢は業種によってバラつきがみられる。

<調査結果(要旨)>


[画像1: https://prtimes.jp/i/43465/337/resize/d43465-337-90d02aa344f9eef02eb7-4.png ]

正社員が不足している企業は40.7%となった。正社員の人手不足割合は、2020年5月(29.1%)を底にして再び上昇傾向がみられる。業種別にみると、「建設」では57.5%と、51業種で最も高い割合となった。また、「自動車・同部品小売」や「輸送用機械・器具製造」などの自動車関連の業種が上位にあがった。
非正社員が不足している企業は22.5%となった。業種別では、「飲食店」や「各種商品小売」といった個人消費関連の業種が上位にあがった。また、「メンテナンス・警備・検査」や「人材派遣・紹介」なども高水準となった。
正社員が過剰な企業を業種別にみると、「旅館・ホテル」が42.5%でトップとなった。以下、「医薬品・日用雑貨品小売」「繊維・繊維製品・服飾品卸売」「出版・印刷」などが続いた。

帝国データバンクは人手不足に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2021年7月調査とともに行った。
※調査期間は2021年7月15日〜31日、調査対象は全国2万4,285社で、有効回答企業数は1万992社(回答率45.3%)。なお、雇用の過不足状況に関する調査は2006年5月より毎月実施しており、今回は2021年7月の結果をもとに取りまとめた
※本調査の詳細なデータは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している


正社員の「不足」割合は40.7%、依然として2019年の水準は下回るもの上昇傾向
現在の従業員の過不足状況を尋ねたところ(「該当なし/無回答」を除く)、正社員について「不足」していると回答した企業は40.7%となった。2019年7月の水準と比較すると7.8ポイント下回っているものの、2020年7月からは10.3ポイント増加。正社員の人手不足割合は、2020年5月(29.1%)を底にして再び上昇傾向がみられる。また、「適正」と回答した企業は45.7%(前年同月比1.1ポイント減、2年前比3.5ポイント増)、「過剰」と回答した企業は13.6%(同9.3ポイント減、同4.3ポイント増)となった。

「不足」している企業を規模別にみると、「大企業」で46.2%(同9.3ポイント増、同13.1ポイント減)、「中小企業」は39.6%(同10.7ポイント増、同6.3ポイント減)、「中小企業」のうち「小規模企業」は36.2%(同5.9ポイント増、同5.9ポイント減)となった。正社員の人手不足の割合は、全ての規模で2020年5月〜6月以降上昇傾向が続いている。
[画像2: https://prtimes.jp/i/43465/337/resize/d43465-337-37831970b43b0e65fed8-2.png ]



業種別にみると、少子高齢化などの影響により職人不足が進む「建設」(57.5%、同5.6ポイント増、同10.0ポイント減)では6割弱が人手不足を感じており、51業種で最も高い割合となった。「建設」の企業からは、「業界内の企業及び職人が不足しているので、受注機会が多い」(一般管工事、長野県)や「2020年の工事の見合わせ物件、雪害の改修工事などで人手不足感がある」(金属製屋根工事、秋田県)といった声があがった。

また、「自動車・同部品小売」(57.1%、同10.9ポイント増、同2.9ポイント減)や「輸送用機械・器具製造」(47.3%、同35.2ポイント増、同11.5ポイント増)などの自動車関連の業種も上位にあがった。特に「輸送用機械・器具製造」は前年比で35%超、2019年比でも10%を超える大幅な上昇となった。さらに、IT人材の不足が目立つ「情報サービス」(54.7%、同10.2ポイント増、同19.3ポイント減)も高水準での推移が続いている。
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非正社員の「不足」は22.5%、個人消費関連の業種が上位に並ぶ
非正社員が「不足」していると回答した企業(「該当なし/無回答」を除く)は22.5%(前年同月比5.9ポイント増、2年前比7.3ポイント減)、「適正」は66.5%(同4.3ポイント増、同3.9ポイント増)、「過剰」は11.0%(同10.2ポイント減、同3.3ポイント増)となった。

規模別に非正社員が「不足」している割合をみると、「大企業」は21.7%(同4.4ポイント増、同12.5ポイント減)、「中小企業」は22.7%(同6.3ポイント増、同5.8ポイント減)、「中小企業」のうち「小規模企業」は22.0%(同4.8ポイント増、同6.2ポイント減)となった。人手不足割合は全ての規模で前年同月から上昇し、それぞれ20%を上回った。業種別にみると、「飲食店」が56.4%(同17.8ポイント増、同23.6ポイント減)や総合スーパーなどを含む「各種商品小売」(48.8%、同1.2ポイント増、同13.4ポイント減)といった個人消費関連の業種が上位に並んだ。また、ビルメンテナンスや警備業で不足の割合が高い「メンテナンス・警備・検査」(44.0%、同7.3ポイント増、同10.8ポイント減)、生産が回復傾向にある製造業向けの引き合いが高まっている「人材派遣・紹介」(41.8%、同13.5ポイント増、同11.1ポイント減)なども高水準となった。


正社員が「過剰」な業種では、「旅館・ホテル」がトップ。アパレルや広告関連も上位に
正社員の人手が「過剰」だとする割合を業種別にみると、観光需要の減退が影響している「旅館・ホテル」が42.5%でトップとなった。「旅館・ホテル」は1年前の2020年7月(57.6%)時点でもトップであり、人手過剰感は低下しているものの依然として高水準で推移している。
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また、外来診療控えが調剤薬局に影響を及ぼしているとみられる「医薬品・日用雑貨品小売」や、アパレル関連の「繊維・繊維製品・服飾品卸売」「繊維・繊維製品・服飾品製造」、イベントの中止や印刷需要の減退などが響いている「出版・印刷」「広告関連」が上位にあがった。


雇用情勢は業種によって温度差も
帝国データバンク「TDB景気動向調査」によると、2021年7月の景気DIは前月比1.6ポイント増の40.7となり、2カ月連続で改善した。国内景気は、新規感染者数の増加が続いたものの製造業がけん引し、回復傾向が続いた。

こうしたなか、正社員の人手不足割合は前年同月から10.3ポイントと大幅に上昇した。新型コロナウイルスの感染が拡大する前の2年前の水準までは戻っていないものの、建設業や自動車関連など業種によって人手不足感は再び高まりつつある。

一方で、新型コロナウイルスにより経済活動に大幅な制限を受けている「旅館・ホテル」などの業種では、人手の過剰感が依然として高水準にある。企業の景況感は業種によってK字回復の様相が強まりつつあるなか、その雇用情勢も業種によって温度差がみられる。

厚生労働省中央最低賃金審議会の小委員会は2021年7月14日に、2021年度の地域別最低賃金の改定に関して、全国平均の時給を930円とする目安をまとめた。最低賃金の引上げ幅は28円と過去最大である。一方で、2021年以降木材や金属などの材料価格の上昇や海上コンテナの不足といった要因も重なり、企業の仕入単価は上昇している。最低賃金や仕入単価の上昇によって、企業の収益環境の悪化が今後懸念される。

そうしたなか人手不足の解消に向けては、デジタル化・省人化投資のより一層の促進や、人手過剰の業種から人手不足の業種への労働力の移動、労働者の職業能力の再開発・再教育(リスキリング)などへ重点的に取り組む必要があろう。
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プレスリリース提供:PR TIMES

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