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「主観的なキャリア充足度と従業員エンゲージメントならびにマネジメントレベルとの関係性」に関する研究結果を公開

(PR TIMES) 2022年03月09日(水)19時15分配信 PR TIMES

株式会社リンクアンドモチベーション(本社:東京都中央区、代表:小笹芳央、証券コード:2170、以下当社)の研究機関モチベーションエンジニアリング研究所(以下当研究所)は、「主観的なキャリア充足度と従業員エンゲージメントならびにマネジメントレベルとの関係性」に関する調査を行いましたので、結果を報告いたします。

本調査では、組織開発Divisionにて提供している「エンプロイーエンゲージメントサーベイ」と「マネジメントサーベイ」、そして個人開発Divisionにて提供している「BRIDGE-C」の蓄積データを活用。結果、従業員の主観的なキャリア充足度が高いほど、従業員エンゲージメントが向上し、マネジャーの主観的なキャリア充足度が高いほど、マネジメントサーベイから算出されるマネジメントスコアが高い傾向にあることが示唆されました。
「従業員エンゲージメント向上」と「自律したキャリア育成」のニーズが高まる中で、引き続きグループ全体のアセットを活用してオンリーワンの価値を提供してまいります。

[画像1: https://prtimes.jp/i/6682/324/resize/d6682-324-d084faa396fffde8d0ed-0.png ]



調査背景

第四次産業革命により企業間の競争が激化する時代の中、企業の寿命は個人の労働寿命よりも短くなり、個人が一つの企業に勤めあげるという時代は終わりを迎えつつある。そういった時代変化に伴い、一つの企業に依存したキャリアを描くよりも、望むキャリアを実現するために会社や仕事を選択するという、自律したキャリア観が個人に求められる時代になってきている。

一方、ATD(※1)カンファレンス(世界最大の人材開発カンファレンス)におけるアジェンダ数の割合推移(下記図1参照)を見ると「キャリア開発」アジェンダの順位は2018年と2019年には8位だったが、2020年に6位、2021年には3位にランクインするなど個人のキャリア開発は世界的にも注目されている。企業のDX推進に紐づく個人のリスキルも広義ではキャリア開発と言えるだろう。

このような環境の中、個人のキャリア開発に対する企業の関わり方はどうあるべきなのか。本調査では、個人の主観的なキャリア充足度と、企業と個人の相互理解・相思相愛度合いであるエンゲージメントスコアならびにマネジメントサーベイから算出されるマネジメントスコアとの関係性を調査した。

(※1): ATD(Association for Talent Development)
企業や行政組織におけるラーニングとパフォーマンスの向上を支援することをミッションとする、世界最大の人材・組織開発に関する組織(NPO)。アメリカのバージニア州に本部があり、世界120ヵ国以上約35,000人の会員を有している。

[画像2: https://prtimes.jp/i/6682/324/resize/d6682-324-082b4b69c23b1d247ffb-1.png ]

図1 ATDカンファレンスにおけるアジェンダ数の割合推移
出典 2018年-2021年のATDカンファレンスHPより当研究所が作成
※2018年-2021年にかけて継続しているアジェンダを抜粋



調査概要

■適性検査「BRIDGE-C」の概要
「BRIDGE-C」とは受検者が自身のキャリアやスキルに対する希望度・実現度を5段階で回答することで、自身の現在のキャリア充足度と今後のスキルの強化ポイントを確認するための適性検査である。
キャリアに対しては「キャリアビジョン」「キャリアヒストリー」「ビジネススタイル」「ライフスタイル」に対する満足度を測定し、スキルに対しては「テクニカルスキル」「ポータブルスキル」に対する、希望度・実現度を測定する。(図2参照)全ての回答結果を総合し、「キャリア充足度」のスコアとして「キャリアディベロップメントスコア(以下CDS)」を算出している。

[画像3: https://prtimes.jp/i/6682/324/resize/d6682-324-d65b335650cc0e72647a-2.png ]

図2 適性検査「BRIDGE-C」の構成要素


[画像4: https://prtimes.jp/i/6682/324/resize/d6682-324-0862467ef4fb08d93ea5-3.png ]

■エンプロイーエンゲージメントサーベイの概要
社会心理学を背景に人が組織に帰属する要因をエンゲージメントファクターとして16領域に分類し、従業員が会社に「何をどの程度期待しているのか(=期待度)」、「何にどの程度満足しているのか(=満足度)」の2つの観点で質問を行う。

エンゲージメントファクターにはそれぞれ4つ、計64の項目が設定されて
おり、回答者はそれぞれの期待度、満足度を5段階で回答する。その回答結果から「エンゲージメントの偏差値」であるエンゲージメントスコア(以下ES)を算出し、エンゲージメント・レーティング(以下ER)として整理している(※2) 。


(※2)エンゲージメントスコア(ES)と
エンゲージメント・レーティング(ER)


■マネジメントサーベイの概要
マネジャーのマネジメント状態を診断するためのサーベイ。上司回答版と部下回答版の2種類が存在する。
サーベイでは全40の質問項目に対し、マネジャーの上司、マネジャーの部下が「何をどの程度期待しているのか(=期待度)」、「何にどの程度満足しているのか(=満足度)」の2つの観点について5段階で回答する。
全ての回答結果を総合し、マネジメントサーベイから算出したスコアをマネジメントスコアとしている。

<データ収集期間>
2016年11月〜2021年5月

<調査対象>
当社グループ会社の従業員
企業数:12社
総回答者数:1,421名



調査結果


■従業員の主観的なキャリア充足度が高い組織ほど、従業員エンゲージメントが高いことが明らかになった。

1.従業員の主観的なキャリア充足度と従業員エンゲージメントとの関係性
当社グループ会社における部門別平均CDSとエンゲージメントスコアとの相関関係を調べた結果を表1,図3に示す。

下記の通り、個人の主観的なキャリア充足度と従業員エンゲージメントとは統計的に有意な正の相関関係が観察された。つまり、従業員の主観的なキャリア充足度が高い組織ほど、従業員エンゲージメントは高くなるということが明らかになった。

個人の自律したキャリア開発を支援することは、企業と個人の相互理解・相思相愛度合いを表すエンゲージメントスコアに対してネガティブな影響を与えるとも考えられるが、本調査の結果からは、個人のキャリア開発を企業側からも支援し、個人の主観的なキャリア充足度を高めることが、従業員エンゲージメント向上につながることが示唆される。また、個人の主観的なキャリア充足度と従業員エンゲージメントは互いに正の相関関係があることから、組織の従業員エンゲージメントを高めることで、その組織に所属する個人の主観的なキャリア充足度が向上することも示唆される。

[画像5: https://prtimes.jp/i/6682/324/resize/d6682-324-37ebf6a141ffacabce4e-4.png ]

                    表1:データ数と相関係数

[画像6: https://prtimes.jp/i/6682/324/resize/d6682-324-ddd1f4b2cc594607fec1-5.png ]

              図3 キャリア充足度とエンゲージメントスコアの関係

[画像7: https://prtimes.jp/i/6682/324/resize/d6682-324-613bf53626a8021fd95b-6.png ]

                    <参考:相関係数の見方>


■主観的なキャリア充足度が高いマネジャーほど、マネジメントサーベイから算出されるマネジメントスコアが
高いことが明らかになった。

2.個人の主観的なキャリア充足度とマネジメントスコアとの関係性

当社グループ会社別のマネジャー平均CDSとマネジメントサーベイから算出されたマネジメントスコアとの関係性を調べたところ、主観的なキャリア充足度が高いマネジャーほど、マネジメントサーベイから算出されるマネジメントスコアが高いことが明らかになった。つまり、マネジャー個々人へのキャリア開発を行うことにより、マネジャーとしての役割におけるパフォーマンスが向上することが示唆される。

一般的に行われるマネジャーとしての役割理解やスキル向上のための研修だけではなく、マネジャー自身のキャリア開発を企業が支援するという取り組みも、マネジャーとしてのパフォーマンスを高める有効な手段となりうる。



結論

従業員の主観的なキャリア充足度が高い組織ほど従業員エンゲージメントが高いという正の相関関係が
明らかになった。また、主観的なキャリア充足度が高いマネジャーほどマネジメントサーベイから算出される
スコアが高いことも明らかになった。
メンバーやマネジャーへのキャリア開発を支援することで、従業員エンゲージメントの向上につながり、
マネジャーのパフォーマンス向上にも寄与する可能性が示唆された。

第四次産業革命により企業間の競争が激化する時代の中、企業の寿命は個人の労働寿命よりも短くなり、個人が一つの企業に勤めあげるという時代は終わりを迎えつつある。そういった時代変化に伴い、一つの企業に依存したキャリアを描くよりも、望むキャリアを実現するために会社や仕事を選択するという、自律したキャリア観が個人に求められる時代になってきている。

このような環境の中、個人のキャリア開発に対する企業の関わり方はどうあるべきなのか。本調査では、個人の主観的なキャリア充足度と、企業と個人の相互理解・相思相愛度合いであるエンゲージメントスコアならびにマネジメントサーベイから算出されるマネジメントスコアとの関係性を調査した。

本調査の結果、個人の主観的なキャリア充足度と従業員エンゲージメントとは統計的に有意な正の相関関係が観察された。つまり、従業員の主観的なキャリア充足度が高い組織ほど、従業員エンゲージメントも高くなるということが明らかになった。

また、マネジャーの主観的なキャリア充足度が高いほど、マネジメントサーベイから算出されるマネジメントスコアが高い傾向にあることも明らかになった。個人としてのキャリア充足に伴い、マネジャーの役割にやりがいを感じることで、パフォーマンスが向上するとも考えられる。

一見すると、企業が個人の自律したキャリア開発を支援することは、働く上での他の選択肢を提供することにつながり、企業と個人の相互理解・相思相愛度合いを表すエンゲージメントスコアに対してネガティブな影響を与える可能性も考えられる。例えば、企業のDX推進により、個人のリスキルが進みキャリア充足度は高まったが、企業とのエンゲージメントは低下してしまうケースがあり得るのではないか、ということである。

しかし、本調査の結果からは、個人の主観的なキャリア充足度と従業員エンゲージメントとの間には正の相関関係が観察された。一部には、企業が個人のキャリア開発を行うことで、企業が望まない離職に繋がってしまうのではないかという不安もあるだろう。一方で、自律したキャリア観に乏しく、個人が自分自身のキャリアを企業に依存してしまう状況も避けなければならない。

これからの時代においては、キャリア開発を個人に委ねるのではなく、自律したキャリア観を醸成するべく、企業側からも積極的に投資や支援を行い、従業員の主観的なキャリア充足度を高めることが大切になってくるのではないだろうか。



発行責任者のコメント

今回のレポートでは、個人のキャリア充足度と、企業と個人の相互理解・相思相愛度合いであるエンゲージメントスコアならびにマネジメントサーベイから算出されるマネジメントスコアとの関係性を調査しました。

本調査の結果、従業員の主観的なキャリア充足度が高いほど、従業員エンゲージメントが高くなることが明らかになりました。また、マネジャーの主観的なキャリア充足度が高いほど、マネジメントサーベイから算出されるマネジメントスコアが高い傾向にあることも示唆されました。

今の時代から見ると当然のようで、意外な結果でもあります。企業が従業員のキャリア自律を声高に唱えるのは、決まって不況期だったからです。現在における企業のDX推進、従業員のリスキルも、危機感訴求の強さは否めません。一方、好況期や人手不足の状況での従業員のキャリア開発は、企業が望まない離職につながるのではないか、という不安からかひっそりと行われ、従業員からそれほど期待されていなかったように思います。

「従業員のキャリア充足度を高めるような企業の取り組みは、従業員エンゲージメントを高める」ということは、キャリア開発を従業員に委ねたり蓋をしておくのではなく、企業側から積極的に投資や支援を行うことが大切であり、キャリア開発が企業として従業員を束ねる一つの求心力になり得るということではないでしょうか。

プロフィール
[画像8: https://prtimes.jp/i/6682/324/resize/d6682-324-1622565a9c324e4856eb-7.jpg ]


大島 崇(おおしま たかし)
株式会社リンクアンドモチベーション
モチベーションエンジニアリング研究所 所長

2000年 京都大学大学院エネルギー科学研究科卒業
2005年 住商情報システム株式会社を経て株式会社リンクアンドモチベーションに入社
2010年 モチベーションマネジメントカンパニー 執行役部長に就任
    大手企業向けの組織変革や人材開発で多くのクライアントを担当
    同時に商品統括ユニット、モチベーションエンジニアリング研究所を兼任し、新商品を開発
2015年 モチベーションエンジニアリング研究所 所長に就任
2022年 当社執行役員(モチベーションエンジニアリング研究所管轄)に就任


<リンクアンドモチベーショングループの概要>
・代表取締役会長:小笹 芳央
・資本金:13億8,061万円
・証券コード:2170(東証一部)
・本社:東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワー15階
・創業:2000年4月
・事業内容
組織開発ディビジョン(コンサル・クラウド事業、IR支援事業)
個人開発ディビジョン(キャリアスクール事業、学習塾事業)
マッチングディビジョン(人材紹介事業、ALT配置事業)
ベンチャー・インキュベーション



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