プレスリリース
汗中のAGEsが毛穴周辺の皮膚に悪影響を及ぼすリスク要因に
ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長: 釘丸和也)は、肌に悪影響をおよぼす「糖化」に着目した研究を行い、以下の3点を明らかにしました(図1)
1.汗に含まれるタンパク質が糖化し、最終糖化産物(AGEs)に変化してしまうこと
2.汗中に生じたAGEsによって表皮細胞から毛穴を目立たせる因子が多く作られること
3.パシャンベエキスとレンゲソウエキスが汗中のタンパク質の糖化を抑制し、完熟ツルレイシエキスとヨモギエキスが汗中に生じたAGEsの悪影響をブロックすること
今回の発見を活用することで、汗中のAGEsによるダメージから毛穴周辺の細胞やコラーゲンを守ることができると期待されます。この知見は今後、ポーラ・オルビスグループの商品やサービスに活用します。
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汗に含まれるタンパク質が糖化することを発見
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ポーラ化成工業では長年にわたり角層や表皮・真皮など皮膚中のタンパク質の糖化を研究し、その産物AGEsがたるみやくすみの一因となることを解明しています。一方、汗は肌上に必ず存在するにも関わらず糖化研究では注目されていませんでした。本来は体温調節のほか保湿など、肌の健康を保つ役割を持つことが知られている汗ですが、タンパク質を含むことから糖化リスクも見逃せません。汗に含まれる主なタンパク質は、細菌から肌を守る抗菌ペプチドです。本研究ではその一種を実験に用い、高温・紫外線条件のもとでは数時間で糖化が進むことを発見しました。(図2、補足資料1)。
汗中のAGEsは肌に悪影響を及ぼす
汗は表面張力が低いことから肌になじみやすく、毛穴に入っていく可能性も高いと考えられます。そこで、毛穴に入った汗中のAGEsが肌に悪影響を与える可能性を検証しました。上記の抗菌ペプチドを人工的に糖化させてAGEsを作り、毛穴の内壁を構成する表皮細胞に添加したところ、毛穴の目立ちに関連する因子が増加することを発見しました(補足資料2)。
汗に含まれるタンパク質の糖化および汗中のAGEsの悪影響を予防するエキスを発見
パシャンベエキスとレンゲソウエキス※1の混合物に、汗に含まれるタンパク質の糖化を防ぐ作用が(補足資料3)、完熟ツルレイシエキスとヨモギエキス※2の混合物には、汗のタンパク質から生じたAGEsの悪影響をブロックする作用があることを見出しました(補足資料4)。 ※1,2 自社オリジナル製法エキス
【補足資料1】 汗に含まれるタンパク質の糖化について
汗※3には、ナトリウム、カリウムなどのミネラルや天然保湿因子のほか、細菌から肌を守る抗菌ペプチド、そしてグルコースなどの糖分が含まれています。本研究では、タンパク質である抗菌ペプチド(ダームシジン)が糖化しAGEsに変化することを見出しました(図3)。汗に含まれる抗菌ペプチドのうち、ダームシジンは汗に特異的に含まれるものとして知られています。本研究ではこのダームシジンを実験に用いました。
※3 エクリン汗腺から分泌されるもの
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【補足資料2】 汗中のAGEsの表皮細胞への影響について
汗に含まれる抗菌ペプチドを糖化させて作ったAGEsによって、表皮細胞の角化※4異常に関連する因子や、真皮を破壊する因子の遺伝子発現量が増加しました(図4)。角化異常に関連する因子は目立つ毛穴部分の表皮に多く発現することが知られており、表皮細胞を過剰に増殖させターンオーバーを乱し、毛穴がすり鉢状に開くことを助長します。また、真皮を破壊する因子※5はコラーゲン産生を低下させるとともに、コラーゲンを壊す酵素を増やし、真皮の構造を悪化させ、たるみによる毛穴の目立ちを助長することが考えられます。
したがって、汗のタンパク質から生じたAGEsが毛穴に入ると、毛穴がすり鉢状に開いたり、毛穴周辺でたるみが生じたりすることで毛穴が目立ちやすくなる可能性が考えられます。
※4 表皮細胞が角層細胞に変化する過程
※5 炎症に関わることも知られている
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【補足資料3】 パシャンベエキスとレンゲソウエキスの作用
パシャンベエキスとレンゲソウエキスがあると、汗に含まれるタンパク質が糖化されてできるAGEsの量が少なくなることを見出しました(図5)。
このことから、これらのエキスには、汗中のタンパク質が糖化することを防ぐ作用が期待できます。
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【補足資料4】 完熟ツルレイシエキスとヨモギエキスの作用
完熟ツルレイシエキスとヨモギエキスを表皮細胞に添加すると、AGEsが存在していても毛穴の目立ちを助長する因子を抑制することを見出しました(図6)。
このことから、これらのエキスには、汗のAGEsが毛穴に入ったときに生じる悪影響をブロックする作用が期待 できます。
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プレスリリース提供:PR TIMES