プレスリリース
ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:釘丸和也)は、化粧水を毛穴内部に効率的に浸透させるための研究で以下の2点を解明しました。
1.狭い毛穴の入り口を突破するのに最適な、製剤の肌への “広がりやすさ” に関する特性値の範囲
2.化粧水を毛穴内部の皮脂成分となじみやすくする保湿成分
本知見を活用することで、毛穴の狭い入り口を突破し、さらに皮脂に富んだ毛穴の内部に行き渡ると期待できる化粧水技術の開発に成功しました(図1)。本技術は、多くのお客様が抱える毛穴悩みに対応できる切り札として、今後、ポーラ・オルビスグループの商品やサービスに活用されます。
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女性の肌悩み 第2位 “毛穴の目立ち”
ポーラ文化研究所の調査によると、15〜74歳女性の1/3以上が毛穴に関する悩みを抱えています(補足資料1)。毛穴悩みの改善には、スキンケア成分を毛穴内部へ効率的に届ける技術が役立つと考えられます。しかし、毛穴浸透性を体系的に研究した例はほとんどなく、いまだ発展途上です。
植物エキスなどの多くは水溶性であり、それらを配合しやすいのは水をベースとする化粧水などの製剤であることから、ポーラ化成工業は化粧水を対象として毛穴に浸透しやすくするための条件について研究しました。
化粧水が毛穴内に浸透しにくい2つの理由
化粧水が毛穴内に浸透しにくい2つの理由化粧水が毛穴に浸透しにくいと考えられる第一の理由は、水の表面張力※1です。純粋な水は丸い水滴になろうとする表面張力が強く働くため、肌になじんだり広がったりしにくい性質を持ち、毛穴の入り口※2のような非常に小さな開口部には特に入り込みにくいと考えられます。また、流動性も液体の広がり方に影響します。したがって、毛穴の入り口を突破させるには、なじみやすさ・広がりやすさに関連する「表面張力」と、流動性つまり「とろみ(粘度)」両方のコントロールが鍵であると考えました。
第二の理由は、毛穴内部が皮脂に富んでいる点です。仲が良くないことを「水と油」と言うように、水は油になじまないため、たとえ化粧水が毛穴の入り口を突破できても、すみずみまでの拡散は期待できません。このことから、毛穴内部で拡散させるには化粧水を油になじみやすくする工夫が必要と考えました。
毛穴への浸透技術構築の鍵は、これら2つの課題を同時に解決することにありました。
※1 液体の表面をなるべく小さくしようとして表面に働く力。
※2 最も小さくて0.1 mm 程度
毛穴の狭い入り口を突破する条件を明らかに
「表面張力」と「とろみ」をさまざまに変えて試験し、最適な条件の範囲を明らかにしました。また、自社で独自に開発した肌との親和性に優れた天然由来成分を活用することで、条件を満たす化粧水技術を構築することに成功しました(補足資料2)。
皮脂になじみやすくする保湿成分を発見
心地よい保湿感触を維持するため、化粧水に使われるさまざまな保湿成分の中から、水溶性成分を皮脂成分中に微細に分散(可溶化)させる成分を見出しました(補足資料3)。
本研究で得られた知見は、毛穴に関する肌悩みの解消に役立つと期待されます。ポーラ化成では今後もお客様のニーズに応える製剤研究を行っていきます。
【補足資料1】 多くの女性が気にしている「毛穴の悩み」
毛穴に関する悩みは、多くの女性に共通した上位の肌悩みです(図2)。したがって、改善に対するニーズも高いと考えられます。
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【補足資料2】 微小な入り口を突破するために必要な「表面張力」と「とろみ」を解明
微小な穴があいたプラスチック板を毛穴に見立て、色を付けた化粧水サンプルを静かに乗せ、穴を突破して板の下にまで透過する量を計測しました。「表面張力」と「とろみ」をさまざまに変えて実験し、化粧水が透過しやすい条件の範囲を突き止めました(図3)。また、ポーラ化成工業で開発した独自成分※3と、とろみの調整に使われる増粘多糖類を組み合わせた特定の組成を用いることで、化粧水でこの2つの条件を同時に満たすことに成功しました。
※3 炭素鎖と糖からなるアルキルグルコシドの1種「Mal2Far」
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【補足資料3】 水溶性成分を皮脂成分中に微細に分散させる保湿成分を発見
良好な使用感触を維持しながら、皮脂成分と水溶性成分のなじみを良くすることが可能な保湿成分を探索し、有効な保湿剤※4を見出しました(図4)。この成分は、化粧水に安定配合可能であり、皮脂と水分の両方と親和性が高いため、その間を取り持つことで皮脂成分の中に水溶性成分を微細に分散させることができます。
※4 親水的なポリオキシエチレンと疎水的なポリオキシプロピレンがランダムにグリセリンに結合した高分子
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プレスリリース提供:PR TIMES