プレスリリース
〜油脂産業に関する先進的技術論文の典拠である学術誌「Journal of Oleo Science」に掲載されました〜
江崎グリコ株式会社は、アーモンドの健康機能研究において、ナッツオイル中に脂肪酸ヒドロキシル化脂肪酸(Fatty Acid esters of Hydroxy Fatty Acid、以下「FAHFA(ファーファ)」と記す)が、一般的に使用されているオイル*1(大豆、パーム、菜種)よりも多く含まれていることを論文にて発表しました。この成果が、油脂産業に関する先進的技術論文の典拠である学術誌「Journal of Oleo Science」12月号に掲載されました。
当社は、長年アーモンドの健康効果について研究を行っています。今までにアーモンド摂取による食後血糖値の上昇抑制作用などに関する研究成果*²を公表してきました。今回の研究では、ナッツオイル中のFAHFAに関して定量的および定性的に実証しました。
掲載概要
掲載誌 :「Journal of Oleo Science」
論文タイトル:Analysis of Fatty Acid Esters of Hydroxyl Fatty Acid in Nut Oils and Other Plant Oils
掲載URL :https://www.jstage.jst.go.jp/article/jos/70/12/70_ess21123/_article
研究概要
・アーモンドオイルと健康的なオイルとして広く認知されているオリーブオイルと成分を比較するために分析を
実施。
・分析した結果、アーモンドオイル中には、糖代謝改善作用および抗炎症作用を有することが報告されている
FAHFAがオリーブオイルより多く含まれていることがわかった。
・そこで、さらに分析サンプルを増やし、数種のナッツオイル(アーモンド*³、クルミ、ピーナッツ)、
オリーブオイル、一般的に使用されているオイル(大豆、パーム、菜種)について、(株)リピドームラボ*
の協力を得て、LC/ESI-MS/MS*を用いて分析を実施。
・その結果、クルミオイルはFAHFAの総量が最も多く(29.34 pmol / mg)、次にピーナッツオイル
(11.56 pmol / mg)、生アーモンドオイル(11.31 pmol / mg)、ローストアーモンドオイル
(8.30 pmol / mg)が続き、ナッツオイル中には、オリーブオイル(4.90 pmol / mg)や
一般的に使用されているオイルより、FAHFAが多く含まれていることが明らかになった。
・またナッツオイル中のFAHFAは主に不飽和脂肪酸から構成されていることが明らかになった。
ご参考:FAHFAについて
FAHFAは、インスリン感受性および血糖コントロールを改善する作用や、炎症性サイトカインの産生を抑制する作用がある成分として、2014年に発見された機能性脂質である*。諸外国でもFAHFAの研究が進んでおり、糖尿病の患者の体内でFAHFAの量が低下していること*や、運動することで体内のFAHFAの量が増加したこと*などが報告されている。抗糖尿病作用が期待されている成分。
*¹ 一般社団法人日本植物油協会「主要13油種の生産量の推移」より、比較対照にパーム油、大豆油、
菜種油を選択
*² Kato, K. et al. J. Nutr. Sci. 8, e25 (2019).
*³ アーモンドオイルは、生のオイルとローストオイルの両方の分析を実施
* (株)リピドームラボ(秋田県秋田市)は機能性脂質を始めとした脂質網羅解析を得意とするリピドーム
解析の受託・研究開発会社である
* 液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化質量分析法。低分子化合物を高い精度で定性、
定量分析する分析方法で、医薬品や食品中の生理活性低分子をはじめ、様々な分子の分析に用いられる。
* Yore, M. M. et al. Cell, 159, 318 (2014)..
* Brezinova, M. et al. Acta. Mol. Cell Biol. Lipids. 1865, 158576 (2020).
プレスリリース提供:PR TIMES