プレスリリース
〜「LGBTQ+と職場セミナー」研修を開催〜
地方を含む日本全国の中小・ベンチャー企業の成長支援をデジタルマーケティング領域で展開するソウルドアウト株式会社(本社:東京都文京区 代表取締役会長CGO:荻原猛、以下「ソウルドアウト」)は、株式会社TIEWA(本社:東京都港区)の代表取締役合田文氏を招いて「LGBTQ+と職場セミナー」を、2021年12月13日に開催しました。
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開催の背景
ソウルドアウトグループでは、2021年の中期経営計画より、サステナビリティ経営を柱として事業を推進しています。その一つの取り組みとして、CEO直下の組織「D&I推進室」を新設します。D&Iとはダイバーシティ&インクルージョンの略で、多様性を一人ひとりが受け入れ尊重することによって、個人の力が発揮できる環境をつくるという考え方です。グループ内のD&Iを進めるべく、有志が集まり研修を開催しました。
講師の紹介
株式会社TIEWA(https://tiewa.co.jp)代表取締役 合田 文さん
誰もが「自分らしく生きる」ための新しい選択肢を持てるような社会をつくりたい。その思いで、SNSで性のあり方やフェミニズム、ダイバーシティについて漫画で紹介するウェブメディア「パレットーク」(※)の編集長を務めています。
ほかにも、企業、団体様向けにLGBTQ+やフェミニズム、女性活躍などについてセミナーやワークショップの開催、さらに同社は異性同士や恋愛関係に限らない、安全でクリーンな出会いを提供するマッチングアプリ「AMBIRD」の運営をしています。
※マンガでわかるLGBTQ+ 「パレットーク」。実話に基づくストーリーでLGBTQ+やフェミニズムについて紹介。「性にまつわるモヤモヤ」をマンガで読み解くメディア。書籍化もしています。Twitter:@palettalk_・Instagram:@palettalk_
合田氏「2020年には、『Forbes JAPAN』の世界を変える30歳未満の30人『30 UNDER 30 JAPAN 2020』にも選出いただきました。SDGsを含め、社会的な部分がビジネスでも注目されていますね。従来は、ビジネスと社会性は両立しないと考えられていましたが、両方に取り組んでいくことがこれからは必要とされており、本日そういったメッセージもお伝えしたいと思います」
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CHAPTER.1 無意識の偏見の話
合田氏「本日の研修はLGBTの話と言いつつ、まずは無意識の偏見の話から始めたいと思います。これは、ジェンダーに関する知識の根っこにある問題です。
やってはいけないことは皆さん何となくご存知だと思います。ですが、それでは応用が利きませんよね。考えすぎてしまうと何も言えなくなってしまう。具体だけを覚えていくと、堅苦しいだけです。根っこの考え方をもっていれば『こういう点で良くないかも』『これはこういう言い方ができるかも』と機転が利くようになると思います」
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無意識の偏見は、アンコンシャス・バイアスとも言われ、誰もがもっているもの。社会で生きていく中で培われた、自分自身が気づいていない、ものの見方と捉え方のゆがみや偏りのことを言います。
合田氏「日本の会社でよくある光景で『接客は女性の方が印象がいい』『女性が淹れてくれたお茶の方が嬉しい』など、年齢や性別によって役割があります。ですがここで必要なのは、女性を女性として見るのではなく、その方個人として見ることです。常識の一歩先を行くとき、無意識の偏見を自覚できるのです」
その人が成果を一番上げられる仕事は何か。場所はどこか。女性だから、障がいがあるから、といった理由が足かせになるなら、もっと皆が活躍できる場所をつくる。そういった努力は、ダイバーシティの醍醐味であるだけではなく、会社の利益を追求するためにも大事だと合田さんは言います。
合田氏「無意識の偏見は、良かれと思って決めつけをして生じるもの。重要なのは、偏見があるのは当たり前だと自覚すること、指摘をされたときに受け取める強さをもっておくことです」
CHAPTER.2 LGBTQ+の話
性のあり方(セクシュアリティ)について考えるときにポイントになるのは下記3つ。
1.自分の性別をどう感じるか
2.どんな性別の人を好きになるか
3.どのような性表現をするか
これは1.性的指向(Sexual Orientation)2.性自認(Gender Identity)3.ジェンダー表現(Gender Expression)を略してSOGIEと呼ばれ、誰もがもっているものです。参加者は、シートを使って自分のSOGIEを考えてみました。
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合田氏「LGBTよりも、SOGIEの議論が今後注目されるようになると思います。日本でLGBTという言葉は、2015年に渋谷区でパートナーシップが認められて以降有名になりました。そこからSOGIEにも注目されるようになっていますね。
どこからが普通、マイノリティ、LGBTといった表現ではなく、皆がグラデーションの一部なんです」
続いて、合田さんから参加者にクイズが出されました。
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正解はすべて×。
1.は、すべて性的少数者という意味。
2.は、80%以上。
(調査実施日:2020年8月25日(火)〜2020年8月28日(金) 調査主体:auじぶん銀行株式会社)
3.は台湾。ちなみに台湾では、2019年5月に同性婚が認められ、2020年5月までに4000組以上の同性カップルが結婚したそうです。また、台湾のIT担当大臣オードリー・タンはトランスジェンダーであることを公表しています。
4.は、合田さんから丁寧に解説がありました。
合田氏「よく言われているのが『同性婚を認めると悪用されるのではないか』という話です。お互いに恋愛的な結びつきはないけれど、信頼し合っている2人の異性が生活における様々なメリットのために婚姻届を出すことは可能です。これは異性間であれば、「悪用」と言われることはないはずです。
また、大多数の同性愛者は、同性婚が認められていない現在、異性と無理して結婚し、子どもをもうけているわけではありません。むしろ同性婚が認められている国では、同性カップルが子どもを養育するケースが増えています」
ちなみに、パレットークでは分かりやすくLGBTQ+について解説されています。
また、LGBTQ+は13人に1人という割合で該当すると言われており、ソウルドアウトグループであれば40〜50人が該当しそうです。
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こういった知識がなく、無意識の偏見がある状態での職場のコミュニケーション事例が紹介されました。下記の例では、子どもが生まれた家庭では、妻が仕事を辞めて育児に専念し、夫が大黒柱として稼いでいくのが普通、といった無意識の偏見が存在しています。
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合田氏「言われなければ分からない、でも言えない、という方が多いんです。実際にセクシュアリティや、性別役割分業に関して差別を受けたり、職場で居場所を失ってしまったりすることがあるからです。例えば男性が育休を取る場合などですね」
これまで苦しい思いをしたことがない人も、自分のマジョリティ性や特権性に気づくことが重要だと言います。LGBTQ+だけではなく国籍や年齢など、マジョリティ性に気づいてマイノリティ性に目を向けることで、視野を広げることができるのです」
CHAPTER.3 LGBTQ+が困りやすいこと
では実際、組織づくりやオフィス環境づくりに活かすにはどうしたらいいのか。
合田氏「LGBTQ+の人は、性自認に合ったトイレや更衣室が使えないなど、自分の思う性別として扱われないことで精神的苦痛を味わう場合がありますね。
当事者はとにかくカミングアウトしづらい状況にいるので、カミングアウトを待つのでは遅く、社内規定などは早めに実施することが求められています。『トイレや更衣室は自分の性自認に合う方を使えます』といった但し書きをしている企業もあります」
また、カミングアウトの内容を第三者に勝手に暴露することをアウティングと言い、非常に人を傷つけてしまう場合があります。まだまだLGBTQ+の方にとっては生きづらい社会。アウティングによって、もう生きられないと感じ、重大な事件に繋がってしまった例も紹介されました。
CHAPTER.4 女らしさ、男らしさ
社会には、性別役割分担意識(男女それぞれの責務や役割を明確に区分する意識)が存在します。例えば、女らしさとは夫のサポートをしたり家事をしたりすることである、といったイメージです。これがジェンダーギャップが生まれる理由だと言います。
そして、世界経済フォーラムが毎年発表するジェンダーギャップ指数で、2021年日本は156か国中120位でした。これは、1.経済への参加とその機会2.教育への到達度3.健康と生存4.政治的エンパワメント、という視点から評価されるものだそうです。
続いて、企業におけるジェンダーギャップの例が紹介されました。参加者からは「聞き覚えがある……」といった声が上がります。
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合田氏「こういった発言が生まれてしまうのは、社会の問題でもあります。私自身、経営をしているとよく分かるんです。ただ、会社としてどう解決していくか、行動に移していくことが重要です。採用で特に意識してほしいと思っています」
企業にとって社会的責任の優先度は低いと考えられがちです。しかし実際、女性役員の割合が多い企業はROE(自己資本利益率)やEBITA(金利・税金・償却前利益)などが高く、利益を出している企業が多いそうです。
また、体力があって長時間労働のできる男性の方が結果を出せると考えられがちです。ですが、体力があるからといって優秀な人材とは限りません。
合田氏「女性はリーダーをやりたがらないというのは無意識の偏見です。私が以前勤めていた会社の社長は女性でした。見事に、管理職にも女性が多かったんですよね。近くにロールモデルがいるとイメージしやすいんだと思います。最近では、経営層に女性を多く登用する企業もあります」
CHAPTER.5 広告の話
私たちの広告業界では、LGBTQ+に関してどのような点に配慮して活動するべきなのでしょうか。これまで炎上したCMをもとに、ポイント3点を解説していきます。
1.変えていかなくてはとされている家父長制に基づいた「男性らしさ」や「女性らしさ」を肯定していないか?
2.本当はそうとは限らないのに、ステレオタイプ(多くの人に浸透している先入観、レッテル、偏見)を肯定していないか?
3.ゾーニングを意識する。「それを見たいと思って来ている人」が「ファンタジーであることを理解して」楽しめるものになっているかが重要。
最後に、参加者はグループに分かれてワークを行ないました。
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参加者からは「『ママ』であることは『若い女性ではない』という意味が込められていて、それが悪だと捉えられる恐れがある」「本当にクライアントが伝えたいことをヒアリングして、誰も傷つけない言葉に言い換えるよう提案したい」などといった声が上がりました。
最後に質疑応答の時間です。ある参加者からは「仮に自分に娘が生まれ、温泉に行ったときに女湯に男性がいたら、いかに多様性を受け入れるとはいえ、早くお風呂から上がるように言ってしまうかもしれません。 偏見であり差別だとは思っていますが、そのときに自分がどう対応するのかが問われるなと思いました」との意見がありました。
合田氏「男性だと思われることに苦痛を感じる方が多いという理由で、性自認とは違う性別の浴室に入りたいと考えるトランスジェンダーは多くないと考えられます。しかし、トランスジェンダーの名を使って悪いことをする人がいれば、それは罰せられるべきです。悪いのはトランスジェンダーではなく、その個人です。
こういった問題をどう解決していくか、まさに今世界で議論されています。オリンピックでも、男性ホルモンで治療を受け性自認で出場した方もいました。
ただ、トランスジェンダーを理由にやりたいことを奪われる、そういったことはあってはなりません。その中で相手に迷惑をかけてしまう場合はケースバイケースで、一概には答えを出せません」
2時間の「LGBTQ+と職場セミナー」研修を終え、参加者からは「当事者として直面していたこともあったので、より肌感覚で社会構造や意識の問題を知ることができた」「個々が尊厳をもって参加できる社会・会社にしていきたい」といった感想がありました。
一人ひとりが輝ける会社を目指して
次回は来年5月に開催を予定しています。ソウルドアウトグループでは、一人ひとりが輝ける会社づくりの取り組みの一つとして、LGBTQ+など性的マイノリティに関する理解促進を進めていきます。
プレスリリース提供:PR TIMES