プレスリリース
国際NGOプラン・インターナショナルが、「ガールズ・リーダーシップ・レポート2023〜女の子および若年女性がリーダーになるための政策提言書」を発表
女の子がリーダーになることを阻むジェンダー・ステレオタイプ。打ち破るのは女の子自身。
国際NGOプラン・インターナショナル(所在地:東京都世田谷区 理事長:池上清子 以下、プラン)は、日本の女の子および若年女性が「政治・経済・地域社会」でリーダーとして活躍するための提言をまとめた「ガールズ・リーダーシップ・レポート2023〜女の子および若年女性がリーダーになるための政策提言書」を発表しました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/12939/194/resize/d12939-194-ebff2bd3535ba781884b-0.jpg ]
女の子は、思春期から社会に出る時期に、進学や進路、結婚や出産など、いくつかのライフステージの変化を経験します。この大事な年齢期に女の子および若年女性が、政治の場や職場、学校、地域社会、家庭などで自分の意見を述べ、自分が望む選択をするためにはジェンダー・ステレオタイプの解消が不可欠です。さらに、家庭・学校・地域社会、そしてメディアといった、女の子を取り巻く環境におけるジェンダー平等の推進が図られて初めて、女の子および若年女性のリーダーシップとエンパワーメントは実現するのです。
本レポートは、日本の15〜24歳の女の子および若年女性のリーダーシップの現状を、データを用いて包括的に論じ、固定化されたジェンダー・ステレオタイプが、女の子の自尊心の低さや、進路選択の制約につながり、彼女たちの将来にも大きな影響を及ぼしていると分析。女の子や若年女性が「政治・経済・地域社会」でリーダーとして活躍していくための提言をまとめたものです。
「ガールズ・リーダーシップ・レポート2023〜女の子および若年女性がリーダーになるための政策提言書」
URL: https://www.plan-international.jp/about/pdf/2023_leadership.pdf
・ データ: 基本的に、内閣府を含む中央省庁及び内閣府が公表するデータを使用
・ 「女の子および若年女性」の定義について:プランでは、15〜24 歳の世代を「ユース」として区分している。本レポートでは、この世代に属する女性を「女の子および若年女性」と呼称する。
専門家からのコメント
大崎 麻子(特活 Gender Action Platform 理事)
小木曽 麻里 (SDGインパクトジャパン 代表取締役社長)
田中 沙弥果(特定非営利活動法人Waffle Co-Founder)
三浦 まり(上智大学法学部教授)
室橋 祐貴(日本若者協議会 代表理事)
【レポート抜粋】
● 女の子および若年女性のリーダーシップの発揮を阻害する日本の現状
2022年にプランが実施した調査※1からは、高校生の時点で、既にある程度のジェンダー・ステレオタイプを自分の価値として受け入れており、男の子がより強いジェンダー・ステレオタイプを持っている傾向があること、結果として 男女平等などの普遍的価値を軽視する傾向があることが明らかになっています。
学校や家庭、地域社会でジェンダー・ステレオタイプな発言を受けたり、受けるのを見聞きしたりする経験は、女の子の自尊感情にも影響する可能性があります。2018 年に内閣府が、日本を含む7カ国の13〜29歳の若者 7000人(各国1000人)を対象に実施した意識調査※2では、日本の若者が自分自身への満足度や、自分についての誇りに関する設問で、他の調査対象国に比べ、自尊感情の低いことが指摘されています。この調査結果への評価を行った有識者は、調査対象となった日本以外の6カ国の若者の自尊感情に共通して強く関連していた要因が、長所(「自分には長所があると感じている」)、主張性(「自分の考えをはっきりと相手に伝えることができる」)、挑戦心(「うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組む」)であった一方で、日本では、有用感(「自分は役に立たないと強く感じる(逆転項目)」)といった対他的な意識が比較的強く関連していることを指摘しました。
さらに、報告書では、男性に比べ、女性のほうが、自分が役に立っているかどうかということが自分への満足感に強く関連している結果も紹介されています。
※1 出典:「性別にとらわれず自由に生きるために〜日本の高校生のジェンダー・ステレオタイプ意識調査
https://www.plan-international.jp/news/info/pdf/0415_Gender_stereotype_report_Final.pdf
※2 出典:我が国と諸外国の若者の意識に関する調査 (平成30年度)令和元年6月 内閣府
● ステークホルダーへの提言
女の子のリーダーシップを育むためには、社会規範やジェンダー規範の見直し、学校や職場における環境整備など、多くのステークホルダーの理解と協力が不可欠です。
レポートには、保護者や家族、学校、政府および自治体などに対する具体的な提言が示されています。
【主な提言】
<保護者・家族への提言>
ジェンダー・ステレオタイプは誰もが持つことを自覚すること
<学校への提言>
進路指導や学外活動でのジェンダー平等を推進すること
<政府・地方自治体への提言>
政府が進める少子化対策において、女の子および若年女性の声を反映させること
国会議員/市区町村議員に女の子および若年女性が将来立候補できるための制度設計を行うこと
<民間企業への提言>
男女間賃金格差の解消を推進すること
アドボカシーグループ リーダー 長島美紀のコメント
[画像2: https://prtimes.jp/i/12939/194/resize/d12939-194-49a0e275314a51a9b043-1.jpg ]
プランでは、女の子が「学び」、「自分の人生を自分で決定」し、「おかしいと思うことに声を上げる」よう働きかけるとともに、率先して物言う女の子の存在を社会が認め、女の子をがんじがらめにしてきた「こうあるべき」という規範を変容させることを目的に活動しています。今回のレポートは、女の子や若年女性が学校や職場、地域社会でリーダーシップを発揮する機会を妨げ、リーダーになる意欲を奪う要因を調査しまとめたものです。
日本でも、女性活躍推進の重要性が叫ばれて久しいですが、背中を押されたとしても女性はいきなり活躍できるわけではありません。幼いうちから成長する過程で段階的に、家庭、学校、職場、地域社会などあらゆる場での経験の積み重ねとそれらの経験から育まれる自信や自尊心が、女性の活躍を可能にするのです。
残念ながら、これまで日本では「女の子のリーダーシップ」に対する注目度が低く、対策が講じられることもありませんでした。しかし、女性の活躍を推進するためには、「女の子」の活躍を阻むものを明確にし、その障壁を取り除いていくための効果的な施策が求められています。
何より重要なのは、すべての女の子や若い女性が、「自分には無理だから」とあきらめてしまうのではなく、自分の可能性を信じて自ら立ち上がり、おかしいと思ったことに声をあげる「勇気」を持つことが大切です。
このレポートが、国や地方自治体、メディア、教育関係者、NGOなどのステークホルダーだけではなく、すべての女の子たちが、リーダーシップを持つことについて考えるきっかけになることを願っています。
[表: https://prtimes.jp/data/corp/12939/table/194_1_8063597977a049424a558d6874c3153f.jpg ]
プレスリリース提供:PR TIMES