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株式会社グローバル・リンク・マネジメント

世界都市東京の現在地とこれから〜国際競争を生き抜くか、都民の幸福を求めるか、東京に迫られる選択〜

(PR TIMES) 2024年01月23日(火)12時45分配信 PR TIMES

グローバル都市不動産研究所 第25弾 特別企画 市川所長インタビュー


投資用不動産を扱う株式会社グローバル・リンク・マネジメント(本社:東京都渋谷区、以下GLM)は、(1)東京という都市を分析しその魅力を世界に向けて発信すること、(2)不動産を核とした新しいサービスの開発、等を目的に、明治大学名誉教授 市川宏雄 氏を所長に迎え、「グローバル都市不動産研究所(以下、同研究所)」を2019年1月1日に設立しました。(過去のレポート一覧はこちら ⇒ https://www.global-link-m.com/company/institute/) このたび同研究所では第25弾の特別企画として、世界の都市総合力ランキングのデータをもとに、世界都市とは何か、東京の強み・課題について市川所長がQ&A形式で解説します。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/20953/178/20953-178-c7d690468e07affe3eae682c6597909e-1280x720.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]

【01】世界都市の競争環境〜グローバリゼーションに対応していかに人・金が動く場にしていくか〜

竹内研究員:これまで当研究所では、世界都市としての東京の価値・魅力を様々な切り口で分析・発信してきました。
2024年は7月に東京都知事選挙を控えています。そこで今回は、そもそも世界都市とは何か、東京の特徴・強みや課題・伸びしろは何かをお聞かせいただきたいと思います。
市川所長が考える「世界都市」の要件は何ですか。


市川所長:そもそも「都市」は、人が暮らし、学び、遊び、ビジネスをするなど様々な側面があります。どこか一部を切り取って都市を評価することは困難で、都市は総合的に捉える必要があります。
たとえば、私が実行委員長を務めている「世界の都市総合力ランキング」(森記念財団)では、世界の主要都市の「総合力」を分析しています。ここでいう総合力とは、経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの6分野で構成しています。
経済分野でいえば、市場の規模(GDP、1人あたりGDP)、市場の魅力(GDP成長率、経済自由度)やビジネス環境(賃金水準の高さ、優秀な人材確保の容易性、ワークプレイス充実度)など6要素に分解しています。
居住分野でいえば、就業環境(完全失業率の低さ、1人あたり総労働時間の短さ、働き方の柔軟性)や居住コスト(住宅賃料水準の低さ、物価水準の低さ)、安全・安心(殺人件数の少なさ、自然災害の経済的リスクの少なさ)、生活利便性(医師数、ICT環境の充実度、小売店舗の多さ、飲食店の多さ)など5要素があります。
過去から現在に至るまでにどのような都市開発・交通利便性の向上をしてきたかという、蓄積された都市の「ストック」の力もあれば、GDPや物価水準、ビジネスのしやすさ、人材確保など国の政策に影響を受けるような「フロー」の力もあります。
世界都市とは、国際的な都市間競争において、人や企業を惹きつける“磁力”を持っているものであり、この“磁力”は都市が有する総合的な力によって生み出されるという考え方が大切です。

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図表1:世界の都市総合力ランキングの評価指標 (出典:森記念財団都市戦略研究所)
竹内研究員:世界の都市総合力ランキングの推移をみると、上位の順位に大きな変動はありません。各都市の違いなど、都市間競争のポイントはありますか。


市川所長:ランキングでいえば、都市間競争はいくつかのグループに分けることができます。ロンドン(1位)とニューヨーク(2位)が首位争い、東京(3位)とパリ(4位)が3位争い、シンガポール(5位)、アムステルダム(6位)が5位争い、ソウル(7位)以下はトップ10争いをしている状況です。

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図表2:世界の都市総合力ランキングの偏差値変動(総合順位)(出典:森記念財団都市戦略研究所)
市川所長:6分野で分けてみると、各都市の特徴が見えてきます。たとえば1位のロンドンは、文化・交流が他の都市を圧倒しています。2位のニューヨークは経済と研究・開発が強い一方、居住や環境に弱みがあります。東京は3位ですが、明確な強み・弱みはなく「バランス型」といえるでしょう。パリは、東京と同様にバランス型といえそうですが、東京と比べると居住や交通・アクセスが強い一方で、経済、研究・開発、環境は東京よりやや劣っていることが分かります。

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図表3:世界の都市総合力ランキング上位4都市の各分野の偏差値(出典:森記念財団都市戦略研究所)
市川所長:都市間競争のポイントについては、近年、競争力を付けてきた都市に着目すると良いでしょう。近年、順位を上げているのはアムステルダムとドバイです。
アムステルダムは英国のEU離脱を受けて、ロンドンの受け皿になっています。交通・アクセス分野に限ってみれば1位で、居住分野も上位にあります。アムステルダムが、ヨーロッパ地域のなかでも人とお金が動く都市になってきているといえるでしょう。
トップ10入りしたドバイは昨年の11位から8位に躍進しました。経済が伸びているうえ、文化・交流、交通・アクセスが高水準です。中東とヨーロッパを繋ぐ形で交流機能が高く、ドバイも、国境を超えて人とお金が動く都市といえます。
世界の都市間競争では、グローバリゼーションに対応し、いかに人とお金が集まる・動く場にしていくかがポイントになっているといえるでしょう。

【02】東京の現在地〜ストック型で内向きの傾向が強く、国際的な競争力強化の伸びしろがある〜

竹内研究員:東京は「バランス型」と伺いましたが、特徴を詳しくお聞かせください。


市川所長:東京の特徴は大きく2つあります。ひとつは「ストック」が強く「フロー」が弱いこと。もうひとつは、都内に住んでいる分には魅力がある一方で、国際競争力が強いとはいいにくいことです。
世界の都市総合力ランキングで、上位4都市の指標を細かく比べてみましょう。図表4は東京を含む上位4都市の中で、東京が最高位の指標と最下位の指標を分野別にピックアップしたものです。
「ストック」の強さについては、たとえば経済分野で、世界トップ500企業の多さ、従業者数など、長年蓄積してきた強みがあります。一方、GDP成長率や賃金水準、優秀な人材確保の容易性など動きがある「フロー」の指標は弱いです。研究・開発においても同様で、学力の高さや特許登録件数といった積み上げるものは強いですが、留学生数、スタートアップ数など動きがあるものは弱いです。その他の分野でも、ストックが強くフローが弱いものが目につきます。
居住面での評価がされながらも国際競争力が弱いことについては、たとえば居住分野では、自然災害を除けばコスト負荷がなく安全・安心に暮らせる傾向があり、環境面も清潔さは武器といえる一方、社会の自由度・平等さやICT環境の充実度など国際競争の土台となる項目は弱いです。交通・アクセス分野についても、東京が最高位の指標は多いものの、基本的には「都内での移動」に関連する項目が多いです。国際線直行便就航都市数、国内・国際線旅客数は最下位で、各国との都市間の移動利便性が高いとはいえない状況です。
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図表4:世界の都市総合力ランキング上位4都市の各指標における東京の強み・弱み(出典:世界の都市総合力ランキング2023をもとに作成)
竹内研究員:ストックに強みがあるということは、東京はあまり変化できていないということでしょうか。東京が時間をかけて変化したことはありますか。

市川所長:東京は近年、生活コストが下がったことで居住分野の魅力が増しています。ほかにも、国や都の観光政策により文化・交流も良くなってきています。当研究所の第23弾・第24弾レポートにあったように、鉄道ネットワークの利便性が増し、交通・アクセスも向上してきています。こうした傾向は、世界の都市総合力ランキングの分野別順位の結果にも表れています。図表5をみると、文化・交流、居住、交通・アクセスの順位が上がっていることがわかります。
一方、経済は2013年の1位から10位に後退、環境も1位から16位に後退しています。経済については、円安の進行が評価指標に影響しているものですが、円安だけでなく経済政策によるテコ入れ不足ともいえるでしょう。環境については評価指標が変わった影響もあり、一概に劣化・後退したとはいえません。たとえばリサイクルについて、東京の焼却炉は性能が高いため、何でも燃やすことができてしまいますが、指標上は「資源循環の取り組みは低評価」になってしまいます。こうした背景はあるものの、環境規制は上位都市に比べて遅れている部分も目立つため、環境に対する積極的な取り組みは必要です。
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図表5:世界の都市総合力ランキングにおける東京の分野別順位の推移(出典:世界の都市総合力ランキングの各年調査結果をもとに作成)
【03】これからの東京〜何もしなければ現在の東京の水準は維持できない〜

竹内研究員:東京の現状と課題が見えてきました。これから東京が力を入れるべき分野や取り組みは何ですか。民間事業者や不動産にかかわる事業者が果たすべき役割についてもお聞かせください。


市川所長:経済分野で大きく順位を落としていることから、新たな産業創造が不可欠です。研究開発力を強化し新たなビジネス・経済を生み出す都市になる、世界中から人材が集まる都市になる必要があります。このためには、国が進めるべきことが多いです。たとえば賃金水準の低さや世界トップ大学数、留学生数、スタートアップ数などを増やすという課題は、東京単体で底上げできるものではありません。
また、世界中から人材が集まる都市になるためには、働く環境の整備が必要ですが、図表4でみたように、東京は社会の自由度・平等さにも課題があります。ダイバーシティは東京だけでなく、国民全体の問題です。国として国際競争力を高める取組みを積極的に行っていくことが大前提として求められるのです。
他方、民間事業者が行うべきことには、賃金向上の努力、高度人材の獲得、ダイバーシティの推進等があります。不動産事業者としては、ICT環境やワークプレイスが充実した、スタートアップが入居しやすい物件供給を進めていくことが大切でしょう。


竹内研究員:国の政策に左右されるということがよくわかりました。東京が単体で注力すべき分野はありますか。


市川所長:「文化・交流」や「交通・アクセス」分野です。国際航空ネットワークの強化により世界中からアクセスしやすく、また、都内での文化・交流の充実により人が訪れたくなる都市を目指すべきでしょう。
たとえば、東京はホテルの客室数は多い一方で、ハイクラスホテル客室数は少ないです。観光地の充実度や劇場・コンサートホール数、美術館・博物館数など国際的な文化・観光都市としての魅力を底上げする余地があります。ほかにも、ロンドンはナイトタイムの経済効果を見出して活性化しましたが、東京もナイトタイムエコノミーには伸びしろがあります。
したがって、東京都としては、文化・交流や交通・アクセスの分野で補助金や規制緩和により民間の投資を促進することが必要です。民間事業者は、都と連携しながら、新たな産業・文化の創造につながる取り組みを進めていけると良いでしょう。不動産事業者は、文化・交流施設の増加やハイクラスホテルの誘致・新設に挑戦していけると良さそうです。


竹内研究員:課題が山積している中で、東京が世界有数の都市という立ち位置を維持し続けることはできるのでしょうか。


市川所長:確かに東京には多くの伸びしろがあります。一方、いままでのストックによって現在の総合力を維持できている点は強みのひとつといえるでしょう。ストックが充実しているからこそ、フローの強化に集中していけるはずです。人とお金が動く都市になれば、国際競争力を保つことができます。


市川所長:ただし、国際競争力と市民の幸福は必ずしも比例しません。たとえば、貧富の差が拡がる恐れがあります。文化・交流面でハイクラスを志向して海外から多くの富裕層を呼び込むことに成功しても、都内に住んでいる日本人が都心で同じような文化・交流体験をできるとは限りません。世界のなかで生き残ることを選択するならば国際競争力を強化する国の政策、都市政策が必要ですが、逆のベクトルで内向きに徹し、日本人(都民)の幸せを最優先に追求していく選択肢も考えられるのかもしれません。


竹内研究員:東京はまさに転換点にあるといえそうですね。そうした中、都民や、不動産の開発・投資に関わる人たちがいま考えておくべきことは何でしょうか。


市川所長:東京が進む方向性によって注目のポイントは変わってくるでしょう。
都民ひとりひとりが、国や都がどのような政策を進めているのかをしっかりと認識し、数十年後にどのような東京になっているのかを思い描いておきましょう。その時に、自分がどこで暮らすことが幸せなのかを考え、東京に住む・住まない、東京の不動産を所有する・しないなどの選択をしていけると良いですね。
不動産関係では、少なくとも環境分野の規制がさらに強化されていくことは予想されます。国や都がどのような分野に投資を行っているのかを見極めるとともに、規制の緩和・強化にも目を配るようにしましょう。
取材可能事項

本件に関して、下記2名へのインタビューが可能です。

ご取材をご希望の際は、グローバル・リンク・マネジメントの経営企画部 広報担当までお問い合わせください。




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・氏名 :市川 宏雄(いちかわ ひろお)
・生年月日 :1947年 東京生まれ(75歳)
・略歴 :早稲田大学理工学部建築学科、同大学院修士課程、博士課程(都市計画)を経て、カナダ政府留学生として、カナダ都市計画の権威であるウォータールー大学大学院博士課程(都市地域計画)を修了(Ph.D.)。一級建築士。
世界の都市間競争の視点から大都市の将来を構想し、東京の政策には30年間にわたり関わってきた東京研究の第一人者。
現在、明治大学名誉教授、日本危機管理防災学会・会長、日本テレワーク学会・会長、大都市政策研究機構・理事長、日本危機管理士機構・理事長、森記念財団都市戦略研究所・業務理事、町田市・未来づくり研究所長、Steering Board Member of Future of Urban Development and Services Committee, World Economic Forum(ダボス会議)in Switzerlandなど、要職多数。




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・氏名   :金 大仲(きむ てじゅん)
・役職  :株式会社グローバル・リンク・マネジメント 代表取締役
・生年月日 :1974年 横浜生まれ(49歳)
・略歴 :神奈川大学法学部法律学科卒業。新卒で金融機関に入社。
その後、家業の飲食店を経て大手デベロッパー企業に転職し年間トップセールスを達成。そこでの経験を経て30歳の時に独立し、グローバル・
リンク・マネジメントを設立。




[画像9: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/20953/178/20953-178-a8b1a4b4a0cdb28b3de54cdce50e5828-1241x893.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]株式会社グローバル・リンク・マネジメント
会社名 :株式会社グローバル・リンク・マネジメント
会社HP :https://www.global-link-m.com/
所在地 :東京都渋谷区道玄坂1丁目12番1号渋谷マークシティウエスト21階
代表者 :代表取締役 金 大仲
設立年月日 :2005年3月
資本金 :5億68百万円(2023年12月末現在)
業務内容 :不動産ソリューション事業(投資用不動産の開発、販売、賃貸管理)
免許登録 :宅地建物取引業 東京都知事(4)第84454号
所属加盟団体 :(社)東京都宅地建物取引業協会、(社)全国宅地建物取引業保証協会、(社)全国住宅産業協会、(財)東日本不動産流通機構、(社)首都圏中高層住宅協会



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