プレスリリース
国際NGOプラン・インターナショナルが中学校・高校に通う女の子2000 人にアンケートを実施 3月8日国際女性デーに「日本における女性のリーダーシップ2022」レポートを発表
重要なのは、学校におけるリーダー経験の蓄積、自主性の尊重、ロールモデルの存在
国際NGOプラン・インターナショナル(所在地:東京都世田谷区 理事長:池上清子 以下、プラン)は、3月8日の国際女性デーに際し、「日本における女性のリーダーシップ2022」レポートを発表しました。
国連は、2022年3月8日の国際女性デーのテーマを「持続可能な明日に向けて、ジェンダー平等をいま」と定め、世界が直面している喫緊の課題である気候変動への適応・緩和のために、女の子や女性たちがリーダーシップを発揮することが、持続可能で効果的な気候変動対策活動につながると明言しています。
プランも、かねてより持続可能な開発目標(SDGs)達成のためには、ジェンダー平等の実現と、女の子をリーダーとして育成することが重要であると訴えてきました。
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この機に、プランが発表する「日本における女性のリーダーシップ2022」は、日本の教育現場における女性のリーダーシップ育成の現状、および課題を分析することを目的とし、中学校・高校に通う女の子2000人と都内私立校を対象に実施したアンケート調査、専門家のコメントに基づき作成したもので、日本社会における女性のリーダーシップ育成のヒントを提示しています。本レポートは、2021年4月公開の「日本における女性のリーダーシップ2021」※ に続く第2弾となります。
「日本における女性のリーダーシップ2022」
報告書URL: https://www.plan-international.jp/activity/pdf/220308_leadership.pdf
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【調査概要】
2 つのアンケート調査とそのデータ分析
1. 2021年8月に株式会社ネオマーケティングの協力を得て、12〜18歳の中学校・ 高校に通う女の子2000人にWEBアンケートを実施
2. 都内の私立学校(小学校・中学校・高校)を対象にしたアンケート調査を実施
リーダーシップや教育、人材育成に関わる専門家へのインタビュー
・坂本清恵氏 (女性のためのリカレント教育推進協議会会長、日本女子大学生涯学習センター所長、日本女子大学現代女性キャリア研究所所長)
・佐藤真久氏 (東京都市大学大学院環境情報学研究科教授)
・日向野幹也氏 (早稲田大学グローバルエデュケーションセンター教授)
・本田由紀氏 (東京大学大学院教育学研究科教授)
【調査結果抜粋】
● 所属するグループで、自分の役割を「サポート役」と考える回答者は20%であるのに対し、「場を仕切る役」と考えているのは6.5%にすぎない
回答者自身が所属するグループにおける役割について聞いたところ、「サポート役(20%)」、「ムードメーカー(12.6%)」、「調整役(11. 3%)」の回答が、「場を仕切る役(6.5%)」を上回りました。集団において決定を下すよりも、一歩退いて様子を見る傾向が強いことが分かりました。
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● 「意見を積極的に述べる」のは4人に1人。リーダー経験者はより積極性が見られる
「学校や部活などで自分から積極的に意見を述べるか」については、「常にする(7.1%)」、「比較的する(19.9%)」であり、意見を述べたり、発言したりすることにあまり積極的とは言えない現状が浮き彫りになりました。一方、役職経験の有無で比較すると、クラス委員長(354人)や生徒会役員(212人)などの役職経験がある場合は、「常にする」「比較的する」が、いずれも50%を上回りました。これまでのリーダー経験が人前で意見を述べたり、発言したりすることを容易にさせると考えられます。
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● 2人に1人が「リーダーは責任感が強い人がするもの」と考えている
リーダーのイメージは、「責任感が強い人がするもの」(47.6%)が最も多く、次いで「人の意見を聞ける人」(32.8%)、「グループ内での指導する存在」(29.7%)、「メンバーそれぞれの能力を引き出すことができる人」(28.7%)という結果でした。集団内で責任感があり、メンバーの意見を聞きながらまとめることができる、調整能力を持つ人がリーダーであるといった理解が見られます。専門家はこの結果を肯定的に評価し、佐藤真久・東京都市大学大学院教授は、「社会の変化が激しいなか、関わる多くの人たちのモチベーションを高め、互いの力を持ち寄り、共に協働と学びのプロセスを大切にしながらやっていくことがとても重要です。そのように考えると、場の調整役としてのリーダー像が今後一層重要になってきます」と述べられています。
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● 女子校ではリーダーの経験を積む機会が多い
「部活や委員会活動を通じてリーダーについて学んだ」と回答した人は全体の36.8%でした。内訳を見ると、女子中学校・高校(以下、女子校) の生徒の方が、共学中学校・高校(以下、共学校)よりも、高くなりました。また「授業で女性のキャリア形成について学んだ」と回答した人にも同様の傾向が見られたことから、女子校では、学校行事や生徒会や委員会などの役割経験を通じて、リーダーの経験を積むことが推測されます。
これに関し、坂本清恵・女性のためのリカレント教育推進協議会会長は、「日常的に性別に基づく役割分担がないので、人としてすべきことを女の子たちがすべて行わないといけないこと、またキャリアプログラムで学校の卒業生である女性の経験を聞くことで、将来に対するロールモデルに触れられることが、将来リーダーになりたいという意欲を育むのではないか」と述べられました。
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※ 参考資料
「日本における女性のリーダーシップ2021 2,000人への調査が明らかにした教育への期待」
報告書URL: https://www.plan-international.jp/activity/pdf/210405_leadership.pdf
アドボカシーグループ リーダー 長島美紀のコメント
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アンケート調査や専門家の方々へのインタビューが示したのは、学校で子どもたちのリーダーシップを育むには、文化祭や運動会などの行事や、生徒会・クラブ活動などの機会を活用した繰り返しの経験と、そこから学び改善するプロセスが重要であるということでした。また、特定の個人だけではなく、誰もがリーダーシップを発揮できる機会を与えること、その際は自主性に任せるのではなく、目標を設定し、その達成にむけて取り組めるようサポートすることの大切さも見えてきました。
変化の激しい現代社会では、かつてのような「俺についてこい」タイプのワンマン型リーダーよりも、場の調整役としてのリーダー像が求められていることも示されました。残念ながら、日本の学校では、リーダーシップ育成のための環境が整っているとは言えない状況にあります。生徒の誰もが当事者としての意識を持ち、ともに目標に取り組むプロセスとマネジメント経験を積めるような環境づくりが、これからの教育現場には求められているのです。
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