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学校法人武蔵野大学

【武蔵野大学】身体の中の感覚に敏感な乳児ほど、養育者と見つめ合うことを解明

(PR TIMES) 2023年06月19日(月)18時15分配信 PR TIMES

ヒトの社会性発達に内受容感覚が関与する可能性を示す新証拠

武蔵野大学教育学部幼児教育学科 今福 理博准教授、東京大学大学院総合文化研究科 開 一夫教授らの研究グループは、心拍を感じる、空腹を感じる等の身体の中の情報を感じ取る能力(内受容感覚)を生後6カ月の乳児で測定し、内受容感覚に敏感である乳児ほど、養育者と見つめ合う(アイコンタクトする)ことを世界で初めて明らかにしました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/67788/168/resize/d67788-168-1ff1268566c1c4d5aee4-0.jpg ]


【本研究成果のポイント】
内受容感覚に敏感である乳児ほど、養育者と遊ぶ時にアイコンタクトを多くすることを解明

乳児の内受容感覚が社会的認知能力と関連する可能性を世界で初めて実証

ヒトの社会性発達に内受容感覚が関与するという仮説を支持し、人間理解の新しい視点を提供




【本研究の概要】
これまで成人を対象とした研究では、内受容感覚に個人差があり、他者の感情認識やアイコンタクトの敏感さなどの社会性に関わる能力(社会的認知能力)に重要な役割を果たすことがわかっていました。しかし、乳児では内受容感覚の個人差が、社会的認知能力とどのように関連するのかについては解明されていませんでした。
今福准教授らの研究グループは、心拍とモニター上の図形の動きを同期/非同期させる新技術によって、乳児の内受容感覚の個人差を測定することに成功し、内受容感覚に敏感である乳児ほど、養育者と遊ぶ時にアイコンタクトを多くすることを明らかにしました。
本研究の成果は、ヒトの社会性と強く関連すると考えられるアイコンタクト行動が、乳児の内受容感覚という身体の中の感覚を基盤とする可能性を示す極めて重要な知見です。この研究成果は、2023年6月19日に国際学術誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されます。


【研究の背景】
これまでの研究では、心拍を感じる、空腹を感じる等の身体の中の情報を感じ取る能力(内受容感覚)には個人差があり、内受容感覚が他者の感情認識やアイコンタクトの敏感さなどの社会性に関わる能力(社会的認知能力)と関連することがわかっていました。しかし、生まれて半年の乳児期にも同様の関連が存在するかは未解明でした。こうした背景から今福准教授らの研究グループは、乳児の内受容感覚の個人差が社会的認知能力と関連するかを調べるために、次の実験を行いました。


【研究手法・成果】
本研究は、生後6カ月の乳児とその養育者である母親25組が参加しました。乳児の心電図のR波(上向きの幅の狭い波)に同期/非同期して動く図形(同期図形/非同期図形)をモニター上の左右に提示し、その間の視線の動きを視線自動計測装置(アイトラッカー)により測定しました。養育者にも同じ調査を行いました。その結果、乳児は同期図形に比べて非同期図形を長く注視し(図1)、養育者は非同期図形に比べて同期図形を長く注視することがわかりました。
[画像2: https://prtimes.jp/i/67788/168/resize/d67788-168-2b57146dd16c5508d443-1.jpg ]

乳児研究では「知覚的な感度」を計測する場合に、乳児が馴染みのない刺激に注意を向ける性質を利用するため、本研究では同期図形(自分の心拍とタイミングが合った刺激)への注目よりも、非同期図形(自分の心拍とタイミングがずれた刺激)への注目をもって、心拍と図形の動きの同期性に対する感度の指標としました。そのため、乳児では非同期図形を注視した時間の割合を「内受容感覚の敏感さ」として評価しました。また、同じ乳児と養育者で遊ぶ様子を3分間記録し、両者の「社会的行動(アイコンタクト、発声、タッチなど)」を測定して評価し、内受容感覚と社会的認知能力の関連を調べました。
以上の結果から、内受容感覚に敏感である乳児ほど、養育者と遊ぶ時にアイコンタクトを多くすることがわかりました。また、乳児の内受容感覚の個人差と関連するアイコンタクトが、養育者の笑顔を介して引き起こされていることを示唆しました(図2)。
[画像3: https://prtimes.jp/i/67788/168/resize/d67788-168-ba8727799bbbe3bdf7d2-2.jpg ]

本研究成果は、ヒトの社会性と強く関連すると考えられるアイコンタクト行動が、乳児の内受容感覚という身体の中の感覚を基盤とする可能性を示します。


【本研究成果の意義】
本研究は、乳児の内受容感覚が社会的認知能力と関連する可能性を世界で初めて実証しました。本研究成果は、ヒトの社会性発達に内受容感覚が関与するという仮説を支持し、人間理解の新しい視点を提供します。


【研究プロジェクトについて】
本研究成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって行われました。
1. 科研費 若手研究(19K14392、23K12883、代表:今福 理博)
2. JST CREST (JPMJCR18A4、代表:開 一夫)
3. 武蔵野大学研究費(2019、2020)
共同研究者所属機関
1. 武蔵野大学教育学部幼児教育学科
2. 東京大学大学院総合文化研究科


【論文タイトルと著者】
[表: https://prtimes.jp/data/corp/67788/table/168_1_deaef92867ceef566b1e097bc154f200.jpg ]




【武蔵野大学について】
[画像4: https://prtimes.jp/i/67788/168/resize/d67788-168-c74fc9c2e63ee1a182ab-3.jpg ]

1924年に仏教精神を根幹にした人格教育を理想に掲げ、武蔵野女子学院を設立。武蔵野女子大学を前身とし、2003年に武蔵野大学に名称変更。2004年の男女共学化以降、大学改革を推進し12学部20学科、13大学院研究科、通信教育部など学生数13,000人超の総合大学に発展。2019年に国内私立大学初のデータサイエンス学部を開設。2021年に国内初のアントレプレナーシップ学部を開設し、「AI活用」「SDGs」を必修科目とした全学共通基礎課程「武蔵野INITIAL」をスタートさせる。2023年には国内初のサステナビリティ学科を開設する。2024年の創立100周年とその先の2050年の未来に向けてクリエイティブな人材を育成するため、大学改革を進めている。武蔵野大学HP:https://www.musashino-u.ac.jp/


【関連リンク】
■ 武蔵野大学教育学部幼児教育学科:https://www.musashino-u.ac.jp/academics/faculty/education/child_development/
■ 東京大学大学院総合文化研究科:https://www.c.u-tokyo.ac.jp/


【注意事項】
日本時間6月19日18時(英国夏時間:19日午前10時)以前の公表は禁じられています。




プレスリリース提供:PR TIMES

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