プレスリリース
〜 受賞作品はフリーアナウンサーの住吉美紀氏が朗読し、音声データでも配信 〜
女性誌販売部数 No.1※雑誌「ハルメク」を発行する株式会社ハルメク(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:宮澤 孝夫、株式会社ハルメクホールディングス100%子会社)は、読者と作り続けて今年で19年目を迎える「ハルメクのおせち」の発売を記念して、『ハルメク「おせちとわたし」思い出話コンテスト』を開催しました。応募作品は202作品におよび、その中から、大賞、感涙賞、笑えるde賞の3作品を選出。大賞には2025年お正月用に発売を予定している伊勢海老をあしらった「ハルメクのおせち 福寿(希望人数分1台)、感涙賞と笑えるde賞の受賞者には「ハルメクのおせち 彩 2人前」が贈られます。 ※日本ABC協会発行社レポート(2023年7月〜12月)
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/34765/165/34765-165-4acc619ebb45cf0c233dbdb39f78991f-1200x630.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
「ハルメクのおせち」は、「お正月くらい、私も家族と一緒にゆっくり過ごしたい!」という読者の声をきっかけに、2005年より独自開発して提供しています。昨年は過去最高の約4万台を販売し、ハルメク物販のプライベートブランドの中でも人気商品の一つとなっています。
おせちは日本の伝統的なお正月料理である一方で、最近では冷凍技術の進化に伴い、孫を含めた3世代で楽しめるバラエティに富んだものに進化しています。今回開催した『ハルメク「おせちとわたし」思い出話コンテスト』は、家族団らんの象徴でもある「おせち」にまつわる思い出のエピソードを広く募集することで、おせちの魅力を再発見するとともに、幸せのおすそ分けをしていただくために企画したものです。
202作品もの応募があり、「おせち」に対する関心の高さを実感するとともに、涙なくしては読めない作品も多く、選定は非常に難しいものでした。今回選出された3作品は、そうした数多くの作品の中から厳選された作品となります。
※なお、受賞者の方には、メールまたは電話にて後日ご連絡いたします。賞品の「ハルメク おせち」は2024年12月28日または29日にお届けいたします。
■「おせちとわたし」大賞作品
北海道札幌市
ペンネーム:なざぽんさんの作品
[動画1: https://www.youtube.com/watch?v=zTmtE58B0Y4 ]
高校を卒業後、就職した。 全寮制の会社だった。たくさんの同期に恵まれたけれど、ふるさとから離れて暮らすことは18才の私にはまだ寂しく、いつも帰りたいと布団の中で泣いていた。 仕事は想像を絶するほど厳しく、毎日怒鳴られ、50人ほどいた同期もあっという間にほとんどふるさとに帰っていった。 つらい日々、仕事を終えて寮に帰るといつも「おかえり、おつかれさん」と寮母さんが出迎えてくれ、泣いているわたしを部屋に招き入れてくれて話を聞いてくれ、そして生まれて初めて豆をひいたコーヒーを飲ませてくれた。苦い、と思ったし美味しいとは思えなかったが香りがめっぽう良かった。それは幼いわたしにもわかった。 寮母さんのことはみんな親しみを込めて「おばちゃん」と呼んでおり、たぶん50代前半、おしゃれ、本棚には純文学がぎっしり、小さなキッチンには名前はわからないが美しいコーヒーを入れる道具がならんでいて、テレビの上には昨年虹の橋を渡ったという愛犬の写真が飾られていた。そして1人で暮らしていた。 わたしは自分の家が裕福でないこと、父が蒸発してしまって母が1人で必死に子育てと、父の両親の面倒を見ていること、そしてこの会社をやめたいけれど、それは母の負担になりわずかな仕送りもできなくなることなどをおばちゃんに聞いてもらっていた。初めてのお正月、同期で1人だけ仕事だった。疲れて寮に帰っておばちゃんに手渡されたものは小さな三段の重箱。それは1人用のおせちだった。口どりから全て手作りの美しいおせち料理。 「お母さんのおせち食べたかったよね?よく頑張ったね、お母さんのおせちには敵わないけど食べてね」と言われ寮の部屋で1人おばちゃんのおせちをいただいた。つやつやの黒豆は母の得意料理、涙がぽろぽろこぼれて…ほんのりあまくて、せつなくて、悲しくて、幸せで、人生で一度きりしか味わったことのない特別なわたしだけのおせちだった。
■「おせちとわたし」感涙賞作品
大阪府寝屋川市
ペンネーム:銀次郎さんの作品
[動画2: https://www.youtube.com/watch?v=xQkWD2WIc6k ]
「重箱の涙」
昨年、警察官を定年退職したが、三十年以上の昔、忘れられないおせち料理の話がある。
刑事だった私が年の瀬に逮捕したのは二十歳の被疑者Nだった。粗暴犯で相手に大きな傷害を負わせた。Nは若いがすでに多くの前科前歴があり、取調室でも不敵な薄笑いを浮かべるだけで雑談には応じるが犯した罪は認めない。この手の被疑者には根気よく付き合って自供の隙を狙うしかないのだが、Nの拘留期間は年を越すことが予想されていた。
明日が大晦日という日。私とNは朝から取調室で対峙していたがそのうちに昼休みになった。現在では被疑者の昼食は必ず留置場に戻って摂る決まりだが、当時は取調室に官弁という粗食の弁当を持ち込んで摂らせていて、逃走防止の観点から取り調べる刑事と一緒に食べていた。Nはプラスチックの箱に入った白米と佃煮、揚げ物が一個だけの弁当を黙って咀しゃくする。その前で私は共働きの妻が作った弁当を広げた。そういえば、少し早いけどおせち料理を作ったからと、今日は小さな重箱だ。Nは下を向いて箸を口に運んでいる。
少し迷って私はおせちの幾つかを重箱の蓋に載せてNに押しやった。昆布巻き、蒲鉾、お煮染め、八幡巻き。箸を止めたNは驚いて私を見た。「数の子とか高いのはないで。我慢しろ。」「え?いいんですか?」「いいよ。口に合うか?」頭を下げたNは全てを平らげたがやがて箸が震え、重箱の蓋に涙が伝った。
知っていた。Nは離婚した両親に見放されて施設で育った。「いいですね…手作りのおせち。」といったNが両手を膝の上に置いて居住まいを正す。これは自供するサインだ。「N君も。手作りのおせち、作ってくれる好い人を早くみつけや。」そしてNは罪を認めた。
三十年以上前の規則がない時代に私がしたことは今なら便宜供与で処分ものだ。だが、あれは頑なだったNが重箱の蓋に落とした涙と一緒に、手作りのおせち料理の味が落とした取り調べだったのだと今でも信じている。
■「おせちとわたし」笑えるde賞作品
徳島県徳島市
ペンネーム:渡辺 惠子さんの作品
[動画3: https://www.youtube.com/watch?v=dTURkX_-d7k ]
あれは私が24歳の時のクリスマスイブだった。事の発端は夫の一言から始まった。婚約中だった夫は秋に徳島から東京に転勤し、お正月は私が夫のところへ出向くことになっていた。その日、電話で取り留めのない話をしていると、夫が突然、「君の手作りのおせちが食べたいなあ。僕、ごまめと栗きんとんが好きなんよ」と、言い出した。私は一瞬ドキッとしたが、「私も大好き。作って持って行くわ」と、話を合わせた。電話を切ってから、私は心の中で呟いた。──ごまめって、どんな豆?栗きんとんって、何なん?──。私は夫と付き合い始めた頃に特技を聞かれて、その場しのぎで「料理」と答えた。そして得意料理は何かと問われ、思い付きで、「おせち」と口走ってしまったのだ。私は電話の一部始終を母に報告すると、母は目が点になった。「カレーしか作ったことがないあんたにそんな難しいもん、出来るはずがないやろ」私は母に非難ごうごうを浴びせられた。それから大晦日まで、私は毎日買い出しに付き合わされ、家では一日中台所に監禁された。「あんたはほんまにお調子者なんやから。尻拭いせなあかん親の身にも、なってみな!」母の小言が飛び交う中で、私は、母のサツマイモを裏ごししている姿を眺めながら、おせちって、すごく手間のかかるものだということを実感した。と同時に店頭で売られているプロの作ったものがどうしてあんなに高価なのかも腑に落ちた。そしていよいよ元旦が来た。私は三段重を抱え東京に向かった。重箱の蓋を開けた瞬間、夫は感嘆の声を上げた。 結婚して41年の歳月が経ったけれど、私は今でもあの時の夫の表情が目に浮かんでくる。私のおせち神話は、日々の私の料理から早々に夫にバレた。母が高齢になりおせちが作れなくなってからは、毎年お取り寄せをするようになった。今年の元旦、夫は豪華なおせちを見て、苦笑いしながら言った。「君の一番の得意技はなあ、『大嘘がつけること』だよ」
■審査委員の講評
・審査委員長 山岡朝子 雑誌「ハルメク」編集長の講評
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/34765/165/34765-165-5f21b1003be5c8d321988f3dc93540c6-640x640.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
年末のほろ苦い出来事、年始の晴れやかな場面、そして家族や友人とのエピソードなど、さまざまな切り口の思い出話がたくさん集まりました。「おせちって誰にとっても特別な存在なのだな」とあらためて感じる審査となりました。中でも受賞の3作品は当時の時代背景を含めて登場人物が生き生きと描かれ、まるで短編小説のような趣。ぜひ皆様にも、美味しいおせちと同様、このエッセイを味わっていただきたいと思います。
・審査委員、朗読を担当していただいたフリーアナウンサー/文筆家 住吉美紀さんの講評
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/34765/165/34765-165-395f96b66f0027e586ae42b05e22b423-640x640.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
改めて、おせちが、いかに家族の大切な思い出と結びついているものであるかを実感しました。寄せられた思い出話はそれぞれが、おせちによって紡がれた、親子、夫婦、おじいちゃんおばあちゃんと孫の間の「絆」の物語でした。さらに、おせちは、家族でなくても、まるで家族のような濃度で人と人の気持ちをつないでくれる特別なものなのだということも発見しました。寄せられた作品を読みながら、何度も涙。審査は難儀でした。そしてお正月におせちを囲むのが楽しみになりました!
・審査委員:金山 博 物販ビジネスユニット長の講評
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/34765/165/34765-165-5343f1c95d1a5c2bdde7f23b751ffb47-640x640.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
たくさんの思い出話を有難うございました。会社のデスクで読ませていただいたのですが、周りを気にしながら、泣いたり、笑ったり。ひとつひとつ、大切な思い出の中をご一緒させていただきました。能登で被災された方々のことも想い浮かべながら、改めて、おせちはご家族の絆であると感じました。今年ももうすぐおせちの季節。私も、家族と大切なときを過ごそうと思います。こんな気持ちに誘ってくださった皆様に感謝します。
■「真面目すぎるハルメクのおせち」制作ドキュメンタリーのフルバージョンを順次公開
読者と作って19年目の「ハルメクのおせち」。2,423人ものお声や、東京と大阪で開催された試食会に参加された120名のご意見を経て作られた2025年版のおせちの制作過程を余す所なくまとめ上げたドキュメンタリー動画のフルバージョンを10月9日より順次公開していきます。
担当者がどんな思いで作っているのか、どんな制作プロセスを踏んでいるのか、「真面目すぎるハルメクのおせち」をぜひご覧ください。
エピソード1 「撃沈の社長プレゼン」編(10月9日公開)
エピソード2 「直撃こだわりの産地」編(10月16日公開予定)
エピソード3 「勝負の大試食会」編(10月23日公開予定)
エピソード4 「チラシへの情熱」編(10月30日公開予定)
■会社概要
商号 : 株式会社ハルメク
代表者 : 代表取締役社長 宮澤 孝夫
本社所在地 : 〒162-0825 東京都新宿区神楽坂四丁目 1 番 1 号
設立 : 2012年7月24日
事業内容 : 出版ならびに通信販売業
会社サイト : https://www.halmek-holdings.co.jp/company/group/halmek/
ハルメク365 : https://halmek.co.jp/
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