プレスリリース
〜オンライン証券会社はコロナ禍の投資家のロイヤルティ構築に苦戦〜
CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である J.D. Power(本社:米国ミシガン州 トロイ)は、現地時間4月26日に、J.D. Power 2022 U.S. Self-Directed Investor Satisfaction Study(SM)(J.D. パワー 2022年米国個人資産運用<自己決定型>顧客満足度調査(SM))の結果を発表した。
この調査は専任のファイナンシャル・アドバイザーを持たない投資家向けの資産運用サービスについて聴取したもの で、証券会社に対する満足度を測定している。必要に応じてアドバイスを受けている「ハイブリッド型」投資家と、フ ァイナンシャル・アドバイスを受けない「セルフサービス型」投資家の2つの層に分けて調査している。
年齢が若く経済的に脆弱な顧客はより多くの問題を経験し、重大な顧客離脱のリスクに
過去数年間、証券会社に殺到した何千万人もの新規のセルフサービス型投資家にとって、ハネムーン期間は終わりを告げようとしている。本調査によると、過去3年間のコロナ禍で新規に口座開設をした投資家は、非常に多くの問題を経験し、顧客満足度が低迷した。結果として、こうした投資家のブランドロイヤルティ・スコアは、利用期間の長い既存顧客のスコアの半分未満となった。
2022年調査の主なポイントは以下の通り:
コロナ禍に口座開設をした新規投資家はより多くのトラブルを経験し、問題を解決された経験も少ない
過去3年間で口座を開設した新規投資家は、既存投資家と比較し、より多くの問題を経験した。特に、ウェブサイトの不具合や取引処理における問題が最多となった。新規投資家のうち、約5分の1(19%)が過去1年間に問題を経験した一方、既存投資家のうち問題を経験したのは13%に止まった。既存投資家の中でそうした問題が解決された割合が92%であったのに対し、新規投資家の中でそれらの問題が解決された割合はわずか84%に止まった。
新規投資家のブランドロイヤルティは既存顧客の半分未満
コロナ禍の新規投資家は、3年以上口座を保有している既存投資家と比較し、証券会社を変更する可能性が2倍以上高いことがわかった。新規投資家のうち「証券会社を絶対に変えない」と回答した割合は24%に止まり、前年比-11 ポイント低下した。既存投資家では50%が「証券会社を絶対に変えない」と回答した。顧客離脱リスクの主な要因として、商品・サービス・ツールに満足していないことや友人や親族から証券会社の変更を勧められたことなどが挙げられた。
「財務健全性」がコロナ禍の投資家心理に大きく影響
「財務的に健全である」と分類される割合は、コロナ禍の新規投資家ではわずか39%であったのに対し、既存投資家では72%となった。新規投資家に見られる具体的な財務的脆弱性として、請求書の期限内支払いの課題、債務管理の困難さ、生活費の6ヶ月分以上をカバーする十分な貯蓄の有無などが挙げられた。また、証券会社に対する満足度は経済的弱者の顧客間で著しく低かった。このことから、証券会社は顧客の全体的な財務状況の中で、より効果的に投資を管理できるような商品やツール、サービスを提供する必要があることが示唆された。
投資家に響かないハイブリッド型アドバイス・モデル
本調査では、セルフサービス型投資家に加え、専任のファイナンシャル・アドバイザーはいないが、必要に応じてアドバイスを受けることが可能なハイブリッド型投資家についても調査している(例:コールセンター経由で担当する専任ではないアドバイザーからのアドバイスを受ける投資家)。業界では、専属のアドバイザーをつけるフルサービス型には適さないマス・アフルエント層(大衆富裕層)という非常に大きな市場に、この拡張性のあるハイブリッド型アドバイス・モデルをいかに適用するかが注目されている。しかし、ハイブリッド型セグメントの総合満足度の平均は708ポイントで、セルフサービス型(720ポイント)とフルサービス型*¹(744ポイント)セグメントのいずれよりも低いのが現状である。このことは、ハイブリッド型アドバイス・モデルの可能性が未だに広く実現されていないことを示唆している。
*¹ 出典:J.D. Power 2022 U.S. Full-Service Investor Satisfaction StudySM (J.D. パワー 2022年米国個人資産運用<フルサービス型>顧客満足度調査(SM)
J.D. パワー ウェルス・インテリジェンス部門長兼シニアディレクター マイク・フォイのコメント
「期待が高く、混乱が大きい、極端に不安定なゴールドラッシュ期のコロナ禍に金融市場に参入した新規投資家は、リテールの証券会社に重要な課題を突き付けた。まず、コロナ禍の新規投資家は巨大なセグメントを構成しており、2020年以降、約2,500万件の新規口座が開設された。また、彼らは若く、経済的に不安定な傾向があり、証券会社が現状では効果的に対処できていない問題を経験する可能性が高い。現在、ほとんどの証券会社は、この次世代の投資家をロイヤルティと収益性の高い顧客に変換するために必要な、個人に合わせた顧客体験を提供できておらず、的外れな対応をしている。
取引手数料がもはや重要な収益源ではなくなっている今、証券会社にとって大きなチャンスはロイヤルティの高い顧客を獲得し、その顧客との関係を深め、アドバイスや資金管理、融資などのより幅広い金融ニーズに対応する収益性の高いサービスを提供することである。今まさに、多くの証券会社がここで躓いている。多くの企業は、顧客の現状を把握し、顧客に合わせたアドバイスや教育ツールを提供し、ともに成長するために必要な、トラブルのない顧客体験を提供することに苦労している。」
顧客満足度ランキング
【ハイブリッド型*² セグメント】
第1位:T. Rowe Price(ティー・ロウ・プライス)(768 ポイント)
第2位:Vanguard (バンガード)(721ポイント)
第3位:Charles Schwab(チャールズ・シュワブ)(719ポイント)
[画像1: https://prtimes.jp/i/42677/157/resize/d42677-157-2dcfe0bcc65beecdc82d-0.jpg ]
*² 専任のファイナンシャル・アドバイザーはいないが、必要に応じてアドバイスを受けることが可能な投資家
【セルフサービス型*³ セグメント】
第1位:Vanguard (バンガード) (736ポイント、2年連続の1位)
第2位:Charles Schwab(チャールズ・シュワブ) (735ポイント)
第3位:Fidelity(フィデリティ)(730ポイント)
[画像2: https://prtimes.jp/i/42677/157/resize/d42677-157-80bf6fd6def23d762598-1.jpg ]
*³ ファイナンシャル・アドバイスを受けない投資家
《J.D. パワー 2022年米国個人資産運用<自己決定型>顧客満足度調査(SM)概要》
年に 1 回、米国の自己決定型投資家を対象に、証券会社に対する満足度を聴取し明らかにする調査。
今回で20回目の実施となる。
■実施期間:2021年11月〜2022年1月
■調査方法:インターネット調査
■調査対象: ハイブリッド型投資家 及びセルフサービス型投資家
■調査回答者数:4,888人
総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を 基に 1,000 ポイント満点で総合満足度スコアを算出。顧客満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影 響度が大きい順に、「信頼性」、「顧客対応(デジタルチャネル)」、「資産管理の利便性(方法・時間)」、 「商品・サービス」、「手数料」、「顧客対応(対人チャネル)」、「問題解決」の 7 ファクターとなっている。
*本報道資料は、現地時間 2022年4月 26日に米国で発表されたリリースを要約したものです。
原文リリースはこちら
https://www.jdpower.com/business/press-releases/2022-us-self-directed-investor-satisfaction-study
*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
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J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者のインサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。50年以上にわたり、ビッグデータやAI、アルゴリズムモデリング機能を駆使し、消費者行動を捉え、世界を牽引する企業に、ブランドや製品との顧客の相互作用に関する鋭い業界インテリジェンスを提供するパイオニアです。
プレスリリース提供:PR TIMES