プレスリリース
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南九州・沖縄ユニットセンター(熊本大学)の小田政子、倉岡将平の研究チームは、エコチル調査の3,513人のデータから妊娠中のフェノール類ばく露と子どもの喘息発症の関連について解析しました。その結果、フェノールの1種であるブチルパラベンの高度ばく露は子どもの喘息発症との関連が示唆されました。また、4-ノニルフェノールのばく露も男児の喘息発症との関連が示唆されました。この結果により、妊娠中のフェノールばく露について、より適切な指標が確立されることが期待されます。
なお、今回の調査では妊娠中の母親から採取した尿検体からフェノール類を測定しており、子どものフェノール類濃度を測定していないといった限界があります。そのためフェノール類と喘息発症の関連を明らかにするためには更なる研究が必要です。
本研究の成果は、令和6年8月23日付で環境科学分野の学術誌「Environmental Pollution」に掲載されます。
※本研究の内容は、すべて著者の意見であり、環境省及び国立環境研究所の見解ではありません。
発表のポイント
- 妊娠中の母親から採取した尿検体から24種のフェノール類を測定した。- 尿中フェノール値と4歳までの喘息発症の関連を解析した。- 妊娠中のブチルパラベンの高度ばく露は子どもの喘息発症との関連が示唆された。- 4-ノニルフェノールのばく露は子どもの喘息発症との関連が示唆された。
今後の展開
妊娠中のフェノールばく露が子どもの健康にどのように影響するのか引き続き調査を継続していきます。ブチルパラベンや4-ノニルフェノールが喘息発症のリスクを高めるメカニ
ズムの解明だけでなく、どのような環境や生活習慣がそれぞれのフェノールばく露につながるのかを明らかにすることで、妊娠中の過ごし方に関する適切な提言につながると考えられます。
本調査の継続により、子どもの発育や健康に影響を与える化学物質等の環境要因が明らかとなることが期待されます。
論文情報
題名(英語):Association of phenol exposure during pregnancy and asthma development in children: The Japan Environment and Childrens Study
著者名(英語):Shohei Kuraoka1,2, Masako Oda1, Takashi Ohba1,3, Hiroshi Mitsubuchi1,4, Kimitoshi Nakamura1,2, Takahiko Katoh1,5, and the Japan Environment and Childrens Study (JECS) Group6
1熊本大学大学院生命科学研究部附属 エコチル調査南九州・沖縄ユニットセンター
2熊本大学大学院生命科学研究部 小児科学講座
3熊本大学大学院生命科学研究部 産婦人科学講座
4熊本大学病院 新生児科
5熊本大学大学院生命科学研究部 公衆衛生学
6グループ:コアセンター長、メディカルサポートセンター代表、各ユニットセンター長
<著者日本語表記>倉岡将平、小田政子、大場隆、三渕浩、中村公俊、加藤貴彦
掲載誌:Environmental Pollution
DOI: https://doi.org/10.1016/j.envpol.2024.124801
※Shohei Kuraoka1,2については、熊本大学在籍当時の所属であり、現在、ハーバード大学マサチューセッツ総合病院腎臓内科に留学中。
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