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JTBコミュニケーションデザイン

全国の地方自治体のインバウンド施策の現状と課題

(PR TIMES) 2024年09月27日(金)17時45分配信 PR TIMES

―外国人観光客をめぐる自治体職員の期待と悩み―


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 観光は日本経済における重要分野ですが、中でも世界の観光需要を取り込むインバウンド(訪日外国人旅行)は成長が予想されています。2024年7月の訪日外客数の推計値は約329万人※と5カ月連続で300万人超えとなり、コロナ禍以前の2019年の実績を超える高水準を維持しています。今後のインバウンドの動向を左右する要因の1つに、インバウンドを受け入れる地域の体制が挙げられます。
 ※2024年8月21日 日本政府観光局 PRESS RELEASE 報道発表資料 訪日外客数(2024年7月推計値)より引用
 このたび、JTBグループで様々なコミュニケーションサービスを提供する株式会社JTBコミュニケーションデザインはワーク・モチベーション研究所にて、全国の地方自治体でインバウンド業務に携わる公務員515人にアンケート調査を行い、その結果を「全国の地方自治体のインバウンド施策の現状と課題―外国人観光客をめぐる自治体職員の期待と悩み―」としてまとめました。
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<主な調査結果>
1.インバウンド施策によって期待できるのは、観光名所や地元飲食店・宿泊施設の“経済的なメリット”。
 都市圏以外で特に期待感が強い。
 全国の地方自治体でインバウンド施策に携わる職員515人に、インバウンド施策成功時のメリットについてたずねたところ、観光名所、地元飲食店、宿泊施設における経済的メリットが上位に挙げられました。特に都市圏以外の自治体において、この3つの経済メリットへの期待が大きい傾向が見られました。続いて、既存事業や新規事業における雇用の増加を挙げる回答が3割以上あり、若年層の増加や人口の増加という回答も2割以上ありました。
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2.インバウンドの促進施策を実施しているという回答は74%。
「実施している」のは、「オンライン広告やSNSを活用した情報発信」「観光パンフレットやガイドブックの制作・配布」。「効果があった」のは、「外国語対応のウェブサイトや観光案内所の設置」「オンライン広告やSNSを活用した情報発信」「外国人旅行者向けのキャンペーンや割引サービスの提供」。
 インバウンド施策を実施しているとする回答(「実施している」+「どちらかというと実施している」)は全体の74%でした。都市圏以外の方が実施していると回答する割合は高い結果でした。
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 実施しているという回答者に施策の内容をたずねたところ、「オンライン広告やSNSを活用した情報発信」「地域の観光パンフレットやガイドブックの制作・配布」「外国語対応のウェブサイトや観光案内所の設置」が多く挙げられました。

[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/21206/130/21206-130-fba34d4c1be8141a4f488f5cdc9809e5-1411x1000.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


 更にインバウンド促進施策を実施したと回答した方に、各インバウンド施策の効果を聴取したところ、効果があったという回答が多い施策は「外国語対応のウェブサイトや観光案内所の設置」「オンライン広告やSNSを活用した情報発信」「外国人旅行者向けのキャンペーンや割引サービスの提供」でした。
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3.インバウンド旅行者にアピールする観光スポットは、「歴史的名所」や「イベント・祭り」「街並みや商店街」。
 インバウンド旅行者にアピールする観光スポットについてたずねたところ、「歴史的な名所や史跡」が最も多く挙げられました。次点には、都市圏では「街並みや商店街」が、都市圏以外では「イベント・祭り」が挙げられました。都市圏以外は「温泉・銭湯などリラックスできる施設」や「海や川などの自然」が、都市圏よりも多い結果でした。
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4.インバウンド施策実施における課題は、「インフラや交通アクセス」「インバウンド旅行者を受け入れる体制」「費用対効果」「効果測定の方法」。都市圏以外で課題感が強い。
 インバウンド施策実施において困難だと感じていることについてたずねたところ、「地域のインフラ整備や交通アクセスの改善」「インバウンド旅行者の増加とそれを受け入れる体制のバランス」「費用対効果(プロモーションや施策に対する効果)がわからない」「成果をどのように測定すればいいのかわからない」が上位に挙げられました。上位の項目については、都市圏以外のほうが課題として認識する割合が高い結果でした。


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5.インバウンド施策の効果を測定しているのは56%。測定方法の最多は「訪日外客の数」。
 インバウンド施策の効果を測定していると回答したのは、全体で56%でした。
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6.DXに課題を感じている割合は92%。最多回答は「DXの知識や経験がある人材がいないこと」
都市圏以外では「十分な予算がないこと」も上位に挙がる。
 インバウンド事業を行う上で、DX(デジタルトランスフォーメーション)に課題を感じるか否かをたずねたところ、課題を感じると回答した割合(「課題を感じている」+「どちらかというと課題を感じている」)は全体で92%。
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7.インバウンド施策検討に必要な分析データは、「どのSNSがインバウンド訪日につながったかの解析」、「実施した施策別のインバウンド訪日客の数」「訪日客の出身国別の行き先や滞在日数」。
 インバウンド施策検討の上で必要な分析データをたずねたところ、「どのSNSがインバウンド訪日につながったかの解析」が最も多く挙げられ、特に都市圏以外での割合が多い結果でした。次いで「実施した販売促進施策別のインバウンド訪日客の数」、「訪日客の年代や男女別の行き先や滞在日数」、「訪日客の出身国別の行き先や滞在日数」への要望が挙げられました。
[画像13: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/21206/130/21206-130-dbfbf666176fb407b9ffc44563a82a27-1310x1071.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


8. インバウンド業務へのモチベーション、「インバウンドは意義のあるテーマだと思う」「新しい知識や考え方が身についた」とする回答は6割。
一方で「インバウンド業務はむずかしい」とする回答も6割近くに上る。
 インバウンド事業に取り組む際の心情をたずねたところ、全体の63%が「インバウンドは日本や世界にとって意義のあるテーマだと思う」と回答し、インバウンド業務への意義を感じていることがうかがわれました。次いで「新しい知識や考え方が身についた」「もっといろいろなことを知りたい」の回答も多く、インバウンド業務の内容が新しく、知識向上への意識もあることが示されました。「インバウンド業務にやりがいを感じる」「インバウンド業務は楽しい」という回答も半数近くあり、都市圏以外で特にこの傾向が強い結果でした。
 その一方で、「インバウンド業務はむずかしい」という回答も全体で58%あり、「成果や結果を出さねばならないというプレッシャーを感じる」「インバウンド業務について相談できる人が、職場の内外にいない」という回答も半数近く見られました。
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【調査対象者について】
地方自治体勤務かつインバウンド領域に関与している、都市圏勤務者206人/都市圏以外勤務者309人の計515人にアンケート調査を実施した。
 対象者を抽出するために、都市圏/都市圏以外の男女20-69歳・公務員に事前調査を実施し、
自治体勤務かつ都市圏/都市圏以外の自治体にお勤めでインバウンド領域に関与している人を抽出しました。
本調査での、性別・年齢・インバウンド業務に費やす時間の内訳は以下の通りです。

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<まとめと提言>
 全国の自治体に勤務する公務員(自治体職員)515人にアンケート調査を行った結果、インバウンド施策の実施状況や効果測定などの現状が明らかになりました。また、インバウンド業務に携わる自治体職員のモチベーション状態も示されました。
 以下に、調査結果から推測できる今後の課題と展望についてまとめます。

1. インバウンドは、地域への経済効果が期待される重要課題
 インバウンドに関しては、2023年3月に「観光立国推進基本計画」が閣議決定されておりその中には、訪日外国人旅行消費額の早期5兆円達成、2025年までに訪日外国人旅行者数3,188万人(2019年水準)超えの目標が設定されています。
 ※2023年3月31日閣議決定「観光立国推進基本計画」より引用本調査においてもインバウンドに携わる地方自治体職員の半数が、インバウンド施策によって、観光名所や地元飲食店・宿泊施設などの“経済的なメリット”が期待できると回答しました。この期待は、特に都市圏以外の自治体職員の回答に強く示され、都市圏以外でのインバウンドへの期待が感じられました。
 雇用増加や人口増加について期待するという回答は経済メリットよりも少ない割合ではありましたが、2〜3割の肯定回答があり、自治体職員の3人に1人、あるいは4人に1人は、インバウンドが雇用増加や住民数の増加につながるという期待を持っている可能性が推測できます。
 インバウンドは地域への経済効果や今後の地域活性化、地方創生のための重要課題と言えるでしょう。

2. 外国語対応とメディア活用がインバウンド促進のキーワード
 効果的だったインバウンド施策として上位に挙がったのは、「外国語対応のウェブサイトや観光案内所の設置」「オンライン広告やSNSを活用した情報発信」「外国人旅行者向けのキャンペーンや割引サービスの提供」でした。これらの施策により、訪日旅行の可能性のある潜在顧客にアピールして認知度を上げ、キャンペーンやサービスなどで一層の動機づけを図ることが重要であると考えられます。
 調査では地域の歴史的名所、イベント・祭り、街並みや商店街などがインバウンド旅行者にアピールする観光スポットとして挙げられましたが、これらについても外国語対応およびメディア活用によって広く告知していくことが求められます。例えば、歴史的名所を外国語対応の説明をつけてオンラインで掲載したり、外国人旅行者が地域で楽しんでいる様子を個人情報の保護を行った上でSNSで投稿するなどの方法が考えられます。
 もちろんこうしたアピールが可能となる実際のイベントやお祭りの開催なども重要な施策となるでしょう。リアルとオンライン、メディア等を複合的に活用することが今後のインバウンド促進に求められていると言えます。

3. インフラや体制の整備とともに、施策の効果を測定し費用対効果を高める
 インバウンド施策実施における課題として、インフラや交通アクセス、インバウンド旅行者を受け入れる体制が挙げられました。さらに近年ではオーバーツーリズムの問題も指摘されており、これらの課題への対策は、訪日外国人旅行者だけでなく地域住民の安全や日常生活を守るという観点からも改善が必須と考えられます。
 費用対効果や効果測定の方法がわからないという課題も挙げられました。効果測定を行っているという回答は56%あり、測定内容も「訪日外客の数」が最も多い一方で、詳細な効果測定、「サイト訪問から宿泊につながった数」などの割合は少ない結果でした。地方自治体の現場では効果が明確には把握できない状況で、インバウンド促進を試行錯誤しながら行っているケースもあると推測されます。限られた予算の中で効果的に施策を行うためにも、それぞれの施策の効果をできるだけ精緻に測定し、次の施策に活かすことが重要と言えます。必要なデータとして挙げられたのは「どのSNSがインバウンド訪日につながったかの解析」「実施した施策別のインバウンド訪日客の数」「訪日客の出身国別の行き先や滞在日数」などでした。これらは、インバウンド施策に実際に携わる回答者の実感が表れている調査結果であると思われます。どのメディア、どの施策がどのような国からの訪日につながり、日本のどの地域に来て、何日滞在してくれるのかといった詳細な測定をできることが望まれています。

4. DX推進により課題を解決する
 上述のようにオンラインを活用したインバウンド施策を企画し実施する上でも、また施策の効果を測定する上でもITに関する知識や技術は欠かせないと考えられ、地方自治体組織においてもDX推進は必須と思われます。本調査ではDXに関しても回答を求めましたが、インバウンド事業を行う上でDXに課題を感じているという回答の割合は92%と多く、課題の内容としては「DXの知識や経験がある人材がいないこと」「DXによって何を達成するかが明確になっていないこと」が多く挙げられました。都市圏以外では「十分な予算がないこと」も上位に挙がり、限られた予算の中で最大限の効果が発揮できることを行っていく必要があると思われます。自治体組織内にDX人材を採用する、あるいは外部組織と連携したり部分的に業務をアウトソーシングすることも検討の俎上にあると考えられます。

5.公務員(自治体職員)のモチベーションに寄り添った施策を
 回答者にインバウンド業務に取り組む際の心情をたずねたところ、「インバウンドは日本や世界にとって意義のあるテーマだと思う」という回答が6割以上あり、モチベーションの要素である仕事の意義を感じながら業務に当たっている様子が示されました。一方で「インバウンド業務はむずかしい」という回答も6割近くあり、「新しい知識や考え方が身についた」も6割ありました。これらの回答から、業務に未知の部分や新しい内容が含まれることがモチベーションを高める効果を持ちつつも、その分業務の難しさや困難な事象も生じていることが推測されます。
 このような事から、担当者のモチベーションを考慮した対応が求められます。例えば、知見を深める研修や教育の提供、それぞれが身につけた知識や問題意識を定期的に共有し、解決のヒントを得る勉強会の場づくり、また組織内に随時相談できる人や部門があることも重要です。ただ、インバウンドならではの専門的な知識や先述した効果測定、DXに関する知識については、地方自治体の現場の組織内だけで解決することがむずかしい場合も考えられます。そのため、地方自治体同士で合同の対策を講じたり、外部の専門知識を有する組織と連携するなど柔軟に考えていく必要があると思われます。

◆株式会社JTB コミュニケーションデザイン (JCD) 会社概要
所在地:東京都港区芝3-23-1 セレスティン芝三井ビルディング12階
代表者:代表取締役 藤原 卓行
設 立:1988年4月8日
URL:https://www.jtbcom.co.jp/

◆ワーク・モチベーション研究所
URL:https://www.willcanvas.jtbcom.co.jp/work_motivation/

◆報道関係の皆様からのお問い合わせ先
株式会社JTBコミュニケーションデザイン 広報室
TEL:03-5657-0860 E-mail:jcd-pr@jtbcom.co.jp



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