プレスリリース
2022年12月13日
一般社団法人 新経済連盟
代表理事 三木谷 浩史
現在、政府・与党において、高所得者層の税負担増加に向けた検討が行われているとの報道がされている。この問題に関して、以下の理由により明確に反対する。
なお、新経済連盟は、アントレプレナーを中心とする経済団体であり、「民でできることは民に」を基本コンセプトとして、税負担を抜本的に引き下げ、「官」が過剰な市場介入や支出を行わないことを求めてきている。税負担の抜本的な引き下げは、国内投資の拡大や経済の活性化に向けた取組の基盤となるものであり、税負担の引き下げなくして国内投資の拡大はない。
個人の所得税の最高税率は世界最高水準の55%であり、相続税も最高税率が55%ということを考えると、100稼いでもそもそも20も残らないという計算になる。まず、世界的に高い個人の最高所得税率を直ちに引き下げる必要があることを改めて付言する。
1.起業に対するメッセージ性の問題
今回の措置は、これから起業しようとしている人に対して極めてネガティブなメッセージとなり、成功者に対するさらなる増税の可能性を予告しているというメッセージにもなってしまう。このことは、政府が「スタートアップ育成5か年計画」を作成して振興を図っていく方針を出したことにブレーキをかけるものであり、政府として整合性が取れていない。メガベンチャーを作り、ジャパニーズドリームを作る環境整備が必要不可欠である。
(注)スタートアップ育成5か年計画での記述
スタートアップを、「社会的課題を成長のエンジンに転換して、持続可能な経済社会を実現する、まさに「新しい資本主義」の考え方を体現するものである。」として中核的な位置づけをしている。
2.国内外から投資や人を日本に呼び込むことへの著しい悪影響
岸田政権は、国内外から投資や人を日本に呼び込むメッセージを出しているが、今回の措置はそれとは逆のベクトルになってしまう。
資産家が日本から外国に逃げ出し、外国から日本にも来なくなる。株価にも悪影響を及ぼし、投資家も日本市場から逃げ出すことになってしまう。なお、税金の高いカリフォルニアでは、「ブレインドレイン」(頭脳流出)が起こっており、街も荒廃してきていることは日本にとって教訓となる。
3.課題解決方法の適切性の問題
所得の高い人を狙い撃ちにした懲罰的な課税となることは極めて不適切である。配当やキャピタルゲインに対する課税は法人税支払い後のものであり、そもそも二重課税で資本効率をさげている。
高所得者層の実効税率が下がる1億円の壁が問題なのだとするのであれば、むしろ、所得税の最高税率を下げるという手段もある。
プレスリリース提供:PR TIMES