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世界初、食用に適さないココナッツオイルから100%バイオマス由来SAFの製造に成功しました

(PR TIMES) 2024年09月21日(土)21時40分配信 PR TIMES

―生産効率、コスト、環境面で優位となるSAF量産に向けて前進しました―


 NEDO事業である「低圧・低水素消費型多機能触媒利用の植物由来SAF実証サプライチェーンモデルの構築」(以下、本事業)において、日本グリーン電力開発株式会社は、開発中の触媒を用いて世界で初めて食用に適さないココナッツ(以下、規格外ココナッツ)のオイルから100バイオマス由来SAF(以下、ニートSAF)の製造に成功しました。なお、今回製造したニートSAFは国際品質規格である「ASTM D7566 Annex A2」(以下、本規格)に適合しています。
 規格外ココナッツの持つ構造は従来のジェット燃料に近く、燃料変換におけるプロセスや水素消費量の削減が期待されています。今回の成果によって生産効率、コスト、環境の面で優位となるSAF量産の可能性が示され、さらにスケールアップした実証に向けて大きく前進しました。

[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/135644/112/135644-112-c8ecc74e4b2ad42e1dc805c7bbb87441-472x248.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図 規格外ココナッツからニートSAFを製造する工程のイメージ

1.背景
 2022年時点で、世界のSAF供給量は、世界のジェット燃料供給量の0.1%程度とされており、量産と普及が急がれています。そうした中、ココナッツは全世界で年間7000万〜1億トンが生産され、生産量の30%相当が未成熟または芽が出てしまうなど、食用に適さない規格外と推定されており、食と競合しないSAF※1原料としての活用に期待がされています。
 本事業※2で日本グリーン電力開発は、ココナッツの一大産地であるインドネシアにおいて規格外ココナッツの選別・調達やオイル化などの原料開発から、ココナッツオイルの燃料変換に適した触媒開発、日本国内における実際のSAF製造に至るまでのサプライチェーン構築に取り組んでいます。
 本年3月には本事業での規格外ココナッツの定義づくりと選別システムの構築により、規格外ココナッツがSAFの原料としてICAOの定めるCORSIA認証ポジティブリストに登録※3がされたところであり、今回の成果は原料開発と並行して取り組んでいた触媒開発の結果が得られたものとなります。

2.今回の成果
 日本グリーン電力開発は、本事業で開発を進める触媒を用いてインドネシアで調達した規格外ココナッツを絞ったオイルから、ニートSAF※4の製造に成功しました。今回、航空燃料としての国際品質規格である本規格※5の適合を確認したことにより、CORSIA認証ポジティブリストへの登録と合わせて、原料調達と製造技術の面からサプライチェーンの構築に向けて準備を進めました。
 規格外ココナッツから搾油したオイルは、構成する脂肪酸の分子構造(炭素数/鎖長)が他のSAF原料に比べて航空燃料に近いため、比較的少ない反応プロセスで、かつ水素消費量を抑えてニートSAFを製造できる可能性があります。
 本事業では、この分子構造による省反応プロセス・低水素消費量といった特徴に適合し、さらに単独で複数の反応プロセスを効率的に改変する機能をもった多機能触媒の開発を進めてきました。    
この多機能触媒などを使って製造したニートSAFについて、航空燃料としての品質規格である、本規格への適合が確認されたことから、生産効率、コスト、環境の面で優位となるSAF量産の可能性が示され、さらにスケールアップした実証に向けて大きく前進しました。

3.今後の予定
 SAF原料として必要なCORSIA認証ポジティブリスト登録に加え、現在、温室効果ガス(GHG)削減標準値(デフォルト値)※6の策定も進んでおり、今回のASTM品質規格適合確認により環境と品質の両面でのSAF製造に向けた条件が整いつつあります。さらにはインドネシア州政府から地域経済活性化の観点で本事業に対する後押しがあるなど、原料収集地域での理解と協力も進んでいます。
 多機能触媒についても耐久性などを確認しながら、生産効率、コスト面、環境面でより最適な製造フローの設計に取り組んでいます。引き続き原料開発と触媒開発の両面で、本事業の実用化を推進します。
 
【注釈】
※1 SAF
Sustainable Aviation Fuelの略で、持続可能な航空燃料を意味します。持続可能性の条件を満たした再生可能あるいは廃棄物を原料とし、化石燃料と比較してGHG排出量を低減可能なジェット燃料を指すものです。

※2 本事業
事業名:バイオジェット燃料生産技術開発事業/実証を通じたサプライチェーンモデルの構築/
低圧・低水素消費型多機能触媒利用の植物由来SAF実証サプライチェーンモデルの構築  
事業期間:2022年度〜2024年度
事業形態:助成事業
事業概要:バイオジェット燃料生産技術開発事業
https://www.nedo.go.jp/content/100974524.pdf

※3 ICAOの定めるCORSIA認証ポジティブリストに登録
国際民間航空機関であるICAO (International Civil Aviation Organization)は、国際航空のGHG排出削減を管理するための制度「国際航空向けカーボン・オフセットおよび削減スキーム(CORSIA)」を定めており、SAFの原料が副産物・残渣・廃棄物に該当する場合は、ポジティブリストと呼ばれる原料分類表への掲載が必要となります。2024年4月には、本事業を通じて規格外ココナッツがこのポジティブリストに掲載されました。
https://www.nedo.go.jp/news/other/ZZFF_100054.html

※4 ニートSAF
バイオマス原料など等を基に製造された純度100%のジェット燃料を指します。当ニートSAFは最大50%を上限として化石燃料由来のジェット燃料と混合した後、SAFとして使用されます。

※5 本規格
ASTM D7566 Annex A2は、ASTMインターナショナルが定め国際的に認められた「SAFに対する航空燃料としての規格」となります。さまざまなニートSAF燃料の製造システムが評価され、エンジンメーカーや航空機メーカーなどからなる専門家による各種試験、さらには委員の承認を経て、新しいAnnex としてASTM D7566に含められます。なお2024年8月現在、Annex A1〜A8 まで承認されています。

※6 温室効果ガス(GHG)削減標準値(デフォルト値)
ICAO文章において規定されるSAFの二酸化炭素(CO2)排出量のことです。化石由来ジェット燃料の値との比較でGHG削減値を計算します。
CORSIA 適格燃料 登録・認証取得ガイド
https://www.mlit.go.jp/koku/content/001619071.pdf

プレスリリース提供:PR TIMES

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