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SCENTMATIC株式会社

香りの超感覚体験をつくるセントマティック 東京大学大学院 東原研究室と共同研究における中間結果を発表

(PR TIMES) 2024年02月17日(土)15時15分配信 PR TIMES

脳科学的視点から導き出す香りの新たな社会的価値を探究する共同研究


URL:https://scentmatic.co.jp/

嗅覚のデジタライゼーションによって新たな顧客体験を提案するSCENTMATIC株式会社(以下「セントマティック」)は、東京大学 大学院農学生命科学研究科 東原和成研究室と「香りと言葉を相互に変換するAIシステム カオリウムがもたらす社会的価値」の共同研究を進めており、今回はその中間結果をご報告いたします。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/51694/100/51694-100-17ca95f5b0f4afbbd7b1a1ca332e9f5f-766x575.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]

[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/51694/100/51694-100-2d08c45984e2566a233ec13dd2053f93-429x572.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]

 セントマティックは香りと言葉を相互に変換するAIシステム カオリウムがもたらす社会的価値を科学的視点から検証することを目指し、2020年2月より東京大学 大学院農学生命科学研究科 東原和成研究室と連携し共同研究おこなってきました。
研究としては、カオリウムが提案する「香りの超感覚体験」は、脳活動の観点から人々にどのような効果をもたらすかの研究と、本研究で得られた知見はいかにして社会に実装されるのかをテーマとしています。研究開始より5年目を迎える現在の取り組みをご報告いたします。

 今後もセントマティックは「嗅覚のデジタライゼーション」を活用した香りと言葉による「香りの体験」によって人の感性を進化させ、あらゆる業界のビジネスに革新をもたらします。

共同研究の取り組みについて
 セントマティックでは、2019年11月に香りと言語を相互に変換するAI型システム「KAORIUM(カオリウム)」をリリースし、カオリウムを活用した感性教育向けツール、飲食体験向けツール、小売実店舗向け購買体験ツールの開発を進めてきました。
2019年12月16,17日のカオリウム公開イベント以降、感性教育、マーケティング、エンタメなど、多領域において企業・団体からの共同開発依頼を多く頂戴し、社会的なニーズに応える意義を強く認識するに至りました。

 そこで、カオリウムがもたらす社会的価値を科学的視点から検証することを目指し、本共同研究では国立大学法人東京大学 農学生命科学研究科 東原和成研究室と連携し、香りと言語の変換システムの使用が利用者に及ぼす影響について、心理・生理・脳活動計測の手法を用いて検証を進めています。

 被験者には、香りを嗅いだ後に表示される「香りを表現する複数の言葉」の中から、最も近しいと感じられる言葉を選んでもらいます。条件を変え、複数回これを繰り返すことで脳がどのように反応しているのか、それが人間にどのような効果をもたらすのかを、脳科学的な観点から解明することが本研究の目的です。
本研究を通じて、香りと言葉を同時にインプットする体験が、脳のさまざまな領域を活性化させることが解明されつつあります。

※参考※ 共同研究のこれまでの沿革東京大学大学院 東原教授×セントマティック取締役 渡辺 対談
東原教授を「香り」の世界へ導いた、意外なキッカケとは…?!

東原 さまざまな経緯はありますが、いま思えば、私が最初に嗅覚に興味を抱いた原体験は、高校1年生のときに観た大林宣彦監督の映画『時をかける少女(1983年公開)』にあったかもしれません。女子高生役を演じる原田知世さんが、ある日の実験室で倒れたフラスコから立ち昇るラベンダーの香りを嗅いだのを機に、「タイムリープ(意識・身体ともに時空を移動する)」に陥ってしまう設定のストーリーです。これは私にとって、香りが持つ力に魅せられた強烈な体験でした。後に大学院で受容体(生物の体にある外界や体内からの何らかの刺激を受け取るタンパク質)の研究をすることになりますが、いずれは嗅覚の受容体を研究したいと思っていたのです。香りと記憶の結びつきは、誰しも少なからず経験があるはずです。特定の香りを嗅いだときに、昔の記憶を思い出すこと…。その瞬間に、私たちもいわゆる「タイムリープ」を経験しているわけです。基礎研究の世界では、視覚や聴覚に比べて、嗅覚が脳の神経回路的に記憶と深く結びついていることは既に解明されています。とはいえ嗅覚にまつわる領域は、未知の部分が大いに残されたフロンティアなのです。私たちの日常には、あらゆる香りの情報が存在しています。外界にあふれる多様な香りの信号のなかから、生物がどのように特定の香りだけを重要な情報として抽出するのか。また、その情報がどのように脳で処理され、私たちの行動や情動の変化に結びつくのか。そのメカニズムを解明したいという好奇心に、私は長らく突き動かされてきたわけです。

香りの可能性に魅せられた同志が出逢い、産学連携の共同研究が実現!

渡辺 私たちは2019年11月に、香りを言語化するAIシステム「カオリウム」をリリースしました。このプロダクトが提供する「香りの超感覚体験」は、我々自身にとっても、未知の感覚の大発見でした。まさに先生が『時をかける少女』に出逢ったときと同じく、強烈な感動を覚えたのです。実際にカオリウムを体験された一般の方々からも、「面白い」「新しい」「発見がある」など、ポジティブなフィードバックを得ていました。この体験には、既存の社会に革新をもたらすほどのインパクトがある…!人々がそれまで意識することのなかった香りの愉しみ方をひろげ、世界にあふれる香りを日々の豊かさとして感じられる未来…。我々はカオリウムに、その種のパラダイムシフトを起こせる可能性を見たのです。一方で、その価値を社会に発信するためには、科学的な裏付けが必要でした。なぜなら、この体験がもたらす価値が非常に感覚的なものであり、プロダクトをリリースした時点では、それを客観的に説明する術がなかったのです。「香り」という曖昧な対象を扱うにあたり、客観的なエビデンスに基づいた価値を社会に提示することは不可欠でした。そこで我々は、アカデミックの世界において嗅覚研究のトップランナーである東原研究室の門を叩いたのです。先生の研究室の歴史は古く、1999年の発足以降、生物化学、分子生物学、神経科学など、多角的な手法を用いた嗅覚研究が行われており、多数の成果を挙げられてきました。我々にとって、本共同研究が実現したことは、まだ社会に定義されていなかった「香りの超感覚体験」の価値を広めていくにあたり、実に強力なパートナーを得られた形となりました。
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東原 私がセントマティックの取り組みに最も賛同した点は、「香り」と「言葉」を結びつけて、新たな価値の創出を試みるという、カオリウムのコンセプトにありました。確かに香りの感じ方というのは、嗅覚以外の感覚から大いに影響を受ける傾向があり、なかでも「言葉」は、人が感じる香りの価値を一瞬で変えてしまうほどの影響力を持っています。たとえば香りを嗅いだときに、最初は好ましく感じたとしても、他者から「非常に危険な物質ですよ」と言われたら、途端に不快な気分になりますよね。これは経験的にも理解できる事象ですが、香りと同時にネガティブな言葉をインプットさせると、被験者の生理的なストレス指標が上がることが実証されています。このように、私たちが香りを認知・解釈する際には、聴覚や視覚、味覚をはじめ、五感が相互に作用し合っているのです。嗅覚研究においては特に、このようなクロスモーダルな部分(香りを知覚する際に嗅覚以外の感覚がどのように作用し、統合されていくのか)を考慮する必要があると感じていました。セントマティックに出逢ったのは、我々がまさにクロスモーダルな研究を手がけ始めたタイミングでした。「香り」と「言葉」を結びつけ、香りの感じ方を変える新しい嗅覚体験の共創を目指すカオリウムのコンセプトは、まさしく我々が脳科学で実証したい目的にマッチしていました。セントマティックと手を組むことで、我々の基礎研究で得られた知見が、社会に有効活用される未来に期待して、共同研究に着手しました。
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香りの新たな社会的価値を科学する、共同研究の内容とは…?

東原 カオリウムを体験している際に生じる被験者の脳活動を、脳計測の手法を用いて観察しています。被験者には、香りを嗅いだ後に表示される「香りを表現する複数の言葉」の中から、最も近しいと感じられる言葉を選んでもらいます。条件を変え、複数回これを繰り返すことで、脳がどのように反応しているのか、それが人間にどのような効果をもたらすのかを、脳科学的な観点から解明することが本研究の目的です。非常に興味深いのは、質を表す言葉(例:土、レモン、ラベンダー)が表示された場合、気持ちを表す言葉(例:さわやかな、やわらかい、エレガントな)が表示された場合、「香りの強度」を表す言葉(例:感じない、少し感じる、強く感じる)が表示された場合とでは、それぞれ脳の活性化領域が明確に異なるのです。本研究を通じて、香りと言葉を同時にインプットする体験が、脳のさまざまな領域を活性化させることが解明されつつある今、カオリウムが人々にもたらす価値には、さまざまな可能性が潜んでいると感じますね。

基礎研究と社会実装を両輪で進め、豊かな社会の実現を目指す。

東原 我々の研究室では、人が香りを嗅いだ際に観測できる脳活動のデータから、どんな香りに触れているのか、それをどう感じているのかを解読していく試みもしています。視覚や聴覚の分野では、それが既に解明されつつあります。脳活動を観測することで、被験者がリアルタイムで見ている画像や、聞いている音を読み解くことが可能になってきているのです。一方で嗅覚は、よりクロスモーダルな領域であるため、そのメカニズムは実に複雑です。非常にチャレンジングな領域ではありますが、それを解読できるようになれば、たとえば香りの物質なくして、特定の香りを嗅いだときと同じ脳活動を生じさせることができますよね。脳に信号を与えることで、「香りを嗅ぐ」という行為なしに香りを想起させる…いわゆる「香りのVR」ですね。

渡辺 香りと言葉を通じて脳を活性化させる取り組みを社会実装に活かした例を挙げると、弊社は2021年より、全国の教育機関に対して「香りの授業」を展開してきました。柚子や青梅、バラなど、地域の特産品の香りを嗅いで浮かんだ言葉を書き出し、子どもたちが自由に物語を創作するという独自の教育プログラムです。本研究から得られた知見を背景に、既存の学校教育では網羅できなかった脳の活性化を推進する機会としてはもちろん、嗅覚領域の可能性の再認識や、子どもの感性を育む教育プログラムとして高い評価をいただき、開催校が続々と増えています。
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東原 学校には視聴覚室はあるのに、嗅覚室はありませんからね。セントマティックのいずれの取り組みにも、香りの新たな可能性を掘り起こし、それをポジティブな形で社会に活かそうという理念が一貫しているところに、私は強く共感しています。既存の社会における香りの効果といえば、「消臭」や「脱臭」に代表されるように、主にネガティブな匂いを打ち消すための対策ばかりが目立ってきました。それらはときに、香害などの新たな問題さえ引き起こしてきたのです。その点、セントマティックのアプローチは、これまで見逃されてきた香りのポジティブな側面に光を当てるものです。しかも、そこに「言葉」を掛け合わせることで、香りのポジティブな効果を最大限に引き出そうとする試みが、実にイノベーティブだと感じています。香りに言葉を紐づけることで、その愉しみ方を広げたり、価値や嗜好を判断したりという機会は、これまでソムリエやフレーバリスト、パヒューマーなど、特別な知識や経験を持つ一部の人々に限られたものでした。カオリウムの普及によって、そのような機会が広く一般の人々に開かれる未来は、すぐそこまで来ているかもしれません。飲食や購買活動をはじめ、社会のあらゆるシーンにおける人々の体験価値を、香りと言葉のクロスモーダルな効果を使ってアップデートさせることができたら、非常に面白いですよね。

渡辺 まさに今、私たちはカオリウムのビックデータを活かした、パーソナライズされたサービスの実現を模索しているところです。カオリウムに蓄積された「香り」と「言葉」の組み合わせから、個々のユーザーが好む香りを導き出せれば、たとえばオンラインショップで香水を購入する際にも、香りのサンプリングのプロセスなくして、適切な商品の提案を行うことができますよね。これはワインや日本酒、チョコレートなど、食品の購買シーンなどにも応用できるはずです。
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東原 カオリウムに蓄積されるビックデータには、ウェルビーイングな社会の実現に活かせる切り口がたくさんありそうです。ユーザーの嗜好や価値観など、パーソナルな情報に紐づいた香りのサービスを考え始めると、もはやアイデアが尽きませんね。たとえばスマートウォッチとカオリウムの連携により、リラックスが必要なとき、集中力が問われるときなど、ユーザーの状況を自動的に察知して適切なタイミングで適切な香りを提供できるようになれば、私たちのQOLは確実に向上すると思います。

渡辺 東原先生との共同研究が実現したおかげで、「香りの超感覚体験」が人々にもたらす価値への確信が深まっただけでなく、香りのさらなる可能性が掘り起こされてきました。我々は、基礎研究と同時にスピーディな社会実装を進めることで、本研究を通じて得られた知見を、必ずより良い未来づくりへと繋げていきたいと思っています。

東原 和成(とうはら・かずしげ)東京大学 大学院農学生命科学研究科 応用生命化学専攻生物化学研究室 教授
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1989年、東京大学農学部農芸化学科卒業。1993年にニューヨーク州立大学Stony Brook校化学科博士課程修了(Glenn D. Prestwich教授, Ph.D. in Biological Chemistry)。1993年8月より、デューク大学医学部博士研究員(Robert J. Lefkowitz教授)を務め、1995年10月より東京大学医学部脳研究施設神経生化学部門助手となる。1998年から神戸大学バイオシグナル研究センター助手を経たのち、1999年より東京大学 大学院新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻 助教授、2009年より現職。2012年から2018年までERATO東原化学感覚シグナルプロジェクト研究総括兼任、2013年から2016年まで中国浙江大学客座教授を兼任。
2019年 東京大学総長補佐、現在東京大学評議員を務める。

渡辺 晋(わたなべ・しん)株式会社セントマティック 取締役
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東京大学工学系研究科社会基盤学専攻を修了後、国内大手メーカーにて新規事業開発に従事。マサチューセッツ工科大学や東京大学など国内外の研究機関と共同で、ストレス測定・低減に関する研究開発を実施。 2018年よりイスラエルのベンチャーキャピタルで投資業務を担当。メンタルヘルス領域におけるシードステージのスタートアップを中心に、ソーシングからデューデリジェンス、投資先の研究開発活動のサポート等、幅広く活動。 2020年、日本へ帰国しSCENTMATIC株式会社へ参画。2021年より取締役へ就任し現在に至る。

【SCENTMATIC株式会社】
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セントマティックは、香りを言語化するAIシステムを用いて、あらゆるものに“情緒的な体験価値”をプラスできる香りの共創型の香りのビジネスデザイン集団として2019年に設立しました。五感の中でも最も未知な領域であった「嗅覚」に着目し、香りを言語化するAIツール「KAORIUM」を開発しています。これまで「香り」という概念は個人の感覚の違いにより他者へのイメージの伝達が難しく、明確な指標というものが存在しませんでした。KAORIUMの登場により様々なビジネス上での”香り”の活用が期待できます。セントマティックが取り組むのは「嗅覚のデジタライゼーション」。それは、香りと言葉による「香りの体験」によって人の感性を進化させ、あらゆる業界のビジネスに革新をもたらします。
代表者:代表取締役 栗栖俊治
所在地:〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿4丁目22番7号 3階
URL:https://scentmatic.co.jp



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