プレスリリース
2022年2月3日、一般社団法人新経済連盟(所在地:東京都港区、代表理事:三木谷 浩史、以下「新経連」)は、総務省の「電気通信事業ガバナンス検討会 報告書(案)」のパブリックコメント募集に対し、意見を提出しました。
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新経連としては、今回の報告書案に対して、次のように考えております。
意見書全体はこちら(https://jane.or.jp/app/wp-content/uploads/2022/02/202202document01.pdf)
【意見の概要】
1.個人情報保護法との関係について
○ 個人情報保護法ではなく電気通信事業法という業法において、個人のプライバシー保護に関する規制を課すことは、国際的に極めて異例であり、グローバル化の流れに真っ向から逆らうガラパゴス規制となることを懸念。
○ 電気通信事業法は、本来は通信の「利用」にすぎないビジネス/サービスまでも「電気通信事業」という提供側に位置付けており、デジタル化の進展に伴い、あらゆるビジネス/サービスが規制対象となり得る。その結果として、例えばFinTechサービスの利用者の保護について、一般法である個人情報保護法と金融サービスを規律する法律に加え、電気通信事業法が規制することは、明らかに過剰規制である。このようなビジネスへの過剰な負担をもたらすことで 、日本のデジタルビジネスの発展ひいては日本社会のデジタル化自体を大きく阻害することを強く懸念。
○ 「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」が、金融や医療分野のものとは異なり、個人情報保護委員会との共同ガイドラインとなっていないことの正当かつ合理的な理由が不明であり、まずは共同ガイドライン化が必要不可欠。
2.現在の電気通信事業法の運用に関する問題について
○ そもそも現在の電気通信事業法の運用には、届出電気通信事業者を把握できていない、日本国内でサービスを提供する外国企業への実効的な法の執行が十分に行われていない、規制の適用対象が不透明といった問題がある。このような電気通信事業法という土台の上で、利用者情報の保護という重要なテーマに関する規制強化を行うこと自体が不適切。
○ 規制の適用関係を巡る解釈について逐一総務省へのお伺いが必要となれば、企業がDXやIoTビジネスを進めていく上での大きな負担となるほか、不透明な裁量行政により規制の予見可能性が損なわれ、萎縮効果をもたらすことで、円滑なビジネス展開に大きな支障を来すことを懸念。
○ チャットやメッセージングの機能を付加しているデジタルサービスについても電気通信事業の届出を求めるという現在の運用の下では、 DXの進展により、更に広範な企業が電気通信事業法の規制対象となり得、 IoT/M2M のデータ流通にも大きな影響を与えることを懸念。
3.利用者情報の適正な取扱いのための体制整備に関する規制について
○ 利用者情報の適正な取扱いのための体制整備の重要性には賛同するものの、「利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信事業者」に対する規制の導入について、対象事業者の自主的な取組などを踏まえた立法事実が示されていないとともに、民間企業の人事を含むガバナンスへの行政による過剰な介入となることを懸念。
○ 仮に、電気通信事業法の既存の制度と同様に、総務大臣による利用者情報統括管理者の解任命令が規定されることや、裁量的な業務改善命令が行われることとなるのであれば、民間企業のガバナンスへの異常な介入であり大きな懸念。
4.利用者に関する情報の外部送信に関する規制について
○ 広告を掲載するWebサイトのうち、一部のもの(ニュース提供サイト、電子掲示板など)は規制対象となり、一部のもの(ネット通販サイト、企業Webサイトなど)は規制対象とならないことが、どの程度利用者の保護につながることとなるのか、利用者の保護というメリットとの関係でこれらサービス提供者の負担が妥当なものとなるのか、十分な検証が必要。
○ そもそも令和2年の個人情報保護法改正により新たに整備された「個人関連情報」に関するルールが施行されていない段階で、このような規制を導入することは、立法事実などが不明であり、比例原則に照らしても大きな疑義あり。
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