プレスリリース
この資料は、モデルナ(マサチューセッツ州ケンブリッジ)が2023年1月30日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳したもので、報道関係者の皆さまに参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。英語版は、https://www.modernatx.comをご参照下さい。
画期的治療薬指定は、高齢者のRSVによる下気道疾患(2つ以上の症状で定義)に対し83.7%の有効性を示したConquerRSV第3相ピボタル臨床試験の良好なトップラインデータに基づく
【米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、2023年1月30日発】 メッセンジャーRNA(mRNA)治療薬とワクチンのパイオニアであるバイオテクノロジー企業のモデルナ(NASDAQ:MRNA)は、本日、RSウイルス(RSV)のmRNAワクチン候補であるmRNA-1345が、60歳以上のRSVによる下気道疾患(RSV-LRTD)の予防に関して、米国食品医薬品局(FDA)から画期的治療薬の指定を受けたと発表しました。本指定は、ConquerRSV第3相ピボタル臨床試験の良好なトップラインデータに基づくものです。
モデルナの最高経営責任者ステファン・バンセル(Stéphane Bancel)は「FDAによるmRNA-1345の画期的治療薬指定は、高齢者におけるRSVによる健康への重大な影響とアンメットニーズの高さを物語っています。この指定により、FDAと前向きな協議を通して、高齢者向けRSVワクチン候補を安全かつ迅速に市場に提供できると期待しています。モデルナのmRNAプラットフォームは、感染症領域において2つの第3相臨床試験で肯定的結果を示しており、モデルナでは、今後も最も重篤な疾患に対する呼吸器mRNAワクチンの開発を進めてまいります。FDAによる今回の指定に感謝します」と述べています。
FDAによる画期的治療薬指定は、重篤な疾患に対する治療薬の開発および審査を迅速に行うため、当該治療薬またはワクチンの予備的臨床エビデンスから、臨床的に重要な評価項目において既存の治療法よりも大幅な改善を示す可能性がある場合に行われます。*1
mRNA-1345は、2021年8月にFDAからファストトラック指定を受けました。モデルナは、2023年上半期に規制当局に承認申請を行う予定です。
ConquerRSV試験は、2つ以上の症状で定義したRSV-LRTDに対するmRNA-1345の有効性を評価した無作為化プラセボ対照二重盲検試験です。本試験の有効性における主要評価項目は達成され、2つ以上の症状で定義したRSV-LRTDに対するワクチンの有効性は83.7%(95.88%信頼区間:66.1%〜92.2%、p<0.0001)、3つ以上の症状で定義したRSV-LRTDに対するワクチンの有効性は82.4%(96.36%信頼区間:34.8%〜95.3%、p=0.0078)でした。
mRNA-1345の忍容性は概ね良好で、臨床的に重大な安全性の懸念は認められませんでした。これまでに特定された副作用は大半が軽度または中等度で、mRNA-1345群で最も多く報告された有害事象は、注射部位疼痛、疲労、頭痛、筋肉痛、および関節痛でした。重度(グレード3以上)の全身性副反応の全発現率は、mRNA-1345群で4.0%、プラセボ群で2.8%でした。本治験は進行中であり、規制当局への提出時に安全性および忍容性の最新解析情報を提供する予定です。
RSVについて
RSVは、感染性の高い季節性呼吸器ウイルスであり、下気道感染や肺炎の主な原因であり、乳児や高齢者に対して大きな疾病負担を引き起こします。2019年には高所得国の60歳以上において、RSVにより重症を含む推定 520万人が発症し、約50万人が入院に至りました。米国ではRSV感染により、毎年約60,000〜120,000人の高齢者が入院しており、そのうち6,000〜10,000人が亡くなっています
成人における合併症には、呼吸困難、肺炎、気管支炎、入院、死亡などがあります。急性感染に加え、RSVは喘息やCOPDなどの基礎疾患を悪化させ、急性心筋梗塞、脳卒中、呼吸機能の長期的な低下を引き起こす可能性があります。
mRNA-1345について
mRNA-1345は、安定化融合前F糖タンパク質をコード化する単一のmRNA配列からなる、治験中のRSVワクチンです。本ワクチンには、モデルナCOVID-19ワクチンと同じ脂質ナノ粒子(LNP)が使用されています。F糖タンパク質はウイルスの表面に存在し、ウイルスが宿主細胞に入るのを手助けすることで感染を引き起こします。F糖タンパク質は融合前と融合後の2種類の状態で存在します。融合前の形態は、強力な中和抗体の重要な標的であり、RSV-AおよびRSV-Bの両サブタイプで高度に保存されています。
モデルナ社について
モデルナは、2010年の創業から今日までの10年強の間に、メッセンジャーRNA(mRNA)分野の科学研究型企業から、現在は7つのモダリティにわたる多様なワクチンと治療薬の製品ならびに臨床開発段階のプログラムを有する企業へと発展しました。モデルナはmRNAと脂質ナノ粒子製剤を含む幅広い知的財産ポートフォリオを構築し、最新の大規模製造設備では迅速な臨床開発と臨床使用を目的とした生産が可能です。モデルナでは国内外の様々な政府や企業との提携関係を継続しており、革新的な科学の進展と速やかな製造拡大の実現を可能にしています。最近では、これらモデルナの能力を結集した例として、新型コロナウイルス感染症拡大に対し、効果的なワクチンを早期に開発、承認取得に至ったことがあげられます。
モデルナのmRNAプラットフォームは、基礎および応用の研究・医薬デリバリー技術・製造においての継続的な進歩を目指して構築されており、感染症、免疫腫瘍学、希少疾患、循環器疾患、並びに自己免疫疾患のための治療薬とワクチンの創出を可能にしています。過去8年間、Science誌によりトップのバイオ医薬品企業として選出されました。さらなる詳細は、www.modernatx.com またはhttps://www.modernatx.com/ja-JPをご覧ください。
モデルナの将来予測に関する表明
本プレスリリースには、改正された1995年度米国民事証券訴訟改革法の意味の範囲内における将来予測に関する記述が含まれています。これには、モデルナのRSVに対するワクチン(mRNA-1345)の開発、mRNA-1345のワクチンの有効性、mRNA-1345の規制当局に対する承認申請の時期、mRNA-1345がRSVによる疾病負担を軽減する可能性、mRNA-1345の安全性プロファイルおよび忍容性、ならびにmRNA-1345の作用機序などを含みます。将来予測に関する声明は、場合によっては「予定である」、「かもしれない」、「はずである」、「可能性がある」、「期待する」、「意図する」、「計画する」、「目的とする」、「予想する」、「信じる」、「推定する」、「予測する」、「可能性」、「継続する」、またはこれらの語句の否定形もしくはその他の同等の語句によって識別することができます。ただし、これらの語句がすべての将来予測に関する声明に含まれているわけではありません。本プレスリリース中の将来予測に関する表明は約束と保証のいずれでもなく、それらには既知および未知のリスク、不確実性、およびその他の要因が関わり、その多くはモデルナの統制の範囲外にあり、かつ実際の結果を将来予測に関する表明に表現されている、あるいはそれから黙示的に示されるものから大きく異なる可能性があるため、これらの将来予測に関する表明に対して過度に依存しないようお願いいたします。これらのリスク、不確実性、およびその他の要因には、米国証券取引委員会(SEC)のウェブサイト(www.sec.gov)から入手可能な、モデルナがSECに提出した2021年12月31日を期末とする年度のフォーム10-K年次報告書と2022年3月31日を期末とする四半期のフォーム10-Q四半期報告書およびそれ以降にSECに提出した書類の「Risk Factors」欄に記載されたリスクと不確実性が含まれています。法によって求められる場合を除き、モデルナは本プレスリリースに含まれるいずれの将来予測に関する表明についても、新たな情報、将来的な展開、あるいはその他のいずれを理由とするかを問わず、更新または改訂する意図または責任を持ちません。これらの将来予測に関する表明はモデルナの現時点での予測に基づくものであり、本プレスリリースの日付においてのみ有効です。
*1米国食品医薬品局(FDA)ブレークスルーセラピーhttps://www.fda.gov/forpatients/approvals/fast/ucm405397.htm。更新日:2018年1月4日。2023年1月26日にアクセス。
プレスリリース提供:PR TIMES