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プレスリリース

そーせいグループ株式会社

不眠症治療薬デュアルオレキシン受容体拮抗薬「ダリドレキサント」(開発コード: ACT-541468)の日本における製造販売承認申請のお知らせ

(PR TIMES) 2023年11月01日(水)19時40分配信 PR TIMES

良好な安全性プロフィールを維持しながら総睡眠時間および睡眠潜時を改善する有効性を示した第III相臨床試験のデータをもとに製造販売承認申請を実施

本申請に関連して15億円のマイルストンを受領
そーせいグループ株式会社(以下「当社」)は、当社グループのイドルシア ファーマシューティカルズ ジャパン株式会社(以下「イドルシア ジャパン」)が、不眠症患者に対する治療薬として持田製薬株式会社と共同開発してきたデュアルオレキシン受容体拮抗薬であるダリドレキサントの製造販売承認申請(NDA)を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出しましたので、お知らせいたします。


本申請は、本邦におけるダリドレキサントの安全性および有効性を検討した無作為化二重盲検プラセボ対照第III相臨床試験の良好な試験結果に裏付けられています。この試験では、有効性の主要評価項目および副次的評価項目とも目的を達成することができました。ダリドレキサントは主要評価項目である主観的指標の総睡眠時間(sTST)に対して28日目におけるベースラインからの変化をプラセボに比べ有意に改善させました(50mgでp<0.001、25mgでp=0.042)。また、ダリドレキサントは別の主要評価項目である主観的指標の睡眠潜時(sLSO)に対して、28日目のベースラインからの低下をプラセボに比べ有意に改善しました(50mgでp<0.001、25mgでp=0.006)。有害事象の発現割合は、ダリドレキサントのいずれの投与群においてもプラセボと同程度でした。二重盲検試験期間中の試験治療下での有害事象(TEAE)はダリドレキサント50mg投与患者の23.5%、25mg投与患者の22.7%で報告されました(プラセボでは24.4%)。


当社は、2023年7月、イドルシア ジャパンおよびIdorsia Pharmaceuticals Korea Co., Ltd.の買収に関連して、Idorsia Pharmaceuticals Ltd(スイス、オールシュヴィル)より、ダリドレキサントの日本およびAPAC(中国を除く)における権利を獲得しました。ダリドレキサントは2022年1月に米国で、4月に欧州でそれぞれ承認されており、その他の承認済み地域を含めイドルシア社が QUVIVIQ(TM)のブランド名で販売しています。日本においては、2019年12月にイドルシア社と持田製薬が不眠症(関連疾患を含む)に対するダリドレキサントの供給、共同開発および共同販売に関する独占的ライセンス契約を締結し、同契約のもと持田製薬とイドルシア ジャパンが共同開発を行ってきました。今後、イドルシア ジャパンによる製造販売承認取得を条件に、持田製薬とイドルシア ジャパンが共同で販売を行う予定です。


本申請に関連して、当社は15億円のマイルストンを受領することになります。なお、本マイルストンは全額、2023年12月期第4四半期の売上として計上される見込みです。


日本における第III相臨床試験の医学専門家である内山真先生(東京足立病院院長、日本大学客員教授、東邦大学客員教授)は次のように述べています。「不眠症は日本において有病率が高く、重要な国民的健康問題として認識されています。 不眠症の患者さんは入眠や睡眠維持が困難なだけでなく、予定よりも早く目が覚めてしまうなどの問題があり、これが身体的および精神的な健康に悪影響を及ぼします。ダリドレキサントは、日本国内において100以上の施設によって臨床試験が行われたここ10年で唯一の薬剤であり、日本の不眠症患者を対象に優れた有用性を示しました。この第III相臨床試験で、ダリドレキサントは不眠症患者の総睡眠時間を増加させ、睡眠潜時を短縮しました。また持ち越しによる翌朝の眠気や認知機能低下が認められませんでした。これらは不眠症の中核的症状を改善する効果があることを明確に示したものだと考えます。このような有望な結果は、最適な半減期をもつデュアルオレキシン受容体拮抗薬であるというこれまでにないユニークな特徴を表したものだと考えます。」


当社執行役副社長兼イドルシア ファーマシューティカルズ ジャパン株式会社代表取締役社長である田中諭は次のように述べています。「私たちは、できる限り速やかに患者さまにダリドレキサントをお届けできるよう、チームはデータの解析およびPMDAへの承認申請資料の準備を迅速に遂行しました。現在、私たちは薬事プロセスを通じて業務を遂行し、また並行して科学論文投稿およびダリドレキサントの10, 25, 50 mg錠の2024年下半期の上市を見込み、準備を行っています。開発パートナーである持田製薬株式会社とともに、チーム全体が一刻も早くダリドレキサントを日本の不眠症患者の皆さんにお届けしたいと考えております。」

※QUVIVIQ(TM)はIdorsia Ltd.の登録商標です。


不眠症について
不眠症は、入眠または睡眠の維持が困難であることを特徴とし、日中の活動の重要な部分において臨床的に明確な苦痛や機能不全を引き起こすと定義されています。睡眠量または睡眠の質に対するこの影響は、十分な睡眠の機会にもかかわらず、少なくとも週3日起こり、3カ月の間持続するものとされています。


不眠症は睡眠中の過剰な覚醒シグナルの状態であり、研究によると、不眠症患者では睡眠中でも覚醒に関連する脳の領域がより活動的なままであることが示されています。2018年に厚生労働省が行った「国民健康・栄養調査」によると、睡眠で休養が十分にとれていない成人の割合は約20%とされており、一般的な問題と捉えられています。


疾病としての不眠症は短時間の睡眠不足とはまったく異なり、身体的にも精神的にも大きな負担となり、日中の活動性に悪影響を与える持続的な状態です。


不眠症の治療目標は、睡眠の質と量を改善し、日中の活動への影響を減らすとともに、有害事象と翌朝の持ち越し効果を回避することです。現在推奨されている不眠症の治療には睡眠衛生指導、認知行動療法、薬物療法などがあります。


オレキシン系について
覚醒と睡眠のシグナル伝達は、脳内の複雑な神経回路によって調節されています。このプロセスの重要な因子の1つが覚醒を促進するオレキシン系です。神経ペプチドであるオレキシンは、神経細胞が脳内で互いに情報伝達するためのタンパクであり、オレキシンAとオレキシンBの2種類があり、その受容体OX1RとOX2Rを介して覚醒を促進します。この神経ペプチドとその受容体がオレキシン系を構成しています。オレキシン系は覚醒系の標的ニューロンを刺激し、覚醒を促進するいくつかの化学伝達物質(セロトニン、ヒスタミン、アセチルコリン、ノルエピネフリン)の放出を誘導します。通常、オレキシンの量は覚醒の促進とともに一日を通して上昇し、その後夜間に低下します。この覚醒系の過剰な活性化は、不眠症の重要な要因であると考えられています。


日本における第III相臨床試験について
国内第III相臨床試験は不眠症患者を対象にダリドレキサントの有効性および安全性を検討することを目的とした多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験でした。本試験の主目的は不眠症患者を対象にダリドレキサント50mgまたはプラセボを1日1回就寝前投与した際の4週後の有効性を検証することでした。ダリドレキサントの有効性として患者日誌によるsTSTおよびsLSOを測定しました。
有効性主要評価項目はsTSTおよびsLSOのベースラインから4週後への変化をダリドレキサント50 mg群とプラセボ群で比較することでした。

有効性副次評価項目はsTSTおよびsLSOのベースラインから4週後への変化をダリドレキサント25 mg群とプラセボ群で比較することでした。




また、この試験では患者日誌による他のパラメータを用いてプラセボに対するダリドレキサントの50または25mgの用量での効果を評価しました。この試験には490人の患者が登録され、ダリドレキサント50、25mgまたはプラセボに1:1:1の割合で無作為化されました。不眠症は高年齢でよくみられ、断片的な睡眠、早期覚醒、および日中の眠気を経験しやすく、集積した患者の約30%は65歳以上でした。




主要文献
・ Riemann, D., et al. Sleep. 2017;26(6):675-700.
・ The Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (5th ed.; DSM-5; American Psychiatric Association, 2013).
・ Wardle-Pinkston S., et al. Sleep Med Rev. 2019;48.
・ Mignot, E., et al. Lancet Neurol. 2022;21:125-39.
・ Muehlan, C., et al. Expert Opin. Drug Metab. Toxicol. 2020;16(11):1063-1078.
・ Muehlan, C., et al. J Psychopharmacol. 2020;34(3):326-335.
・ Buysse, D.J., et al. Drug Discov Today Dis Models. 2011;8(4):129-137.
・ Levenson, J.C., et al. Chest. 2015;147(4):1179-1192.
・ Boof, M.L., et al. Eur J Clin Pharmacol. 2019;75(2):195-205.
・ Clifford, B.S., et al. Trends Neurosci. 2001;24(12).726-31.
・ Gotter, A.L., et al. BMC Neuroscience. 2013;14(1):14-19.
・ Patel, D., et al. J Clin Sleep Med. 2018;14(06):1017-1024.
・ Fietze I., et al. Drugs Aging. 2022 Oct;39(10):795-810.
・ Kunz D, et al. CNS Drugs. 2022 Dec 9.


内山真先生(医師、医学博士)について
医療法人財団厚生協会 東京足立病院院長
日本大学医学部 精神医学系 客員教授
東邦大学医学部 精神神経医学講座 客員教授


略歴および専門:
1980 東北大学医学部卒業 東京医科歯科大学医学部神経精神医学教室入局
1991 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所室長
2000 同部長
2006 日本大学医学部精神医学系主任教授
2020 現職
精神保健指定医 1987
日本睡眠学会専門医 2002
日本精神神経学会精神科専門医2006
日本臨床神経生理学会専門医(脳波)2006


内山先生は現在イドルシア ファーマシューティカルズ ジャパン株式会社に対して助言を行っています。



イドルシア ファーマシューティカルズ ジャパン株式会社について
イドルシア ファーマシューティカルズ ジャパン株式会社は2018年に設立され、日本の患者さまのために革新的で有望な化合物を開発し、上市を目指しています。


Sosei Heptaresについて
当社グループは、フルセットのバイオ医薬品企業であり、世界をリードするサイエンスによって人生を変える医薬品を生み出すことをミッションとし、日本発の国際的なリーディングバイオ医薬品企業になることを目指しています。


当社グループは、英国における世界をリードするGタンパク質共役受容体(GPCR)をターゲットとしたStaR(R)技術、構造ベース創薬(SBDD)ならびに初期開発力と、日本における経験豊富な臨床開発力および商業化事業とを組み合わせ、グローバルに事業を展開しています。


これらの能力を活かし、神経疾患、免疫疾患、消化器疾患、炎症性疾患など複数の治療領域において、新薬候補物質の幅広いパイプラインの創出および研究開発の加速に取り組んでいます。当社グループは、自社開発、あるいは大手グローバル製薬企業や新興バイオ医薬品企業との提携を通じて、日本および世界の患者さまのため価値創出につながる医薬品の開発を図ります。


当社グループは、東京、大阪、ロンドン、ケンブリッジ、バーゼル、ソウルの主要拠点で事業を展開しています。


「Sosei Heptares」は、東京証券取引所に上場しているそーせいグループ株式会社(証券コード4565)のコーポレートブランドです。「そーせい」、「Heptares」、当社グループのロゴおよびStaR(R)は、当社グループの商標または登録商標です。


詳しくは、ホームページhttps://soseiheptares.com/をご覧ください。
LinkedIn: @soseiheptaresco
Twitter: @soseiheptaresco
YouTube: @soseiheptaresco


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イドルシアファーマシューティカルズジャパン株式会社
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