プレスリリース
楽天メディカルの新たな抗体-光感受性物質複合体であるRM-0256などの最新情報について、第41回J.P.モルガン・ヘルスケア・カンファレンスで発表
日本での成功を基に、アルミノックス(TM)プラットフォームをグローバルに展開し、早ければ2025年にも新たな承認を取得
楽天メディカル社(本社:米国 カリフォルニア州 サンディエゴ/以下、楽天メディカル)Co-CEOの三木谷浩史は、2023年1月10日、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された第41回J.P.モルガン・ヘルスケア・カンファレンス(以下、JPM2023)において、世界中から集まった投資家に向けて講演を行いました。本講演では、楽天メディカルとして3つ目の抗体-光感受性物質複合体であり現在前臨床の段階にある「RM-0256」を用いたアルミノックス治療の概要、既に臨床段階にある「RM-1995」を含むパイプラインの最新状況、最も先行する「ASP-1929」を用いたアルミノックス治療を実臨床で提供している日本での堅調な成長、日本で蓄積した知見を基にしたグローバル展開、今後数年の重要なマイルストンなどについて示されました。
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RM-0256は、抗PD-L1抗体と光感受性物質であるIRDye(R) 700DX(IR700)を結合させた薬剤で、PD-L1を発現する細胞に特異的に集積します。PD-L1は、T細胞の表面に多く発現するPD-1に結合することで、T細胞が持つ腫瘍細胞などへの攻撃能力(抗腫瘍免疫応答)を抑制する働きを持つタンパク質です¹。悪性黒色腫(メラノーマ)、肺がん、尿路上皮がん、消化器がん、婦人科がん、乳がん、頭頸部がんなどの多くの固形がんで発現していることが知られています²。また、腫瘍細胞だけでなく、腫瘍関連マクロファージ(TAM)や骨髄由来抑制細胞(MDSC)など、腫瘍微小環境内の免疫抑制細胞にも発現しています³。RM-0256を用いたアルミノックス治療の前臨床試験では、PD-L1を発現する標的細胞にRM-0256を集積させ、波長690 nmのレーザ光照射によりIR700を活性化させ、その光化学反応により標的細胞を破壊するとともに、PD-L1とPD-1との結合を阻止し、抗腫瘍免疫応答や免疫原性細胞死を誘発させる可能性が示唆されました。さらに、RM-0256を構成する抗PD-L1抗体は、PD-L1とPD-1の結合を阻害し抗腫瘍免疫応答を活性化する免疫チェックポイント阻害剤として知られており、RM-0256がアルミノックス治療における光照射後に免疫チェックポイント阻害剤としても作用するかどうかが注目されます。
アルミノックス™プラットフォームを基にした医薬品「アキャルックス(R)点滴静注250mg」(開発コード:ASP-1929)および医療機器レーザ装置「BioBlade(R)レーザシステム」が世界で唯一承認されている日本については、2021年1月の治療提供開始から丸2年で100施設以上における230人以上の治療医(関連学会による後援・指導のもと当社が主催する講習プログラムを修了するなど、本治療の医師要件を満たした医師)により治療の提供が可能となっており、これまでに200治療以上実施されました。日本での症例を基にした論文「Quality-of-Life Evaluation of Patients with Unresectable Locally Advanced or Locally Recurrent Head and Neck Carcinoma Treated with Head and Neck Photoimmunotherapy(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9496661/)」や「Near-Infrared Photoimmunotherapy for Oropharyngeal Cancer(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9688155/)」では、本医薬品・医療機器レーザ装置を用いた「頭頸部アルミノックス治療」がQuality of Life(QOL)を低下させることなく良好な病状コントロールを達成したことが示されています。
日本で蓄積されつつあるデータや知見を基に、楽天メディカルはグローバル展開を積極的に進めています。2022年に子会社を設立したインドについては、ASP-1929を用いた局所再発頭頸部扁平上皮がんに対する国際共同第III相臨床試験(ASP-1929-301試験/ClinicalTrials.gov Identifier: NCT03769506https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03769506)を同国でも実施できるよう施設組み入れの準備を進めています。ASP-1929は、臨床試験の結果が良好であれば、早ければ2025年にも米国、台湾、インドなどで承認を得られる可能性があります。その他、RM-1995やRM-0256を用いたアルミノックス治療の臨床試験の開始、ASP-1929を用いた複数の臨床試験の進捗など、多くのパイプラインが今後数年以内に重要なマイルストンを迎える予定です。
「もし狙った細胞だけを取り除くことができるとしたら、どんな未来が拓けるでしょう?」講演でこう切り出した三木谷は、「既存の治療法とは全く異なるこの治療法に私が出会ってから10年、凄まじい勢いで技術開発を進めてきました。私たちが描く未来は、局所治療としてのポジション確立に留まりません。既存の治療法が100年以上かけて確立した標準治療のポジションやさらなる進化への道筋を、当社はずっと短いタイムラインで実現したいと考えています」とアルミノックス™プラットフォームの可能性について語りました。
JPM2023での三木谷の講演資料と音声(いずれも英語のみ)は以下のリンクからダウンロードいただけます。
講演資料: https://rakuten-med.com/jp/wp-content/uploads/sites/8/2023/01/Slides_JPM2023_Rakuten-Medical.pdf
音声: https://rakuten-med.com/jp/wp-content/uploads/sites/8/2023/01/Audio-Recording_JPM2023_Rakuten-Medical-1.mp3
(注) アルミノックス™プラットフォームを基にした治療法は、現時点では、日本以外の国では承認されていません。
1. Chunwan Lu, Priscilla S. Redd, Jeffrey R. Lee, Natasha Savage & Kebin Liu (2016) The expression profiles and regulation of PD-L1 in tumor-induced myeloid-derived suppressor cells, OncoImmunology, 5:12, DOI: 10.1080/2162402X.2016.1247135(https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/2162402X.2016.1247135)
2. Kythreotou A, Siddique A, Mauri FA, et alPD-L1Journal of Clinical Pathology 2018;71:189-194. https://jcp.bmj.com/content/71/3/189
3. Shklovskaya, E.; Rizos, H. Spatial and Temporal Changes in PD-L1 Expression in Cancer: The Role of Genetic Drivers, Tumor Microenvironment and Resistance to Therapy. Int. J. Mol. Sci. 2020, 21, 7139. https://doi.org/10.3390/ijms21197139
4. Isaku Okamoto et al. Cancers (Basel). 2022 Sep; 14(18): 4413. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9496661/
5. Daisuke Nishikawa et al. Cancers (Basel). 2022 Nov; 14(22): 5662. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9688155/
楽天メディカル社について
楽天メディカル社は、アルミノックス™プラットフォームと呼ぶ技術基盤を基に、薬剤と光を組み合わせた、がんをはじめとした様々な疾患に対する新しい治療法の開発を行うグローバルバイオテクノロジー企業です。同プラットフォームを基に開発された医薬品・医療機器の前臨床試験では、特定の細胞の速やか、かつ選択的な壊死をもたらすデータが示されています。楽天メディカル社は、がんを克服するというミッションを掲げ、がん患者さんがより良い生活を送れる社会の実現を目指しています。米国に、本社と研究開発拠点を構え、日本、オランダ、台湾、インド、スイスの世界6カ国を拠点としています。楽天メディカル株式会社は、楽天メディカル社(米国法人)の日本法人です。詳しくは、https://rakuten-med.com/jp/をご覧ください。
アルミノックス™プラットフォームについて
アルミノックス™プラットフォームは、治療技術基盤の名称であり、米国国立がん研究所の小林久隆先生らが開発したがん光免疫療法が基となっています。同プラットフォームは、医薬品、医療機器、医療技術、その他周辺技術を総合的に利用した技術基盤であり、楽天メディカル社は、これに基づき製品や治療法の開発を進めています。アルミノックス™プラットフォームとは、薬剤と光を組み合わせた、がんをはじめとした様々な疾患に対する新しい治療法を開発するための技術基盤です。同プラットフォームを用いた治療は、「薬剤の投与」と「光の照射」の 2 段階で構成されます。薬剤は、光感受性物質 (光に反応する物質) と、キャリア (特定の細胞に選択的に集積する成分) から組成される複合体です。同薬剤を投与し、特定の細胞に選択的に集積させた後、その細胞に特定の光を照射することで光感受性物質を活性化させ、生化学・物理学的プロセスにより、特定の細胞を壊死させ、あるいは、排除します。
フォワード・ルッキング・ステートメント(将来予想に関する記述)
このプレスリリースに含まれる表現は、1995年米国民事証券訴訟改革法(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)セーフ・ハーバー条項にある将来の見通しに関する声明に相当します。同声明は、様々なリスクや不確定要素、仮定を含むため、楽天メディカル社の事業計画及び結果は、本声明で想定された結果や公開された予想と異なる場合があります。「将来の見通し」に関する声明では、アルミノックス™プラットフォームで開発された当社製品に関連するサービスの商業化、その他の規制、販売承認の取り組みに関する情報を含みます。製品の販売承認や商業的成功は、達成されない場合もあります。将来の見通しに関する表明は、潜在的な利益、アルミノックス™プラットフォームで開発された当社製品の有効性と安全性、薬事申請状況を示します。このような声明では、「予期する」、「信じる」、「希望する」、「推定する」、「見通す」、「期待する」、「意図する」、「可能性のある」、「場合がある」、「提案する」、「計画する」、「戦略を立てる」、「するであろう」、「する」などの表現が使われ、いずれも現在の当社の信念に基づいて用いられます。さらに、このプレスリリースでは治験データに関する意見を述べる上で、「重要な」、「注目すべき」、「全般的に忍容性が良好」「管理可能な」「異常な」というような表現が使用されます。継続的である治験研究は、様々なリスクや不確定要素を含み、特に当社製品の製造段階での問題、安全性に関わる有害事象の発生、治療効果が見込めない状況など、合理的なもの、不合理なものを含め様々なリスク、不確定要素に左右されることがあります。そのため、規制当局による承認や当社製品の商業化の不確定要素を含め、実際の結果が公開された情報と異なる場合があります。当社は、準拠法で義務付けられた範囲を除き、新しい情報が得られたかどうか、将来何らかの展開または出来事が生じたかどうか、仮定に変化が見られたかどうか、将来予想に関する記述に影響する要因に変化があったかどうか、もしくはその他の理由の如何によらず、将来予想に関する本記述あるいは、他の記述を公式に改定する義務を負いません。当社が1つ以上の将来予想に関する記述を改定する場合も、その改定が、あるいはその他の将来予想に関する記述が、さらに改定されると推論すべきではありません。
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