プレスリリース
この度、欧州系グローバル戦略コンサルティングファームのローランド・ベルガーと無形資産/ESG等のデータ解析・可視化企業のアスタミューゼは、共同で日本の脱炭素に貢献するスマートモビリティ領域に関する分析レポートを発表致します。
1.本シリーズの主旨・全体像
モビリティ業界では、社会・価値観、規制の変化に加え、テクノロジーの飛躍的な発展により、「100年に一度」と言われるほどの変革期を迎えている。
社会・価値観の観点では、高齢化等の進展に伴う社会構造の変化による安全性への希求の高まりや、自動車の保有形態が所有から利用へのシフトが進展
規制面では、脱炭素社会実現に向け、欧州を中心に各国政府がモビリティに対する燃費規制やガソリン車への規制を強化(例:英国政府は、2030年までにガソリン・ディーゼル車の新車販売を禁止することを昨年発表)
テクノロジー面では、モビリティの安全性向上に資する通信ネットワーク(5Gネットワーク)基盤整備や、デジタル(センシング、自動制御等)技術の進化・普及が加速化
本シリーズは、上記3つの視点での変化を踏まえ、今後、モビリティ業界において、一層重要性が増すと予想される「低環境負荷」、「軽量化」、「デジタル化」、「サービス化」の4つの分野にフォーカスし、これら4つの分野毎に技術・ビジネス動向分析を目的としている。
なお、本シリーズでは、全3回のリリース発出を予定しており、初回である本レポートでは、4つの価値別での技術/特許競争力企業ランキング、およびこれらを統合した総合企業ランキングを提示する。第2回では企業ランキング結果の背景にある業界のメガトレンド分析、第3回では、4つの価値軸別での企業動向分析を予定している。
2.脱炭素に貢献するスマートモビリティ領域における企業ランキング算出アプローチ
本レポートでは、モビリティ業界の4つの分野別での国内企業の保有技術資産(特許)を分析・評価する。
技術資産(特許)評価は、4つの分野別で技術/特許1)母集団を作成し、個別特許の競争力を定量評価の上、これを企業別で集計したトータルパテントアセット2)により評価した。
脱炭素に貢献するスマートモビリティ領域の整理
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3.上位企業ランキング
総合ランキングを作成するにあたり、前述の各分野のトータルパテントアセットシェアを算出の上、4分野の数値を企業ごとに合算して総合スコアを算出した。脱炭素に貢献するスマートモビリティ領域において、イノベーティブな取り組みを行っている企業の総合ランキングは以下の通り。トヨタに代表される大手自動車OEMやデンソーなど有力自動車部品メーカーが上位を占める構図だが、特にソフト面で特長を打ち出す建機・農機OEMや尖った技術を有する電機系・素材系サプライヤー(橙色・太字企業参照)もランクインしている。
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なお、4つの価値領域分類ごとに、イノベーティブな取り組みを行っていると評価された上位企業ランキングは以下の通り。サービス化を中心にソフト的な価値を具現化しているプレイヤーは、必ずしも自動車領域に限定されておらず、モビリティ領域のイノベーションが業界横断的に行われていることが窺える。
[画像3: https://prtimes.jp/i/20895/57/resize/d20895-57-e891e7469308aa1b0bf0-8.png ]
価値領域別の傾向分析(概略)
次回リリースにて、本ランキングの背景に存在するトレンド分析結果等を公開予定だが、特徴的な傾向について、概略を紹介する。
益々重要性高まるソフトウェア領域
まず、脱炭素に資するスマートモビリティ技術は、再生可能エネルギー由来の電気・水素を主としたグリーンエネルギーを如何に活用していくかが主たるチャレンジテーマとなる。しかし、近年は、ハード的な価値以上に、ソフト的な価値実現、具体的にはデジタル化(コネクテッド・自動化)やサービス化(シェアリング・「働く」機能高度化)の価値貢献領域でのイノベーションが活発化してきている。モノだけではなく、コトも含めた脱炭素に資するイノベーションの重要性が増してきている証左と言えよう。
出願年別対象プレイヤーの関連特許件数(2005-09年平均=100)
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個別技術の成長性が高いシェアリング・コネクテッド
個別の価値軸では、電動化(バッテリー等)と自動化(自動運転等)が、脱炭素に資するスマートモビリティの2大技術領域となっている。
現状、成長性の観点では、シェアリング領域とコネクテッド領域が注目領域になっている。前述の通り、ソフトウェア領域の重要性が増す中、これら2つの価値軸は特に産業界からの需要が旺盛であり、更なる技術革新余地があるとも読み取れる。
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自動運転技術を梃子に拡がる異業種連携の可能性
脱炭素に貢献するスマートモビリティ技術は自動車セクターを中心に進んでいることは本ランキングデータからも自明だが、建機・農機などの働くクルマ領域では自動車とは異なる進化を遂げつつある。自動車はEVやFCVなどの動力・燃料活用技術と自動運転技術を両睨みでイノベーションを企図している一方、建機・農機では作業の省人化・無人化に資する自動化技術が活発になってきている。モビリティ関連プレイヤーが、各々の得意とする領域でイノベーションを具現化していくことで、業界の垣根を超えた効果的なアプローチにつながる可能性を秘めているといえよう。
関連特許件数の推移(※縦軸は業種ごとにスケールが異なる)
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1) 2000-2019年の20年間に国内で出願された特許のうち、9の価値に紐づく特許が母集団。約14万件の特許が分析対象
2) アスタミューゼが独自に開発した特許競争力評価手法。対象母集団(各技術分類定義、市場/事業分類定義)毎に、他社への技術的脅威、権利の地理的範囲、権利の時間的範囲の観点から、対象となる企業の特許1件1件の特許競争力をスコア化・偏差値化した「パテントインパクトスコア」を算出。さらに、「パテントインパクトスコア」毎に特許の余命を乗じた「パテントアセット」を企業単位で集計することで、「トータルパテントアセット」を算出
プレスリリース提供:PR TIMES